LOVERS

 

 

国が乱れつつあった唐の時代。官吏リウ(アンディ・ラウ)は朝廷に反旗を翻した組織「飛刀門」の前首領の娘として、踊り子のシャオメイ(チャン・ツィイー)を捕らえる。それを同僚のジン(金城武)が脱出させ、彼女と行動を共にするが、これは飛刀門の新首領をおびき出す作戦だった。だが事情を知らない朝廷の別働隊が、2人に襲い掛かってくる…。

「HERO」で大ヒットを飛ばしたチャン・イーモウ監督は、次回作で「HERO2」を作っていると伝えられましたが、この作品を指していたのでしょう。
スタッフが「HERO」とほぼ同じせいか、衣装や風景は「HERO」に匹敵する華麗さがあります。アクションもケレンがかっこよく迫力があり、特に竹の使い方のアイデアには感心で、退屈しません。
しかしスケールやテーマ性は「HERO」に比べるとこじんまりとしていて、狭い世界の話になっています。

この映画、話が話で、さらにアンディ・ラウがいるせいか「インファナル・アフェア」を思い出しました。あの映画の時代設定を唐にして三角関係を加えたような映画、といえるでしょう。
しかしこの「LOVERS」のアンディ・ラウはあきらめが悪い奴で、ストーカーみたいに思えます。こういうキャラや愛憎の話のせいか、誰かがこの作品を「昼メロ」と言っていましたが、なかなか的を得た言い方です。
しかし「セカチュ−」や「冬ソナ」のような純愛路線が受けている今、こういう三角関係のドロドロ話て共感されるのか?と思います。「真珠夫人」のような昼メロみたいに、興味本位で見られてるんじゃないかなあ。

 

 


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ティラミス

 

 

オーディションに受かるべくがんばっているダンサーのジェーン(カリーナ・ラム)と、父親の死によって聴覚を失った郵便配達員のコウ(ニコラス・ツェー)の2人は、偶然の出会いを重ねてほのかな恋心を抱くようになるが、ようやく言葉を交わせたとき、ジェーンは事故でこの世の存在ではなかった。オーディションが心残りな彼女は現世に留まり、黄泉の国の番人から隠れるためにコウの中に入る。ジェーンの目となったコウがダンスの教室に行き、彼女を失って落ち込むクラスメートを見て、コウはある決断をする…。

香港映画での人間と幽霊のラブストーリーというと、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」がありますが、この「ティラミス」はあれのようなアクション&ホラーの路線はほとんど無く、「ゴースト」に近い雰囲気です。それにプラスしてダンスの発表という、「ウォーターボーイズ」的な要素のある作品です。
中心となる2人のキャラを丁寧に描写し、脇役もキャラを絞って見せているせいか、展開に強引というか甘い感じはあるものの、後半は感動した箇所がありました。
特に見どころはカリーナ・ラムで、彼女の切ない表情や笑顔にホロリとさせられました。恋愛映画のヒロインはやはり、輝いてるべきです。
ただクライマックスが、このテの映画ではパターン気味であったのが物足りなかったところです。

 

 


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デビルズ・バックボーン

 

 

内戦下のスペイン。両親を失った12歳の少年カルロスは、人里離れた荒野にたつサンタ・ルチア孤児院に連れてこられた。中庭に不発弾が撃ちこまれたその中庭で、彼は頭から血を流す少年の姿を見る。夜、いわくのありそうな12番のベッドに寝ることになったカルロスは自分を呼ぶ声を聞く…。

「ミミック」や「ブレイド2」の監督ギレルモ・デル・トロが手がける、スペインの幽霊話です。
デルトロの映画は毎回、独特なビジュアルに感心させられますが、今回の「孤児院の中庭に刺さっている不発弾」というイメージも普通の人には考え付かないであろうオリジナリティーがあります。幽霊の描写にしても、周りを水みたいに表現しているイフェクトが面白いところです。
お話に関しても、スペイン内戦時代が舞台というホラー映画なんてめったにない例だと思います。ただそれだけに、スペイン内戦の歴史を知っていた方が、映画をもっと楽しめることでしょう。

