製作は「アルマゲドン」のジェリー・ブラッカイマーで、監督は「クリムゾン・タイド」でついに実力を見せた(「トップガン」はあまりにも先読みできる展開で嫌い)トニー・スコットのコンビの作品であるせいか、飽きさせずに楽しませてくれます。
巨大な組織に一人で立ち向かっていき、組織を追いつめていく、という話は見ていて痛快なものがありますが、今回は「監視」ネタだけに、敵の監視カメラを逆利用したり、クライマックスでFBIの監視状態を利用するなど、テーマに沿った展開はうまいです。
ただ、痛快なのはいいのですが、そのために「誰かに監視されることの怖さ」が薄れたと思います。ま、エンターテイメントだからしょうがないだろうけど。まともに「監視」の恐怖を描いたら、「1984」じゃないけど、陰陰鬱々になる内容になってしまうでしょう。
敵の狙いはウィル・スミスの持つ映像データですが、彼がそれを持っていると判った後でも、敵は彼を監視してるだけでした。ここはさっさとウィル・スミスを捕まえてブツのありかを吐かせれば解決は早いのに、と思いました。敵の技術力を持ってすれば、罪をでっち上げて捕えることなど簡単でしょうに。ま、この映画は「監視」と、それを利用した「追跡」を見せるのがウリで、彼を捕まえてしまっては事件が終わってしまうから、そうさせない話を作らなければいけなかったのだろうけど。
ウィル・スミスが追われることになるきっかけの事件で、殺される議員は「ジュリア」とかに出た名優ジェーソン・ロバーツだと思います。クレジットされていたかな?
ジョン・ボイトは「ミッション・インポッシブル」といい、「アナコンダ」といい、このところ悪役が目立ちます。こいつが出てきたら悪役に決まり!
ジョン・ボイトの部下がウィル・スミスを追っていく描写は、追跡に関しては彼らはプロフェッショナルである、という感じがよく出ていましたが、彼らが「善悪は問わず、とにかく人を追いつめていくのが楽しい」とか「上司の安全のために人を追いつめるのは許されるのだろうか」とか悩むような、個性を感じさせてほしかったと思います。それとも、娯楽映画だから単純に悪いやつは悪いやつのままでいい、とでもいうのかな?
ガブリエル・バーンが出ていたみたいですが、どういう立場のキャラかよく分からなかったし、出演シーンが短いせいかあまり印象にも残らなくて、もったいない感じがします。
クライマックスでの、全キャラ(一人除く)が銃を向け合うシーンは、まるで「トゥルー・ロマンス」でした。これもトニー・スコット監督でしたね。
ウィル・スミスが事件に巻き込まれることになるランジェリーショップは、サンフランシスコのストリップ劇場と日本のランパブを合わせたような、男の夢ですねえ。本当にあんな店があったら、フェミニストの団体から「セクハラ」と言われかねないと思うけど(あれば見たい)。
ウィル・スミスがディスクを入れられる紙袋には初代ガンダムのイラストが描いてありました。スタッフに日本のアニメファンがいたのでしょうか。その袋に書いてあった店の名前は「unagi
toy」という妙な名前(アメリカ人にはクールに聞こえるのかも)の店でした。子供がプレイしていたゲームはプレステ(ソフトは不明)だったし、日本のサブカルチャーのハリウッド進出もメジャー級になってきたかな。