ダーク・ブルー

 

 

第2次大戦時代、ナチス・ドイツはチェコスロバキアに侵攻し、軍は無条件でその占領を受け入れる。チェコ空軍でパイロットの訓練をしていたフランタは恋人と愛犬パクチャに別れを告げ、訓練生カレルと共に祖国を脱出し、ナチスと戦うべく英国空軍に入る。彼らチェコ人で構成されたブルー部隊は英語習得に苦労し、訓練に明け暮れる日々にうんざりしながら実戦参加を待っていた。そんな中でようやく彼らに出動命令が下されるが、ろくな戦果を挙げられずに帰還する…。

チェコの映画は、アニメの方は最近公開されるようになりましたが、実写はあまり聞いたことが無く、たぶんこの「ダーク・ブルー」の監督が前に作った、「コーリャ 愛のプラハ」くらいしか日本では上映されていないと思います。
話自体は、男女の3角関係の設定はどこかで見たような気がしますが、その関係の変化を物語る演出がうまく、全体的に退屈しないで見れます。
かつてあったような、戦争と愛を絡めた大河ドラマのダイジェスト版を見てるような感じがしました。

映画の見どころは戦闘機の戦いのシーンですが、この映画では撃墜、あるいは死に関するシーンが実にさりげないというか、あっけない感じで描かれます。
恐らく戦場での死は一瞬で決まってしまうものでしょうから、従来の映画でよくある(特にアニメ)ような、死ぬ前に愛する人の名前を呼ぶといった、英雄的な行為はあまり無いと思います。その意味で、この映画での「気づいたときには死んでた」描写にはリアリティーが感じられます。
また、主人公たちが所属しているチェコ人部隊になかなか出撃命令が降りないのも彼らの境遇が出ていてリアルだし、いざ命令が下って出撃しても、ろくな戦果を挙げられないのもヒーローぽくないリアルさがあります。
彼らは英国人から見れば外人で、英語の習得に苦労してしまい、自分たちで会話するときはちゃんと母国語を使うところも外国人監督らしい描写です。これがもしハリウッド映画であったら、チェコ人と英国人がお互い上手な英語で会話してるという、とても不自然な描写が見られたことでしょう。
第2次大戦中のチェコの歴史は全然知りませんでしたが、その知識が無くても楽しめる映画です。しかし主人公のような愛国者に、こうも不遇な運命が待っているとは初耳でした。

この作品はなぜか、スタジオジブリが配給協力をしています。宣伝文では、映画を誉めるのをあまり聞かない宮崎駿氏がこの作品を誉めていて珍しいと思いましたが、単なる戦闘機の映画ではない、飛行機が恋愛ドラマとちゃんと絡んでいるところなんかが惹かれたのではないかと想像します。もしかしたら宮崎氏はこの映画のような、飛行機が絡んだ大人向けのドラマを作りたいのかもしれません。

 

 


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チェンジング レーン

 

 

裁判所に重要書類を届ける途中の敏腕弁護士ギャビン・バネック(ベン・アフレック)の車と、子供の親権をめぐる裁定のため、同じく裁判所へ急ぐドイル・ギプソン(サミュエル・L・ジャクソン)の車は、ギャビンが強引な車線変更をしたため、フリーウェイの真ん中で事故ってしまう。2人はこの事故のためにお互いに裁判で不利な結果を被り、ギャビンがドイルを追い詰めたことから、彼らはお互いを滅ぼそうと暴走を始める…。

何気ないチェンジング・レーン=車線変更が、接点が無かったはずの2人の男の人生の重要な転機になってしまう1日を描いた作品です。相手をある時は破滅させようと、またある時は助けようとする2人の行動が楽しめて、退屈しないで見れました。
ベン・アフレックは、初め出てきたときはいかにもハリウッドが描く弁護士といった、自己チューな奴ですが、話が進むに従っていいひとの部分も見せてくれます。そしてサミュエル・L・ジャクソンは基本的には善人なのですが、ギャビンに引きずられるように徐々にダークな面を覗かせます。この悪と善のブレが人間の良心の葛藤という感じで不自然には見えず、先読みの出来ないサスペンスを作り出しています。
ラストの後味は悪くはないのですが、無理にハリウッド的な良心を強調したように感じました。翌日のシーンを無くしても、それはそれでちょっと怖い、リアルな話になったと思います。

サミュエル・L・ジャクソンは「スター・ウォーズ:エピソード2」や「トリプルX」など、最近よく顔を見ますが、この「チェンジング レーン」では「スター・ウォーズ」や「マトリックス」のようなヒーロータイプでないキャラを演じてるのは面白いところです。この作品ではいつもメガネをかけていることもあって、出ていると知らなかったらしばらく、彼だと気づかなかったかもしれません。
アル中患者のリハビリ施設の先生役でウィリアム・ハートが出ていますが、この人でなくてもいいようなチョイ役でした。

ギャビンの妻が不正をそそのかすシーンは、「トラフィック」で、生活のために麻薬売買に手を染めるドラッグディーラーの若妻を思い出しました。現在の生活レベルを維持するためには悪に手を染めるのもいとわない、という考え方は今ぽくてリアルに思います。だからってやってもいいとは言わんけど。

 

 


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トリプルX

 

 

アメリカのNSAはチェコのプラハにある秘密組織「アナーキー99」に工作員を送り込んでいたが、ことごとく正体を見破られていた。ギボンズ(サミュエル・L・ジャクソン)は、本物のワルを組織に送り込むことを提案し、金持ち議員をコケにした映像をネットで流しているスリル大好き野郎、ザンダー・ケイジ(ヴィン・ディーゼル)を拘束し、実地テストをする。非凡な運動神経と洞察力でテストに合格してしまったケイジは、刑務所行きの免除と引き替えに捜査に協力することになり、プラハに向かう…。

橋から落ちる車からパラシュートで脱出、爆発する小屋をバイクで飛び越える、雪崩が背後に迫る中をスノボで滑り抜ける…等、超ド迫力のアクションがこの映画の一番の見所です。「タイタニック」のデジタルドメインが合成を手がけたせいか、アラが全く分からず、スタントと組み合わせて巧妙に迫力を出しています。
デジタル合成のおかげで昨今はいくらでも迫力あるアクションが作れるようになりましたが、この映画を見ると、まだまだネタは考えられそうです。

この映画のもう一つのウリは、主人公がワルだという点です。といっても、人殺しのような冷酷非道な人間ではなく、政府にたて突く程度のかわいいもので、しかも初めは嫌がっていたのに、だんだん積極的に任務を受けてしまうなど、主人公がいい人になってくるのは中途半端に思いました。
ワルがヒーローになる話はそう多くはありませんが、やはり味方にするなら、「ニューヨーク1991」のスネークみたいに薬を使ったり、「スケバン刑事」の麻宮サキみたいに弱みを握るなど、追い込まなきゃホントぽく見えません。
とはいえ007みたいに、主人公が初めから任務に忠実であるとか、愛国者ではない点は新鮮です。今の007シリーズもこの映画と同様にアクションは迫力があるものの、どこか今更という感じがするのですが、それに比べればザンダーの方がまだ新味が感じられます。
また主人公は消極的とは言えないものの、あまり人を殺さないのも好感が持てました。

主人公ザンダーを演じているヴィン・ディーゼルは「プライベート・ライアン」で大抜擢されたそうですが、僕はこの時の彼を覚えていません。僕にとってディーゼルはむしろ、「ピッチブラック」の印象が強い役者です。「ピッチブラック」での彼は、囚人でいながら仲間を助けるようになるという、初めはワルだけど後で善人というキャラは「トリプルX」の設定と似ています。見た目もスキンヘッドで、肌の露出が多いマッチョ気味というのも同じ感じで、もしかすると「ピッチブラック」の印象からディーゼルはザンダー役に抜擢されたのかもしれません。
ハリウッドのアクションヒーローはこれまでスタローンやシュワルツネガーなんかがトシながらがんばっていましたが、最近になって「スコーピオン・キング」のザ・ロックや、この映画でのヴィン・ディーゼルなど、ようやく世代交代が始まった感じです。

