雪組
義経妖狐夢幻桜


2018年4月9日
於・宝塚バウホール



 兄ヨリトモに追われるヨシツネは、従者ベンケイと共に旅に出る。 道に迷い、ツネと名乗る少女に案内されてたどり着いた山奥の里。 そこは、妖狐に守られた永遠の安息の場所だと教えられた。 ヨシツネを追って来たヨリトモの一行も、同じく夢幻の里にいざなわれる。 出口の見つからない里、妖狐の力で考えることをやめた人々。 あやかしの真相は、エイサイが大陸から持ち込んだ阿片だった。
 衣装が華やかで、ちょっと現代テイストなのがとうこちゃんの「花吹雪恋吹雪」を思い出させる。 ロック調の音楽と桜爛漫なセット、とにかく幻想的で綺麗な舞台でした。 「今年の桜は早いのに、季節外れの雪が降る」なんて、本当に今年の気候そのままです。
 ファンタジーってことで登場人物の名前をカタカナにしてぼやかしてるけど、分かりにくいから漢字名併記しておきました。

 ヨシツネ(源義経)の朝美絢。ちょっとエキゾチックな顔立ちに、派手な孔雀柄の衣装が似合う似合う。 単独初主演だって言うけど、歌声のパンチも存在感も、堂々たる主役でした。

 ヨリトモ(源頼朝)の永久輝せあ。ひげつけてちょいワル風のビジュアルに、オラオラした態度。 龍の衣装を着こなして、こちらも格好いい度MAX。男っぷりを堪能しました。 悪役かと思いきや、けっこう憎めない部分もあって、笑わせてもらいました。 本当は弟のことを誰より認めてて、好きで、羨ましくて、だからこそ憎い。 複雑な男心ですね。 前回に引き続き、歌詞に「永久に輝く」って入ってました。

 この2人の並び、すごく好き。殺陣でもデュエットでも、並んでてくれるだけで眼福。 ひとこちゃんがどうにも信長に見えて、「炎に包まれるシーン見てみたい」なんて思ってたら、なんと2幕で炎のシーンがあった。 マサコが帰蝶みたいだと思ってたら、蘭丸まで現れて。

 ベンケイ(弁慶)、真那春人。 今さら言うまでもないんですけど、上手い。 芝居の持って行き方も、笑いの取り方も、言うことなしです。

 エイサイ(栄西)、久条あす。ジョニー・デップかと思う扮装で、見た目に全く負けてない怪演ぷり。 妖狐と桜の幻術に見せかけて、実はケシの花による薬物中毒っていうオチ。 彼も悪役というよりは、マッドかもしれないけどサイエンティスト。 本当は人を救いたかっただけのお坊さんが、ちょっと行き過ぎたって言うのが、るろ剣の安慈を思い出す。 蜘蛛の巣作ってたしね。 この人にも救いをあげたかった。

 狐のツネ、星南のぞみ。 阿片の幻と言いながら、やっぱり本当に妖狐はいた。 ヨリトモのことが好きって言うか、実際はシズカが好きなのかもしれないけど、一生懸命さが伝わって来た。

 マサコ(北条政子)、野々花ひまり。ヨリトモを尻に敷ける恐妻。美人なんだけどね、迫力ありました。 正直、ツネより存在感ある気がした。

 シズカ(静御前)、希良々うみ。 るろ剣の巴を思い出した。あまり好みの感じじゃなかったな。 もうちょっと芝居上手な娘役が演じて、シズカをヒロインに据えても良かったかも。

 ヤスヒラ(藤原泰衡)、縣千。 ヨシツネの味方かと思いきや、エイサイの手下だった。 なかなか好演してたと思います。

 幻想的で華やかな世界観に引き込まれました。楽しかった。