雪組
ソロモンの指輪
マリポーサの花

2008年10月24日
於・東京宝塚劇場 



 軍事政権下の中南米の某国。クラブオーナーのネロは、かつて祖国の独立のために軍隊で戦った結果が、アメリカの支配下で庶民が搾取される現状を招いたのを見て、武力に頼らないで祖国のためになることをしようと考える。それが、密輸によって得た資金で、インフラを整備することだった。
 ネロは裏稼業の協力者の娘セリアと恋に落ちるものの、反政府運動で捕らえられたセリアの弟のために、親友のエスコバルと共に、再びゲリラの戦いに向っていく。自分が生きている証として、マリポーサの花を届けることをセリアに約束して。

 ネロ、水夏希。祖国を想い、ゲリラに身を置くっていうのが、正塚先生の好きそうな設定。ベタなのだけれど、ゲリラ部隊の群舞は格好いい。普段クールそうによそおっているのに、エスコバルを見捨てて逃げなければいけなくなったときの、激昂している水ちゃんが格好よかった。
 でも、密輸なんて危ない事業に手を染めながら、インフラ整備しているだけでは、真の独立は勝ち取れないと思うのだけど。密輸するくらいなら、徹底的にワルのほうが魅力的だったのに。

 親友エスコバルの彩吹真央。ネロの心の支えには見えるけれど、祖国のために命をかけて戦う熱意とか無謀さとかは感じなかった。ゆみこちゃんは、どうも優しい真面目なイメージが強くて。

 セリア、白羽ゆり。あまり周りの状況とか考えていないぼ〜っとした感じで、大人のネロが惹かれるタイプとは思えない。戦いに向うネロに泣きつくシーンでは、相手の気持ちを考えたりせず、単に置いていかれる自分を嘆いているだけに見えて、ネロが突き放すのが当然に思えてしまった。
 プランテーションのお嬢さんが、なぜダンサーになったのかも不思議。もっと情熱的な女性でダンスも上手なら、やってみたかったんだろうと思えるのだけれど。

 セリアの弟リナレスの音月桂。大人の男も上手いけれど、弟キャラもぴったり。クラブでの明るいショーシーンも、反政府運動に参加する青くて熱い青年像も、どちらも上手い。

 ロジャー、鳳稀かなめ。記者のふりをして実はCIA。骨太な印象がないので、あまり似合っているとは思えず、戦闘に参加しているのも不思議だった。

 マフィアのフェルッティ、緒月遠麻。もてあそばれて気の毒なところもあったけれど、なかなか迫力があった。

 芝居2時間は長い。途中長台詞で話し合っているシーンでは、眠くなってしまいました。よほど大作ならいいけれど、普通の芝居は1時間半くらいで丁度いい。

 ショー「ソロモンの指輪」は、どのあたりがソロモンの指輪なのかよく分からなかった。何となくシーンが流れていって、30分だったのでやっぱり中途半端な印象で終わってしまいました。