この映画でヒロインを演じるアーシア・アルジェントは名前は知っていましたが、ヨーロッパ映画の人だと思っていたので、ハリウッドの、しかもこういった娯楽作に出るとは以外でした。なかなかの美人ですが、ディーゼルとは違い、タトゥーが本物というのは見かけに似合わない過激なヤンママです。

ザンダーの部下がメカヲタクという設定は、007のQを意識しているように思います。結局上司になってしまったギボンズなど、ザンダーの周りのキャラも面白い感じだし、続編の製作が決定しているということで、次回作のキャラクターのふくらみ度合いに期待したいところです。

本編にはパソコンが出てきますが、他の映画でよく見るMacではなく、VAIOでした。ヒットは日本だけではなかったか…。

 

 


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ザ・リング

 

 

大ヒットホラー「リング」が好評だったのは日本だけではなかったようで、いつの間にかハリウッド、それもスピルバーグの製作会社であるドリームワークスでリメイクが作られていました。
最近ハリウッドで外国映画をリメイクした例では、トム・クルーズが主演した「バニラ・スカイ」がありましたが、この作品は元となったスペイン映画「オープン・ユア・アイズ」とは設定も話もほとんど変えないで作っていました。
この「ザ・リング」も、大筋はオリジナルの日本映画と同じストーリーになっています。オリジナル版は原作の設定自体をかなり変えていましたが、このハリウッド版もそれに倣い、原作の映像化というよりも日本の映画版のリメイクといっていいでしょう。
ビデオを見た少女が死んだことで親戚である主人公レイチェルが呪いのビデオの存在を知り、少女がビデオを見たロッジでそれを見てしまい、彼女の元夫ノアと共に調査を開始するも、レイチェルの息子エイダンもビデオを見てしまう…という感じで話が進み、こういった大まかなストーリーラインはオリジナル版と同じです。
宣伝では「ラストが違う」というのをウリにしていますが、100%オリジナル版と同じとは言えないものの、違いは些細なもので、この宣伝は誇大です。

しかし、今回貞子に当たる人物サマラと、その両親の設定にはかなりの変更があるし、主人公の息子エイダンとサマラにつながりができることで、息子の重要度が高くなっているところはオリジナル版との大きな違いでしょう。
また、ビデオを見るモーテルの支配人の描写やビデオの取り方、その後の思わせぶりな不気味シーンなど、細かい部分でオリジナル版と違う描写が色々とあります。
さらに、主人公がビデオを見た後に撮る写真がオリジナルではポラロイドカメラでしたが、このバージョンはより今ぽい機器が使われていたり、クライマックスでのサマラの動きにデジタルぽい、ビデオを思わせるイフェクトが加えてあるなど、部分的にはオリジナルを超えていると思える描写があります。
それに、オリジナル版では長い感じがしてしまった、井戸でサマラの遺体を探すシーンが短くなってるのも、オリジナルよりいいと思えた点でした。
今回のリメイク版はこういった、オリジナル版と違った部分が結構あるので、日本版を見た人にも楽しめる形になっています。

展開が分かっていてもギョッとするシーンがいくつかあるし、全体的な雰囲気もオリジナルと違った、乾いた荒涼感のある不気味さ(特に中盤の「馬」に関する描写は独特)があって、ホラー映画としても合格といえる出来だと思います。
とはいえ、話が分かってるせいか、少し退屈に思ってしまったところはあったのですけど。

この作品では「猿の惑星」などを手がけた大御所リック・ベイカーが特殊メイクを担当しています。たしかに死体は不気味な出来でさすがですが、一番重要であろう、クライマックスでのサマラの顔は普通のゾンビみたいで、インパクトに欠けます。

この作品のアメリカの興行成績は1週目が1位で、2週目も上位に入っているので大ヒットといえるでしょう。これなら続編が作られるかもしれません。内容からしても、サマラのホントの父親の謎など、まだ説明されていない部分があって、続編を意識しているようにも見えます。でもやるとしたら、「リング2」のリメイクだけはやめてほしい…。

僕は初日に川崎で遅い回を見ましたが、観客に10代20代らしき人が目立ったのはオリジナルと同じでした。入りは全体の2/3くらいで、初日にこれではあまりヒットしていないのかと思ったら、興行成績は第1位。このシーズンは映画館に行く人口が夏や冬に比べて少ないのかもしれません。

オリジナル版「リング」が好評なのか、監督の中田秀夫氏の映画はハリウッドで今後続々リメイクされる予定だそうです。「女優霊」は分かるけど、「カオス」(見てませんが)や「ほの暗い水の底から」なんてその価値があるのかどうか…。

 

 


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プロフェシー

 

 

クリスマスの近づいた日、ワシントン・ポストの記者ジョン・クライン(リチャード・ギア)と妻メアリーは、新居を見た帰りに車を運転していた時、突然メアリーの目の前に何かが現れ、車は事故を起こしてしまう。病院で気づいたメアリーは、ジョンにおびえたように「あれを見た?」と言い涙を流す。病院の検査で彼女の脳に特殊な腫瘍が発見され手術が施されるが、メアリーは帰らぬ人となる。ジョンは彼女の遺品から、翼を持つ人間を描いたように見えるスケッチを見つける…。

「プロフェシー」というタイトルの映画は、クリスリトファー・ウォーケンが悪魔を演じた作品など、過去に2、3本ありました。今回の「プロフェシー」は原題が「モスマン(蛾男)・プロフェシー」というタイトルで、アメリカで実際に起きたという、蛾男にまつわる不可解な事件に基づく話です。
映画の雰囲気には全体的にホラーぽい不気味さが漂っていますが、結局何もない思わせぶりなシーンがほとんどです。不気味で思わせぶりなシーンが多いのは、この映画の少し前に公開された「サイン」と同様で、この「プロフェシー」は「予言」で「サイン」は「予兆」と、中味も似た感じ(劇場で謎解き用というチラシが配られたのも同じ)ですが、ネタとテーマの統一という点では、「プロフェシー」の方が、分離しているように見えた「サイン」より許せます。しかし話の作りや演出の上手さは「サイン」の方が上でしょう。
見どころは冒頭とクライマックスくらいで、中盤は退屈しました。

本編の中で語られるモスマン(蛾男)は太古より存在しているそうですが、やはりその正体や予言の意図は明らかにはされません。映画の中で「人間がゴキブリに意図を説明するか?」というセリフの通り、蛾男は人間以上の存在らしいから、分からなくても仕方ないのでしょう。
本来なら、モスマンの正体を追求するような話にした方が正当な展開でしょうが、「アンビリーバボー」のような、起こった現象を再現する以上のことは製作者はやりたくなかったのかもしれません。

超常現象ネタの好きな人なら楽しめる作品でしょう。

 

 


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クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア

 

 

ロックの旋律に100年の眠りから覚めたヴァンパイア・レスタト(スチュアート・タウンゼント)はロックスターとして世界中を魅了し、自らヴァンパイアであることを明かす。だがその姿勢は、ひっそりと生きようとする他のヴァンパイアたちの不興を買っていた。イギリスの超常能力研究所に努めるジェシーは、子供の頃の不可思議な記憶からレスタトに惹かれるが、彼女の上司はレスタトの日記を読ませ、深入りしないように忠告する。その日記にはレスタトをヴァンパイアに変えたマリウスとの出会いと、彼が保持する古代エジプトに生きていたヴァンパイアの女王、アカーシャ(アリーヤ)の不可思議な彫像のことが語られていた…。