ただ、デルトロの映画は時たま展開がスロー気味になることがあり、この作品でも途中で眠くなってしまいました。ジャンルはホラーでありながら、怖さもあまりありません
とはいえ、ハリウッドでもあまり描かない残酷なシーンの中に「優しさ」を漂わせている、デルトロ監督らしい雰囲気のある作品です。ちょっと感動的なシーンがあるのも、彼の出世作「クロノス」を思わせました。

 

 


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最‘狂’絶叫計画

 

 

「最終絶叫計画」「最‘新’絶叫計画」に続いて、いつの間にかシリーズになってしまった、3作目の公開です。
今回は前2作と違い、監督がデヴィッド・ザッカーであるなど、製作チームが「裸の銃を持つ男」や「ホット・ショット」等のコメディシリーズのスタッフになっています。そのせいか出演者も、「ホット・ショット」シリーズ主演のチャーリー・シーンや「裸の銃を持つ男」シリーズ主演のレスリー・ニールセンなんかが顔を見せています。

今回はチャーリー・シーンの畑にミステリー・サークル?が出現する「サイン」のパロディと、メインキャラがビデオの呪いをかけられる「ザ・リング」のパロディがメインの話になり、加えて「マトリックス・リローデッド」(「マトリックス」ではない!)や「8mile」、「ロード オブ・ザ リング」なんかのパロディが登場します。
これらのパロディシーンはそこそこ笑えますが、中にはそう有名でない細かいシーンやセリフ、設定までもパロディにしているものもあり、「よくここまでやった!」と感心してしまいました。もっとも、当然ながらこういったシーンは、元の映画を見ていない人には笑えないでしょうが…。

「裸の銃を持つ男」チームの製作ということで、今回は彼らのシリーズでよく見られた、細かい無意味なギャグが増えた感じがします。
また、お下劣なネタが多いのはまあいいのですが、子供いじめぽいギャグが何箇所かあったのが気になりました…。

 

 


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クライモリ

 

 

医学生のクリスは面接に急いでいたが、道路が渋滞のため回り道をするうちに森の奥に入ってしまう。そこでキャンプに来たジェシーたちの車にぶつかってしまい、彼らは車を降りて人家を求めて深い森の中を歩く。やっと見つけた、家らしき建物に入った彼らが見たものは…。

「テキサス・チェーンソー」森林版と言っていいであろう話で、「13日の金曜日」みたいに、若者が次から次に殺されていくパターンの展開になります。襲いかかってくる相手が倒したと思っても立ち上がってくる、というのも「13金」を思わせます。
舞台が深いモリなため、相手が神出鬼没という点で、映画はそこそこハラハラさせてくれます。といってもドキドキ度や不快感は「テキサス・チェーンソー」と同じ感じで、そう強烈でも目新しくもなく、1800円払う価値があるかどうか疑問な作品です。
宣伝では、スティーヴン・キングが2002−03の年間ベスト1映画に挙げた、とウリにしていますが、それが本当ならキングも大したことないと思います。

 

 


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ア ラ モ

 

 

「アラモ」といえば、多少お年を召した映画ファンであれば、かつてのジョン・ウェインの主演映画を思い出すかもしれません。
今回のこの作品も同様に、1836年のアラモの要塞(元教会の場所なのでそういう規模でもないが)で、わずかなテキサスの軍勢が圧倒的多数のメキシコ軍に包囲され、壮絶な攻防戦の果てに全滅した物語を描きます。
ただ、僕の記憶の中のジョン・ウェイン版「アラモ」は、要塞のテキサス軍が全滅したところで終わっているのですが、今回のバージョンはその後、テキサスに侵攻?してきたメキシコ軍をテキサスの増援部隊が撃滅し、敗退させるまでを描くのが違っているとこかと思います(僕の記憶が正しければ、ですが)。

この作品、アメリカではディズニーが大宣伝をかけたのにもかかわらず、大コケしたそうです。保守であるディズニーが作ったということは、恐らくブッシュ大統領批判の「華氏911」の対極のような、アメリカ愛国映画になっていると想像したので、その度合いを確かめたくて見てみたものです。
映画は確かに、「アメリカのために戦う」といった、大義のための犠牲を訴えるシーンはありますが、少しながらテキサス軍の非道を描くシーンもあり、その愛国的描写は思っていたより声高ではなく、控えめな感じがしました。
ただし、敵であるメキシコ軍の大将・サンタアナがアホみたいな単純なキャラとして描かれているのは、やはりです。

