雪組
双曲線上のカルテ

2012年8月12日
於・日本青年館



   フェルナンドは優秀な外科医で患者からの信頼も厚いが、夜勤中にクラブで飲酒したり、医師法に抵触する医療を行ったりとトラブルも多く、他人を寄せ付けない雰囲気を持っていた。 彼がこういう態度を取るのは、末期のガンにおかされていることを周りには知らせず、残された人生を自分なりに行きぬこうと考えていたからだった。 新任看護師のモニカと出会ったフェルナンドは、彼女の明るさに救いを感じ、やがて恋仲になる。 徐々に病気が進行し、先がないと判断したフェルナンドは、モニカに自分の故郷を見せた後、ひとり湖に身を投げる。

 フェルナンド、早霧せいな。クールで孤独なキャラは、ちぎちゃんにはあまり合ってないように思えた。 女や酒で憂さをはらすタイプには見えなくて、本気で患者と向き合おうとする態度とか、ふと見せる心の弱さの方が印象に残る。 モニカにすがるシーンはよかった。 白衣に眼鏡、ロン毛のどれもがいまいち萌えポイントになってなくて残念。 やせ過ぎて痛々しいのだけれど、今回の役には合ってた・・・でもやっぱりもう少し太ってほしい。 自分で注射するシーンはリアルですごかったです。

 モニカ、星乃あんり。健康で生命力のかたまりみたいな明るさが、フェルナンドの心をつかんだんだろうなと思う。 女性としての魅力があるとは思えないけれど、フェルナンドにとって安らぎになったというのは分かる。 今回は役によく合っていたけれど、子供っぽすぎて、今後ヒロインはどうかなぁというのが正直な感想。
 ラストシーンで、子供がいたのは違和感ありまくり。 そうじゃなくても黙って死んでいったのに、さらにモニカに1人で子供を産み育てさせるような真似はさせないでしょ。 愛することと、子供を作ることは別! 天使に天国まで出てくるし・・・

 同僚の医師ランベルト、夢乃聖夏。真面目でいい医師なのに、傍若無人なフェルナンドに振り回されてお疲れ様です。 ルックスは格好いいのに、どうにも女心が読めない武骨な感じが最高に面白い。 妊婦のシーンとか院長夫人とのやりとりとか、本人は大まじめなだけに笑えました。 ロック歌手の真似をしたらサマになるし、しっかり筋が通ってるし、今回一押しです。 こんな素敵な先生がいる病院だったら、かかりつけにしたいです。
 フェルナンドの部屋でのシーンもよかった。 ちぎちゃんを抱き締めるともみん。ニジンスキーのきたくんとは違って、エロティックな感じは全然なくて、それがまた何ともいい。

 フェルナンドの元恋人クラリーチェ、大湖せしる。 女役転向1作目。立ち姿とか若干かたい気もしたけれど、女役そのものは自然でした。 大人のいい女という雰囲気がよく出てた。 不治の病じゃなかったら、フェルナンドはクラリーチェを選んだだろうな。 ランベルト先生との結婚話はどうなったんだろう?いい夫婦になりそうだけど。

 いい加減そうな院長、夏美よう&自由奔放な夫人、五峰亜季が面白かった。 適当っぽそうなんだけれど、激しく逸脱してないというか、絶妙な具合がさすがベテランのお2人です。

 ストーリー展開上仕方ないのだろうけれど、愛人の子、彩凪翔が取ってつけたようでちょっと変だった。 設定も唐突だったけれど、演技的にも上っ面なぞっているだけな感じ。 最初のテロリストと同一人物?2役?と無駄に考えてしまったし。なんだかなぁ。
  夢華あみって、あの年次でどこから見ても年増の愛人にしか見えないのはすごいけど、そんな彼女にジュリエットをやらせようと考えた劇団もすごい。

 あといろんなエピソードの人達。
 胃がんのおじいさんは、なかなかいい芝居でした。ニーナのマネージャー&妊婦さんの絶妙な芝居心も面白い。 ニーナと言えば、自傷行為だとしてもドレスは脱がないよね?衣装を汚しちゃいけないって思ったのかな。お花さまのハナチャンのアイドルドレスでしたね。 そして、ちんぴら2人組がナイス。なんだかんだとエピソードをつないで、最後更生して。

 医療ものおきまりの手術着でのダンスナンバーも格好良かったけれど、フィナーレの男役さんのナンバーもよかった。 とにかくともみんが華があって、背は高いし脚は長いし、男役らしい踊りやキザり方から目が離せませんでした。