トム・クルーズ&ブラッド・ピッド主演で大ヒットとなった「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のアン・ライス原作の「ヴァンパイア・クロニクルズ」を映画化した、シリーズ?最新作です。
今回はキャストもスタッフも話も、「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」と違うものになっています。しかし主人公であるレスタトがいきなり出てきて、彼がどういう人物かを語るシーンは無く、見ている人が「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」の世界観を分かったものとして話が進みます。
話の構成はレスタトとジェシー、そしてマリウスの話と、悪のヴァンパイアクイーン・アカーシャの話の2つが平行に進む形です。しかし、タイトルに「クイーン」とついているわりにはジェシーの方が出番が多く、アカーシャは最後に一暴れして退場してします(弱い!)。この構成で話のバランスが悪くなり、中味が散漫に思いました。

アカーシャの存在でヴァンパイアの歴史の長さは感じさせるし、初登場での彫像のイメージは不気味な美しさがあります。しかし彼女がヴァンパイアを滅ぼす時に使う炎のイフェクトは、「ブレイド」のパクりみたいで面白みがありません。アカーシャを演じるアリーヤはこの撮影の直後に事故死してしまい、彼女にとってはこの作品が遺作になってしまいましたが、背が小さくて体にボリュームが無い(貧乳なのがすげえ気になった)せいか、女王らしい威厳が感じられませんでした。
今回レスタトを演じるのはスチュアート・タウンゼントです。前作でトム・クルーズが演じたレスタトは、「トップガン」で彼が演じたキャラを悪にしたような茶目っ気があって面白い感じでしたが、今回のレスタトは美形ではあるものの、いいひと?すぎて面白味がありません。ロックと吸血鬼の結びつきもありがちです。でもこれらはタウンゼント君のせいというよりは、シナリオと演出の平凡さゆえだと思いますが。

ゴシックの風格があった「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」よりその感じは薄れているし、キャストもスタッフもストーリーも「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」と比べると格が落ちる作品です。

 

 


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アバウト・ア・ボーイ

 

 

ウィル(ヒュー・グラント)は父親が書いたクリスマスの曲が大ヒットしたおかげで印税で十分に生活できる38歳の独身男。一方マーカスは内向気味なシングルマザーと暮らす12歳の少年で、学校でいじめられていた。ウィルはガールハントに余念が無いが、いつもつきあいだすと重荷になり、自分から別れを切り出して相手から罵倒されている。彼は妹の友人の女性とお知り合いになるが、彼女は後で子供がいることを告白し、向こうから別れを切り出してきた。自分に責任を感じなくてもいいお気楽さに目覚めたウィルは、シングルマザーをターゲットにすべく、片親の集会に出て、子供がいるとウソをついて女性をゲットしようと企む…。

「ブリジット・ジョーンズの日記」のスタッフが作った作品だそうで、主演は「ブリジット−」で女の敵のような浮気男を演じていたヒュー・グラント。今回のキャラはその彼をナイスガイ気味にした感じです。
「ブリジット−」ではブリジット姉ちゃん一人の独白で話が進んでいましたが、この「アバウト・ア・ボーイ」ではウィルと、後に彼と親しくなる少年マーカス、2人の交互の独白という、ちょっと変わったスタイルで進みます。

ウィルは働く必要も無く好きなように生きていて、その生活スタイルはうらやましい限りです。しかし一見気楽にやってように見えるものの、実は社会的な特技や経験が無いことがコンプレックスになっています。僕も働いてはいますが、好きなようにやってきただけでろくな経験が無いので、彼の悩みは人事とは思えませんでした。
子供に靴を買って喜ばれたのが嬉しかったり、家族のパーティが楽しいと思ってしまうとこなんかは、子供がいる人にとっては当たり前のことかもしれません。でも僕みたいな子供がいない独身野郎にとっては、そういった楽しさがうらやましくなります。この映画、独身男の気楽さと孤独をホントによく描いていて、身につまされます。

映画は1時間半くらいの短い尺ですが、ウィルとマーカスの関係を中心に絞って散漫にならず、テンポ良くまとめています。主人公がギターを持っているなど、伏線の生かし方も上手くて、飽きさせません。
普通の話だと、ウィルはマーカスの母親と結ばれてめでたしめでたし、で終わるところでしょうが、この映画はそう単純な人間関係に落ちつかせてはいません。これが現代的なドライさが感じられて、面白いところでした。

 

 


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オープン・ユア・アイズ

 

 

セサールは、パーティで友人ペラーヨの恋人ソフィア(ベネロプ・クロス)と出会い惹かれる。だがこの時セサールと関係を持っていた女性ヌリアは嫉妬のあまりセサールと無理心中を図り、彼女は死亡し、セサールは一命を取り留めたものの、顔に大きな傷跡が残ってしまった。医者たちはろくな治療を施せず、結局セサールは無表情なマスクを被るしかなかった…。

トム・クルーズが主演した映画「バニラ・スカイ」の元ネタとなったスペイン映画です。
「バニラ・スカイ」は寝てしまって、全部を見てはいないのですが、覚えている限りで言えば、この「オープン・ユア・アイズ」は「バニラ・スカイ」と全く同じ話でした。ということは、「バニラ・スカイ」は「オープン・ユア・アイズ」の内容を変えることなく、忠実にリメイクした映画ということになるのでしょう。
なので、この「オープン・ユア・アイズ」、同じ映画を2回見たような感じがしました。それに話だけでなく、眠気を感じたとこまでも同じでした。
「バニラ・スカイ」を見たときは、最後のオチが意外すぎて唖然としてしまいましたが、今回は同じネタを見たのが2回目(製作順序は逆なのですが)のせいか、納得できました。こちらの方はトム・クルーズみたいな有名人が出ていなくて、どこかB級テイストがあり、受け入れやすいようにも思います。

夢と現実が交錯する映画はよくありますが、それらをこの映画のように論理ぽく関連付けた話は聞いたことがありません。その意味ではこの「オープン・ユア・アイズ」は画期的な映画といえるかもしれません。またこういうトリッキーな形の作品は、単純な娯楽作品よりも批評家受けがいいのでしょう。

主人公がマスクをしない、傷ついた顔を露出するシーンは「バニラ・スカイ」のトム君の方がこちらより、少なかったように見えたのは気のせいかなあ…?

 

 


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永遠と一日

 

 

年老いた小説家アレクサンドレは、医者から病気の宣告を受ける。彼が娘のマンションに寄った帰り道、車の窓拭き少年が警察に追われている現場に遭遇し、アレクサンドレはとっさに彼の車を拭いた少年をかくまう。彼はアルバニアから来た難民と思われるこの少年を、国境まで行けるバス停に連れて行くが、少年はバスに乗ろうとしない。アレクサンドレは少年を連れて国境へ向かう…。

カンヌ映画祭の最高賞パルムドールを受賞した、ギリシャ映画です。
現在のシーンに過去のキャラクターが入ってきたり、その逆など、時折出てくる現在と過去が入り混じる描写には面白さがあります。
また、ギリシャとアルバニアの国境で霧にかすんだ金網にたかる人たち、結婚式のダンスなど、どこか荒涼とした美しさが感じられるイメージも見ものでしょう。
とはいえこの映画、長回しが多くて眠くなりました。僕はビデオで見ましたが、早送りをしなければ耐えられませんでした。
セリフも少なく静かな映画で、退屈したのはそれも一因ですが、それゆえにセリフが出てくるとハッとさせられることはあります。

過去のシーンでも主人公は、常に現在のように年老いたままのキャラでした。冒頭では少年時代と思われる主人公が名前を呼ばれて起こされるシーンから始まるし、この物語はもしかしたら、死期の迫った主人公が見ている夢なのかもしれません。

しかしこの作品といい、「ペレ」にしても「ダンサー・イン・ザ・ダーク」にしても、どうもカンヌの評判作と僕はウマが合わないみたいだ…。

 

 


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ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

 

 

