美女と野獣
ラージスクリーンフォーマット

 

 

ディズニーは「ファンタジア2000」よりアイマックスにソフトを供給しだしましたが、その第2弾は、かつて公開された名作アニメ「美女と野獣」です。
アイマックスは普通の映画館よりスクリーンとフィルムが大きいので、今回のバージョンではそれに見合うように作画を修正して、さらに前のバージョンでは無かった「ヒューマン・アゲイン」という歌を1シーン追加しています。

上映されているのは日本語吹き替え版でした。野獣の声はドラマでも大活躍の山寺宏一が演じていて、いつものごとく名演を聞かせてくれます。
歌ももちろん日本語ですが、違和感は持ちませんでした。しかし、エンドクレジットで流れるテーマ曲は英語になっています。

前のバージョンはまだいくらか記憶に残っていますが、改めて見てみて、こんなに単純な話だったのか、と驚きました。それでいて主人公たちに感情移入させ、最後には感動させてくれます。おそらく話を主人公ベルと野獣の触れ合いに絞ったゆえでしょう。
それに比べると最新の「アトランティス」に何も感動しなかったのは、冒険も愛も友情もと欲張ったおかげで話が散漫になり、どうってことのない話になってしまったゆえなのでしょう。
また「アトランティス」もそうだったし、その前?の「ターザン」もミュージカルではなかっただけに、この「美女と野獣」では久々に正統のディズニーミュージカルが見れて、新鮮な感じがしました。

作画ではキャラクターの描き方、特に野獣の表情の豊かさには感心させられました。またサブキャラの道具たちも作画上手いし、個性があります。やはりディズニーアニメは脇役がいいと話が生きるように思います。
また、前のバージョンが公開された当時、この作品はディズニーが本格的にCGを導入したことで話題になり、ホールでのダンスシーンのメイキングはいろんなTV番組で流れました。今回改めてこのシーンを見てみると、流れるようなカメラワークが音楽とキャラクターの心情に見事にマッチして、とかく偏見の目で見られがちなCGが作品を盛り上げている成功例であることを確認できました。
クライマックスでの野獣の変身シーンを見ている時、どこかで同じようなものを見たなあ…と思ったのですが、「シュレック」のクライマックスでした。最も気を使ったと思える美しい作画で感動させてくれる点は、制作会社は違っても共通です。

この作品はアイマックスの大スクリーンで見るとやはり迫力があり、映画の中に入り込んでいるように楽しめました。ラストのキスシーンの動きがかなりリアルで、ロトスコープ(人間の演技を撮影してアニメに起こす)を使ったように見えてしまったのも大スクリーンゆえかもしれません。
ただ、画面が大きいだけに、群集シーンになると人の顔が描かれていないのが分かったり、影がついてないのが見えたりして、気になった部分がありました。作画は大スクリーンに合わせて描き直してると思いますが、もっと完璧を期してほしかったと思います。

この作品は新宿にある東京アイマックスシアターで、公開から1月ほど経ってから見に行きましたが、さすがにディズニーの名作のせいか客席はほぼ満席の状態で、特に女性が目立ちました。何度かここに行った中で、一番多く観客を見た映画でした。
これまでのアイマックス映画はどれも客がまばらの入りで、そのせいかこの東京アイマックスシアターは2002年の1月末で閉館になってしまいます。「美女と野獣」はそこの最後の上映作品となってしまいましたが、これだけ人が入っていれば、最後にふさわしい作品かもしれません。
東京アイマックスシアターは無くなっても、アイマックス映画が無くなるわけではありません。ディズニーの次回のアイマックス映画はやはり名作の「アラジン」だそうですが、これからアイマックスの映画ってどこに見に行けばいいんだろう…。

 

 


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