雪組
幕末太陽傳
Dramatic'S'!


2017年6月27日
於・東京宝塚劇場




 品川の宿で金もないのに豪遊した挙句、その店に居座ってしまった佐平次。 遊女を取りあってのひと悶着や心中騒ぎなど、飄々と解決して人気者になる。 胸を病んでいる佐平次だが、遊女たちの生きることへのパワーにふれて、自分も前向きに生きる決心をする。

 佐平次、早霧せいな。 飄々としたお調子者で、気楽に見られるコメディなのだけど、胸を病んでいるという設定が唐突過ぎ。 一度は死を覚悟した上での明るさというより、本当に何にも考えてない能天気に見える。 遊女がらみのトラブルなら、多少詐欺しようがお金くすねようが全然かまわないのだけど、焼き討ちの片棒担ぐのは笑ってられない。 同じ落語ネタでも「くらわんか」は本当に面白かったんだけどな。 これで退団って言うのはちょっと微妙な作品でした。

 お染、咲妃みゆ。 はっきりした物言いの遊女で、見てて小気味よい。 ただ、実際問題あれじゃあ商売あがったりだと思うんだけどね。

 高杉晋作、望海風斗。 なぜ高杉? 長州が嫌いという個人的な理由もあるけれど、攘夷だの焼き討ちだのって気楽に笑って見過ごせないでしょ。 高杉そのものは飲んでるだけで、これと言ったことしてない。 佐平次と親交を深める感じもない。 この役必要?

 煌羽レオの聞多の方が目立ってた感。 ただ、幕末ものって最近デジャヴ感が半端ない。 「公儀隠密に知られる」的なセリフ、それ貴方でしょ(般若@るろうに剣心)って思ってしまうわけです。 美城れんさんの顔も微妙に浮かんでしまうし。

 お染に狂言心中の相手にされてしまう貸本屋の鳳翔大。お染と喧嘩する遊女こはるの星乃あんり。 この2人は割とキャラ立ってたけど、あとはあまり印象に残ってない。 汝鳥さんに至っては、無駄使いとしかいいようがない。 嫌な客を最後まで嫌うっていうオチもどうかと思う。

 場面場面では面白いところもあるのだけど、全体としてはどうもすっきりしない作品でした。

 ショーは退団者へのはなむけシーンが多かった。 ロケットは、盆を使ったりフォーメーションが凝ってた。