雪組
海辺のストルーエンセ


2023年2月10日
於・KAAT神奈川芸術劇場



ストルーエンセは旧態依然とした医療界に嫌気がさし、勤めていた病院をやめて独立する。 持ち前の美貌と技術で貴婦人相手の診療所は繁盛し、やがてデンマーク王の主治医に取り立てられる。 継母と大臣が権力を握るデンマークで、若い国王クリスチャンは自暴自棄になってアルコールにおぼれていた。 王妃マチルデとも不仲で、国全体が病におかされている状態だった。
ストルーエンセは国王の治療に加えて、国政にも口をはさむようになる。 はじめは有益な政策だったが、やがて暴走し、国王以上の権力を握って独裁者になっていく。 王妃とも通じたストルーエンセは、ついに王宮から追われる。

KAAT3階の最前列、手すりが邪魔すぎてまともに見えないストレスを抱えての観劇でした。 演劇用の劇場としてこれを設計した人は何を考えてるんだろう。

ストルーエンセ、朝美絢。
ストルーエンセがもっと傍若無人で野心家だったり、理想に燃えて暴走するタイプならわかるのだけど、ご婦人方を手玉に取ってたりして中途半端。 いきなり王妃とも出来ちゃうし、やってることが無茶苦茶。 もっと押し出しが強ければ違った感想を持ったかもしれないけど、なんかぼんやりした印象が残りました。 指田先生の前2作「龍の宮物語」「冬霞の巴里」は独特の雰囲気があってとても好きだったけれど、今回はあまりぴんとこなかった。

国王クリスチャン、縣千。
継母と大臣の傀儡の若い国王、黄色い衣装も相まって蒼穹のデジャヴ。 飲んだくれてぐれてたところから、ストルーエンセの言いつけを素直に守って禁酒して、国を想って正しい政治を行おうと頑張るあたり、設定は似ててもちゃんと別人でした。 ストルーエンセを追放したあと、結局もとの大臣の傀儡に戻るしかないあたりの不毛さ。 このあたりのモヤモヤした感じは嫌いじゃないです。

王妃マチルデ、音彩唯。 よく知らない娘役さんだけど、好演してたと思います。

最後ショーで終わったのはとりあえず良かったです。