星組
1789-バスティーユの恋人たち


2023年8月23日
於・東京宝塚劇場



正確には代役公演と言うべきなのだろうけど、あまりにクオリティが高かったので敢えて役代わり公演と言わせてもらいます。 まずは役代わりキャストの感想。

ロナン(礼真琴→暁千星)
宝塚を見た!という感動を与えてくれました。 礼真琴のロナンは東宝ミュージカルを見たって感じで、クオリティに不服があるわけじゃないのだけど、高揚感がなかった。 ありちゃんは、出てきた瞬間に格好いいって思った。 高身長、足長男役は無敵です。
田舎の貧乏農民には違いないけど、暁ロナンは最底辺じゃないかもって思った。 たどたどしくても字が読める、国に目をつけられるくらいには地方の中で目立つ家、自他ともにある程度リーダー格だと意識してそう。 キレたり不貞腐れたり、恋愛したりの感情の起伏が分かりやすくて、オランプとのラブロマンスも素直に応援できる。 学芸会みたいだったフェルゼンは何だったのだろうってくらい、ありちゃんの演技に引き込まれました。

カミーユ・デムーラン(暁千星→天華えま)
優しくて他人に寄り添うカミーユ。 暁カミーユはブルジョワでエリートとして堂々としていて、上に立つ人って感じがあった。 天華カミーユはそこまで低姿勢じゃなくてもいいのにってくらい優しくて、ロナンのことは特に大切に思ってそうで、最後死んだときはめちゃくちゃ泣いてた。
演説シーンでも彼の本領は武器よりペン、ぴーすけの歌声が心に響いて、力に訴えるだけが革命じゃない。 あれを聞いた人の気持ちが団結するのは当然です。 極美ロベスピエールが以前より尖った強さが出てきて、革命家2人のキャラが全く違ってて面白かった。

ダントン(天華えま→碧海さりお)
男くさくてガサツで、このダントン好きだ。 ぴーすけの懐の広いおおらかなダントンも好きだったのだけど、あれはダントンとしてと言うよりぴーすけの役作りが好きだった。 ダントンとしては、こっちの方がだんぜん合ってる。

ラマール(碧海さりお→鳳真斗愛)
役代わりのMVP。 徹底的にコメディに作ってきて、出てくるたびに笑える。 オランプちゃんが好きすぎて、アルトア伯の魔の手が迫ったときに必死で止めるのも可愛い。 碧海ラマールが面白くなかったので、とんちんかん3人組で笑えるのはホッとする。 サンドニ教会はセオやありを見たいのに、媚薬嗅いだ部下に迫られるラマールとか、そこ見なくていいって自分にツッコミ入れつつ、つい見てしまった。

役代わりじゃない人たちも良かった。
アントワネット有沙瞳、ルーレットの軽薄奔放なお姫様から、皆が去っていく中で王妃と母としての責に目覚めた後半。 同じ楽曲で全く違う心情が心に響いて、宝塚人生の集大成、ここは涙なくして見れない。
アルトア伯瀬央ゆりあ、ますます妖しく画策めぐらしていた。
ソレーヌ小桜ほのか、パレロワイヤルのナンバーは鳥肌ものの迫力。
ペイロール輝月ゆうま、ますます職務に忠実で恐ろしい。

礼真琴の歌唱力は評価されるべきなのだろうけど、今回だって歌のクオリティは十分高いし、芝居とビジュアルは圧倒的にいいし、私はこっちの方が好きでした。 役代わり公演としてスカステで放映してもらいたいのだけど、残さないのかな。 もったいない。