「アルジェの男」
アルジェで暮らすジュリアンは、強盗・殺人以外のあらゆる犯罪に手を染めて生きていたが、いつか出世して豪勢な暮らしをする野心を抱いていた。 ある日総督の財布をすろうとして失敗するが、総督はジュリアンを警察に突き出すのではなく、自分のもとで働かせる。 持ち前の才覚でジュリアンは出世街道を上り、やがてパリの社交界に顔を出すまでになる。 総督の娘や社交界の有力者の娘を手玉に取りながら、さらに出世街道を進もうとするが、最後は命を落とす。 以前の月組公演を見たけれど、古臭くてつまらない作品という印象だった。 今回もたいして面白いとは思わなかったけど、前回よりはキャラ立ちしてたかな? ジュリアン・クレール、礼真琴。 女を食い物にして出世するってほど悪人には見えないし、野心を持ってるっていうわりに、改心して真面目になった風にも見える。 中途半端に複数の女性に手を出すにしては、それほど色っぽいシーンがあるわけでもない。 何か中途半端な役なんですよね。 若くてパワーがある分、きりやんよりは似合ってたと思うけど、やっぱりよく分からない役。 総督の家の食事シーン、毎回ご当地グルメなんですよね? 見に行った回は「横須賀の海軍カレー」でした。 ちゃんと本物のカレーが出て、食べようとしてた。 (話しかけられて食べなかったけど。) ジャック、愛月ひかる。 正真正銘のワル。 ジュリアンをねたんでる感じとか、当てつけにサビーヌを奪うところとか、嫌なヤツ感が半端ない。 背が高くて存在感あるし、徹底的に悪人なものだから、いっそ格好いい。 愛ちゃんの黒い役はいいよね。 龍のジャックは押し出しが弱かったから。 でも、愛ちゃんのワルっぷりが徹底すると、ジュリアンがますます中途半端な存在になっちゃうんだよね。 サビーヌ、音羽みのり。 ジュリアンの重荷になりたくない、でも諦められない。 健気なんだけど重すぎず、弱そうで強い。 みのりちゃんは本当にその辺の匙加減が上手。 まりもちゃんはしっかりして見えるから、何か違う感じだったけど。 まりもちゃんに劣らず、みのりちゃんのダンスシーンも見ごたえありました。 エリザベート、桜庭舞。 気の強いわがまま小娘。 何だかんだ言ってもしょせん小娘って感じで、エリザベートってこういう子なんだって分かった気がします。 前回はただ単に可愛げないだけだったから。 アナベル、小桜ほのか。 この役は、誰が演じてもはっきりしなくて好きになれない。 ああそうですかって感じ。 そもそも論として、何でジュリアンが二股掛けたのか分からない。 エリザベートよりアナベルの方が役に立ちそうと思ったから? どっちでもたいして変わらないと思うんだけど。 結局サビーヌと再会して、手に手を取って逃げようとするわけだけど、まこっちゃん的にはそれが一番似合ってた。 格好良かったのは、ボランジュ総督の朝水りょう。 前回は越リュウで、そりゃあ格好良くて当然なオトナの男だったけど、朝水氏も良かった。 堂々としてて、まこっちゃんにも全然引けを取らなかったし、なつ姉に食われることもなかった。 アナベルを思う青年アンドレ、極美慎。 とにかくアナベルが好きで、彼女が自分に関心を持ってないのも、ジュリアンに失恋して死を選ぼうとしてるのも、全部分かってるのに何もできない。 その辺がすごくよく分かったし、最後他に感情の持って行き場がなくてジュリアンを狙ったのも、納得できた。 明日海の方が出番は多かったみたいだけど、全然伝わってこなかったから。 とは言え、唐突さは相変わらず。 再演されるほどの名作とは思えないです。 まあ芝居は期待してなかったからいいんですけどね。 「エストレージャス」 大劇場公演のときも好きなショーだったけど、今回も楽しかった。 ベニの場所をまこっちゃんと愛ちゃんが埋めていく感じで、人数が減ってるのに全然見劣りしなかった。 「星夢」でひろ香祐がいなくなって残念と思ってたら、真ん中にまこっちゃんが入ったものだから、漣レイラと2人眼福ものでした。 続くK-popは、相変わらず素晴らしいダンスで盛り上がる。まわりの皆も本当良く踊るよね。 まこっちゃん1人踊りもあって、礼真琴ワンマンショーじゃないかってくらい使われまくってた。 でもワンマンショーにさせないぞとばかりに、愛ちゃんがぐぐっと入り込んで来る。 あの背の高さと押し出しの強さはいいですよね。 ベニはエンターテイナーとしてはいいのだけど、3拍子揃って残念な人だからなあ。 何かもう、まこっちゃんのお披露目公演のような不思議なノリがありました。 客席に柚希氏が来てたこともあるのかもしれないけど、盛り上がってました。 |