雪組
Romance de Paris
レ・コラージュ


2003年11月18日
於・東京宝塚劇場



 某国の王女と、クラブオーナーの出会いと束の間の恋物語。本国のクーデターが絡んできたりして、思っていたほどローマの休日っぽい夢々しい話ではなかった。

 王女ナディアの舞風りら。前回は泣いてばかりでつまらない役だったけれど、今回はよかった。アラビア風の衣装も素敵だったけれど、踊れる人なので、身のこなしがきれいで、普通の格好をしていても、王女らしい凛とした雰囲気があった。デートのシーンでは、楽しそうに笑っていて可愛かった。
 ショーでは、トウシューズをはいて、バレエを見せてくれたし、デュエットもきれいで、まあちゃんのダンスは好き。

 クラブオーナーのヴァンサン、朝海ひかる。GFが自宅ではちあわせしてしまったり、気楽に楽しく生きている・・・というわりには、とてもまじめそうに見えるんですけど。ナディアとのデートも、ナディアは楽しそうなのだけれど、ヴァンサンはわりとむっつりしていて、楽しくないのかな?彼女が楽しんでいる様子を見て、もっと嬉しそうにしてもいいのでは?身分違いの恋に落ちたと言う感じがしなくて、別れのシーンも、ナディアほど心を痛めていないように見えてしまった。コムちゃん、もっと軽い雰囲気がでるといいな。
 それと、台詞を2度もかんでいて、興をそがれてしまった。トップさんなんだから、頼むよ〜。

 ムジャヒド、貴城けい。お笑い担当。かしげちゃんもまじめな感じが強いから、今までのような職務に忠実な役とか、まじめな重い役より、今回のようなボケキャラのほうが、リラックスしていていい。

 ラシッドの樹里咲穂。悪人なんだか、本当に王家の心配しているんだか、中途半端でよく分からなかった。今回樹里ちゃんは、あまり目立たなかった気がする。
 かしげちゃんと樹里ちゃんが銀橋で歌うかけあいの歌。男役同士の対立の歌は大好きなのだけれど、これはあまり迫力がないように感じてしまった。2人の立場が本当に対立していないからか、単に迫力不足か。

 もうひとりお笑い担当、ディミトリ、音月桂。ダンスシーンに出ていたのに、すぐそのあとにギャルソンとして出て、と目まぐるしい早変わり、ご苦労様です。2度目のギャルソン姿のとき、お衣装調えながら登場したのは、着替え間に合わなかったのかな。それすら、役の雰囲気にあっていた。音月くんの独特の間がなんともツボに入って、楽しい。

 ヴァンサンの義兄ディディエに壮一帆。兄には見えなかった。それに、クーデターの片棒を担いでいるような悪人にも見えない。どうしても若さがでてしまって、腹黒さとか野心とか程遠い感じ。
 本当は、もっと上級生がやったほうがいいような役なのだろうけれど、今の雪組には、そういう濃いキャラの上級生が全然いない。若手ばかりで演じているので、芝居が全体に薄っぺらく仕上がってしまった感じがする。

 パトリシアの白羽ゆりは、夫ディディエが悪事を行っているのを知っても、大きな愛で包み込んで、素敵な女性。ヴァンサンがもっと道を踏み外した感じに見えたら、パトリシアの愛の大きさも際立ったのだろうけど。