雪組
ひかりふる路
SUPER VOYAGER!


2018年1月19日
於・東京宝塚劇場



 フランス革命、ジャコバン派党首ロベスピエールの物語。

 マクシミリアン・ド・ロベスピエール、望海風斗。 ロベスピエールと言えば「スカーレットピンパーネル」のイメージが強いけど、このロベスピエールはちょっと違った。 理想を掲げる若者で、あまり強引な野望とかは感じない。 だいもんの持ち味なんだろうけど、内面の葛藤はよく分かるんだけど、悪役演じても真面目に見える。 理想が暴走してああなったって言う狙いは分かる。 でもやっぱり、恐怖政治を敷くほどの革命家だし、周りに持ち上げられるだけのカリスマ性はあっていい。 なんかちょっと物足りなかった。
 サンジュストが提案した劇中劇みたいなところ、あれ・・・イタイ。 サンジュストは妄信してるからあれで良しと思ってるんだろうけど、行くところまで行くとああなるっていう滑稽さ。 そこに現れるダントンとか、追い詰められてる感じがよく分かる。
 最後の牢獄のシーン、この辺りになってくるとだいもんは上手い。 だからこそ、暴走するところの勢いがもっとあるといいんだけどなあって思ってしまう。 若干「愛と革命の詩」のデジャヴなだいもんでした。

 マリー・アンヌ、真彩希帆。 歌の上手いコンビってことになってるけど、個人的に歌は重視してないので、2人のデュエット長くて間延びするって思ってしまった。 しっとりした歌声が、革命家とそれを狙う女性が愛し合ってしまったって感じじゃなくて。 芝居は安心して見ていられるし、落ち着いた役が似合いそうなので、コンビ的には合ってると思う。

 ダントン、彩風咲奈。 破天荒な感じが良かった。 粗野な言動だけど支持者がたくさんいるのが分かるし、ロベスピエールとの食事のシーンは秀逸。 奥さん亡くしてるし、一度罷免されてるし、いろいろ嫌なことを抱えてるのに人生楽しもうって言えてしまう強さ。 それでもロベスピエールに理解されなくて、1人でグラスを空けるときの虚しさ。 見ててすごく感動しました。 まさか咲奈にこんな感動する日が来るとは思わなかった。

 ルイ・アントワーヌ・レオン・ド・サンジュスト、朝美絢。 敢えてのフルネーム。 サンジュスト、好きなんです。高校時代から。
 宝塚でフランス革命は何度も取り上げられてるけど、サンジュストが出てくるのは初めて。 ロベスピエールの懐刀、切れ者で死の大天使の異名を持っていた。 このサンジュストは、そういうイメージとはちょっと違う。 ひとこちゃんは普通にロベスピエールを尊敬してる感じなのだけど、あーさはそんな域じゃない。 心酔って言うか、自分で勝手に作り上げたロベスピエール像に入れ込んで、自分に酔ってる感じ。 ありていに言ってしまえば恋してる? 処刑を申し渡すときも淡々としてて、ふと見ると笑みを浮かべてる。 美しいだけに怖い。

 カミーユ・デムーラン、沙央くらま。 「1789」ではダントンで、同じような印刷工のシーンがあったなあって思ったけど、今回の方が皆キャラ立ちしてた。 銀橋渡りの歌が、一応デムーランの心情を歌ってる風なのだけど、そのままこまちゃんのさよならソングになってて、じんわり来ました。

 あとは、はっちさんのタレーランとか凪しょーのマノン・ロランが濃かった。

 ショー「SUPER VOYAGER!」面白かったです。 フランス革命ものの芝居って結構1本ものが多いので、これショーもあったんだ!ってちょっとお得感。

 プロローグ、船員たちのナンバー。 生徒さんの持ち歌にそれぞれ名前が入れ込んであることに気が付いて、ちょっと楽しい。 「永遠に輝く」とか「目をくらませる」とか「朝」の何チャラやら「SHOW」がどうしたのとか。

 いきなりロケットからの、ララランド風ダンスナンバー。 ララランドそのものは何か古臭くて面白くなかったのだけど、これは楽しかった。 ひとこちゃんが、芝居では目立たなかったから。 生き生きしてました。

 ヤンさんの振り付けのストーリーダンス。 あーさをだいもんと凪が取り合う。 あーさ、女役ですか。 女装するとちょっとゴツイかな、イヤきれいですけど。

 ラテン。ひとこちゃんの脚線美にくぎ付けでした。

 だいもんの過去映像が帆に映し出される演出、個人的に嫌いでした。 さよなら公演ならまだしも、これから始まるお披露目公演で後ろを振り返るってどういうこと? こまちゃんのさよならソングは良いのだけど。

 アイドル風のナンバーは元気で良い。 凪とあーさがセンター割りで、本当にあーさ組替えして扱い上がってよかったね。

 いろいろ楽しめました。