星組
ロミオとジュリエット


2010年7月23日
於・梅田芸術劇場



 ロミオとジュリエットの悲恋。ロック調の音楽と現代風の演出で、幕開けから引き込まれました。
 死(真風涼帆)と愛(礼真琴)。不安や絶望を感じると死が現れ、希望や愛にあふれているときには愛が現れるのが、とても効果的でした。 ダンスも上手で、真風君の表情もすごい。 「タンビエットの唄」でも同じように黒い男と白い女が象徴的に使われていたけれど、この演出は好きです。

 ロミオ、柚希礼音。 ロミオ=線の細い感じではなくて、将来への不安を抱いていたり、愛する喜びにあふれていたり、リアルにティーンの少年ぽかった。 見ていてどんどん引き込まれました。 ジュリエットが死んだと思って毒を飲むところが、恋人の死を嘆くのではなくて、いとおしくジュリエットを眺めて、ふっきれたような幸せそうな表情なのが、余計見ていて涙を誘いました。

 ジュリエット、夢咲ねね。 ピンクや白の衣装も着ていたけれど、真っ赤なドレスを着るジュリエットというのが新鮮。 キャピュレット家のテーマカラーが赤だというのもあるけれど、可愛いだけの受け身の女の子ではないという感じが出ていました。 自然体に可愛い少女でした。

 ティボルト、凰稀かなめ。 ジュリエットに対する報われない想いを抱いていて、虚勢を張っていても寂しい心を抱いている。 寂しい気持ちの方は伝わるのだけれど、ナイフを振り回すようなキレた荒々しさが伝わってこなかった。 もうちょっと押し出しが強いといいのだけれど。ジュリエットのママがちょっかいかけたくなる色気はありました。

 ベンヴォーリオ、涼紫央。 ひよこ頭が印象大。演技力はさすがです。ジュリエットの死をロミオに伝えなくてはと悩むシーンからラストシーンまで、涙と鼻水全開でした。

 マキューシオ、紅ゆずる。 ちょっとヘタレっぽいけど、いきがっている若者っぷりが十二分に発揮されていました。 死んでいくシーンも全力投球で、これじゃあロミオも我を忘れてティボルトを刺してしまうってものです。

 乳母、白華れみ。 胴布団をつけての熱演。もっと上級生でもよさそうな役だけれど、ジュリエットへの愛がたっぷり感じられました。

 全体に本当にすばらしくて、こんなに涙を流したのは久しぶりでした。