アメリカではアラモの話は、日本で言えば新撰組みたいに常識かもしれませんが、アメリカの歴史をあまり知らない自分としては、この戦いの理由といった、歴史的背景が分かりません。
そのせいか話についていけない箇所があるし、戦闘に入る前は展開がかったるく、眠くなりました。アメリカで大コケしたという理由はたぶん、愛国シーンなんかが原因ではなく、単純につまらなかったからなのだと思います。
ただし、キャラ同士の友情シーンはそれなりに熱くさせるものがあって、そのへんはこの作品の監督が感動作「オールド・ルーキー」を撮ったジョン・リー・ハンコックと思わせます。ま、「オールド−」の方がいい出来ですが。

映画館の客は、オヤジがかなり目立ちました。外国にしろ日本にしろ、歴史モノは年寄りの度合いが高いようです。

 

 


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ヘルボーイ

 

 

1944年、アイルランドのとある島にナチスの部隊が集結し、怪僧ラスプーチンが冥界への扉を開けようとしていたが、連合軍部隊の急襲により、その計画は失敗に終わる。そしてわずかに開いてしまった扉から真っ赤な身体の赤ん坊が出現し、作戦に参加していた超常現象学者ブーム教授はその赤ん坊をヘルボーイと名付け、育てる。そして現在、ヘビースモーカーの大男に成長したヘルボーイ(ロン・パールマン)はFBIの極秘セクションに所属し、怪奇現象の捜査員となっていた…。

「スパイダーマン」の大ヒットのおかげで、アメコミ原作の映画はすっかりメジャーになりましたが、この作品はそれらを出版している大手マーベルコミックスではなく、ダークホースコミックスから出版されている「ヘルボーイ」の映画化です。
人間とは異なる存在が、人間から蔑まれながらも人間のために戦う、という話は「X-メン」に似ていますが、こちらの主人公、ヘルボーイは元々冥界というか魔界の存在なので、姿はより禍々しく、「デビルマン」に近い感じがします。
しかし、暗く悲壮感の漂う「デビルマン」に比べると、こちらは陽気な感じです。その理由は、ヘルボーイのキャラクターによるところが大きいでしょう。外見は怖くて、腕っ節が強いタフガイながら、その内面には人を思いやる優しい心を持ち、愛する女性には素直になれません。彼女が他の男とデート?の時にはこっそり後をついていき、やきもちを焼く姿は外見に似合わない愛嬌があります。
ヘルボーイを演じるロン・パールマンは、監督のギレルモ・デル・トロが、パールマンがヘルボーイを演じるのでなければ映画化しないとまでこだわった役者だそうですが、彼はこれまでにもデルトロ監督の劇場デビュー作?「クロノス」で悪役を演じたと思えば、「ロスト・チルドレン」では優しい大男を演じたように演技の幅が広いおかげか、デルトロ監督がこだわったのも当然と思えるくらいハマっています。脇役が多かったロン・パールマン自身にとっても、これが初の主役ではないでしょうか。
ヘルボーイだけでなく、父親代わりとなりヘルボーイを慈しむブーム教授や、ヘルボーイが想いを寄せる超能力者リズ、観客の視点となる、ヘルボーイのお守りを任されるFBIの新人マイヤーズなど、脇役のキャラもちゃんと描かれていて、彼らの行く末が気になり話は全く退屈しませんでした。

ただ、善側のキャラ描写の密度の濃さに比べると、悪の側は薄めなのが気になりました。ラスプーチンやクロエネンたちの不死能力といったイメージはかなり不気味ではありますが、世界の危機を画策というわりにはそのスケール感があまり出ず、クライマックスはあっさりした感じになってしまったのは惜しいところです。
またロマノフ王朝時代の人間であるラスプーチンが第2次大戦末期まで生きていたり、ヒトラーの死が1945年でないなど、映画では説明されてない謎がいくつかあるのも気になりました。
そういう不満はあるもののこの映画、ナチスとかラスプーチンとかロンギヌスの槍とか、「ムー」に出てくるような怪しい話が好きな人にはたまらない筋立てでしょう。出てくるモンスターのデザインが、クトゥルーを思わせる触手うねうね型というのもマニア心がくすぐられます。

デルトロ監督は自ら売り込みをかけたほどコミックの映画化に情熱を傾けたそうですが、その情熱が画面からほとばしって(走りすぎて空回りな点もありますが)くるようで、これまでの彼の映画では一番エキサイティングな仕上がりになっていると思います。ぜひパート2で、今回の謎を解明希望!

