雪組
夢介千両みやげ
Sensational!


2022年5月13日
於・東京宝塚劇場



「夢介千両みやげ」

小田原の豪農の息子夢介は、父親から千両の大金を渡され、道楽修行するように言い渡されて江戸に向かっていた。 道中、女スリのお銀に懐を狙われるが、それも面白い見世物だと大金をそのまま渡してしまう。 夢介のお人よしっぷりに一目惚れしたお銀は、そのまま押しかけ女房気取りで同居を始める。 夢介は呑気な性格と金の力でいろいろなトラブルを解決し、関わった人たちは夢介を好きになる。

どこまでもゆるい話でしたが、食い詰めて身投げするとか一揆起こすとかの暗い時代劇より気楽に見れて、まあたまにはこういうのもいいのかな。

彩風咲奈の夢介。 牛みたいとか言われてるし、ぼや〜っとして全然格好良くないのだけど、心根の良さで皆に好かれる。 金の力じゃないのか?って気がしないではないけど、一応生きたお金の使い方なんだそうです。
夢介の方言が強くて、小田原ってそんな感じ? 石田先生は無意味に田舎くさい方言を使わせるクセがあるけど、もう少し普通でいいんだけど。
夢介気前の良さが半端なくて、もしかして本当におバカなのかと思いきや、そうではなかったらしい。 ずっと地味な衣装で背中丸めてるので、そろそろ正統派に格好いい役をやらせてあげてもいいのにって思わなくもないです。

朝美絢の総太郎。「なんせこの顔この器量もててもててしょうがない」とはすごい歌詞。 もててると思ってるのは本人だけ、こっちは別の意味で全然格好良くない。 夢介は千両でいい社会勉強してるけど、総太郎に同じことしたら普通に浪費して何も学ばないんだろうな。 あーさじゃなきゃ笑いも取れないでしょう。

朝月希和、お銀。 どうしても今さらトップ娘役?って気持ちがぬぐいきれないのだけど、はすっぱな姉さん女房な感じは似合ってました。

和希そらの三太。 少年というのは微妙だけど、口跡はいいしセリフもよく届く、はつらつとした演技が流石です。 芸幅広い。

縣千の金の字。 すっとしてて、着流し姿でも目を引く。 最後はなかなかの見せ場でした。

照明の使い方とか、ラストの悪人一味の頭にネギや丼が刺さってるところとか、ベタに昭和っぽい作品でした。

「Sensational!」

映像から始まり、シルバーのキラキラ衣装のプロローグ。 スタイリッシュで格好いい。 水ちゃん時代の雪組が戻ってきた感でつかみばっちりです。

ジャングルの黒ヒョウ?縣がセンターで娘役を従えて踊る。 しなやかでキレのあるダンスが目立ちました。

そしてアメリカンコミックなジャズナンバー。 咲奈のジャケットの裏がセットと同じくアメコミ柄で、ちらちら見えるのが気になって仕方ない。 雪組デビューの和希そら、縣くんのダンスと違ってパンチのある地に足ついた系のダンス。 縣も加わって、咲奈と3人踊りを堪能しました。

ここでやっと2番手の朝美絢の出番。 スペイン風の古城をバックに軍服姿の男役とドレスの娘役の総踊り。 ダンサーでないあーさにストーリーダンスを持ってくるあたり、絶妙な配分です。 男役さんたちの衣装は、柚希さよならの「黒豹のごとく」の軍服・・・だよね?

アラビアンな中詰め。 シルクロードの風を感じました。

プラズマダンサーのそら君とオーロラのナンバー。 最後咲奈とそら君がせり下がっていく演出が、なかなか憎いです。

銀橋板付きがまさかの諏訪さきで、そこからの歌い継ぎ。 そして王道の黒燕尾の男役群舞が続きます。

綾凰華のために書き下ろしたと分かるソロ曲(と思ったら自作の詩だったとか、それってディナーショーやるレベル)、咲奈がしっかり見送る演出。
退団者愛が素晴らしくて、こういうのは本当にいいです。

フォーメーションもキレイだったし、同じダンサーでもタイプが違うそら君と縣君それぞれに合った使い方をして、トップコンビは王道のデュエットを見せてくれる。 (ダンサーコンビの星組は、ダンスバトルみたいでデュエットに見えないので)

生徒1人1人の見せ場も多くて、群舞が多くても飽きない。
見ごたえあって、あっという間に終わりました。