星組
ロミオとジュリエット


2013年8月15日
於・東京宝塚劇場



 星組ロミジュリの再演。役替わりAパターン。

 ロミオ(柚希礼音)とジュリエット(夢咲ねね)は初演と同じキャスティング。
 礼音くんのロミオは、まっすぐで純真。ねねちゃんのジュリエットは、初演はちょっとぶりっ子っぽい気がしたけれど、今回はとても自然体。 どちらもとても感情移入できて、よかったです。乳母がロミオの品定めをするところ、礼音くんは本当にたくましそうなのがいいです。 腕にぶら下がってもびくともしなさそう。

 ティボルト、紅ゆずる。 繊細そうなビジュアルに狂気の内面。かなめちゃんのティボルトは危うい青年という感じだったけれど、ベニは危ういどころじゃなくて、完璧に目がいっちゃってる。 若気の至りとか、時代が悪いとかじゃなくて、破滅すべくして破滅したような狂気をはらんだティボルトでした。 ジュリエットに対しても、秘めたる想いとかじゃなくて、ストーカーの域に達してる気がする。 演じる人によってこれだけ雰囲気が変わると、役替わりも楽しめます。

 マーキューシオ、壱城あずさ。 しーらんのマーキューシオも狂気。ベニのマーキューシオは若さゆえの未熟さを感じたし、ちぎちゃんは敢えてバカなことをやって不毛な日常を紛らわしている感じがしたけれど、しーらんはどのパターンとも違う。 トラブルを起こすのが楽しいというか、紅ティボルト同様、目がいっちゃってて怖かった。 印象的だったのが、ロミオが結婚したという話をきいたところ。怒ったり責めたりするんじゃなくて、しーらんは泣いてた。 他人と打ち解けにくそうなマーキューシオだから、ロミオ以外にほとんど友達いなかったのかもしれない。 ロミオだけがマーキューシオのすべてだったのかもしれない。 今まで自分のすべてだったロミオをジュリエットなんていう他の女にとられて、ロミオは自分のもとを去ってしまう、自分のいどころが何処にもなくなってしまうというような、切羽詰まった感情があふれて見えました。
 こんな狂気の2人だから、放っておいたら殺し合いになるのは当然。誰にも止められない破滅型のティボルトとマーキューシオでした。

 ベンヴォーリオ、礼真琴。 歌は上手なのだけれど、どうしても演技力が追いついてないというか、キャラが立ってないというか、新人公演見ているみたいでした。 マーキューシオが狂気に駆られていくのに、何もしないで傍にいるだけ。 難しい役なので、もうちょっと年次がいってからじゃないと荷が勝ち過ぎかなと思います。

 大公閣下、十輝いりす。 堂々とした存在感で、こういう役回りは似合いです。

 乳母、美城れん。こまちゃんの乳母も好きだったけれど、ベテラン男役さんの乳母は、包容力と演技力があっていいですね。 存在だけで癒されるような愛情にあふれた乳母で、冷めた両親のもとでも、この乳母が育ててくれたから、ジュリエットがいい子に育ったんだなって思います。 殺傷事件の後、ロミオなんて忘れてパリス伯と結婚しなさいというところも、今までの乳母だと急に何を言い出すんだろうと思うこともあったけれど、今回は乳母のつらい心境がすごく伝わってきました。

 死、真風涼帆。他のどのキャストを見ても、真風以上の死は考えられないほどの適役。 今回もよかったです。 何気にツボだったのは、パレードで死が歌った!いや〜、あれは見ものです。

 アンサンブルも迫力ありました。汐月しゅう君、金髪ロン毛が目立つ。リアルに男じゃないかと思う雰囲気が好きです。

 フィナーレもさすが星組。さすが礼音くん。見ごたえありました。