藤原保輔 雪組
春麗の淡き光に
Joyful!!

2003年4月25日
於・東京宝塚劇場

若狭


 藤原北家に叛旗をひるがえす、朱天童子の物語。朱天童子の正体は、藤原保輔。正体がばれた保輔は、源頼光に追われることになる。

 これが朝海ひかる&舞風りらのお披露目公演。なのにこの2人、全然からまない。からまないと言うか、2人のシーンが別れのシーンだけ。若狭(舞風)はず〜っと泣いているばかりだし。最後ハッピーエンドにならないなら、せめて途中くらい、もう少し仲睦まじいところ見せてくれればいいのに。暗くって・・・
 脚本なのか演出なのか、感覚が古い。(どっちも同じ、某理事長なんだけど。)全体が暗い話なら、どこかで笑いのスパイスをいれるとか、ハッピーエンドでなくてもいいから、息抜きできる場面が欲しい。

 幕開け、桜さくらの宝塚〜みたいな歌を歌っていた。これ、先日見にいった桜吹雪狸御殿のプロローグで歌ってたのと同じ。ネタかぶってます。そして、コムちゃんが現われると、紙吹雪ならぬ桜吹雪が上からふってくる。ぱらぱら・・ではなくて、どばっと。あんなに塊で落ちてきたら、風情というかなんというか・・・。

 朝海ひかるは藤原保輔と保昌の2役。頬を傷つけられた保輔が、正体がばれないように、弟の保昌を身代わりに立てる。顔はそっくり、でも声が違う(若狭談)。実際、兄貴は男らしい低い声、弟君は優しげな声。コムちゃん、よく声色使い分けたなあ。見破ったのは若狭だけで、他の人は気づかなかったらしいけれど、保輔にうりふたつの弟がいることを、誰も知らなかったわけ?そのほうが不思議。
 朱天童子が館を襲っているところとか、アクティブなシーンがほとんどなくて、コムちゃんたらずっと難しい顔しているから、なんか物足りない。五月人形みたいできれいなのだけれどね。
 ラスト、頼光に「言い残すことは?」と聞かれた保輔。「ひとつだけ・・・弟を頼む」って・・・。若狭じゃないの?弟なの?それは、ちょっと冷たいんじゃないの〜!?

 朱天童子討伐の任を受けた、源頼光(貴城けい)。若狭の兄で、保輔の旧友でもあるらしい。だから、最後追い詰めた保輔を、討ち取ったことにして見逃した。いい役のはずなんだけど、妹を心配してる感じとか、お役目を破ってでも友人を見逃すハートフルなところとか、感じない。顔立ちがクールで、演技もクールだから、そういうホットな感じが出ないんだろうな・・・。男同士の友情は大好きなテーマなだけに、残念。

 もうひとりの兄貴、源頼信の壮一帆は、逆に妹思いの優しい感じが出ていた。大江山で、朱天童子は死んだと聞かされた後、僧侶姿の保輔を見て、全てを察するところ。鬼童丸の立樹遥とのやりとりが、台詞はないのだけれどいい感じだった。このシーンは、コムちゃん含めた3人の、微妙な間とかが好き。
 しいちゃんは、オレンジのお衣装だったことも幸いしているのだろうけど、明るくて、暗い芝居の中で、かろうじてほっとできる人だった。

 保輔と戦って手傷を負った知親(未来優希)。職を追われた恨みをはらすために、朱天童子を追い続ける。歌も迫力あってうまいし、演技も迫力あって、格好いい。正直、頼光よりずっとよかった。

 Joyful!!は華やかだった。スパニッシュが素敵。芝居では泣いてばかりだったまあちゃんも、ショウでは大人っぽいダンスが似合ってた。