ロイヤル・テネンバウム(ジーン・ハックマン)は独善的だが有名な弁護士。妻エセル(アンジェリカ・ヒューストン)との間に3人の子供ができるが、長男チャスは不動産投資に抜群の才能を示し、次男リッチーは国内大会連覇のテニスプレイヤーに、長女マーゴは書いた戯曲が大ヒットと、幼いうちに天才ぶりを見せる。それから数10年後、彼らは家庭や自分に問題を抱えてしまっている。そんな時、家を出てホテル暮らしをしていたロイヤルが戻ってくるが、エセルは会計士ヘンリー(ダニー・グローバー)にプロポーズされていて当惑し、「元」天才の子供たちも同様だった…。

出演者が豪華な映画です。タイトルにもなっている主人公?のロイヤル・テネンバウムに「エネミー・ライン」等の名優ジーン・ハックマンが扮し、妻エセルに「アダムズ・ファミリー」シリーズ等のアンジェリカ・ヒューストン、長男チャスにベン・ステイラー、長女マーゴに「恋に落ちたシェイクスピア」等のグウィネス・パルトロウが扮しています。
さらに彼らに関係するキャラで、マーゴの夫に「ゴーストバスターズ」等のビル・マーレー、会計士ヘンリーに「リーサル・ウェポン」シリーズ等のダニー・グローバー、リッチーの幼ななじみイーライに「エネミー・ライン」以来2度目のジーン・ハックマンとの顔合わせのオーウェン・ウィルソンといった顔ぶが出演しています。
オーウェン・ウィルソンはこの作品の脚本と製作総指揮にも関わっています。そんなに才能のある奴だったのか…?

キャラクターは設定だけ聞くと超個性的で面白い感じです。しかし引きこもりや妻の死によるノイローゼなど、彼らの抱える悩みの描写が深刻すぎて、それらを笑い飛ばす材料にならず、暗さが目立ってギャグが笑えません。
話自体もバラバラだった家族がまとまる話という、よくある話ですが、ソツなくまとめてしまったおかげで、キャラクターの個性を殺してしまったように思います。話のまとまりなど考えずにキャラクターを暴走させた方が、話は破綻したかもしれませんが、破天荒でまだエネルギーが感じられる作品になったように思います。

本編は本のように章が分かれていたり、説明の字幕が入るなど、変わった構成で意欲が見られる作品ですが、スタイルと話がかみ合わずにずれたままで、スターたちの競演だけが目立った映画です。

 

 


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チョコレート

 

 

ジョージア州の刑務所で看守をしているハンク(ビリー・ボブ・ソートン)は、体の不自由な父親と、同じ仕事をしている一人息子ソニーと暮らしている。彼らは数日後にマスグローヴという男の処刑を執り行う予定で、その妻レティシア(ハル・ベリー)と息子が最後の面会に来る。息子は父親のことを慕っているが、レティシアは疲れている様子だった。その死刑執行前、マスグローヴを処刑室に連行する途中でソニーは嘔吐してしまう。執行後、ハンクはソニーの態度を不甲斐ないと厳しく責める。翌朝、ソニーは銃を取り出し…。

愛する者を失った男女が、失ったことで変わっていく話、といった作品です。派手なアクションは無く、BGMもあまりかからない、静かな映画です。
この映画の一番の魅力は、そのラストシーンでしょう。レティシアがある決断をするのですが、映画はそれがどういうものかを語らず、彼女の表情を見せるだけで、観客に解釈を委ねた形で終わります。
最後を語らない映画というのは珍しくありませんが、たいがい中途半端に見えてしまいます。しかしこの映画の場合は、想像が膨らんで好感が持てました。見終わってから数日経っているのに、ふと、彼女の決断はこうだったのではないか、と考えてしまう映画は珍しいです。
これはラストのハル・ベリーの表情によるところが大でしょう。彼女はこの作品でアカデミー主演女優賞を取りましたが、それも納得のラストシーンでした。

この作品は18歳未満お断りの指定になっています。確かに普通の映画に比べるとSEXのシーンは濃厚ぎみで、ハル・ベリーはAV女優に転向できるんじゃないかと思えるような、エロい艶技を見せてくれます。これもアカデミー賞の要因かなあ。
SEXといえば、この映画で初めに出てくるHシーンは、前戯無しのいきなりバックで、オイオイ…て感じでしたが、映画の最後のあたりではそういう乱暴なやり方ではなくなってきていたのが、体位の変化で男の心の変わり方を表しているようで、面白い見せ方でした。

 

 


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ハロウィンH20

 

 

イリノイ州でハロウィンの前日、看護婦一家が惨殺される。その看護婦はかつて、6歳で姉を殺したマイケル・マイヤーズを診ていたルーミス博士を世話していた女性だった。そしてカリフォルニア州サマーグレンにある全寮制の私立高校の校長をしているケリ・テイト(ジェイミー・リー・カーティス)はハロウィンが近づくと忌まわしい夢を見るようになるが、息子のジョン(ジョシュ・ハーネット)は過保護気味の母親にうんざりしていた。高校ではその日全校生徒がヨセミテへ行くことになっていたが、ジョンは恋人と友人ら4人で学校に残るつもりだった。ハロウィンの晩に…。

「ハロウィン」は今までに何本シリーズが作られたか分かりませんが、この作品ではついにマイケル・マイヤーズと妹ローリー・ストロード=ジェイミー・リー・カーティスが本格的に対決します。
しかし映画ではマイケルはずっと精神病院に入れられたように言っているので、今回の作品は1作目の続編みたいに受け取れました。てことは、2作目以降は無かったことにされてるのかな?

映画の大半はマイケルがローリーのもとに来る過程と、人間関係やクライマックスの舞台になる寄宿舎の内部の紹介になっていて、ラスト20分くらいが本筋となる、殺し合いと決着という構成です。話の構成はシンプルで目新しさはありませんが、「ハロウィン」のメインキャラの出演ということで、それなりに興味を引き付けてくれます。寄宿舎の仕掛けをちゃんと見せているのも、話にそれがどう関わるのか興味を持たせます。
この作品は日本では劇場公開ではなく、ビデオのみのリリースですが、このB級テイストであれば無理もないでしょう。

今までのシリーズではマイケルと戦う?のはルーミス博士でしたが、演じるドナルド・プレザンスが死んでしまったのでジェイミー・リー・カーティスになったのでしょう。でもクレジットの最後にはちゃんと「ドナルド・プレザンスに捧ぐ」という文が出て、製作者たちが彼に敬意を払ってるのが伺えてうれしくなります。
ローリーの息子(マイケルにとっては甥)を演じるジョシュ・ハートネットは、これが作られた頃は「パラサイト」に出演など、まだ新人扱いで、この後に「パール・ハーバー」での大出世となります。

高いところから落下して倒れたマイケルへの、ローリーの対処は前作を踏まえた感じがしました。今回はさすがのマイケルにも決着がついたように見えます。ジェイソンもこうすればとどめを刺せたかもしれないのに。
しかし、「ハロウィン」もこれで最後かと思ったら、まだ続編があるようです。ジェイミー・リー・カーティスもまた出てるらしいけど、これじゃあマイケルはジェイソンと変わらんような…。

 

 


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最'新'絶叫計画

 

 

ホラーを始め映画のパロディがてんこ盛りだった「最終絶叫計画」のパート2です。前回は「スクリーム」を基本とした殺人鬼の話でしたが、今回は幽霊屋敷ネタを基本にしたゴースト話になっています。

この映画、なんと始まる前に前作のパロディのおさらいをしてくれます。それもちゃんと前作のシーンを流して、これは「シックス・センス」だよとか、「ブレアウイッチ」「マトリックス」であるとか丁寧に解説をしてくれています。これはもちろん日本版のオリジナルですが、その紹介のナレーションも銭形警部やボヤッキーやしんちゃん風にパロディぽくしています。
とはいえこの映画、キャラクターは多少前作と被るものの、実はほとんど関係ない話で、前作の知識が無くても十分楽しめます。

