チャイニーズ・ゴースト・ストーリー

スー・シン

 

まだ見ていない人

キャラが2Dのセルアニメで、背景やクリーチャー&メカが3DCGの合成ですが、違和感はあまり感じませんでした。2Dの色をうまく背景に合わせているからだと思います。それでも浮いて見えるシーンがいくつかありましたが。
主人公の少年が初めてヒロインを見るシーンは、それまでシリアスタッチだった絵が、いきなりラブコメタッチの絵になってすごく違和感を持ちました。ヒロイン自身も、時々主人公を襲おうとするくせに、危険になると主人公に助けを求める、というような身勝手さが目立って、こんな女のどこがいいのか?と、好きになれませんでした。
ヒロインと違い、主人公と行動を共にする犬・ガンケンは健気でかわいいです。アニメ版ということで、キャラクター展開を考えてこういうかわいい系キャラを入れたのでしょう。しかし、ツイ・ハークがあの顔で、この犬の声をやってたと思うと笑えるものがあります。
主人公を助ける道士がロボットに乗ってたり、生まれ変わりのための魂を乗せる列車が走っていたり、と妙に現代的なテイストが出てきて、それは別にいいのですが、デザインに個性的なものが感じられず、無意味に出てきた感じがしました。
実写版ではヒロインが飛んでいる時の、衣装の流れる感じがとてもきれいに出ていましたが、アニメ版ではそれが全然見られず、興ざめでした。
また実写版では、敵はヒロインである女幽霊の親玉の怪物で、アニメ版でもこの親玉は出てきますが、すぐに死んでしまい、その次は地獄の王子、次には幽霊を敵視する坊主など、敵があれこれと変わり、話がバラバラな感じがしました。
アニメでもすでに「孔雀王」や「帝都物語」など、東洋ホラー系でイメージのいい作品が出ていますが、この作品にそれらを超えるものは感じられませんでした。今更2Dのセル画と3DCGの合成をやったところで新味はないし、実写版の面汚しという感じです。
おそらく、この作品を製作した動機は、新し物好きのツイ・ハークが、CGの技術を使って東洋的なものをなんか作ってみたかった、というところでしょう。この作品が企画された時はまだCGは珍しかったかもしれないけど、今やCGなんて当たり前になってしまったからウリにもなりゃしません(そういう意味では、今度公開される「ファイナルファンタジー」映画版も同様でしょう)。

 

すでに見た人

主人公が転生の門を抜けて地上に戻り、転生したであろうヒロインを探していた時に、昔好きだった女に再会し、彼女の子供をヒロインの生まれ変わりと間違うとこは、香港映画っぽい面白いシーンでした。
結局ヒロインは人間に生まれ変わらず、幽霊のままなので、進歩が何もありません。このままでは主人公もヒロインも永遠に結ばれることはないだろうから、いつかジレンマを感じると思うのですが。また転生の門くぐるのかなあ(そういう話でパート2なんてもう作ってほしくないけど)。

 

 


 

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