雪組
ロジェ
ロック・オン!

2010年7月24日
於・宝塚大劇場 



   幼いころ家族を殺されたロジェは、犯人に復讐することだけを目標に生きてきた。 インターポールでナチスの逃亡組織を追いながら、復讐相手を探す日々。ある日、忍び込んだ容疑者の倉庫で、レアという女性を救う。 彼女はヴィーゼンタール機関の捜査官としてナチ戦犯を追っていたが、つかまって殺されるところだった。
 逃亡組織に深く関与していると思われるシュミットという人物こそが、ロジェの探し続けていた復讐相手に違いない。 そう確信したロジェは、レア達と共にシュミットの隠れ家を突き止める。 だが、そこで目の当たりにした現実と、過去の事実を知って、ロジェは引き金を引くことができなかった。

 ロジェ、水夏希。24年間も復讐だけを考えて生きてきたって、不幸を背負って気の毒と言えなくもないけれど、とにかく暗くて自己中な男。 周りがいろいろ心配してくれているのに、怒鳴ったり無視したり。 水ちゃんのこんな嫌な男って、珍しい。 でも、ダークスーツを着こなして、椅子にどっかり座っている姿は、文句なしに格好いいんですよね。

 レア、愛原実花。 一本気に仕事に取り組んでいて、とてもまじめな女性。 自分がナチのせいで直接嫌な思いをしたわけではないから、もっと気楽な気持ちで人生を楽しんでもいいのに。 暗いロジェに寄り添って、自分の意見を押し付けるわけでもなく、きっと想いを寄せているだろうけれど、最後まで想いを伝えようともせず・・・。 良くできた女性なのに、唯一服装のセンスだけはよく分かりません。

 リオン、音月桂。 ロジェに協力するパリ刑事。自己完結して1人で行動してしまうロジェの状況を観客に説明する係だったり、暗い雰囲気を和ませる係だったり。 自然体の青年でした。

 マキシムの沙央くらまが、完全に息抜き係。こんな間抜けで捜査官として大丈夫なんだろうかという抜けっぷりが憎めない。

 クラウス(ラウル)、早霧せいな。ナチ逃亡組織の殺し屋。目つきが鋭くて、見るからに悪役なのが格好いい。 ゲルハルトを暗殺した後のニヤっとした顔が忘れられない。 そもそもイケメン過ぎるうえに、白いロングコートを着て、暗殺者のくせに目立つ目立つ。 サイドの刈り上げもポイントです。

 ロジェの復讐相手シュミットが、どう計算しても50代以上のはずなのに、緒月遠麻。 上手い下手の問題でなく、これは専科さんで見たかった。

 黒幕がどうなったのか分からないし、若干尻切れトンボな気もするけれど、その後もロジェはインターポールで戦犯を追っているのだろうということで、まあ良しとしましょう。 ダンスナンバーが大人の雰囲気で、正塚ワールド全開でした。

 ショー「ロック・オン」これはすごく楽しかった。
 幕開け、いきなり銀橋にキラキラ衣装の水ちゃん。しょっぱなからハイテンションで、客席下りで盛り上がりはピークに! 思わず「ひゅ〜!」って声をかけてしまいました。(客席中からかけ声&拍手の嵐)
 クラシカルな劇場でのストーリーダンス。ナルシス風水色衣装に金髪ロン毛で踊りまくり。大階段で男役勢ぞろいの黒燕尾。 これでもかというくらい、本当に盛りだくさんのショーでした。
 途中ラテンのナンバーがあったのですが、これはブルースバージョンもあるとか。 そう聞くと、ぜひブルースバージョンも見たくなります。