ディエゴ 雪組
風の錦絵
ZORRO 仮面のメサイア

2009年5月12日
於・東京宝塚劇場 

ロリータ

 「風の錦絵」 和物のショーは、30分くらいが丁度いいです。
 風林火山は、武田・上杉入りまじっての群舞が格好よかった。洋物っぽかったのもあるけれど、イシちゃんと水ちゃんがいい男っぷりを発揮してました。イシちゃんも、このくらいの出番だったら、特別出演でも全然イヤじゃないです。もともとは格好いい人だから。

 「ZORRO」
 スペイン統治下のカリフォルニアで、民衆は総督の圧政に苦しんでいた。スペインへの反逆罪の汚名をきせられ、処刑された農園主の息子ディエゴは、マスクをつけて素性を隠し、救世主ゾロとして民衆を救うために立ち上がる。

 プロローグ、大階段のマント姿のゾロたちの総踊りは、圧巻で格好いい。つかみばっちりです。

 ディエゴの水夏希。颯爽とマントをひるがえして、絵に描いたような正義の味方ゾロは、文句なしに格好いい。ただ、乗馬の映像を流すなら、水ちゃん本人でなくていいから、草原を駆けぬける映像にして欲しかった。(衣装つけていたら、遠目には分からないでしょう。)並足で歩いているのは、ちょっと微妙で・・・。
 ゾロの水ちゃんが格好いいのは当然として、ピンクの衣装で出てきたお間抜け君な水ちゃんが最高に面白い。水ちゃんのコメディシーンって、嫌味なく笑えて、好きです。

 ロリータ、白羽ゆり。正義感が強くて、負けん気が強くて、行動派のお嬢さん。こういうヒロインは好きなタイプなのだけれど、となみちゃんが演じると、ただの凶暴女でしかなくて、内面の思いが全然伝わってこない。好きだったディエゴが情けない優男になりさがってしまって寂しい思いとか、苦しむ民衆を黙って見ていられなくて、兵士に剣を向けたり、ゾロの真似ごとをしたりする気持ちの揺れとか、いろいろあるだろうに、どれもヒステリックに騒いでいるだけ。
 このロリータの、どこにディエゴが惚れたのかが分からない。

 オリバレス総督、早霧せいな。若くて麗しい総督様。あまりに麗しくて、悪人という感じがしないので、成敗されなくてよかった。

 総督の部下、メンドーサ大佐、彩吹真央。宝塚の男役冥利につきるような敵役で、ファンなら間違いなく萌える役・・・なのだけれど、ゆみこちゃんには萌えなかった。真面目っぽいというか、押し出しが弱いというか。ディエゴの旧友だったのに、最後は殺さざるを得ないほどの悪役っぷりを見せてもらわないと。(大海賊のエドガー@わたる君のような)

 ベルナルドの音月桂。幼少時の経験で口がきけなくなってしまったという役で、全部ゼスチャーだけで表現するのだけれど、演技上手のきむちゃんなので、充分気持ちが伝わってきます。
 いつも客席降りは2階席がおいてけぼりになるのだけれど、今回は、2階席にもゾロ(影)が現れました。目の前を突然ゾロが駆け抜けていったので、思わず「きむちゃんだ〜!」と心の叫びを上げてしまいました。帽子、マスク、マントにひげまでつけていても、きむちゃんと水ちゃんはひと目で違いが分かる。理由は・・・あご?(失礼)

 今回一番おいしかったのが、ガルシアの緒月遠麻。図体ばかりでっかくて、頭は空っぽというのが可笑しい。「七転八倒(正解=八面六臂)の大活躍」とか「のみをつぶして(正解=しらみつぶしに)探し出せ」とか。遠麻くんは、本当にいい味だしてます。

 フィナーレの真紅のスーツの水ちゃん。これでもかというくらい銀橋でキザって、それが最高に格好いい。着替えて白燕尾で出てきたら、また銀橋で、今度は爽やかにキザ。水ちゃんをたっぷり堪能できました。