このシリーズは「フライングハイ」や「裸の銃を持つ男」のホラー版という感じで、話がどうこうよりも、一発ギャグやパロディを楽しむおバカな作品と言うべきでしょう。今回も前作同様に「チャーリーズ・エンジェル」「悪魔の棲む家」「ファイナル・デスティネーション」「ポルターガイスト」など数多くの映画がパロディにされていますが、この映画はそれだけでなく、ホモ、動物虐待、セクハラ、障害者、大小便、大麻といったネタのアブないギャグが頻発します。
この作品は日本では2001年度のファンタスティック映画祭で初上映されて以来、劇場公開まで約1年の間が開いていますが、もしかしたらこれらのヤバネタが、配給会社に公開へ2の足を踏ませていたのかもしれません。

今回は70年代に大ヒットして、ちょっと前にディレクターズ・カットが公開された某ホラー作品のパロディで始まります。このシーンではジェームズ・ウッズが特別出演していますが、どうせなら「ヴァンパイア:最後の聖戦」もパロってほしかった…。

 

 


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完全犯罪クラブ

 

 

断崖に建つ古い屋敷で、高校のクラスで人気者のリチャードと成績だけがいいジャスティンは、今度こそ「実行する」ことを決意し、後日川で女性の絞殺死体が発見される。状況証拠から学校の用務員が犯人と疑われるが、男性と深く関わろうとしない女性刑事キャシー(サンドラ・ブロック)は、リチャードとジャスティンが怪しいと睨む…。

少年たちが捜査陣をかく乱するトリックはなかなか巧妙で楽しめます。本やらインターネットやらでいろんな情報が手に入るのは便利なことですが、その中には警察の捜査マニュアルも含まれており、それを彼らが利用してしまうのは、情報化時代の弊害という感じもします。
しかし、少年たちが犯罪を決行する動機が分かりません。彼らは理由として「自由がどーたらこーたら」と妙な理屈を言ってはいますが、人を殺すことが何で自由になるのかよく分かりません。動機が分からなければサイコパスという解釈もありえますが、少年たちは分別のある普通の少年に描かれていて、狂気もあまり感じられません。
予告編では「21世紀型犯罪の映画」と言っていますが、これのどこが今的なのか分かりません。この話は実際にあった事件を元にしているそうですが、その事件が起こったのは1924年だそうで、そういう古いもの持ってきてるゆえに今風に見えないのかもしれません。

キャシーにはある暗い背景が設定されていますが、これが少年たちの事件と絡んでおらず、余計に思えました。そういった話のバランスの悪さのおかげか、見ていて眠くなりました。

 

 


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赤毛のアン
アンの結婚

 

 

久しぶりにグリーンゲイブルスに帰ってきたアン・シャーリー(ミーガン・フォローズ)は婚約者ギルバートに請われ、ニューヨークに行くことになった。作家になる夢を持つアンは出版社に原稿を持ち込んだものの、流行に合わないと断られるが、編集者の職に就いてほしいと言われる。しかし彼女は、その会社の看板作家ジャック・ギャリソン・ジュニアに才能があると言われ、共同で出版しようと誘われる…。

「赤毛のアン」、「続・赤毛のアン:アンの青春」以来14年ぶりになぜか復活した、シリーズ?第3作です。
前2作とも主にプリンスエドワード島周辺を舞台にした話でしたが、今回はニューヨーク、そしてフランスなどヨーロッパを舞台にして、「赤毛のアン」のキャラを使った、スパイストーリーといった話になっています。
なのでキャラクターは同じものの、この映画にはグリーンゲイブルスはあまり出てこないし、前の「アン」シリーズやスピンオフのTVドラマ「アボンリーへの道」の特徴であり、僕が好感を持っていた、古き良き理想のコミュニティーでのほのぼの話とは違った展開です。
そういったことからこの映画は、「アン」シリーズに入れるべきか疑問に思える作品で、あまり感動も出来ませんでした。さすがに「アン」ブランドのせいか、映画館の観客は圧倒的に女性ばかりでしたが、これで満足なのでしょうか?

本編では例えば、ギルバートが出征した次のシーンでは彼が行方不明になっていたり、アンがフランスに行ったと思ったらすぐにギルを見つけてしまうなど、話がかなりはしょられているように見えました。前作でもそうでしたが、本当はもっと長い話であるのを、カットして劇場公開しているのかもしれません。

前作の記憶があいまいなので、キャラの外見が違っているかどうかは分かりません。ただアンのアップのシーンではやはり、ミーガン・フォローズのしわが分かってしまい、前作からの時間経過を感じてしまいます。

 

 


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ジェイソンX
13日の金曜日

 

 

21世紀初頭、殺人鬼ジェイソンはガスや銃などいかなる方法をもってしても殺せなく、クリスタルレイク研究所に隔離されていたが、彼の不死の生命力の研究のため移送されることになる。彼の危険性を知る主任研究員ローワンは反対するが、彼女の目の前で拘束を解かれたジェイソンは移送に来た兵士を惨殺し、彼女はジェイソンを何とか超低温冷凍庫に閉じ込めたものの重傷を負い、共に冷凍保存されてしまう。そして数百年後、廃墟と化した地球からローワンは学生たちに「発掘」され、宇宙船の中で蘇生する。そしてジェイソンもその中に収容されていた。死んだと思われていて…。

久々に復活した「13日の金曜日」シリーズ。今まで何本作られたのか自分でもよく分かりませんが、今作で10作目になるそうです。
今回はジェイソンが未来に、しかも宇宙にまで進出してしまうという、一見オイオイと思う設定です。ま、「ヘルレイザー」でも宇宙を舞台にした話がありましたけど…。
話にはアンドロイドが登場したり、冷凍睡眠や宇宙船脱出のエピソードが出てくるなど、一見「エイリアン」のパクりです。しかしジェイソンが人を殺しまくるというフォーマットを忠実になぞっているせいか、この映画はちゃんと「13金」になっています。
さらに、未来の宇宙船という設定でもクリスタルレイクが出てくるし、露出の多い服を着てるねーちゃんはいるし、ティーンエージャーのバカップルがSEXしているなど、シリーズの定番ネタを外していないのも「13金」という雰囲気を感じさせます。
また宇宙船が危機に陥る話があるおかげで、ほとんどジェイソンの襲撃と対決の話だけでしかなかった今までのシリーズとは違う面白さが今回の作品には出ているし、それらのエピソードが話の中で程よく散りばめられているので、見ていて退屈しません。

今回は「今度は戦争だ」、と某エイリアンにあったキャッチコピーを付けたくなるような、ジェイソンとの対決シーンが出てきますが、一番の見ものは女アンドロイドとジェイソンの戦闘シーンでしょう。「ランボー」をプログラムしたかと思えるようなアンドロイドの戦い方は痛快です。
またこの作品のキャッチコピーが「復活そして進化」であるように、ジェイソンのバージョンアップ(アギトかい?)も今回の見ものでしょう。タイトルの「X」にはそういう意味があるように思います。デザインは某SF映画のパクりに見えますが、今思うとその某SF映画も追いかける話なので、これ自体が「13金」シリーズに影響を受けていた、ということがあったかもしれません。

今回はキャストに有名な役者が出ていないというのもシリーズを踏襲していますが、有名かどうかはともかく、冒頭に「デッドゾーン」や「ザ・フライ」の監督、デビッド・クロネンバーグが出演しています。でもすぐ離脱。何のために出てきたんだオッサン?