 

 


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モ ン ス タ ー

 

 

娼婦に疲れ自殺を考えていたアイリーン(シャーリーズ・セロン)。近くのバーに入った彼女に、セルビー(クリスティーナ・リッチ)という少女が親しげに話しかけてくる。アイリーンは「レズは趣味じゃないんだよ!」と拒絶するが、寂しそうなセルビーに相手をして、その晩は彼女の部屋に泊まる。2人の愛は次第に深まり、アイリーンはセルビーに家出をさせてフロリダに向かい、売春から足を洗おうとするが、社会は彼女をまともには扱わなかった…。

「モンスター」と呼ばれ2002年に処刑された、実在の連続殺人犯のドラマです。
主演のシャーリーズ・セロンが今年のアカデミー主演女優賞を取ったことで話題になった映画ですが、この映画の彼女は顔が違うだけでなく、体は脂肪がついてブヨブヨだし、話し方もどこか下品な感じで、言われないとセロンだと分かりません。外見だけでなくその演技も、環境から抜け出せない悲哀を感じさせて、受賞には納得です。
愛を求めながら、社会から次第に追い詰められていくアイリーンの姿は哀れですが、彼女が単にかわいそうではなく、もうちょっとうまく立ち回るとか、考え方を変えれば何とかなるだろうに…と思わせます。こういう突き放した感じの描写に、単なるお涙ちょうだいの話とは一線を画す格が出ています。
ラストのアイリーンのセリフには、「負け犬」と思っている人は共感するのではないでしょうか。

アイリーンの相手となるセルビーを演じるクリスティーナ・リッチも、セロンのように顔は変えていませんが、やはりブヨブヨの体型になっています(もとから?)。
外見はともかく、本人にはその意図が無いであろう言葉や行動でアイリーンを傷つけていく姿はリアルで、童顔で純粋に見えるリッチが演じるからこそ、その残酷さが際立ちます。

タイトルの「モンスター」。真のモンスターは誰かと考えると、このタイトルは秀逸です。

 

 


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アイ,ロボット

 

 

2035年のシカゴ。ロボットは「ロボット3原則」の元に、便利な道具として無くてはならないものになっていた。そういうロボットを一手に扱う企業、USロボティックス社から新世代ロボットNS-5が発表された時、ロボットたちの生みの親のラニング博士(ジェームズ・クロムウェル)が自殺する。ある事件からロボットを嫌うようになったデル・スプーナー刑事(ウィル・スミス)が博士の部屋を捜索すると、突然一体のロボットが逃走する。追跡の果てに捕獲されたロボットは、自分をサニーと名乗る…。

映画の原案がアイザック・アシモフということで、タイトルは彼の著作「わたしはロボット」から取られたものでしょう。ロボットが日常にいる光景と、ロボット3原則はアシモフの小説の雰囲気を感じさせますが、お話自体はロボットの反乱の話で、3原則はあまり意味がありません。
ロボットの対人間話ということで、映画は「マトリックス」「ターミネーター」の前日譚という感じがして、この物語は今後「マトリックス」の道を歩みそうに思います。ラストなんか「猿の惑星・征服」を連想しました。

数年前に公開された「マイノリティ・リポート」同様、未来の風景は興味深く、アシモフが夢想した光景はこうであったのではないかと思います。人間大以上の大型ロボットも登場しますが、「機動警察パトレイバー」に出てきたレイバーを思わせます。
今回の物語のキーパーソン(人?)サニーはもう一人の主人公といってもいい存在だけに、表情や仕草が良く出来ています。
こういった未来の光景やロボットの描写は、もちろんCGによるものでしょう。この映画はそういう特撮が多いので、ジイさん評論家からは「CGだけ」とけなされることでしょうが、徐々におかしくなっていくロボットたちや、敵か味方か不明なサニーの思惑などを絡め、話はなかなかに面白く見せてくれます。

