星組
桜華に舞え
ロマンス!


2016年10月25日
於・東京宝塚劇場



 人斬り半次郎が西南戦争で義とか言ってる変な話。
 ・・・個人的にはこういう感想なのだけど、宝塚的には 『人並みはずれた度胸と剣の腕で、明治維新の立役者の一人ともなった桐野利秋』が、 『会津藩との戦いの最中に出会った娘との恋や、苦楽を共にしてきた薩摩兵児達との友情、そして対立を交え、 “真心”を持ち、己の“義”に真っ直ぐに生きた最後の侍の生き様を描き出します』 ってことらしい。

 桐野利秋(北翔海莉)とか言ってるから誰かと思ったら、中村半次郎って、人斬り半次郎じゃん! 西南戦争なんて、明治新政府でうまく立ち回れなくなった薩摩が逆切れして起こした戦争でしょ? 「避けられぬ宿命」とかじゃないでしょ? それで「義」とか言われてもねえ・・・。

 個人的に北翔は好きじゃないので、あまり見ないようにしてた。

 で、なんで薩摩だけ方言なの?会津は標準語なのに。 肝心のところで言ってることが分からない。

 会津藩の娘(妃海風)との恋とか言ってるけど、奥さんいるんじゃない。 しかも、その奥さん(綺咲愛里)にしたって、衣波隼太郎とか言う別の男(紅ゆずる)と恋仲だったし。 それが、半次郎との縁談が出た途端、あっさり承諾。え?それでいいの? だったら、ふうちゃんとあーちゃんキャスト逆にして、ベニとの恋仲とかよく分かんない設定もなくして、普通に夫婦愛にしようよ。 ふうちゃん演技下手じゃないんだけど、いまいちヒロインっぽさがないから、ラブラブしない上に結ばれることもないと、本当に脇役っぽくなっちゃう。

 ベニはベニでただのヘタレ。 とても新政府で要人になってるように見えないし、のこのこ故郷に帰って身内にまで総スカン食うくらい状況読めない男。 身内も、あんなに拒絶しなくてもいいのにね。 閉鎖的な田舎で、故郷を裏切ったような形になってるベニをかばうわけにいかないとか言うならまだ分かるのだけど、普通に本気で拒絶してる。 この辺もうちょっと何かないの?

 ベニにしても川路のかいちゃんにしても、洋行帰りの洋装がサマになりすぎてるってのも、宝塚的には有りとは言えちょっと嘘くさい。 サマになりすぎと言ったら、麻央のかわら版売りのプロポーションの良さも変。 この辺りは、雪組るろ剣のまなはるとか、Samouraiの時のキムやちぎちゃんくらいの方が、明治男っぽくていいんだけどね。 格好良すぎて変ってのも、おかしな話だけど。

 人斬りとか、会津の女医(今回は看護婦か)とか、スリの少年とか、もうあまりにデジャヴなキャラが出てくるものだから、 そのうち剣心とか、斉藤とか(斉藤さんは実際西南戦争に参加してるけど)、果ては蒼紫様とか出てくるんじゃないかと思ってしまった。

 唯一感情移入できたのが、会津藩士の八木永輝(礼真琴)。 何回見ても永久輝に見える。(そろそろ雪組から離れようか) 私が個人的に新選組が好きで、その延長で会津や幕軍贔屓なので(最近は御庭番衆まで追加された)、会津って言うだけで問答無用に肩入れしてしまうのだけど、 実際まこっちゃんの芝居が上手くて、見てて切なくなる。

 ショー、パステルカラーのロマンチックなのって、星組には合わないと思うんだけどな。 とは言え星組っ子は好きなので、生徒を見てるだけで楽しいです。
 扉のナンバーでは、星組生徒の本気を見た。 めちゃくちゃ格好良くて、これが見られただけで今回は満足です。
 ロックンロールはみんな弾けてた。れんたのオタク風髪型は、あれでいいのか? 最近注目のセオが、芝居に引き続いて女の子ナンパしまくってるのがおかしい。
 まこっちゃんは、芝居で女役をやらないと思ったら、ショーで女役。素敵だからいいんだけど。 かいちゃんの女役は美しかったけど、やっぱりダンスはヘタレ。 決して小さくないかいちゃんなのに、麻央の隣に並ぶと、華奢に見えるから不思議。 って言うか、マオの9頭身が同じ人間とは思えない。
 ベニを中心にしたナンバー、良い感じで新生星組が期待できる。
 何て思いながら見てました。