何年か前「13日の金曜日」の新作は、ジェイソンと「エルム街の悪夢」のフレディ・クルーガーが対決する話だと聞いた記憶があるのですが…。前の「13金」のラストには、フレディの爪が出てきたような…。

 

 


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ディナーラッシュ

 

 

イタリアンレストラン・ジジーノのオーナー、ルイ(ダニー・アイエロ)の長年のビジネスパートナーが殺害される。現在のジジーノの実質的な仕切りはルイの息子であるシェフ長のウードで、彼が創作イタリア料理の考案で批評家を味方につけたことで、店は流行最先端のレストランとして有名になるが、ルイは伝統的なイタリア料理が好みだった。その晩も店は多くの客で一杯になるが、その中にはジジーノの乗っ取りを狙うギャングの兄弟もいた…。

ニューヨークのイタリアンレストランの一晩を舞台に、料理に加えて、愛、笑い、賭け、そして殺人に至るまで、映画のあらゆる要素を詰め込んだような作品です。
オーナーのルイやシェフ長のウードはもちろん、料理人や店員、客に至るまで登場人物の多い映画ですが、キャラクターの個性がちゃんと描かれていて、混同することはありません。キャラ同士の人間関係の描き方も上手く、反目してるように見えながら、ある時は協力するといった描写がリアルで、彼らの関係の変化で話に引き付けられました。派手なシーンや展開はありませんが、感動的な描写もあり、良く出来た小品といった感じの作品です。

料理ネタの映画ということで、厨房のシーンが結構出てきますが、「厨房は戦争だ」とキャッチコピーをつけたくなるような壮絶な描写になっています。このシーンは本物の厨房で撮影したそうで、それがカメラを固定しない、ドキュメンタリー的な撮り方になって、臨場感が伝わってきます。
そこで作られるステーキやケーキなど種々の料理は実においしそうに見えて、イタリア料理ネタということで、映画を見終わってからパスタが食べたくなりました。特にシェフ長ウードの作る料理は批評家を意識しただけあって変わっていますが、おいしそうです。

しかし殺人が起こっても店の評判落ちないのかなあ?人が殺されても、名が通ったレストランなら気にしないのがアメリカなんでしょうか?

 

 


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ブレス・ザ・チャイルド

 

 

12月、キリスト生誕の時に現れた星と同じ星が再び現れた夜、ニューヨークでひとり暮らしをしているマギー(キム・ベイシンガー)のアパートに音信の無かった妹ジェナが赤ん坊を抱えて現れるが、赤ん坊を置いたまますぐに行方をくらます。マギーは残された子供コーディを我が子同然に育てる。彼女には自閉症のような症状が見られたが、マギーはどこか違うと感じていた。6年後、6歳の子供ばかりを狙った連続殺人事件が発生するが、FBIのトラビス捜査官(ジミー・スミッツ)はカルト組織の影を感じていた。そんな時、マギーが担当した麻薬中毒患者のシェリー(クリスティーナ・リッチ)は妹の行方を知っているらしかったが、彼女はコーディを守れと言い、姿を消す…。

第2のキリストになるかもしれない子供を悪魔が取り込もうとする話で、「オーメン」や「エンド・オブ・デイズ」のような聖書ネタの、善と悪の戦いを描く物語です。
普通の話であれば、カギとなる子供を救うのは母親という設定にするところでしょうが、この作品では違います。そのために主人公マギーが子供を単純に保護できない展開になり、サスペンスが盛り上がるのは上手い設定です。
とはいえ、話がニューヨークの一部で完結してしまうせいか、「オーメン」みたいな大きなスケール感は無く、全体的にB級ぽい話です。退屈はしませんでしたが、間延びしていると思える箇所もあり、もう少し切るとテンポが良くなったと思います。
ただ、同じニューヨークを舞台にした悪魔ネタの話「ディアボロス」がそうであったように、この「ブレス・ザ・チャイルド」には「LAコンフィデンシャル」のキム・ベイシンガーや「ロード・オブ ザ・リング」のイアン・ホルム、「スリーピィ・ホロウ」のクリスティーナ・リッチといった有名どころが何人か出ているおかげで、多少大作めいた雰囲気は出ています。しかしクリスティーナ・リッチなんかちょっとしか出ないし、最後も悲惨な役であるのは可哀そうな扱いでした。

またやはり「ディアボロス」と同じように、この「ブレス・ザ・チャイルド」では数箇所、悪魔が登場します。これらはたまにしか出ないので、映画の大部分を占める、特撮を使わないシーンの中でいいアクセントになり、ハッとさせられました。CGによる動きもなかなか不気味です。

話の中では主人公たちは間一髪の危機になるとたいがい、誰かに助けられます。こういう描写を出すことで、神を信じることを観客に植えつけたいのでしょうか…?

 

 


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サ イ ン

 

 

妻の事故死のために信仰を捨てた元神父グラハム(メル・ギブソン)の農場にミステリーサークルが出現し、その現象は全世界規模で起こっていた。その晩、彼の小さな娘が「部屋にモンスターがいる」と言い、寝かしつけようと彼女のベッドに座ったグラハムは、部屋の隅で人のような異形の影を見つける。彼は同居している甥メリル(ホアキン・フェニックス)と追いかけるが、そいつは信じられないスピードで彼らの前から消え去った…。

「シックス・センス」のヒットメーカー、M・ナイト・シャマラン監督が「アンブレイカブル」に続いて放つ作品です。今回も予告は前2作のようなスリラータッチですが、公開前の試写会をほとんどやらない、秘密主義で公開された映画です。
お話そのものは、シャマラン監督版「インデペンデンス・デイ」という感じです。しかし「インデペンデンス・デイ」は敵との戦いの話を描いていましたが、この作品は敵の描写には深入りしないで、あくまで主人公の家族に話の重きを置いているのが大きな違いです。

この作品のテーマは、偶然と思われることは必然で運命である、と言いたいようで、このことはシャマラン監督が「シックス・センス」の大ヒットで運を掴んだことと関連するように思います。
しかしそういったテーマの話ならば、なにもこういう超常現象ネタを使わなくてもいいでしょう。運命や偶然や家族など、言いたいことは分かる気はしますが、敵のネタが生きていません。予告で大いにあおっていたミステリーサークルの謎もあっさり言われてしまいます。
映画には「シックス・センス」みたいドキリとするようなショック描写はあるし、ミステリーサークルなどで話の興味は惹かれましたが、最後ではぐらかされたように思いました。
こういう話にするならば例えば、主人公の一家が世界の終わりをどう捉えたか、みたいなことを描こうとしたほうがいいように思います。

この内容だと、試写会の規制というのは、クライマックスに出てくる「モノ」が「こんなチンケな奴が出てくるんだぜ」と言わせないためのものか?と勘ぐりたくなりました。

また、主人公の子供が持つハンディキャップとクライマックスのシチュエーションが、「パニック・ルーム」と同じ状況に思いました。偶然に似てしまったのでしょうけど、パクりに見えてしまって話の興味が失せました。

「シックス・センス」でも「アンブレイカブル」でもシャマラン監督は映画の中にチラリと顔を出していましたが、今回は重要な脇役で出演しています。
作品を出すごとに監督の出番が増えているように見えますが、「ジュラシック・パーク」のリチャード・アッテンボローみたいに、役者で売っていくつもりかなあ。

 

 


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スパイキッズ2
失われた夢の島

 

 

今や腕利きのスパイキッズであるカルメンとジュニ。テーマパークの事故?から大統領の娘を救い出したものの、肝心の手柄はライバルのスパイキッズ、ゲイリーとガーティ兄妹に奪われる。さらにOSSの局長の地位もゲイリーたちの父親に決まる。だが大統領がパーティーでその決定をアナウンスした直後、そこにいた大人たち全員が倒れ、謎の集団が襲い掛かる。カルメン達スパイキッズは戦うが、ジュニの不注意から「トランスムッカー」なるものを奪われてしまう…。

「スパイキッズ」が公開されたのは2002年の正月シーズンでした。同じ時期に「ハリーポッター」や「バニラ・スカイ」などの話題作があったせいか、興行成績は今一つだったと思いますが、早くもその第2弾です。
前作の公開から1年も経たないうちにパート2の公開というのは「釣りバカ日誌」や「ゴジラ」以上に早くて驚きです。おそらくアメリカでの前作の公開直後くらい(夏かな?)に2作目の製作が決定したのではないでしょうか。
こんなスケジュールでは公開まであまり時間がなかったと思いますが、そのわりには特撮カットは前作並みに多いようなのに、手抜きは見られません。お話も前作同様に、家族で軽く楽しめる仕上がりになっています。
キャストは主人公のカルメンとジュニ、お父さん役のアントニオ・バンデラスはもちろん、おじ役ダニー・トレホまで一家が勢ぞろいし、さらに今回は新たにおじいちゃんやおばあちゃんまで登場して、コルテス一家はにぎやかになります。加えて前作の悪役連中(もちろん今は改心)までチラリと顔を見せるサービスも嬉しいところです。

