星組
ベルサイユのばら
新人公演

2006年2月28日
於・東京宝塚劇場



 初めて見た新人公演。生徒さんたちの一生懸命な姿に、本公演とは違う感動をもらえました。そして、思っていた以上にいい出来でした。
 1本物の芝居を新公の長さにするために、割愛した場面がいくつかありました。フェルゼンの馬車のシーンやアントワネットの子供との別れのシーンがなくなったのは物足りない感じもしたけれど、全体にいらないシーンが削られて、本公演よりすっきり見ることが出来ました。ご婦人がたのシーンがなくなると、あんなにもいい感じになるんですね。(歌の方は残ってたけど。)

 これで新公卒業の柚希礼音のフェルゼン。上背があるので、本役のわたるくんに見劣りしない舞台姿。そして、わたるくんには全く似合っていなかったピンクの衣装も、そんなに変に見えなかった。主演として見て、全く心配ありませんでした。
 ちえちゃんのフェルゼンは、とにかく「恋」してる。アントワネットとのラブシーンはとても幸せそうだし、別れのシーンもわたるくんのような包み込むような雰囲気はないけれど、ひたすら恋する青年。あのまま牢獄に残って、一緒に処刑されるほうが幸せだったんじゃないかって感じでした。

 陽月華のアントワネット。豪華な衣装に着られてしまって、前半はちょっと苦しかった。うめちゃんの持ち味の、現代っ子っぽい感じを殺そうとして、無理にかわい子ぶって見えたし。お姫様系の役は合わないかな。その分、牢獄のシーンは上手かった。割愛されてしまったけれど、子供との別れのシーンもきっと上手かったと思う。
 牢獄のシーンでは、恋する青年な柚希フェルゼンを、陽月アントワネットがさとしているというか、アントワネットのほうがひとつ大人に見えました。

 オスカルの麻尋しゅん。お顔が丸くて、ルックスが女の子っぽすぎる。ただ、とうこちゃんが壊滅的に似合わなかった、今宵一夜の前の衣装(水色の上着に、紺のハーフパンツ)が、以外にすっきり似合っていた。
 大役に一生懸命で、必死にぶつかって行ってる感じが、男装して戦場で戦うオスカルにかぶって、本役さんよりオスカルらしかった。男っぽく振舞って、頑張れば頑張るほどけなげで、思わずアンドレや他の男たちが守ってあげたくなるのが、すごくよく分かった。とくにバスティーユのシーンは、引き込まれた。
 逆に、アンドレとの今宵一夜のシーンでは、なぜか急に女女してしまって、気持ち悪いくらい。あのままつっぱったオスカルで演じてくれたらよかったのに。

 アンドレの夢乃聖夏。特に目立つ風はなかったけれど、オスカルの影という意味では、このくらいでいいのかな。立樹アンドレは、オスカル以上に光だったから。
 ベルナール(天緒)は、可もなく不可もなく。ロザリーの南風まりは、前回とうこちゃんの相手役と言う大役の経験があるのに、演技が大げさで段取りっぽかった。

 ブイエ将軍(彩海)、メルシー伯爵(七風)、ジャルゼ将軍(一輝)の3人のおじさんたちは、若い年次なのに、しっかり老けた感じが出ていてよかった。ルイ16世の天霧は、英真さんほどなさけない役作りをしていなかった分、本役より好きだった。

 ちえちゃんの最後の挨拶、うるうるでした。そして、スタッフやお客さん、上級生、同期、下級生たちにひと通り感謝を述べた後、個別に名指しでわたるくんに礼を述べていました。客席で立ち上がってそれに答えるわたるくん。すごい信頼関係なんだな〜と思うと、心温かくなりました。