ジュリアン 星組
赤と黒
2008年4月3日
於・日本青年館
レナール夫人


 貧しい生まれを嫌い、立身出世の野望を持つ青年、ジュリアン・ソレル。町長レナールの家に家庭教師として迎えられたジュリアンは、夫人ルイーズを手に入れようとする。自分を見下している上流階級の人々への報復のつもりが、お互い本気で愛し合うようになる。不倫がばれ、ジュリアンは神学校に身を移すと、そこで侯爵の秘書としての声がかかる。
 侯爵家では、令嬢マチルダがジュリアンに興味を持ち、誘ってくる。ジュリアンにとっても、マチルダを得ることは最高の栄誉になる。恋の駆け引きを続けるうちに、本気になる2人。結婚まで話が進むが、レナール夫人との昔の情事が知れて、ジュリアンは投獄されてしまう。

 ジュリアン、安蘭けい。ティリアン・パーシモンに続いて、また野望に燃える青年。ジュリアンは、頭が切れて実力もあるのに、結局は女性問題で破滅してしまって、ティリアンほど冷徹な感じはしない。出世のために女を利用してやる!と息巻いていながら、肌をあわせたら、自分の方が夢中になってしまうって、なんてうぶなんでしょ。
 とうこちゃんは爽やかな好青年とか、麗しい貴族の青年というよりも、野心を持ってギラギラしてるくらいのほうが、確かに似合っていて格好いいんだけど、女で破滅するほど恋にのめりこんで見えなかった。もうちょっと野心家+恋する青年の2面がみられればよかったのだけれど・・・。

 レナール夫人、ルイーズの遠野あすか。貞淑で楚々としていて、ほんのりとした色気もあって、あすかちゃん、いいなあ。ジュリアンとのラブシーン、色っぽくて見ていてドキドキします。初めての恋に翻弄されるところも、脅されて手紙を書くところも、ルイーズの気持ちがすごく伝わってきました。
 ローズ色のドレスが、艶やかで素敵でした。

 2幕のヒロイン、令嬢マチルダの夢咲ねね。社交界の華で、気ままなお嬢様っぷりが、堂に入っていました。刀を突きつけられたり、恋人が処刑されると、恋心に火がつくって、凡人には理解しがたい思考回路ですよね。完璧にダブル・ヒロインでした。

 柚希礼音は、ジュリアンの友人フーケと、取り巻きの貴族コラゾフ公爵の2役。フーケは友人思いの爽やかな青年で、コラゾフ公爵は女の口説き方にたけているプレイボーイ風で、全然違う雰囲気を見せてくれたのだけれど、中途半端な2役でちょっと気の毒だった。
 柚希、涼、和、彩海の4人組が女性について語ってるナンバーは楽しくてよかったのだけれど、もっと若手がやってもよかったような感じ。

 レナール氏、立樹遥。1幕だけだけれど、男役さんの中では一番出番は多かった。ライバルと張り合ってみたり、妻を奪われたり、見所も多いんだけど・・・もうしいちゃんには、何も求めません。劇団も、あまり重要な役をつけないで〜。

 「赤と黒」というタイトルなのだから、プロローグの3人の衣装を赤黒にしたらよかったのに。とうこちゃんのブラウスは、水色じゃなくて赤にするとか、最後のように白いシャツに赤いサッシュを巻くとか。ルイーズとマチルダも、赤や白黒のドレスにして。ちょっとベタだけど、ビジュアルのつかみも大切かと。