「柳生忍法帖」 基本的に予習はしない派なのですが、登場人物がやたら多くて複雑と聞いたので、事前に原作小説を読んでおきました。 原作を読んだ感想として、こんなにエログロの話を宝塚でやるか? 実際はだいぶ割愛してソフトな宝塚アレンジになっていましたが、微妙なことに変わりはなかった。 会津藩主、加藤明成の暴政を見限って出奔した家臣の堀一族。 明成は堀家の男たちばかりでなく、尼寺に逃げ込んだ女たちにも追手を差し向けた。 千姫の口添えで窮地を脱した堀の女たちは、明成への復讐を誓い、天才剣士、柳生十兵衛の助けを借りることになった。 明成の家臣、芦名銅伯と手下の七本槍と死闘を繰り広げながら、十兵衛と堀の女たちは会津に向かう。 とりあえず主題歌は冒険活劇って感じの耳に残るテンポのいい曲でした。 柳生十兵衛の礼真琴。 ラダメスのあまりに残念な先行画像と違って、眼帯含めて和物の扮装は似合ってました。 剣術は強いし自由奔放に生きているけど、父親からは逃げも隠れもするあたりの若造感も似合ってました。 ゆらの舞空瞳。 そもそもヒロイン向けの役じゃない上に、瞳ちゃんは父親の言いなりと言うより、しっかり自我を持って面白がって行動してるように見えるから、なおさら。 香で人心を惑わせ、男にしなだれかかるのが上手ければ上手いほど、気持ち悪いと思ってしまう。 最後の十兵衛への告白は、かなり唐突に感じてしまった。 銅伯がゆらに乗り移ってしゃべる演出は面白かったです。 芦名銅伯の愛月ひかる、最後の最後にイロモノ悪役とは。 108歳は愛ちゃん史上最高齢でないと言うのがすごいけど、老人と言うより妖しくて怪しい存在でした。 芦名復興を強く願って、彼なりの正義を感じる。 徹底した冷酷さがむしろ格好いい。 自分を傷つけて、天海も苦しんでいるだろうと想像して悦に入るのも様になる。 と言うか、どうやっても格好いい。 そして2役の天海僧正。 衣装だけじゃなくて雰囲気でも別人だと分かるけど、原作知らなくて初見の人は話の展開についていけるんだろうか? 7本槍の面々。 7人並ぶととても華やかで見栄えがするのだけど、話を詰め込みすぎて1人1人ゆっくり見てる暇がないのが残念。 瀬央は豪奢なマントにクールなたたずまいがお似合いで、極美はすっと美しくてにこにこしてるのに冷徹なキャラが似合ってた。 特に瀬央は、十兵衛との立ち回りもあって目立ってた。 この2人は最後まで残るからいいけど、天華なんて出てきてすぐ殺されちゃう。 長槍使ってるなって思う間もなく出番終了、途中で亡霊になって出てくるくらい。 漣レイラの犬使いは、犬じゃなく小姓になってると途中で気がついた。 小姓を盾にする卑怯な戦い方は、原作の7本槍の嫌な感じを唯一感じる場面かな。 天飛華音の多聞坊がオリジナル設定になってて、楽しそうに演じてた。 息抜き場面が少ないので、ほっとします。 柳生宗矩の朝水りょうは格好良く、加藤明成の輝咲玲央はとことん小者。 千姫の白妙なつ、沢庵和尚の天寿に堀主水の美稀千種。 登場人物とエピソードが多すぎてバタバタでした。 「モアダンディズム」はクラシカルでオーソドックスなショー。 琴ちゃんは元気にはじけるようなダンスナンバーは得意だけど、ダンディズムとか大人の色香は感じない。 愛ちゃんがいなくなると物足りなくなりそう。 愛ちゃんのために白軍服の場面を作ったり、最後のアシナヨで3人揃って銀橋挨拶したり、退団者愛があるのは嬉しい。 (アシナヨって何?ショーになっても芦名復興を願ってるの?とか思ったり思わなかったり) イロモノ悪役を演じることが多くて、今回もそうだった愛ちゃんだけど、実は白い王子様がことのほか似合うんですよね。 もっといろんな役を見たかったと思うし、これで退団なのはやっぱり寂しいです。 ![]() 「柳生忍法帖」新公を含めたら3回目の観劇。 マイ楽です。 正直何回も見るほど好きな作品じゃないのだけど、愛ちゃんラストかと思ったら複数回観劇はやむをえません。 そして完璧に愛ちゃんロックオン、出てない場面はセオとかぴーすけとか。 銅伯のインパクトに慣れたのもあるだろうけど、初見のようなイロモノ悪役に思わなくなった。 殿のように小者じゃないし(草履のシーンとかそれはそれで楽しいんですけどね)、七本槍のように悪行を楽しんでるわけでもない。 純粋に芦名家の復興を願ってて、下剋上するわけでもなくあんな殿に仕えて。 戦いに敗れたときの「痛かったであろう苦しかったであろう」の下り、銅伯の気持ちがすごくよくわかる。 ブーツ姿の銅伯もスタイリッシュで素敵です。 と言うか、愛ちゃんが素敵です。 ショーも、ロマンチック系のふわふわしたのは本来好みじゃないのだけど、目的は愛ちゃんの見納めなので。 薄紫の銀橋渡りと白軍服、どっちも白い系だったので、欲を言えばもっといろんな愛ちゃんを見たかった。 レイラ氏の胸焼けしそうな濃いダンスも堪能しました。 「俺が抱きお前が抱く」、PARADISOって言うんですね。 セオあかのタンゴはあっさり目で、やっぱりこれもレイラ氏最強です。 もっといろんな役を見たかったとは思うけど、愛ちゃんお疲れ様でした。 |