雪組
fff フォルティッシッシモ
シルクロード


2021年2月28日
於・東京宝塚劇場



 王侯貴族のためではなく、自らの感性に突き動かされるままに曲を生み出してきたベートーヴェン。 だが音楽家にとって致命的なことに、聴力を失ってしまう。 そんなベートーヴェンの前に、彼にしか見えない女が姿を現した。 あらゆることに絶望しつつ、それでも作曲を続けたベートーヴェンの半生。

 オープニング早々に出てくる天使やモーツァルトたちが微妙。 何でモーツァルトが子供なのか分からないし、せっかくの縣が添え物みたいなのが勿体ない。

 ベートーヴェン、望海風斗。 執筆中のビジュアルが絵画によく似てて、迫力のある歌声はさすがなのだけど、それ以上なんてことない。 愛した女性や親友との絡みは少ないし、ナポレオンには勝手に理想を抱いて勝手に幻滅してる。 死の間際にナポレオンの幻想と会話してるのも、無理やりこじつけっぽい。 第九が見せ場なんだろうけど。 オーケストラピットまで使う演出は面白かった。

 謎女、真彩希帆とだけは比較的コミュニケ取ってたけど、彼女の存在も微妙。 最初割と上から目線だからトートみたいなものかと思ったら、変に人間的だったり一貫性ない。 ピンクの衣装似合ってないし。 運命だって言うなら、もっと全体にそれっぽくお願いします。

 ナポレオンの彩風咲奈。 咲奈は濃い目の演技でがんばってたけど、エピソードが途切れ途切れでうまくストーリーになじんでない。 柚希レオンの戴冠式の衣装はあいかわらず豪華だった。

 ゲーテの彩凪翔。こちらもベートーヴェンが勝手に理想を抱いてるだけで、ほとんど絡まない。

 ゲルハルト、朝美絢。 ベートーヴェンは少年時代、青年時代と別の人が演じてる(野々花・彩海が好演してた)のに、ゲルハルトはずっと一緒。 どう見ても望海より若く見えるけど、ベートーヴェンより年上らしい。 青年ゲルハルトを別の人にしてしまうとややこしいからかもしれないけど、年月の経過が分かりにくい。 (あーさの出番が減るという事情もあるかも。)

 全体にどうも印象に残らないと言うか、話がとっ散らかってると言うか。 イメージ先行で作ってみましたって感じの話だった。

 ショー「シルクロード」

 真彩の長いトレーンの青いドレスが豪華でとてもきれいだった。 芝居でボロをまとって気の毒だったから、良かったね。 ラップ調のすごく難しそうな歌を歌いあげてた。

 芝居では微妙な立ち位置だった彩凪も、行商人の通し役で出番が多くて目立ってた。 退団者への愛のある作品はいい。

 咲奈はチャイニーズマフィア?の場面が格好良かった。 白い衣装で月桂樹の冠をかぶったナポレオンの亡霊を見たような気がする。

 朝美の千夜一夜物語は周りの娘役のナマ腹に目を奪われて、全然真ん中を見てなかった。

 燕尾はシニョールドンファンへのオマージュ・・・だけど青いバラがちょっと嘘くさくて、紅バラでよかったのに。 だいもんから咲奈へバラを手渡す演出が、何とも心憎い。

 個人的にはもっとダンスの見せ場があると嬉しいのだけど、エキゾチックできれいなショーでした。