デューン/砂の惑星
上巻:大いなる砂漠の星
中巻:呪われし砂漠の民
下巻:神獣・砂漠の守り神

 

 

 

遠い未来、宇宙の航行は「スパイス」によって成されていて、それは砂の惑星アラキスでしか産出されない貴重なものだった。アラキスはハルコネン家が収めていたが、皇帝はその統治を彼らと敵対関係であるアトレイデス家に移すよう命じる。その頭首レト・アトレイデス、妻妾のジェシカ、息子のポール、そして家来たちは不毛の惑星に移り住む。地元住民に対し厳しい統治をしたハルコネンと違い、アトレイデス家は彼らと融和の政策を取る。だがハルコネン家は長年の宿敵を討ち取ろうと策を練り、中に裏切り者を忍ばせていた…。

フランク・ハーバート原作の有名なSF小説「デューン」は、かつてデビッド・リンチ監督で映画になりました。
この映画は賛否両論ありましたが、僕は好きな作品です。とはいえ、原作自体が長い作品なので、説明不足という感じは否めませんでした。この映画版は、後にカットされたシーンを付け加えた長尺版がビデオでリリースされましたが、それでも語り足りない部分がありました。

それから10年以上経ち、アメリカのSF専門のケーブルTV局、SiFiチャンネルがより長い尺で再度の映像化です。このバージョンは日本では1時間半の長さのビデオ3巻でのリリースで、本国ではミニシリーズの形で放映したかもしれません。
この長さだとさすがに、映画版よりは話の密度が濃く描かれていて、特に中盤のポールとジェシカが脱出してフレーメンと行動を共にするくだりは映画版ではかなり切られていましたが、ビデオでは中巻がまるごとその部分に当てられています。
また、スパイス生成の秘密、ジェシカとハルコネンの関係、チェニと結ばれたはずのポールが皇帝の娘を妻にする思惑など、映画版では削られた興味深いエピソードが多々出てきます。
3巻270分は一見長く思えますが、こういった風に、この長さでようやく「デューン」は完全映像化という感じです。映画版で物足りなさを感じた人は必見でしょう。
見ものはお話だけではなく、上巻のメインの舞台となるアラキスは、城の中だけではなくの町が出てくるし、スパイス密輸業者や水売り商人といった種々の人が出てくるなど、世界観にも広がりが見られます。
メカシーンでも、ソプターとハルコネン戦闘機のドッグファイトや、皇帝艦隊といった、映画版では見られなかった描写は見ものです。

メカのデザインは映画版とは大差は感じませんでした。ウォームはイモ虫体型という基本の姿は映画版と同じ(これは変えようがない)ですが、より硬質な、メカっぽい皮膚を感じさせます。ナビゲーターも人間離れした形ですが、映画版とは違ったデザインになっています。
ファッションデザインは映画版でもそうでしたが、全体的に中世ヨーロッパ風の感じがします。コスプレの感じで面白いですが、大きな帽子のような、髪につけるでかい飾りが多いのは、歩きにくそうに思いました。

話の本筋の前に起こっている、アトレイデス家とハルコネン家との確執の経緯は、このバージョンでも映画版同様に冒頭のナレーションで説明されています。しかしこれは簡潔すぎて、話に入りにくい感じがしました。このあたりは多少時間をかけて、ハルコンネン家のアラキスでの横暴ぶりなどを映像で見せた方が分かりやすくなったように思います。恐らく原作がこういう形だからこういうさらりとした描写にしたかもしれませんが、もっと大胆に脚色してもよかったと思います。

TVとはいえ規制のゆるいケーブルのせいか、このバージョンには映画版では全く無かったヌードシーンも少し出てきます。
また規制がゆるいといえば、戦闘シーンでも結構残酷な描写があり、特に子供が絡むシーンは映画以上にえげつなく感じました。

音楽は映画版ほどのインパクトは感じませんでしたが、神秘的なシーンのBGMでコーラス的なメロディを使っているのは映画版を思わせます。戦闘など、テンポが速いシーンは中東風の感じの、打楽器を多用した曲を使っています。こういうフレーメン絡みの描写はやはり中東の感じで、建造物なんかはイスラムの遺跡を思わせるものがあります。

 

 


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