雪組
ほんものの魔法


2021年6月8日
於・KAAT 神奈川芸術劇場



マジシャンが集まる街に、モプシーという名の言葉をしゃべる犬を連れた青年アダムがやって来た。 アダムは、父親に逆らった罰に閉じ込められていたジェインを救い出す。 そして彼女を助手にして、魔術の審査員の前で手品を見せた。 だが、アダムが見せたのは普通の手品とは異なるものだった。 街の人は騒然となり、アダムを異端視する。

小学生対象のファミリーミュージカルなら、何の問題もなく良かった。 派手なコスチュームは目を引くし、蜂やら蝶やらのナンバーは華やかでかわいい。 でも、大人が見るにはあまりに薄い。 魔法がどうとか信じる心を持とうとか、内容的にも子供向け。

アダムの朝美絢、さらっと普通の青年すぎて何もひっかからない。 おとぎ話キャラは似合うかもしれないけど、その手の役はもう十分でしょう。 陰のある役ができないわけじゃないのに、なぜいつまでもファンタジー路線をひっぱるんだろう。

ヒロインのジェインは16歳設定だけど、兄妹げんかでつねられたとか、ご飯抜きでおなかすいたとか、言動があまりに小学生。 凝り固まった街のきまりが嫌で、自分の意思を貫きたいとかじゃなくて、単に子供が駄々こねてるだけ。 野々花ひまりちゃんはわりと見た目大人っぽいのに、設定があまりに幼い。 原作は読んでないけど、どうやら元は11歳だそうです。 それなら納得なんだけど。

街の人が大騒ぎする内容が割れた卵をもとにもどすマジックって言うのが、あまりにショボい。 さすがにその話題で延々引っ張られても・・・。 他に目を引くマジックはほとんどなくて、オーシャンズ11の方がもっとマジックやってた。

唯一、縣千のモプシーが良かった。 ダンスナンバーがほとんどない中で、縣が飛ぶ!回る!駆ける! 動きはキレキレだし、芝居と関係ないところで穴をホリホリしてたり腰振ってたり、目が離せなかった。 生意気なんだけど、男前でかわいい。 鳴き声もいい。 縣犬に救われました。

二ニアンの華世京くんは研2ですごく好演してたけど、赤い眼鏡や背中のカゴ、衣装のインパクトが強すぎて顔が分からない。 他の街の人たちも、衣装の派手さにくらべて個性が見えなくて、誰が誰やら・・・。

もふもふ衣装を脱いだ縣が、フィナーレで燕尾の男役ダンスをキメキメに踊ってくれた。 ファミリーミュージカルのままだと、さすがにあまりに物足りなかったから良かった。

駄作と言うのとはまた違う、ソレジャナイ感の強い作品でした。