雪組
ベルサイユのばら


2013年7月19日
於・東京宝塚劇場



 ベルばらに大きな期待はしてないとはいえ、今回のフェルゼン編はつまらなかった。
 プロローグは、フェルゼンとアントワネット、オスカルの出会いを人形劇風に再現。 いまいち分かりにくいし、素敵なわけでもないし、それだったらベタだけど、アントワネットのガラスの馬車の方がいいんじゃないかと思ってしまいます。
 そのあとは、2人とか3人とかの少人数で、ひたすら説明調の長台詞のシーンが続く。 舞台に動きもないし、眠くなります。

 フェルゼン(壮一帆)とアントワネット(愛加あゆ)が愛を語らうこともなく、いきなり別れのシーンが始まります。 その後2人が再会するのは牢獄だし、いくらなんでもすっ飛ばし過ぎ。
 フェルゼンが国王に帰国の挨拶に行くシーンでは、あいかわらず「私は王妃と(明言はしてなかったけど)愛し合っていた」という爆弾告白がありました。 わたる君の時もやめてくれ〜と思ったけれど、壮くんはさらにクールというかドライな印象があるので、ますますあり得ない。 ひそやかに慎み深く、愛情深いのがフェルゼンのいいところなのに、あんな自己中心的で好き勝手行動するフェルゼンは、もう絶対いや。

 アントワネットの出番が少ない。最後牢獄のシーンくらいしか印象に残ってない。 落ち着いた母の雰囲気が出ていてよかっただけに、王子や王女とのシーンくらいあってもよかったのにって思います。

 オスカル(早霧せいな)はビジュアル的には美しくていいのだけれど、ちぎちゃんはやっぱり男役の方が合うと思いました。 「シトワイアン、行こう〜!」以降はよかったけれど、その前は静の芝居が多くて、なんからしくない。
 アンドレ(未涼亜希)。無理にテンションあげようとしている風に見えて、アンドレ特有のひょうひょうとした存在感と、まっつのキャラが合ってない。 オスカルとアンドレの間にもいまいちラブロマンスが見えなくて、残念。

 ジェローデル(夢乃聖夏)は出番は多いのだけれど、やたら熱くておせっかいで、原作のジェローデルとは全く別物。 ジェローデル最大の見せ場である「身を引きましょう」の膝立てがないだけでも不服なのに。 アンドレの目が見えないことを指摘するのは、アランの役回りでしょう。 それに、自分の上官に対して「オスカル」ってファーストネーム呼び捨てにする? フェルゼンには「オスカルとアンドレは深く結ばれた」とか言ってるけど、いつどこで誰に聞いた?
 フェルゼンを迎えにスウェーデンまで単身のりこむっていうのも、そもそもジェローデルらしくないというのに、そのあとの大立ち回り。 天下のフランスの近衛隊長まで勤めている由緒ある貴族の家柄で、おそらくは美貌も才能も申し分ないジェローデルが、辺境国の貴族であるフェルゼンごときにあごで使われているのも嫌。 充分に大迷惑掛けまくってるフェルゼンが、いまさら「これ以上迷惑をかけたくない」とか良く分からないことを言って、追手に取り囲まれて、ジェローデルは既に剣を交えているその状況をどうするつもりなの? フェルゼンの自己中さは、半端ありません。

 アラン(彩風咲奈)は、なんか印象薄かった。「オスカルが言うなら、民衆に銃を向けてもかまわない」なんて言うのは、アランじゃないです。 王妃を救出する活動に加わるのも、絶対アランじゃない。 もっと熱くて、猪突猛進な野郎系なのがアランの格好いいところなのに。

 ロザリー(早花まこ)は、もうちょっと若手娘役でキャスティングできなかったんだろうか? ベルナール(彩凪翔)と並ぶと、しっかり者の姉さん女房にしか見えなくて、とても「ジャルジェ家に柔らかい春の風を運んできた」ようには感じられない。

 どの人もこの人も役に合ってないか、キャラクター設定が崩壊していて、原作ファンとしてはもう本当に残念でしかたありませんでした。