主人公のライバル出現はパート2モノの定番でしょう。今回はカルメンとジュニ姉弟コンビと対照的な、兄妹コンビのエリートスパイキッズが登場し、やはり「世界を危機に陥れる」定番のアイテム・トランスムッカーを巡る争奪戦を繰り広げます。
さらに今回はトランスムッカーのある謎の島にモンスターが登場して、カルメンたちのアドベンチャーをより困難なものにします。このモンスターたちは動物を掛け合わせたキメラで、面白いデザインです。彼らや骸骨の活躍シーンは人形アニメぽい、いかにもハリーハウゼンの映画を意識したようで、オマージュを感じます。

おじいちゃんを演じているのは「スター・トレック2」でカーンを演じたリカルド・モンタルバンです。この映画ではカーンとは違い、かなり穏やかなキャラなので、クレジットを見るまで分かりませんでした。
冒頭とラストでは「ツイスター」のビル・パクストンがゲスト的に顔を見せます。この時のテーマパークのシーンは、アトラクションの動きがカトゥーン(アメリカアニメ)な感じで笑えます(本当なら死ぬわな)。

前作同様、この作品には人がバタバタ死ぬようなバイオレンスシーンはありません。子供と一緒に見るのなら、「リターナー」よりもこちらでしょう。

エンドクレジットはカルメンとジュニのなぜかコンサートシーンと、NG集。最後まで飽きさせない映画です。

 

 


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インソムニア

 

 

アラスカのナイトミュートという小さな町に、ロス警察からドーマー(アル・パチーノ)と相棒のハップが来る。彼らは17歳の少女の殺人事件捜査の協力のために訪れたが、2人の関係はロスで進行している内務調査の姿勢でぎくしゃくしていた。ドーマーは長年の経験で捜査を迅速に進め、地元警察の助手(ヒラリー・スワンク)は彼を尊敬の目で見る。そして少女の遺留品が発見され、彼らは海辺の小屋に罠を張って犯人をおびき寄せようとするが…。

今年のミニシアター公開作品で最大のヒットであろう「メメント」のクリストファー・ノーラン監督の最新作です。この作品はノルウェーで作られた映画のリメイクだそうで、製作総指揮にジョージ・クルーニーとスティーブン・ソダーバーグという大御所がバックアップにつき、クリストファー・ノーランは今回は監督に専念しています。

お話は「メメント」ほど複雑でもトリッキーでもなく、誰にでも楽しめるミステリーになっています。
しかしこの映画は、よくある刑事モノのように、刑事がいい者で、犯人が悪者、と単純に分かれてはいません。この映画ではドーマーたちへの内務調査がミソになり、いい者であるはずの刑事と、悪者であるはずの犯人がお互いの弱みのために共犯のような関係になってしまい、単に犯人を追うだけの話になっていません。
その主人公ドーマーの善悪の混沌とした状態が、自身が抱えるプレッシャーとアラスカ特有の白夜のため、タイトルにもなっているインソムニア=不眠症に陥ることでより追い詰められていく構成も見事で、単純なハリウッド映画と違う、リメイクも納得のストーリーです。

この映画の舞台はアラスカですが、氷河や森などの独特な風景が犯罪映画にふさわしい、冷え冷えとした雰囲気をかもし出しています。また特に中盤での、かつての日本の木場を思わせる、丸太の使い方が上手くサスペンスを盛り上げています。

この映画では、これまでいい人役の多かったロビン・ウィリアムスが、初めて悪役を演じたこともウリになっています。そのキャラクターは極悪人というより、気の小さい小市民タイプですがそれが、彼が演じてきたいい人キャラがたまたま陥ってしまうような狂気を感じさせて、合っています。
ヒラリー・スワンクはこの映画ではオナベやフランス貴族や生活に疲れた主婦でもない、珍しく?フツーな感じの警官の役ですが、けっこうかわいいと思えました。

予告では「死んだらたっぷり眠れるさ」というセリフが出てきましたが、本編にはこのシーンはありません。

 


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13ゴースト

 

 

広大な廃車置場。冒険家サイラス(F.マーリー・エイブラハム)はここでゴーストを捕獲するが、ゴーストの暴走に巻き込まれて命を落とす。それから後、火事で妻を亡くし、子供たちとアパートで貧乏暮らしをしているアーサーは、亡くなったという叔父サイラスから広大な屋敷を相続する。アーサーたちは全面ガラス張りで、ラテン語の文字が書かれているその屋敷に入るが、中の不可解な装置が作動したために閉じこめられてしまう。その地下では封印が解かれ、何者かが屋敷の中に解放されていた…。

ジョエル・シルバーとロバート・ゼメキスが設立したホラー専門製作会社、ダーク・キャッスルが「TATARI」に続いて放つ第2弾作品です。
この作品は「ギミック・ホラー」と宣伝されていますが、その名の通り、幽霊廃屋の話だった「TATARI」に、壁が動くようなギミックがサスペンスを加速していた「CUBE」を足したような話です。
動くガラスの壁や、それに書かれているラテン文字、歯車を組み合わせたような不可解な装置やゴーストが見えるメガネなどのギミックは、ホラーとSFが融合したようなビジュアルで興味を引かれます。
とはいえ、この映画の最大の欠点は、一番のウリであるこれらのギミックを生かしきれていない点でしょう。
ゴーストが見えるメガネはそれなりに面白い演出を見せていますが、ゴーストが1体1体封印を解かれるという設定と絡めてもっと怖くできるはずです。アーサーの妻の話もあまり盛り上がらないし、全体的に生ぬるい話で、あまり怖くありません。
この出来では、アメリカでこの作品があまりヒットしなかったのも無理はないでしょう。このプロダクションの前作「TATARI」も今一つでしたが、それの2の舞になりました。 

 


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ル・ブレ

 

 

ギャング団のボス・モルテスは、警察の内通者を射殺した直後に逮捕される。それから7年、モルテスは看守レジオと親しくなり、彼に宝くじを買わせたところ、1500万ユーロの大当たりになるが、その宝くじはレジオの妻がアフリカに持っていってしまった。モルテスはレジオが姿を見せないのは賞金と共に逃げたからと思い、刑期終了まであとわずかなのにかかわらず、脱走してレジオの家に向かう。そこでモルテスが見たものは…。

「TAXi」や「ジェヴォーダンの獣」など、近年フランス映画ではアクションが威勢のいい作品が多くなりましたが、この「ル・ブレ」もその例の1本です。
この映画の最大の見せ場は、前半での観覧車の絡むカーアクションでしょう。ここはCG合成を上手く組み合わせて、手に汗握る一大スペクタクルシーンになっています。観覧車の見せ場というと、スピルバーグ監督の失敗作として有名な「1941」がありましたが、迫力はこの「ル・ブレ」の方がはるかに上です。
こうも迫力あるシーンを初めの方で見せられると、クライマックスはどうなるのか?と思いましたが、さすがにこれほど派手にはならなくて、ギャグに逃げた感じになっています。

映画の本筋は、モルテスとレジオが宝くじを追ってフランスからアフリカへ行く話です。これにモルテスを追う奴らと宝くじを追う奴らが入り乱れ、あるときは銃撃戦、あるときはカーチェイスを繰り広げる、アクションコメディというべき映画です。
モルテスを追う連中と宝くじ追う連中がどんどん増えて行くドタバタは、それなりに笑わせてくれます。ただ中には、殺し方で笑わせるシーンもあって、人の命を軽く見てるように思えて不愉快にはなりました。
エンドクレジットもギャグシーンになっていますが、同じようなシーンが延々と続き、くどく感じます。
あと、ヒロインであるレジオの妻が美人に見えないのは、個人的に不満でした。映画では彼女はモテモテという設定らしいけど、パリジャンはこういう顔が好みなのかなあ?

