雪組
一夢庵風流記
My Dream Takarazuka


2014年8月20日
於・東京宝塚劇場



 加賀の国主、前田利家のおいではあるが、主君を持たず気ままな暮らしを送っている傾奇者、前田慶次。 利家の妻まつと密かに想いを寄せ合っている。 天下人の豊臣秀吉を倒し、権力をわがものにしようとたくらむ面々の中で、 慶次は自分の生き方を貫いていく。

 前田慶次、壮一帆。 傾奇者というよりは、単に軽薄なお調子者にしか見えなかった。
 叔父とへたな家督争いをして家中を不安に陥れたり、政権争いのごたごたに巻き込まれるのが鬱陶しいから、 何にも興味ないふりして遊び歩いてるように見せているとか。 まつと想いを寄せ合いつつも、どうすることもできない葛藤とか。 そういういろいろなことが全然見えてこない。 上っ面のお調子者に見えてしまうから、話が全然面白く感じない。
 全体に、なんかたくさん人が出てきて、ごちゃごちゃやってた印象だけが残りました。

 まつ、愛加あゆ。 芯の強い女性な感じは分かったけど・・・ ラブシーン、とくに別れの場面はもっと切なく甘い感じがあってもいいのに、特になんということもなく終了。

 次期トップ確定の早霧せいなの奥村助右衛門。 これ重要な役? 男の友情って宝塚普遍のテーマなのは分かるけど、動かず感情も見せずほとんどストーリーに参加してないようにすら見える。 ちぎちゃんがこういうニンの役が似合わないというのもあるけど、面白くない。

 唯一楽しかったのが、夢乃聖夏の重太夫。 出てきた瞬間に場の色が変わって、舞台の端の方で何かやってるだけでも目が行ってしまう。 大見得切ってる割に弱いけど、いい人そうなのが全身からにじみ出てる。 ともみんがいたから何とか見てられた感じです。 それにしても、あのおみ足が100貫じゃあ、安すぎでしょ。

 雪丸、未涼亜希。BJのような風貌に影のある存在感。 こういう渋い抑えた役はまっつにぴったり。 加奈の大湖せしる君とのオトナなラブシーンは、見ていてドキドキでした。 殺してやりたいけど愛してしまうとか、手玉に取るだけつもりなのにはまってしまうとか、すごかった。 最後(死んでるんだろうけど)寄り添ってる2人がちょっと幸せそう。

 捨丸、咲妃みゆ。次期トップ娘役。 かたきと狙った男のもとに身を寄せ、最後は愛してしまった故に殺せず、かわりに自分が命を落とす。 悲劇のヒロイン的な役回りなんだけど、それほど気持ちが伝わってこなかった。 成長を期待します。

 関白殿下の夏美よう。一目見て秀吉そっくりなのにびっくり。あの耳! タヌキおやじな一樹千尋さんの家康公も、さすがの存在感。 このお二人のおかげで、とっ散らかった芝居がなんとかまとまってた感じでした。

 そのほかの人たち。
 直江兼続の大ちゃん。愛の前立てが目立ってました。 BASARAのちょっとおバカキャラの兼続とは違って、すっとした切れ者っぽそうになってました。
 甚内の月城かなと君。いや〜、目立ちますね。これからますます劇団に推されていくだろうと想像できます。
 黒田官兵衛のきんぐ。えっと・・・何で眼帯? 官兵衛って呼んでるから官兵衛なんだろうと思いつつ、山本勘助!?いやそれは武田信玄の軍師だし(眼帯左目だし)、 伊達政宗?は小田原攻めも終わってないこの時期に秀吉のそばにいるわけないし、 柳生十兵衛?って戦国武将だっけ?と、そうじゃなくてもごちゃごちゃした話なのに、無駄に頭を悩ませてしまいました。
 あと忘れちゃいけない、松風。 最初の映像はちょっと長くて飽きたけど、リアル松風はなかなかの大活躍で面白かったです。

 ごちゃごちゃやってる間に話が進んで、よく分からないうちに終わった感じでした。

 ショー「My Dream Takarazuka」

 華やかなプロローグに続いて、アダルトなスーツのナンバー。 花組っぽいな〜と思いながら見てました。まっつも花男だったんですよね。 アダルトな中の白猫ちゃんは何だったんだろう?
 男役の格好いいナンバーが続きます。やっぱりともみん、ダンスは格好いいし、プロポーションも抜群だし。 そんなともみんですら凌駕してしまう大ちゃんの足の長さは驚異的。 大ちゃんは何もしないで、立ってるだけでいいです。
 お花畑なラテンナンバーと、真っ白な雪景色。 さよなら仕様だから仕方ないのだけど、さよなら色の強いシーンが続きすぎてちょっと飽きました。
 とは言え黒燕尾も見られたし、それなりに楽しいショーでした。