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星組 ベルサイユのばら 2006年2月24日 於・東京宝塚劇場 |
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いい加減飽きてきたベルサイユのばら。また上演するの?と思いながらも、生徒さんを見たいためについ見に行ってしまうのがファンの悲しさです。そして、見に行くたびにアレンジが加わって、よくなっているのだったらいいのだけれど、今回はかなり納得いかない仕上がりでした。原作ファンだから、どうしても気になって仕方がない。 プロローグの「御覧なさい」や、アントワネットの少女期〜「夢の馬車」。定番とは言っても、そろそろ学芸会のような演出ではなくて、もう少しお洒落なプロローグを見てみたい。それに、14歳の少女って、あんなに幼くないと思う。(社交界デビューしていたら、もう大人。) そして、まだやるの?というモンゼットとシッシーナの奥方のシーン。いい加減うんざりしているのに、今回新しい歌まで加わって、もう幻滅。 フェルゼンの持ち歌も1曲増えていたけれど、「アン・ドゥ・トロワ」っていう歌詞はどんなもの?ちょっとバカっぽく聞こえる。オスカルに対して、「女でありながら女を捨てた君に、恋する気持ちが分かるはずがない」と言うのも、相変わらず残ったままだし。 でも、何より納得がいかなかったのが、1幕ラストのシーン。国王はじめ、宮廷中の多くの人が集まっている前で、フェルゼンが言い放つ台詞。「私はこのフランスに愛する人がいます。紅バラのような人。彼女を想えばこそ、私は身を引きます。云々」宮廷に知らぬ人はいない、アントワネットとフェルゼンのロマンス。それが表沙汰にならないよう、ひっそりと身を引くことに意味があるんでしょうが。全員に宣言して、アントワネットを窮地におとしいれるようなことを、フェルゼンがするわけないから。もう見ていて、腹立たしくて。そして、皆に見送られながら、高らかに「愛の面影」を歌いながら去られても、全然哀しく思えない。ここは、ひっそりと去るから格好いいのに。頼むから、この演出はやめて〜!わたるくんの熱唱に酔うことができない。 2幕目は、1幕ほど激しいアレンジがされていなかったので、比較的心穏やかに集中できました。突っ込みどころは山のようにありましたが。 いいお歳だと思われるフェルゼンのお姉さま、なぜ嫁にもいかず、フェルゼン家にいるの?国王が処刑された時期に、立派な身なりの貴族が2人、農民に話しかけて襲われない?ベルサイユで華々しく別れた後、フェルゼンは有名なヴァレンヌ逃亡の手助けもせず、革命派のベルナールが国王一家救出を考えた?以下省略。 フェルゼンの湖月わたる。濃い熱い役が多くて、それが格好よかったわたるくんだけれど、こんなに白い役が似合うなんて。ピンクの衣装はあまり似合っているとは思えなかったけれど、スウェーデンの軍服姿や白い衣装、ため息が出るほど素敵でした。わたるくんのフェルゼンはいい感じなのに、脚本がどんどんフェルゼンを違う方向に持っていってしまうのが、残念でなりませんでした。 アントワネットの白羽ゆり。今回が本公演のお披露目になるとは思えないくらい、堂々とした王妃でした。大人っぽい雰囲気と、相手役に寄り添う感じが、いい娘役さんだなと思う。子供たちとの別れと、牢獄でのラストの熱演には、涙を誘われました。ギロチンの階段をのぼっていく後ろ姿は、まさに王妃の威厳。熱演派のカップル、大歓迎です。 オスカルは安蘭けい。オスカルは女性だということを意識した、いつもより高めの声。でも、芝居そのものは女女していなくて、オスカルってこんな人だよねと思える役づくりでした。フェルゼン相手に敬語使うのだけは、(脚本のせいだけれど)違和感あり。フェルゼン、アンドレが長身なので、身長差がちょうどいい感じでした。ビジュアル的にオスカル=華やかな美貌の持ち主というのが、とうこちゃんはちょっとイメージではないのだけれど。プロローグの水色の軍服や、今宵一夜の前の衣装があまりに似合っていなくて、気の毒でした。 アンドレは、立樹遥でした。しいちゃんのアンドレは、明るいイメージ。「生まれてきてよかった」というのも、天真爛漫によかった〜って感じだし。安蘭オスカルが影で立樹アンドレが光のイメージがあって、本来の役回りとは逆かも。銃弾に倒れるシーンも、悲壮さがあまりない。しいちゃんの明るい持ち味は好きなんだけれど、アンドレには合わなかったかな。 国王、英真なおき。あんなに情けないキャラにしなくてもいいのに。確かに女が魅力を感じる男性ではないかもしれないけれど、人として懐が大きくて、敬愛できる人。ルイ16世にはこういうイメージを持っているので、もう少し国王らしい役づくりをしてもらいたかった。 ベルナール(柚希)とロザリー(陽月)は、2幕のみの出演。ロザリーが「姉のように」オスカルをしたっている?オスカル様が望むように死なせてあげて?ロザリーってそんな子だったっけ?オスカルに本気で恋していて、死ぬなんて考えるだけでもイヤ!って感じだと思うんだけれど。原作のキャラクターは置いておくとして、何の前触れもなく現われたこの2人、逆に原作を知らない人にとっては、あれ誰?状態だと思う。ちえちゃん、うめちゃんは、程よく役にマッチしていました。 余談。プロローグのイラストから生徒が出てくるところで、オスカル様のパネルが途中でひっかかって開かなくなってしまった。とうこちゃんは、何事もないように隙間をすり抜けて出てきていたけれど。たきちゃんのモンゼット夫人のアドリブは、「あらん、いやん、ばかん。」オスカル役も大変ですね。 フィナーレのデュエット「小雨降る径」のわたるくん、めちゃくちゃ格好よかった。あんな目つきで見つめられたら、もう腰くだけます。爽やかなわたるくんもいいけれど、やっぱりこの濃い感じが好き。 |