ユダヤ人であるという理由だけで恋人と引き裂かれ、故郷からも追われたエリヤーフー。
皇女マリア・テレジアの夫、フランツ・シュテファンに認められたことにより、エドゥアルトと改名し、ユダヤと決別して生きる決心をする。
主君フランツのため、そして自分の生きる場所を探すため、エドゥアルトはハプスブルクのために働くが、心の奥では魂の帰る場所を探していた。
エリヤーフー(エドゥアルト)、柚希礼音。 野心家の黒い役が格好いい。銀橋でのソロが最高です。 野心家と言っても、「エル・アルコン」のティリアンのように冷徹なわけではなくて、ユダヤ人だからという偏見のない世界で暮らしたいだけ。 故郷の人たちが迫害されているのを見て、何もできずに涙を流しているところは、哀しくなります。 エリヤーフーの恋人アーデルハイト&女帝マリア・テレジア、夢咲ねね。 アーデルハイトは最初と最後だけで、ほとんどマリア・テレジア。少女時代の肖像画のドレスが衣装になっていて、こういうのは嬉しいです。 マリア・テレジアったら、エドゥアルトがユダヤ人だというだけで、あんなに毛嫌いしなくてもいいのに。 でも、単純にユダヤ人への偏見というだけじゃなくて、あえて避けないと、エドゥアルトの視線に飲み込まれてしまいそうだっていうのは分かります。 礼音くんの眼力すごかったから。 アーデルハイトは、あの長い年月エリヤーフーを待っていたのかな?良家の令嬢が、そんなに長いこと独り身を通せたんだろうかと思ってしまうけれど、 ハッピーエンドでないとエリヤーフーが可哀想すぎるから、待ってたってことで。 フランツ・シュテファン、凰稀かなめ。美しい皇帝陛下なのだけれど・・・それ以上のものが何もない。 入り婿で、政治の実権も妻が担っていて、しどころのない役なのだけど、何だか物足りなかったです。 幕間の抽選会では、皇帝陛下御自ら出てきてトークしてくださいました。 先日のバレンタインではお妃さまからチョコをもらったそうですが、老臣の一人もテレジア様からもらったと言っているのを聞いて、「義理チョコでしょう」とおっしゃってました。 エリヤーフー以外は、本当にぱっとしない役が多かったけれど、礼音くんが格好良かったからOK。 こういう黒い役が格好よく決まると、見ていて嬉しくなります。 <後日談> 「ハプスブルクの宝剣」の原作本を読みました。 マリア・テレジアのエドゥアルトへの愛憎ときたら、宝塚版どころじゃない。 ユダヤ人追放なんて、エディがユダヤ人だと知った上で、あえて責任者として派遣してるし。 さすがに宝塚の娘役にはさせられないくらいの非道ぶりでした。 エディとフランツの友情がすごく濃くて、これは舞台で見たかった。 最初傷ついたエディを助けるところから始まって、最後愛するテレーズを捨ててでもエディを助けたいと決心するところまで。 フランツがただのお飾りじゃなくて、エドゥアルトにとって本当に必要な人なんだってことが、原作を読んで分かりました。 物語の最後は、原作はちょっと可哀想・・・幾度も死の際から帰ってきたエディだから、きっと今度も助かっただろうって思いたいです。 |