星組
バレンシアの熱い花
 パッション・ダムール・アゲイン


2023年4月1日
於・市川市文化会館



バレンシアの領主だった父を暗殺した真犯人が、現領主のルカノール公爵だと知ったフェルナンドは、復讐を決心する。ルカノール公爵の甥ロドリーゴも、恋人シルヴィアを公爵に奪われたことを恨みに思い、フェルナンドと志を共にする。
フェルナンドにはマルガリータというフィアンセがいたが、復讐の計画を進めるうち、酒場の娘イサベラと恋仲になる。同じ酒場のラモンもイサベルに想いを寄せていた。ラモンの妹がルカノール公爵の手下に殺されたことから、ラモンも復讐の仲間に加わることになる。復讐は成功するが、恋人たちは結ばれなかった。

フェルナンド、凪七瑠海。 星組公演なのに、よりにもよって主演が凪七瑠海。 これまで誰が演じても好きになれない役だったけど、思った通り薄っぺらくて何もない。 じゃあ琴ちゃんだったらよかったかと言われると、貴族的なビジュアルと言う意味ではカチャの方がマシだったかもしれないし、その辺は分からない。

イサベラ、舞空瞳。 明るく強気な下町娘で、思わず目を引く華がある。 辛いときも笑ってみせるのがいじらしくて、初めてなこちゃんが可愛いと思った。 もしかして琴ちゃんとの相性が良くないんじゃないかと疑惑を抱きました。 ショーでものびのびしてて可愛かった。

ラモン、瀬央ゆりあ。 熱いパッションはもちろん格好いいし、オラオラした歩き方とか仲間に引き込まれそうになったときの逃げ方とか、絶妙にコメディタッチで面白い。 貴族も下町の兄ちゃんもできるセオ、やっぱりいいです。

ロドリーゴ、極美慎。 貴族のビジュアルは最高。 シルヴィアとの並びは本当に美しい。 似合うだろうと期待していたのだけど、シルヴィアに対する愛は感じないし、内に秘めた強い思いとか何も見えてこない。 芝居上手とは言わないけど、もうちょっと可愛げのある芝居をする人だと思ってたので残念です。

シルヴィア、水乃ゆり。 ビジュアルは文句なし、芝居も随分よくなって、違和感なく見られました。

マルガリータ、乙華菜乃。 誰が演じてもイラつく役だと思ってたのに、今回初めてマルガリータが可愛いと思いました。 ヒロイン気質って持って生まれたものがあるのかもしれない。 とりあえず可愛かった。

ドンファン、天飛華音。 明るくて元気な持ち味がドンファンぽくなかった。 ああいうドンファンもありなのかもしれないけど、七帆のドンファンがとにかく好きだったので。 芝居は上手だから、もっと肩の力の抜けた大人の格好良さが出せるようになったらいいだろうな。

ショー「パッション・ダムール・アゲイン」

「愛の誘惑」の極美の蛇は、それはお耽美でぴったりだった。 アダムのセオ。 蘭寿・柚希・彩風の男っぽいダンサートップが踊ってきたナンバーをガンガン踊って、最高に格好よくて胸熱だった。

そのセオが「All by My Self」で、白燕尾の胸に花をさして男役を引き連れて踊る。 昔を振り返って思い出に浸るとか、これはさよならショーなんじゃないかと思ってしまった。

2番手羽根を背負ってたり、瀬央の見せ場が多いのはいいのだけど、これは餞別なんじゃないかと強く感じてしまって、嬉しいような寂しいような複雑な気持ちになりました。 とりあえずセオのファンは絶対見に行くべき。