雪組
星影の人
JOYFULU


2007年10月8日
於・市川市文化会館



 新選組一番隊組長、沖田総司。新選組の中でも一番の剣の使い手と言われながら、純真な心を持ち続けた青年。結核で余命いくばくもないと告げられ、新選組の任務も、芸妓玉勇への恋心も、悔いのないよう精一杯生きていこうと決心するのだった。
 新選組ファンで、三谷さんの「新選組!」がマイベストなので、ついそのイメージにひきずられてしまいますが、「誠の群像」より納得できました。

 沖田総司の水夏希。水ちゃんといえば、色気のある大人の男のイメージなのに、今回の沖田君は爽やかな好青年。これはこれで素敵なのだけれど、個人的にはもう少し大人っぽい役作りで見たかった。幼少期から大人の中で育ち、命の修羅場をくぐってきた青年なのだから、ひたすら純真というより、どこか達観したところがあってもよさそうだし。

 玉勇の白羽ゆり。はんなりとした物腰の、大人っぽい京女。しっとりしていて素敵なのだけれど、沖田君の想い人にしては、お姉さんすぎる。となみちゃんがもっと若々しくて、水ちゃんがもう少し大人びていたら、カップルとしてもっと似合ったと思う。

 土方歳三、音月桂。クールで色気のある大人の男、女に関しては玄人と自負しているけれど、服装の乱れや規律に関しては細かくて、沖田君に対しては心配性。土方さん、最高です。普通に土方歳三が好きなのだけれど、きむちゃんの土方さんはイメージ通り。可愛いルックスなのに、演技力でいくらでも雰囲気を変えてくるのが、すごい。芸妓に膝枕してもらってるところ、色っぽくてドキドキです。今回一押しキャラ。

 近藤勇の汝鳥怜。近藤さんって、土方さんと1つしか年違わないし、実際30代半ばで生涯を終えているのに、なんでこんなおじさんキャラなの?妻帯者だし、落ち着いたイメージはあるけれど、はまこさん辺りをキャスティングしてもよかったのでは?
 その未来優希は、山崎丞。表立たない監察でも、新選組の中では重要な役回りというのが、はまこさんにぴったり。
 山南敬介の彩那音。家紋が違うというマニアックなつっこみは、この際おいておきます。(近藤、土方、沖田はあってた。)物腰が柔らかくて、自分の信念は曲げないけれど、他人にも押し付けない感じが、よく出てた。

 主役がもてるのはお決まりとしても、屯所の下女はともかく、医者の娘まで片思いしなくていいのに。わざわざ恋心を歌うシーンの必要性が分からない。
 桂小五郎、「維新回天・竜馬伝」の北翔くんが、ただのお笑いだったので、今回格好よくてよかったね。

 池田屋事変、いまだに池田屋に目星をつけて切り込むというフィクションもどうかとは思うけれど、それ以上に何で音だけ?せっかく病を押して、沖田君も参戦するんでしょ?その中で、喀血して倒れるんでしょ?芝居としては、かなり見せ場だと思うのに、これはもったいない。きっと、倒れる水ちゃん、すごく色っぽいよ〜。
 玉勇が息絶えて終わり。う〜ん、やっぱり新選組ファンなので、沖田君の最期まで見たかった。

 ご当地紹介は、千葉県出身の水ちゃん。会場中が期待で盛り上がっていました。水ちゃんの出身高校の生徒さんが大挙して見に来ていたらしくて、その紹介とか、東京宝塚劇場に見に通っていた頃のこととか、ちょっとほのぼのとした挨拶でした。