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星組 我が愛は山の彼方に グレートセンチュリー 2000年1月27日 於・東京宝塚劇場 |
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BGM*我が愛は山の彼方に
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婚約を交わして、幸せな朴秀民と万姫。ところが戦が起こり、秀民が戦場に行っている間に万姫は敵国の捕虜となってしまう。
万姫は、敵国で出会った武将チャムガの人柄に心惹かれていく。チャムガも、密かに万姫に想いを寄せる。
故郷への追慕と、待っているに違いない秀民、心惹かれるチャムガの間で、万姫の心は乱れる。
万姫さえ幸せになればと、2人の男はそれぞれ身を引こうとするが、結局万姫はチャムガの後を追って身を投げる。 とにかく泣けました。誰も悪くないのに、悪いのは戦争なのに、どうしてこんないい人同士が戦って不幸になるんだろう? どうして想いを寄せる者同士が引き裂かれるんだろう? 始めの秀民と万姫のラブシーンに関しては、ず〜っと愛していると歌っているだけで物足りなかった。 もう少し2人がお互いのどこに惹かれたのかまで描かれていれば、後半の万姫とチャムガの愛との対比が出て、より奥の深い話になったのに。 古い作品だから、どうしても演出が古い。 稔幸の秀民は、爽やかな青年。やさしい・・・というか、やさしすぎるから、逆に万姫を追い詰めてしまったのだろうけれど。 絵麻緒ゆうのチャムガが、本当によかった。チャムガは、人質として捕らえた万姫に対して、必ず故郷に帰すと約束する。 普段は口数が少ないかわりに、一度口にしたことは必ず守る。 たとえ負け戦になることが明らかでも、国王の不信を買っても、自分が明らかに不利なのを分かっていて、あえて戦場に赴いていく。 台詞も動きも少ない役なのに、気持ちがすごく伝わってくる。 ぶんちゃんは、今までさわやかな青年のイメージが強かったけれど、しっかり大人の男の魅力が出ていました。 現代ではありえないけれど、こういう武人に弱い私は、すっかり心奪われて、本当にツボにはまった。(実際には、こんな無鉄砲で世渡り下手な奴は問題あると思うけれど。) 万姫の星奈優里は、可愛くて芯の強い女性。優里ちゃんは、回を重ねるごとに可愛くなっていく。 万姫は、秀民への愛がなくなったわけではない。でも、チャムガに対して、感謝だけとは違う愛が芽生えてしまったのをとめることができない。 ただの浮気な女ではなくて、微妙な女心が上手。 チャムガと万姫はお互いに対する愛を一度も口に出さないまま惹かれあっていたのに、歌の中で、一目であなたを愛したと歌ってしまったところ。 歌は別ものかもしれないけれど、やはりこの2人には、愛しているという言葉は使わないままでいて欲しかった。 国王ブルテの彩輝直は、ちょっと物足りなかった。 ブルテは、チャムガが妹姫の愛を拒んだことに怒っているのではなくて、王としての威厳を傷つけられたことに怒ったのだと思う。 だから、明らかに勝算がないのにチャムガに死んで来いという意味で戦いに行かせた。 さえちゃんのブルテは、そういう威厳が感じられない。(ひろこちゃんバージョンを見た友人は、ブルテが格好よかったと言っていた。) そして一番感動したラストシーン。チャムガは、敵に命を助けられ、お情けで愛する女を譲ってもらうくらいなら、武人のプライドをかけて死を選ぶ。 万姫も、チャムガの愛に報いたいと後を追う。 この2人の悲恋が目立つけれど、秀民のおさえた愛もじんわりくる。敵同士でも、互いに認め合う秀民とチャムガ。 万姫が幸せになるのなら自分は身をひこうという、秀民の切ないほどの愛。結局は相手に想い届かず、身を投げた万姫に対して絶叫するところは、かなり泣けます。 グレートセンチュリー。ウィーンの夢の紳士。真っ白のお衣装(白マント付)で後姿、銀橋せりあがり。 とうぜんノルちゃんだと思ってたら、ブンちゃん。ブンちゃんが目立つショーでした。 |