雪組
ロシアンブルー
RIO DE BRAVO

2009年10月16日
於・東京宝塚劇場 



   その昔、迫害を受けて故郷を追われた魔法使いと魔女の末裔が、時を経て、レーニン支配下のソ連で出会った。 アメリカ下院議員のアルバートは、出世のためにソ連での外交を成功させたい。 鉄の女の異名をとるソ連官僚のイリーナは、上層部の意向に忠実に従い、アルバートたちを追い返したい。
 いがみ合う2人は、相手を自分の意のままに操るために、先祖代々伝わる惚れ薬を作り、相手に飲ませることを考えつく。 ところが、2人ともうっかり自分の作った惚れ薬を飲んでしまって、たちまち恋に落ちてしまう。

 冷戦直前のソ連で、時代背景的に結構シビアっぽいのだけれど、あえて深く触れずに笑いとばせるストーリーにしていたのがよかった。 悪役を成敗するのも、惚れ薬で手玉に取ってあっさり解決。 スラップスティック・コメディというから、どんなに下らないどたばたコメディかと思ったら、予想外に楽しめました。

 アルバートの水夏希。スーツ姿が決まっていて、途中の黒燕尾も格好いい。 キラリーン☆の効果音付きの「心ない笑顔」も最高。水ちゃんは、こういう普通の青年役に一番魅力を感じます。

 イリーナ、愛原実花。落ち着いた雰囲気なので、大人ムードの水ちゃんとも違和感がなくてよかった。

 アルバートの執事改め、政策秘書のヘンリー。彩吹真央。 ゆみこちゃんって、どうもまじめな印象が強くて、ヘンリーはまじめな役でいいのだけれど、もっと面白くてもいいのにって思ってしまいます。
 妹のロビン、大月さゆの方がすっかり場をさらっていました。 ああいう素っ頓狂な役って、うまく乗っていかないとから回りしてしまうけれど、さゆちゃんは上手いなぁ。

 ユーリの緒月遠麻。コメディの中一人ニヒルで、最後いいとこどり。格好よかったです。

 きむちゃんやら早霧くんやらのきれいどころの若手は、元気いっぱいで楽しかったし、専科さんや実力派の上級生は、うまく芝居を締めてくれていました。

 1度しか見ないので、どこまでがアドリブか分からないけれど、媚薬を作る時の呪文に水ちゃんがアトムの歌を歌っていたのはアドリブでしょうね。
 そして、惚れ薬は1晩しか効果が持たないと言いつつ、結局ずっとらぶらぶのままのアルバートとイリーナが可愛い。 きっと2度と再会することはないだろうけれど、湿っぽくない終わり方が、コメディらしくてよかったです。

 ショー、RIO DE BRAVO!
 ちょうど次のオリンピック候補地がリオに決まったばかりで、タイミングばっちり。とにかくテンション高くて、楽しいショーでした。
 いかにもラテンのノリノリのシーンも楽しくていいのだけれど、宝石泥棒の水ちゃんのサングラス姿にはやられました。 本当に格好良すぎ。ポンポンは買っていかなかったけれど、会場中が盛り上がっていました。