|
台湾の漁村で暮らす夢見がちな少女・プウ(スー・チー)はある日、ボトルに入った手紙を拾う。その手紙の主が運命の人だと思いこんだプウは香港に行くが、手紙を出したアレックス(トニー・レオン)はそうではなかった。彼の家に泊ることになったプウは、ひょんなことから実業家C.N.(ジャッキー・チェン)を助けることになる。彼に惹かれたプウはアレックスの助けを借りて、C.N.に近づく…。
まず、ヒロインを演じるスー・チーがとても魅力的に映っている映画です。彼女のための映画といってもいいでしょう。特にこの映画は「笑顔」がキーワードになっていますが、彼女の笑顔はとてもチャーミングです。「夢翔ける人」の時より愛らしく見えました。
実業家が身分の違う女の子と恋に落ちる、というパターンは「プリティ・ウーマン」を思わせますが、そういえばジュリア・ロバーツもスー・チーも口が大きくて笑顔が似合っていました。
この作品、ジャッキー・チェンの映画には珍しく、アクションというよりラブストーリーと言っていい作品です。ジャッキー映画では、彼のガールフレンドというキャラはよく登場しますが、ボーイ・ミーツ・ガールのパターンは初めてかもしれません。
敵役は出るものの、全てのキャラクターに悪い奴がいないせいか、安心して楽しんで見れ、後味がさわやかです。敵役やその部下、プウの両親などの脇役もいい味出しています。
「フー・アム・アイ」みたいなスケールの大きい作品ではない、小じんまりとした作品ですが、話にそんなに無理もなく(多少あるけど)、出来はこちらの方がいいと思います。
ジャッキー映画なのでアクションは不可欠でしょうが、今回は無くてもよかったと思います。ただ、アクションがないとジャッキー映画らしくないし(期待してる人は多いでしょう)、それなりに話には絡んでいるので、ファンサービスとしていいかもしれません。でも、ファイトシーンは相変わらず迫力あり、小道具の使いかたが効いていて、魅せてくれます。今回出てくる格闘シーンは「死闘」という感じはしませんが、たまには爽やかなのもいいです。
ジャッキー・チェンの今回の役柄は実業家ですが、ちょいと無理を感じました。また、彼の部下に日本語で話す女性がいましたが、香港にいるのであれば日本人でも普通は広東語でしゃべるはずです。国際的な広がりを見せたいので日本語をしゃべらせたのだと思いますが、かえっておかしく見えました。
トニー・レオンは出番が少なくてかわいそうな感じがしましたが、ジャッキーが主役だからしょうがないのでしょう(彼とジャッキーが絡むシーンは爆笑でした)。役柄が某映画をほうふつさせる役なので、またこういうキャラを演じるのはいいのか?とも思いますが。
|
|
|
タイに住む青年チアップは、信仰心の厚いガールフレンド・ワーンと付き合っている。ワーンと寺に行った帰り道、彼女は車に跳ねられ危篤状態になる。なす術がないあまり、寺に駆け込んだチアップは、「ワーンは仏を熱心に信じていたのに理不尽じゃないか」と本尊に訴える。そんな彼の前に一人の僧が現れ、ワーンの事故は前世の彼女の行いが原因だと告げる。前世では彼女は強盗で、事故にあった場所はその強盗が一家5人を惨殺した場所だった。彼女を救うには5人の人間を救わなければならないと告げられたチアップは、未来を予知する新聞を手に、自殺や事故を予告された5人の人々、そしてワーンを救うために奔走する。
1997年制作のタイ映画であるこの作品は以前、「運命からの逃走」というタイトルで99年の6月にNHK教育で放映されました。後年この映画の監督が「レイン」を作り、日本で劇場公開されたため、デビュー作であるこの「運命からの逃走」も「タイムリセット:運命からの逃走」というタイトルで劇場公開されることになりました。
前世の行いが今の人生に影響する、という考え方は仏教色が強いであろうタイらしい話ですが、一見古めかしい話を、主人公が人助けをせざるを得ない状況設定に上手く生かしています。
短いカットを畳み掛けてサスペンスを盛り上げたり、一度ダメと思わせといて逆転させるやり方など、演出はスタンダードながらも上手く、テンポも快調です。監督は香港映画に関わっていた人だそうで、エンターテイメントの見せかたを心得ています。
|
|