星組
激情
BOLERO


2010年4月24日
於・市川文化会館



 メリメの「カルメン」。
 セビーリャの町で、衛兵ホセはカルメンというジプシー女に出会う。 情熱的なカルメンに誘惑され、ホセは自分の生活のすべてを捨て、犯罪に手を染めてまで、彼女のもとに走る。 ところが、何ものにも束縛されることを嫌うカルメンは、ホセの束縛を嫌い心変わりする。 カルメンの心をつなぎとめることができないと知ったホセは、ついにカルメンを自分の手にかけてしまう。

 ホセ、柚希礼音。以前宙組を見た時は、カルメンに翻弄されるだけのお坊っちゃんというイメージだったけれど、礼音君のホセはかなり熱かった。 誘惑してくるのはカルメンなのだけれど、流されている風ではなくて、自分の意思でカルメンのもとに飛び込んで行ってるように見えた。 頭に血がのぼると殺人すら起こしてしまう危なさと、それを少し離れたところから冷静に見ているクールさを持ち合わせていて、 ギリギリ保っていた均衡が、カルメンのせいで崩れたという感じ。 ただのお坊っちゃんでないホセは、魅力的です。

 カルメン、夢咲ねね。花總まりのカルメンも上手かったけれど、どうにもスレンダー過ぎて、男を誘惑するという雰囲気ではなかったので、 ねねちゃんのカルメンはビジュアルからして似合ってました。 ホセはもちろん、他の男たちの人生を狂わせてしまうほどの魔性の女だから、やっぱりある程度ダイナマイトバディでないと。 ラブシーンもドキドキするほど熱烈で、こんな女になら人生をめちゃくちゃにされても満足して死んでいけるのかなあ?
 フラメンコは、本場のセビーリャのフラメンコを見てきたばかりだったのでどうしても比較してしまうけれど、 宝塚としてとてもきれいでした。 でも、それ以上にすごかったのが、ロープに縛られたままホセを誘惑するところ。 何とも魔性の女という感じだし、よくロープがこんがらがらないものです。

 メリメ、涼紫央。ストーリーテラーがずっと舞台上にいると邪魔に感じることもあるけれど、今回は納得でした。 「自分の望むままに生きたホセがうらやましい」と言っているように、貴族っぽいメリメには、絶対にホセのような情熱的な生き方はできないだろうから、 舞台上で自分の願望をホセに投影させているんだな、という感じ。 礼音くんの激しさと、すずみんの芸達者ぶりが上手くマッチしてました。
 2役のガルシア。これは、メリメとは打って変わって粗野な役。 メリメと同一人物とは思えないほどの粗野っぷりで、この人にはジプシーの仲間たちも逆らえないでしょう。 そんなガルシアだけれど、カルメンと並ぶと意外に似合いの夫婦。 本気でけんかしたりののしり合ったりしながらも、お互い自由に恋愛するのを許して、なんだかんだ言って似たもの同士なんだと思う。

 エスカミリオ、夢乃聖夏。くどくてキザなマタドールなんて、男役冥利に尽きる役ですね。 ともみんは濃い〜ので、似合ってました。もうちょっとくどくてもよかったんだけど。
 ラストの闘牛シーンでは、ともみんのマントさばきも頑張っていたと思うけれど、それ以上に礼音君のリフトがすごい! 迫力でした。

 ショー「BOLERO」。
 英真さんと千種さんのコンビが楽しくて、すっかり場をさらってくれました。 本当にこの2人は楽しい。
 「トマケ」は客席出だったので、観客も待ってました!とばかりに期待大。 真風くんは一瞬ひるんでたように見えましたが、ともみんは負けじとシャウトしてました。
 裸足のダンスやボレロのシーンなどなど、礼音君のダンスも目いっぱい堪能。 芝居だけで1本物を見たくらいの充実度だった上に、さらにショーも楽しめてよかったです。