星組
ロミオとジュリエット


2021年4月18日
於・東京宝塚劇場



SNSでトレンド入りした「愛ちゃんの死」のB日程。 主な役替わりメンバーは以下の通り。
死・愛月ひかる
ティボルト・瀬央ゆりあ
マーキューシオ・天華えま
ベンヴォーリオ・綺城ひか理
パリス・極美慎

幕開け早々、愛ちゃんの死の登場に期待が膨らみます。 ダンスにあわせて長い銀髪が乱れるのも、舞台の奥にじっと佇んでるのも、何もかもがすごい存在感。 完全に愛ちゃんにロックオンです。

ヴェローナのナンバー、星組の群舞は勢いがあって見ごたえあります。 漣、ひろ香の2人がモンタギュー、キャピュレットの中心になってパワフルなダンスを見せてくれる。 B日程には天飛くんもいるんだよねとは思ったけど、ほとんど探してる余裕はありませんでした。

瀬央ティボルトの目力がすごい。 閉塞感と報われない想いが伝わってきて、銀橋の歌では胸が痛くなりました。 こんな苦しいティボルトは初めて見た。 憎んでる対象は、もしかしたら彼自身かもしれない。 本来の彼はもっと真っ直ぐで正義感のある人だったんだろうって感じます。

天華のマーキューシオ、髪のサイドに剃り込みが入ってて、眉毛まで剃り込んでる気合いの入りよう。 歩き方までオラオラしてて、これがティボルトを煽る煽る。 わざとティボルトの感情を逆なでして面白がってる。 天華マーキューシオで面白いと思ったのがロミオが乳母をお持ち帰りしたところ。 今までのマーキューシオってびっくりするとか冷やかすことが多かった気がするけど、天華はふ〜んって感じで割とノーリアクション。 そういう個人的なことには立ち入らないことにしてるのかな。

僕は怖いでは、愛ちゃんがここぞとばかりに暗いオーラを放つ。 見たいものが多すぎて、目が足りない。

肝心のロミオとジュリエットを見てる暇がほとんどない状態。 真琴ちゃんのロミオは夢見る夢子ちゃん、舞空瞳ちゃんのジュリエットの方が精神年齢高めで現実的な感じでした。

天寿のキャピュレット卿は頭に血が上りやすくて、モンタギューへのむき出しの敵対心もすごいけど、ジュリエットやティボルトに対しても愛情を感じない。 パワハラモラハラの嫌な人。

その反対に有沙瞳の乳母が愛情深くて、ジュリエットを想う歌では涙が出ました。

2幕。ジュリエットがロミオと結婚したって知った時のティボルトの壊れようがすごかった。 ずっとこらえてたのが噴き出してきたみたい。 マーキューシオがいつものように煽ってくるけど、ロミオへの憎しみしか感じてない。 真面目ゆえに壊れたときが怖い。

マーキューシオの最期は天華の見せ場、見入ってしまいました。

愛ちゃんの死も本領発揮。 僕は怖いリフレインはどこを見たらいいか分からない状態で、できることならもう何回か見に行きたかった。(でもチケットがない)

ジュリエットの死を伝えに行くベンヴォーリオ。 ベンヴォーリオは比較的冷静な役回りだろうけど、それにしても綺城は熱量が足りない。 ちょっと残念。

霊廟では完全に愛ちゃん目線。 ロミオの魂を美味しくいただいて、ごちそうさまでしたとばかりにお辞儀をする死。 恍惚の表情を浮かべる死がエロティックで、ほぼトート閣下でした。 その死が、両家が和解したのを見て愕然とした表情を浮かべるのが、またいい。 真ん中の芝居を見る余裕がなかった。

フィナーレでは、瀬央がトップで銀橋渡り。 ロックアレンジでキメキメに歌います。

男役勢ぞろいの群舞の後は愛ちゃんの見せ場。 大階段に娘役をはべらせて、倒れそうなくらい格好いい。

何度も見たロミジュリなのに、初演以来の感動を受けました。