朝日のあたる家

 

 

見やすく、分かりやすく、そしてとても泣ける映画です。

「見やすい」というのは主人公が、原発事故に巻き込まれたごく普通の家庭の人だから。
映画は「災害に巻き込まれた人々」という、過去にしばしば描かれてきた、いわばディザスタームービーの形でお話が進みます。
原発を取り上げていても、政治的な主張に走ってはいないので、誰にでも取っつきやすいお話になっています。
「分かりやすい」というのは原発の何が問題で、何が危険かという、意外にテレビや新聞で語られない、そして語りにくい事柄をきちんと伝えているから。映画で語られるエピソードは福島で起きた数々の事象をベースにしているので、リアルなことこの上ありません。
「泣ける」というのはこの作品が「家族」を扱っていることで、タイトルに象徴されるようにホームドラマ(ちょっと過激な)になっているから。1箇所だけではとても収まらない涙腺緩む数々のシーンが、「幸せ」とは何かを語ってくれます。

家族の絆、故郷の絆、原発事故の恐ろしさ…映画はいろんな要素をもちながら、話が1ミリの破綻もなくまとまっています。そしていつもの太田監督の作品通り、キャストがどんぴしゃで、これ以上の役者は考えられない!名演を見せてくれます。

原発事故を取り上げた作品といえば、「希望の国」がありましたが、パフォーミングアートに走ってしまったようで感動もできませんでした。あれに比べるとこの「朝日のあたる家」はちゃんと「映画」になっています。僕は2回見ましたが、1回目より2回目の方が涙腺が緩みっぱなしになりました。

ロスアンゼルスでの上映も好評だったそうですが、世界中の人に見せても共感してもらえると思える内容です。近年の日本映画の「良心」を代表する作品です。

 

 


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