雪組
ロミオとジュリエット

2011年3月16日
於・東京宝塚劇場 



 前回は地震で1幕しか見られなかったので、リベンジで2度目の観劇です。 余震は続くし、電車も運休になるし、万全とはいえない状況ですが、生徒さんも最大限頑張っているのだから、応援も兼ねて見に行きました。

 きむちゃんのロミオは、やっぱり20歳にしては成熟した青年という印象でした。 他のバカをやっている仲間たちとはちょっと違うと言われたり、女の子と適当につきあうのは下らないと考えているロミオだから、こういう大人な部分を持っているという役作りもありですね。 外見が少年ぽいので、そのアンバランスさがロミオっぽい?
 礼音くんのロミオは、体格こそ一人前だけれど、内面はまだ幼くて一つのことしか見えてない感じが強かったので、ずいぶん感じが違いました。 死が怖いというのも、礼音ロミオは若者の直感のような恐怖心だったのが、音月ロミオはもっと頭で考えている感じがしました。

 今回もジュリエットはみみちゃん。 実の両親からの愛情はどの程度のものか分からないけれど、乳母には本当にいつくしんで育てられたんだろうと思える、まっすぐで優しいジュリエット。 霊廟のシーンでは、星組の時はロミオに泣いたけれど、今回はジュリエットで泣けました。

 マーキューシオとティボルトの決闘シーンもやっと見られました。 ちぎちゃんもきた君もギラギラ殺気立ってすごい迫力。 星組の時はちょっとした喧嘩のはずみで殺してしまった感じがしたのですが、この2人はお互いを本当に憎しみ合っている。
 ちぎちゃんのマーキューシオは、何もできないいら立ちや焦りを隠すためにいきがっていて、ティボルトの堂々とした態度が気に入らない。 「偉そう」なのが腹立つと言っているけれど、つまりはコンプレックスを刺激されている気がします。 ティボルトの方は、そんなマーキューシオを見い抜いていて「ピエロのよう」とバカにする。 星組では、平常時なら仲良くできたかもしれないと思う2人ですが、雪組のマーキューシオとティボルトは、平常時でも絶対に相容れなさそう。
 初めはジュリエットを奪われた怒りからロミオを倒そうと思っていたティボルトだけれど、挑発してくるマーキューシオに、攻撃相手が完璧にチェンジしてます。 ロミオが割って入っても、目標はマーキューシオ。
 緒月ティボルトの「いつきれるともしれない」のは、奥底で渦巻いていたマグマが噴き出してきたような激しさを感じました。 かなめちゃんは、精一杯虚勢をはっているガラスのような脆さがパリンと割れる印象だったので、ティボルトは別人くらい違う印象でした。

 マーキューシオが死んでいくところ。 紅君も熱演だったのですが、恨みを言ったり懇願したり一貫性のない感じがして、死に直面してパニくってる気がしてました。 でも、ちぎちゃんのマーキューシオは、自分が挑発して決闘騒ぎになった末の結果だから、誰かを恨んではいない感じでした。

 ベンヴォーリオのソロは、星組では号泣モードだったのですが、今回は案外普通でした。 まっつは歌も芝居も上手なのだけれど、落ち着いた雰囲気があるから?

 星組ではすごく目立っていた死が、今回はほとんど印象に残っていません。真風君にはぴったりだったけれど、彩風くんには難しかったのかも。

 お披露目公演なのに、トップ娘役不在人事、主演娘役役替わり、休演、震災とケチがついたような幕開けで、気の毒なくらいです。 それでも、客席下りで通路に立った生徒さんたちが、空席の目立つ客席で精一杯の笑顔を振りまいているのを見ると、本当に応援したくなりました。