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星組 スカーレット・ピンパーネル 2008年8月26日 於・東京宝塚劇場 |
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フランス革命下のパリ。ジャコバン派の恐怖政治のもと、貴族がギロチンにかけられていく様子を、市民たちは熱狂して見ていた。
スカーレット・ピンパーネルと名乗る一味が、貴族の亡命を手助けするのに業を煮やした公安委員会は、リーダーの正体を突き止めようと躍起になっていた。 イギリス貴族のパーシー・ブレイクニーがそのリーダーだったが、新妻のマルグリットはそのことを知らなかった。 マルグリットが、公安委員のショーヴランに脅され、心ならず革命の手助けをしてしまったことが原因で、夫婦はすれ違うようになってしまう。 お互いの心がつかめず、悩むパーシーとマルグリット。かつて恋人だったマルグリットに思いを残すショーヴラン。 3人の気持ちが交錯する中で、スカーレット・ピンパーネルの正体をさぐるショーヴランと、その眼をかいくぐってフランス王太子救出に向うパーシーは、最後の一騎打ちとなる。 サー・パーシーの安蘭けい。仲間内では信頼を得ていて、リーダーとしての存在感があるのに、人前では軽口をたたくお調子者なところが、さすがに上手。グラパンに変装した時の怪しさも、かなりのもの。ただ、ショーヴランが言うように、マルグリットがパーシーのどこに惚れたのかがわからない。きっと、2人きりの時には頼りがいのある方のパーシーだったのだろうけれど、舞台上ではいつ見てもふざけているから。最初マルグリットといるときくらいは、真面目なパーシーでいてほしかった。 サー・パーシーは見目麗しい伊達男のはずなのに、とうこちゃんは洒落た貴族の扮装が似合ってない。仮面舞踏会のゼブラ柄の衣装は笑いをとっていいのだろうけれど、結婚衣裳が微妙。せっかく演技派なのに、貴族のビジュアルが似合わないのが残念。 マルグリット、遠野あすか。あすかちゃんは、華やかなオーラがあって、大女優の役がとてもお似合い。どうしてパーシーの心が離れてしまったのか分からず、自分の方もショーヴランに協力してしまった負い目があって、苦しむマルグリットを見ていると、素直に話してしまえばいいのに、と歯がゆくなります。舞踏会の真紅のドレスが、一段と華やかで、似合ってました。 ショーヴランとは、革命の志士として共に戦っていたころの恋人同士だという、原作にはない設定がありました。祖国のことを想って真剣に戦っているショーヴランを見て、きっとその頃のマルグリットは、本当に彼を愛していてんだろうと思うのに、若気のいたりで気のせいだったなんて言い放って、ショーヴランかわいそう。頭上から、ガラガラと崩れていくのが見えました。 ショーヴラン、柚希礼音。全身黒づくめで、もっと悪役かと思っていたら、なんとも人間味のある、おいしい役。あまりに真面目すぎて融通が利かないし、どんなにすげなくされてもマルグリットにつきまとってしまうし、見た目がすごくクールで格好いいのに、どこか憎めないかわいさがあるのは、礼音くんの持ち味?「君はどこに」が切なくて好きです。 正しくショーヴランと発音してもらえないでいらつくところとか、ラスト目の前でパーシーとマルグリットがいちゃついていて「夫婦の会話は家でしろ」とキレルところとか、真剣になればなるほど可笑しい。パーシーも、おもいきりもてあそんでいました。 礼音くんも華やかなオーラがあるので、あすかちゃんと対峙するシーンは、とても見ごたえありました。見る前は、黒いイメージのショーヴランは、とうこちゃんの方が似合うと思っていたけれど、礼音くんのショーヴランの格好よさに、はまってしまいました。 さすがブロードウェイミュージカル。群舞も迫力あるし、音楽も綺麗。「マダム・ギロチン」のナンバーがいい。主役3人の心理描写も細かくて、本当に見ごたえありました。フィナーレの剣の群舞も格好よかった。 |