主演のウィル・スミスは、この作品では製作も関わっています。彼は今回も「インデペンデンス・デイ」、「メン・イン・ブラック」同様、いつもの単細胞的キャラですが、個性はそれなりに出ています。

 

 


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インファナル・アフェア
無 間 序 曲

 

 

1991年香港。マフィアのボスが暗殺され、その配下の実力者達のうちサム(エリック・ツァン)以外は造反を企むが、2代目のボスを継いだ息子のハウはそれを巧妙に阻止する。組織犯罪課のウォン警部(アンソニー・ウォン)はハウを監視するため、暗黒街とのつながりゆえに警察学校を退学になりかけたヤン(ショーン・ユー)を組織に潜入させる。一方サムも、配下のラウ(エディソン・チャン)を警察学校に送り込む…。

香港映画の久々の傑作「インファナル・アフェア」の続編ですが、今回は前作より11年前の過去にさかのぼる話で、第1部といっていい形です。
前作の主役、トニー・レオンとアンディ・ラウは今回は出ていませんが、彼らの若い時代を演じたショーン・ユーとエディソン・チャンは同じ役で出てるし、彼らのボスであるアンソニー・ウォンやエリック・ツァンも出ているので、キャストは前作と同一と言っていいでしょう。
ヤンとラウがいかにして潜り込んだかなど、前作同様に組織の中で生きていくエピソードはありますが、前作ほどの緊迫感はあまりないせいか、少し眠気を感じてしまいました。
今回話で一番重きを置かれているのは、マフィアを潰そうとするウォンと、勢力を徐々に拡大していくサムで、主役のはずのヤンとラウよりも彼らの方が目立っています。ウォンとサムの意外な関係が明らかになったりして、前作を見た人なら楽しめる話でしょう。
また非情なシーンがそこそこあり、ストーリーの上では納得ですが、見終わってからの気分は良くありません。

 

 


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ヴィレッジ

 

 

ペンシルヴァニア州のとある村。そこは外の世界から完全に孤立していて、村民達は周りを囲む森に住む「存在」と協定を結び、誰もその森には立ち入りを許されていなかった。だがある事件が起こり、村長の娘アイヴィー(ブライス・ダラス・ハワード)は愛するルシアス(ホアキン・フェニックス)を救うため、森を抜けることを決意する…。

「シックス・センス」で世界を大いに驚かせた、M.ナイト・シャマラン監督の作品です。しかし「シックス・センス」後の彼の映画は、「サイン」「アンブレイカブル」と、楽しめないものが続いたので期待はしていませんでしたが、今回の「ヴィレッジ」は、前2作にあったようなオイオイ!と言いたくなる描写はあまりなく、シャマラン監督の作品では「シックス・センス」以来ようやく、まともに楽しめる話になっています。

お話の大きな鍵は村の「秘密」で、それに惹かれて退屈しませんでした。ここは他の惑星であるとか、大戦争後の未来の世界、とか話の間いろいろ推理していましたが、どれも外れました。
その正体は映画の後半で明かされます。これには「シックス・センス」ほどの驚きはありませんが、論理的にはアリと思えたので納得です。

村の秘密と共に、ストーリーを引っ張るのはアイヴィーの「想い」です。盲目というハンデなどモノともしない彼女の「意志の力」には驚嘆ですが、映画初出演とは思えないブライス・ダラス・ハワードの演技が説得力を見せています。
目の見えない女性にあそこまでさせるとはむごい…という感じもしてしまいましたが、あのキャラが頑張るというところに、もっと深いテーマが秘められているのかもしれません。

キャストで驚いたのは、エイドリアン・ブロディで、この人は「戦場のピアニスト」で主役を演じた人ですが、今回はあれとは全く違うマッドなキャラです。言われなかったら気づかなかったかもしれません。

 

 


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バイオハザードII
アポカリプス

 

 

アリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)が封印したハイブの扉は再び開かれ、地上に出たゾンビたちは急速に増えていった。ラクーンシティの外へ通じるゲートにまでウィルスの汚染が近づいたためにゲートは閉鎖されてしまい、警察官であるジルたちは町に戻らざるを得なくなる。教会に立てこもった彼女たちにもっと強力なアンデッドたちが襲いかかるが、間一髪を現れたアリスが救う。行動を共にするようになった彼らにかかってきた公衆電話をアリスが取ると、「T-ウィルス」を発明したアシュフォード博士からで、行方不明になった娘を救出すれば、街からの脱出方法を教えるという…。

「ゲームの映画化は成功しない」という法則?を覆した「バイオハザード」。今回のパート2でも、前回活躍したミラ・ジョヴォヴィッチが主人公になります。
今回の舞台は地上、というのが前作とは違うところです。しかしお話は、ゾンビから脱出するというパターンに変わりはなく、退屈はしませんが新味はありません。ただ悪役の最後は、皮肉さが出ていて痛快でした。

今回はゲームではおなじみのキャラ(なんでしょう?)のジル・バレンタインなど、ゲームに出てくるキャラの登場が前作より多いようなので、ファンならより楽しめるかもしれません。

サブタイトルに「アポカリプス」とつけられていますが、「黙示録」とは意味がよく分からないタイトルです。人類はゾンビ化して絶滅するとでも言いたいのだろうか…?
この映画、パート3も製作予定だそうですが、もう潮時じゃないかなあ…。

 

 


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ヴァン・ヘルシング

 

 

19世紀、フランケンシュタイン博士はモンスターを作り上げた直後、墓を暴かれた村人に追い詰められ、燃え上がる風車の中に消えたが、その背後にはある影があった。一方パリで一仕事を終えたモンスターハンターのヴァン・ヘルシング(ヒュー・ジャックマン)は、バチカンから、吸血鬼ドラキュラの本拠であるトランシルバニアに行き、彼と戦い続ける一族の末裔のアナ(ケイト・ベッキンセール)を助けるよう指令を受け、兵器担当のカールと共に旅立つ。ドラキュラの花嫁の手荒い歓迎をかわしたヘルシングはやがて、ドラキュラの恐るべき計画に気がつく…。

「ヴァン・ヘルシング」とは元々、「吸血鬼ドラキュラ」に登場するドラキュラの宿敵の名前で、例えばフランシス・コッポラ監督版の「ドラキュラ」では、ヘルシングをアンソニー・ホプキンスが演じていました。
この映画「ヴァン・ヘルシング」は、ヘルシングをドラキュラだけでなく、人間に仇をなすモンスターのハンターという設定に変え、さらにユニバーサル映画で有名なモンスターである、ドラキュラ、狼男、フランケンシュタインを大集合させた映画です。
ドラキュラと狼男の関係は、半年以上前に公開された、やはりケイト・ベッキンセールが出ていた「アンダーワールド」と似通っています。しかし、ドラキュラとフランケンシュタインの怪物との関係は意外な設定で、この2人?を関係付けようという発想がユニークです。
監督のスティーブン・ソマーズは「ハムナプトラ」でミイラ男を現代に蘇生させているし、こういうモンスタームービーが大好きなのでしょう。監督同様にツボにハマってしまう人には、たまらない映画です。

年寄りの映画評論家からは「CGばかりで中味が無い」という言葉が聞こえてきそうですが、話は「ハムナプトラ」同様ノンストップアクションで退屈しないし、何より自分の趣味にぴったり合っていて、展開に都合のいいところがあっても気になりませんでした。ラストもちょっと感動的です。

 

 


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華 氏 9 1 1

 

 

2004年度のカンヌ国際映画祭で、最高賞であるパルムドールを受賞し、あからさまなブッシュ批判の映画ということで映画関連以外のメディアでも大きく取り上げられたことで、アメリカでも日本でも大ヒットしている話題作です。
カンヌの審査委員長クエンティン・タランティーノは、この作品を「映画として面白かったから賞を与えた」と言ったそうですが、その通り「へぇー」を連発してしまうような作品です。

