PROJECT G4 |
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昨年度より「仮面ライダークウガ」が始まったことで、TVでの「仮面ライダー」シリーズが「仮面ライダーBLACK RX」以来の空白を破って復活しました。
しかし、「クウガ」が始まってから、試しに第4話を見てみたところ面白いと思えず、それ以来「クウガ」が終って「仮面ライダーアギト」が始まるに至っても、僕は新しい「仮面ライダー」シリーズからは離れてしまっています。
劇場版 として作られた「仮面ライダー」は「仮面ライダーJ」以来でしょう。今回は「百獣戦隊ガオレンジャー」の劇場版「火の山、吼える」と同時上映ですが、「ガオレンジャー」が30分なのに対し、「PROJECT G4」は1時間10分の長尺になっています。
初めに上映されるのは「百獣戦隊ガオレンジャー:火の山、吼える」です。
「ガオレンジャー」もTV版は見ていないのですが、この映画版はTV版に影響しないようにするためか、ガオレンジャー達が異世界に引き込まれて敵オルグと戦うという、いかにも番外編な話です。ドラマや映画で時々顔を見せる佐藤康恵がゲストで出演しています。
中味は従来通りの戦隊もののパターンを、CGでよりリアル&派手にした感じで、ガオレンジャー各メンバー達の名乗りが「怒涛の鮫」のようにCGでドドーン!と出るのは笑えます。ストーリーはパターンなもので真剣にあれこれ言うものではないでしょう。
この作品では、初めに出てくる東映マークに、戦隊ものらしく少し手を加えています。映画会社のロゴをいじるのはハリウッドでは時々見ますが、日本映画で見たことはあまりなかったように思います。
「仮面ライダーアギト:PROJECT G4」は完全オリジナルストーリーで、TV版での話の説明は全くされません。なのでTV版を見ていない人は以下の点を頭に入れて見るべきでしょう。
・この話には仮面ライダーが3人いる。警視庁が開発したメカライダー「G3」、生物的な「ギルス」、主人公であるメカ+生体のハイブリッドである「アギト」。
・敵はアンノウンと呼ばれていて、行動目的は不明。
・アギトに変身する は記憶を失っており、美杉教授(升毅)の家に世話になっている。この家には他に真魚という孤児の女の子がいるが、彼女は予知能力を持っている。
最低限、以上の基本設定を知っておかないと、話についていけないと思います。
内容は、警視庁で開発された「G3」を超える存在として自衛隊で生み出された「G4」の活躍と暴走を描く話ですが、子供だましのような安直な話ではない、良く出来たVシネを見ているような、けっこうハードな話で楽しめました。特に、超能力とG4システムを結びつけたアイデアは上手く考えた設定です。
アギト、ギルス、G3それぞれのライダーのアクションの描き分けもはっきりしていて、かっこよく見せています。おかげで、これまで全く関心の無かった3人ライダーのガシャポンが欲しくなってしまいました。
敵の怪人は従来のシリーズ通り、生物をモチーフにしてるようですが、デザインが人間の形に近過ぎるのは個人的に不満でした。僕としては「仮面ライダーBLACK」のような、生物的な形をした怪人の方が好みなので。
生物的といえば、3人ライダーの一人・ギルスは、アギトより生物の面を強調したライダーで、体から触手なんかを出します。こういった描写は、以前の「仮面ライダー」シリーズには見られなかったので面白いとは思うのですが、質感がCGと分かってしまうのが残念なところです。
今回の敵とも言える、G4の開発責任者の役で、最近は香港映画「東京攻略」くらいでしか顔を見なくなった小沢真珠が出ています。以前TVに出ていた時はお嬢様的な役柄が多かったように思いますが、今回の狂気に取り付かれた役は合っている感じでした。それにしてもG3の開発者も女だし、今回の話は仮面ライダーを代理に仕立てた、女同士の戦いとも見えるのは面白い形です。
彼女たち以外でも、今回の「仮面ライダー」では女性キャラが結構活躍しているし、そろそろ(次回の「仮面ライダー」)女性の仮面ライダーを出してもいいのではないかと思います。
ゲストで藤岡宏が出ています。さすがに1号ライダーではありませんが、お役人にしてはあまりに物わかりの良すぎるキャラは浮いている感じがしました。中村俊介とうじきつよしも出ていたようですが、よく分かりませんでした。
TV版では、ライダーが3人いる意味や、アンノウンの目的や正体など謎が多いようですが、今のところ何も語られてないみたいです。このまま何も謎解きが無しだと、「エヴァンゲリオン」みたいにフラストレーションを感じるので、ちゃんと説明をして終わってほしいものです。
この映画のパンフは表?が「アギト」、裏?が「ガオレンジャー」と2本を1冊にしていますが、レイアウトがすっきりしていて、各々のキャラクターを見開きで紹介したり、キャストのインタビューや対談があるなど、子供よりも大人向けに作っていると思われ、600円にしては内容が充実しています。
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G4プロジェクトが、単に人造の仮面ライダーを作るだけではなく、それに別の場所で待機させている予知能力者のパワーをリンクさせ、敵の攻撃を予測させるシステムを作るというアイデアは面白いです。今までの発想であれば、中に入っているライダーとしての人間が予知能力を持っている形で話が進むでしょうが、その能力を分散させたパターンは聞いたことがありません。それによって、真魚やアギト=翔一が事件に巻き込まれる話も作れるわけで、このアイデアはよく考えたものです。
映画の冒頭で、モロには描写されませんでしたが、たくさんの子供たちが殺される話が出てきます。日本や香港など、アジアの映画には子供を殺す描写がたまに出てきますが、いくらドラマのためとはいえ不愉快になるし、意味が無いように思います。
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