 

 


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ウインドトーカーズ

 

 

近年になり、太平洋戦争中にアメリカ軍がナバホ語を基本にした暗号を使っていたことが明らかにされました。この「ウインドトーカーズ」はその事実を元に作られた話で、「フェイス/オフ」や「MI-2」のジョン・ウー監督が初めて手がけた戦争映画です。
ジョン・ウーはこの映画では、2丁拳銃などの彼らしいアクションをなるべく避けたと語っていますが、戦闘シーンにはスローモーションがあるし、アクションでは彼らしい描写と思えるシーンはあります。
キャラの描き方は個性が出ていて分かりやすいし、戦闘シーンは迫力があって、ところどころのキャラたちの活躍はそれなりに盛り上がりを見せて、話は退屈しませんでした。とはいえ戦闘シーンの臨場感は「プライベート・ライアン」や「ワンス&フォーエバー」などと同等で、話もあまりメリハリの無い、全般的に平板な展開になっています。
むしろ鳩を飛ばしてもいいから(極端)、ジョン・ウー的なアクションをもっと入れた方が、たとえパターンでもまだ彼らしさが出た、独自性のある戦争映画になったかもしれません。
ジョン・ウーは「男たちの挽歌」や「狼」など「男の友情」を描いた作品が多く、今回もナバホ語を話す兵士と、彼を守る?アメリカ人将校の話ということで、「男の友情」がテーマの感じの話にはなっていますが、「男たちの挽歌」のように心に迫るものが無く、感動できません。

ナバホ人の兵士が同僚から「インディアン」と差別されたり、アメリカ軍の自軍への誤射など、アメリカ万歳と言えない描写があるのは、外国人監督であるジョン・ウーならではの描き方のように思います。
またこの作品では、近年の戦争映画にはあまり出てこない「ジャップ」と言う言葉もちゃんと出てきて、「パール・ハーバー」みたいな偽善的な匂いはあまりしませんでした。

戦闘シーンは「プライベート・ライアン」や「ワンス&フォーエバー」と似た感じのリアルなバイオレンス描写ですが、もしかしたらこれらの映画の戦闘シーンは元々、「男たちの挽歌」といった、ジョン・ウーのバイオレンスシーンに影響を受けていたのかもしれません。

本編には戦艦からの艦砲射撃のシーンが出てきますが、ここは記録ビデオの映像をそのまま使っています。画質の違いが一目瞭然で、ハリウッドメジャー映画らしからぬ処理には呆れました。ここは人間は絡んでいないシーンだから、CGで作り直すくらいのことはするべきでしょう。

 

 


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オースティン・パワーズ
ゴールドメンバー

 

 

「オースティン・パワーズ・デラックス」に続くシリーズ3作目は、オースティンの父親が登場します。
「インディ・ジョーンズ」や「エルム街の悪夢」なんかもそうでしたが、3作目になると親といった、家族の話になるのがパターンかもしれません。
今回も前2作同様、下ネタと脱力系ギャグのオンパレードです。ギャグに関しては字幕も苦労したようで、ところどころ何が可笑しいのか分からないジョークがあります。字幕監修はロンドンブーツ1号2号の田村淳だそうですが、あまり意味があるとは思えません。
話はいつも通りイージーですが、今回は(一応)日本を舞台にしているということで、トーキョーのすぐ後ろにフジヤマがあるなど、ムチャクチャな日本の描写は楽しめました。ただこれは、一昔前のニンジャ映画のように本当に日本のことを分からないで作っているわけではなく、ギャグのネタとして、分かってやってる感じがします。
日本語のセリフも出てくるので英語の字幕が出ますが、その字幕もギャグネタにしてるシーンは笑えます。また、ここに出てくるドクター・イーブルの潜水艦は彼そっくりのデザインが面白く、モデルが欲しくなりました。

ワイドショーで、この映画の試写に来ていた叶姉妹が、出演をオファーされたけど断ったと話していました。本当にそんな話が来たのか?と思いますが、彼女らが役を依頼されたという日本人(?)姉妹は初めの方に出てきます。彼女らのコスチュームにはびっくり!ですが、アダルトサイトの影響を感じました。日本人の女の子てこう見られているのかもしれません。これなら、いくら叶姉妹でも嫌がるのも無理はないと思えます(男は嬉しいだろうけど)。

冒頭とラストに顔を出すゲスト陣は超豪華で、ここだけ見ると別の映画みたいです。このシーンが映画の中で一番の見所でしょう。誰が出ているのかちゃんと分かるようにしてくれているので、目を凝らす必要が無いのは親切です。
しかしこのゲストの豪華さは、シリーズの人気が高い証拠なのか?それとも主演のマイク・マイヤーズのショービジネスのコネが大きいゆえでしょうか?

映画には一世を風靡したというニューヨークのディスコ「54」が出てきます。ここを舞台にした映画「54」にはマイク・マイヤーズが出演していたはずで、これもパロディのつもりかもしれません。
ここで出てきたオランダ人のキャラクターはしょっちゅうおちょくられていますが、ジョークについていけませんでした。ベルギーもジョークのネタにされていたし、アメリカ人てやっぱりヨーロッパにコンプレックスを持っているのかなあ?

 

 


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トータル・フィアーズ

 

 

ロシアの大統領が突然亡くなり、ネメロフという男が大統領になる。この人選をただ一人予想したCIAの職員ジャック・ライアン(ベン・アフレック)は長官(モーガン・フリーマン)と共にロシアの動向を探ることになり、モスクワに向かう。核弾頭処理施設を訪問した彼らは、科学者が3人見当たらないことに気づく。長官の命を受け彼らの行方を探ったライアンは、彼らが作っていたモノがアメリカに向けて送られたことを知り、急きょその荷物が着いた港に向かうが…。

「レッド・オクトーバーを追え!」「パトリオット・ゲーム」「今そこにある危機」と続いた、トム・クランシー原作のジャック・ライアン・シリーズ最新作です。これまでジャック・ライアンはアレック・ボールドウィンとハリソン・フォードが演じてきましたが、今回はベン・アフレックで、前より若返った感じになりました。
ライアン君の設定も今までの続きではなく、長官と話したこともないヒラの1職員にリセットされています。ベン・アフレックは経験豊かなアナリストとしては貫禄不足な感じですが、この設定であれば若き日のライアンという雰囲気がして許せます。
彼が事件の本質を知って活躍するのは当然のパターンですが、途中で日陰者になってしまう展開は上手と思います。おかげでお偉いさんが誰も彼の意見を聞かないことで危機が増大して、後半のサスペンスが盛り上がります。

アメリカとロシアの緊張がエスカレートしていくシーンは怖いけど、ここで描かれる世界はアメリカとロシアだけで、まるで世界はこの2国で作られると言いたそうに見えました。もし本当に核戦争の危機になれば、発言力の大きいイギリスや、同じ核を持つ中国などが乗り出してくることでしょう。いかにもアメリカ中心のハリウッド映画的な描き方です。

映画は核戦争にエスカレートしていくサスペンスを重視したせいか、本当の敵の描写があっさりとしてしまったのは物足りません。また予告であったように、今時第3帝国を出されても古い感じがしました。
ライアン君が短時間でテロリストの正体をあっけなく暴いてしまうのはまあ…しょうがないか。映画だし。

CMや予告で流れていた、核爆発のシーンは中盤に出てきます。リズム&ヒューズによる特撮は迫力がありますが、映画で一番の見せ場であろうシーンのわりにはカットが少なく、予告で出てきたシーンが全てであったのはがっかりでした。
しかしライアン、爆心地に行ったのに放射能の影響は無いのかなあ?

ラストシーンが、ビンラディンをこうしたい、 というアメリカ人の願望に見えたのは考えすぎでしょうか…。

 

 


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