しかし映画の中には、例えば電話一本で全米の選挙結果が覆りました、みたいに、本当かよ?と言いたくなるようなエピソードもあります。
またサウジアラビアと緊密に繋がっているのはブッシュだけのように映画は言ってますが、実際は歴代のアメリカの政権もそうだったようで、誇張も結構あると心得ておくべきでしょう。
映画には「アンチブッシュに都合のいい材料を集めたプロパガンダ」という批判も多いようですが、確かにそういう感じはします。
また映画が紹介する「事実」は、今までに報道されたネタも多いそうで、「新しいものは何もない」と言い切る批評家もいます。
でも、皆がみんなアメリカの社会情勢に関心を持っているわけではないから映画は、僕みたいに知らない人には初耳の話題がかなりあるし、断片的に紹介されたであろうネタを、こういう形で総合して集めて見せたメディアは無かったように思います。
世界の指導者がどういう奴か考えさせる意味では、やはり必見の映画です。

監督マイケル・ムーアの前作「ボウリング・フォー・コロンバイン」に比べると、今回は彼の体当たりインタビューが少ないのは不満でした。ま、マイケル君もメジャーになってしまって、突撃しにくくなったかもしれません。
「ボウリング・フォー・コロンバイン」では批判の対象がアメリカ社会だったのが面白く、また感心した点ですが、今回はブッシュの個人攻撃に偏った感じがしてしまい、「ボウリング・フォー・コロンバイン」に比べるとインパクトは今ひとつでした。

 

 


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サンダーバード

 

 

30代以上の人なら熱狂した過去を持つであろう「サンダーバード」。その世界観を現在に移してリメイクした作品です。「サンダーバード」て日本だけでなく、世界的にも本当に人気があったんですねえ。
TV版はすでにトレーシー一家全員が国際救助隊のメンバーになっていましたが、今回はファミリーの最年少であるアランがメンバーになるまでを描く話で、もしTV版と映画版を同列に捉えるなら、エピソード1といえる内容です。
メインで活躍するキャラクターが子供たちということで、映画の内容は大規模メカ使用版「スパイキッズ」というのが適切な表現でしょう。お話は快調に進んで退屈しませんが、突っ込みどころも満載です。あれじゃ国際救助隊は秘密にならんて。

メカは一応、現代に合わせたようにリニューアルしてますが、旧作の感じを残したデザインで悪くありません。描写はCGでスピード感を出していますが、重量感もそれなりに出ています。エンドクレジットでモデルメーカーの名前が出ていたので、CGだけでなく、モデルも作ったかもしれません。
でもサンダーバードのメカに狂った世代の自分としては、今回のメカ描写は少なすぎて不満です。もしシリーズ化するなら、次回はサンダーバード1、2、3、5号が徹底的に活躍する話に徹してほしいです。

音楽もTV版のメロディをちゃんと使っていて、ちゃんとリスペクトしているようです。ペネロープの携帯の着信音は笑えますけど、本当にあるかも。
ジェフ役のビル・パクストンはTV版とはイメージが違いますが、特撮モノの重鎮としてはこの人は欠かせないでしょう。悪役フッドがベン・キングスレーというのは面白いキャストで、「ガンジー」とか真面目なキャラが多そうなベン君は楽しそうに演じています。

 

 


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リディック

 

 

何年か前、正月前に細々と公開されたB級映画「ピッチブラック」の続編です。
「ピッチブラック」公開の後、主演のヴィン・ディーゼルの人気が上がったので続編が企画されたのだと思いますが、その「リディック」は「ピッチブラック」とは大違いの、予算が大幅にアップされたであろう大スケールの宇宙活劇大作に変貌しました。
話にはそれなりにメリハリがあり、快調に展開します。なのに眠くなります。またキャラクターにしても、前作より魅力が落ちています。
映画の冒頭で「悪を滅ぼすには別の悪で滅ぼす」と言われてることで、リディックは悪人なのでしょう。前作はそういう雰囲気が多少あったように思いますが、今回のリディックはただのマッチョないい人です。彼の行動の原理となるキーラもどこかひねくれた感じで、何を考えているのかよく分かりません。

リディックもキーラも、また冒頭で登場するイマムも「ピッチブラック」に出てきたキャラクターです。こういう風に映画はモロ「ピッチブラック」の続編ではありますが、宣伝ではその点にはほとんど触れていません。しかしお話には「ピッチブラック」のときにどうだった、という話も出てくるので、できれば見ておいたほうがいいと思います。
とはいえお話自体にはリディック以外の「ピッチブラック」のキャラクターが出てくる意味はあまり無く、キャラを全く変えてしまった方が良かったように思います。

