八 月 の 幻

 

 

まだ見ていない人

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東京でイラストレーターをしているマモル(水橋研二)は、恋人・佐知(八木小織)と共に、8年ぶりに故郷である尾道に帰ってきた。無邪気に歩く佐知に対し、マモルは過去の記憶がよみがえってきそうで憂鬱だった。そしてその通り、マモルはこの世にいないはずの、かつての恋人・めぐみ(仲根かすみ)の姿を見る…。

仲根かすみが主人公の見た幻影なのか、それとも幽霊か、思い込みなのか、解釈が分かれるところでしょう。彼女はグラビアアイドル出身ですが、最近のこのテの女のコには珍しく、線の細い雰囲気がはかなさを感じさせ、普通の人間とは別の存在である感じが上手く出て、ぴったりのキャスティングです。作品のウリが、「仲根かすみ主演」のワリには彼女の出演シーンは多くありませんが、印象は鮮烈でした。
仲根かすみはこれを契機に女優への道を歩むことになるのでしょうが、いいスタートになる作品に出会えたと思います。ただ今回はセリフがありませんが、次回はそうもいかないだろうから、それが今後の問題かな?

話の舞台は「転校生」や「時をかける少女」などの舞台となった尾道、そしてストーリーにもファンタジー的要素があり、大林映画のオマージュぽい匂いのする映画です。クライマックスはやはり感動的なシーンになっていますが、泣くまではいきませんでした。たぶん、故郷に恋人を残してきた、なんて経験がある人ならば入り込める映画だろうと思います。
とはいえ、映画は1時間くらいの長さでコンパクトにまとまっていて、退屈はしませんでした。

キャラクターの中で一番分かりにくかったのは主人公カップルでした。彼らよりも友人ら周りのキャラの方が生き生きしている感じで、ラストは爽やかでした。中でもスナックのマスターを演じる津田寛治は、「模倣犯」や「仮面ライダー龍騎」など芸暦がいろいろあるせいか圧倒的に上手く、彼がいるシーンは独壇場に見えました。

 

 

すでに見た人

最後に仲根かすみが白黒映像で出てくるシーンはメイキングに見えますが、僕は主人公の、めぐみへの思いが昇華されたシーン、と受け取りました。この映像はおそらくメイキング、あるいは仲根のイメージビデオのために撮ったものでしょうが、解釈がいろいろできる面白い使い方です。

 

 

もういちど逢いたい

 

僕が「八月の幻」を見た日は、東京で唯一この作品を上映していた、テアトル池袋での最終上映の日でした。そして、「八月の幻」の最終回が終了した後、この日のみの限定で「もういちど逢いたい」が上映されました。
この「もういちど逢いたい」は「八月の幻」の前に、仲根かすみのイメージビデオとして作られたものだそうですが、出演が仲根一人ではなく、特別出演として「八月の幻」での実質的な主役だった、マモルを演じた水橋研二が出ています。
仲根かすみのイメージビデオですから、当然水橋研二の出番はわずかなのですが、彼の存在と所々に入る彼のナレーションのおかげで、この作品はマモルがめぐみの事を回想しているような感じがして、まるで「八月の幻」の後日談のような雰囲気がしました。
アイドルのイメージビデオというのはたいがい、出演しているアイドルが笑ったり、水着や制服姿を延々と写しているものが多く、ファンでなかったら見ていて苦痛になります。しかしこの「もういちど逢いたい」は水橋研二が出ていることで、独自の世界観を持ったイメージビデオになり、他の単なるイメージビデオとは一線を画した仕上がりになっています。
また作品の大部分を占める仲根かすみのシーン(温泉での水着姿がセクシー!)も、「夏風」みたいにバカみたいな長回しは無いし、「八月の幻」の後だと、余計にちゃんと見れました。

 

 


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夏  風

 

 

TVドラマ「やんパパ」や「いつも二人で」に出ているアイドル・石田未来のイメージビデオで、仲根かすみ主演の映画「八月の幻」の同時上映として、それの前に映写された作品です。
イメージビデオとはいえこの作品は一応、母親と共に温泉に来た石田が、母から別れた父親が近くに住んでいる、と聞かされて会いに行く、というストーリー仕立てになってはいます。
といっても中味の大部分は、やはり石田一人を延々と撮っているショットで、全体的に宇宙企画のビデオのH以外のシーンを見せられているみたいで、30分くらいの作品なのにえらく長く感じられました。
特に、駅のベンチに座る石田の顔のアップの長長長長長長長長回しは苦痛でした。いくらかわいいとはいえ、表情がほとんど代わらない顔を延々と写されても何とも思えません。

クレジットにシネアルタのロゴがあったので、撮影はこのデジタルカメラを使ったのでしょうが、ロングになるとキャラの表情がつぶれたりして、ビデオをスクリーンで写してるように見えました。

 

 


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