今回の悪側であるネクロモンガーは、「約束の地」を求めて各星系を侵略している軍隊です。この十字軍、あるいは植民地支配を進めたキリスト教を思わせる設定は、従来の宗教の批判めいた感じがあって面白いです。
敵のイメージは「デューン/砂の惑星」から生物的なグチャドロを除いて、「ダークシティ」のイメージを加えた感じで、このダークな世界観が映画で一番面白い点でした。

原題が「リディックのクロニクル(年代記)」ということで、この後も続編が企画されているのでしょう。その価値があるのか疑問な映画ではありますが、ラストは大笑いしました。いやまさかこうなるとは…。いかにも続編狙いだけど。

 

 


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箪 笥
たんす

 

 

ソウル郊外の一軒家に、長期入院を終えて帰って来た姉妹が到着するが、彼らを迎える継母は冷ややかな態度を取る。その夜、何かにおびえた妹は姉のベッドに潜り込むが、姉は不気味な存在にうなされる。姉は妹に虐待らしい傷を見つけ、継母を激しく憎む…。

ドリームワークスがリメイク権を獲得、をウリにしている韓国ホラーですが、本当かよ?と言いたくなる映画です。
展開がかったるくて眠気を誘われました。編集は時間軸を前後させる野心的なパターンを使っていますが、もっと整理するべきです。監督は「クワイエット・ファミリー」の人だそうですが、あの映画以上に退屈です。
サイコホラーか、と思ったら実は心霊ホラーでもある作品で、その構成は面白いところではありますが、一粒で二度美味しいとはなりません。ネタとしては過去のヒット映画のパクりぽく、意外性も感じられませんでした。

主人公の姉妹が異様に仲がいいので、近親相姦的な話になるかと思ったら、予想が外れました。でもその方が面白くなったように思います。

 

 


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ディープ・ブルー

 

 

「ディープ・ブルー」といえば、同名のタイトルでレニー・ハーリンが監督した巨大ザメが人間を襲う話がありました。
今回の映画を、なんで日本の配給会社はこんな紛らわしいタイトルのままにしたのか疑問ですが、ともかくこの作品は、イギリスのBBCが製作した、製作期間に7年をかけた海洋ドキュメンタリーです。

映画の冒頭、波と共にジャンプするイルカの飛翔で早くも感動させられました。他にも映画では竜巻の形を保つイワシの群れなど、自然界の造型の美しさに感心させられるシーンが目白押しです。
しかしきれいなシーンよりも、シャチに襲われる小アシカや子クジラといった映像の方が衝撃ではありました。特に小アシカのシーンは可哀想で、残酷なシーンが嫌いな人には勧められません。でもこれが自然の真の姿というものでしょう。
ただ、後半での深海のシーンは動物の形は面白いものの、画面が暗くておとなしめの映像のせいか眠くなりました。

映像は所々、ビデオぽい画質があります。撮影対象が自然だから、いつもフィルムを使うというわけにもいかなかったのでしょう。あるいは補完のため、過去にBBCで撮ったドキュメンタリー番組の映像を使ったのかもしれません。

ナレーションはうるさくなく、抑制が効いていて上品な感じはするのですが、解説が足りないと思うシーンがありました。カニは何のために群れてんの?

 

 


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ウォルター少年と、夏の休日

 

 

父親のいないウィルター(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は、母親の仕事の都合ということで、田舎にある母の2人の叔父ガース(マイケル・ケイン)とハブ(ロバート・デュパル)の家に強引に預けられる。2人の叔父はかなりの金持ちらしく、彼らはひっきりなしに来るセールスマンたちをショットガンで追っ払っていた。ウォルターは屋根裏の自分の寝室のトランクから古い女性の写真を見つけ、そしてハブが夜中に夢遊癖を起こし、剣を振り回しているのを見る。それはガースとハブの昔の冒険に関することだった…。

アメリカで、スクリーンで見たい脚本No.1に選ばれた物語、というのがウリの映画です。どういう審査でこの小説が選ばれたのはよく分かりませんが、優れた小説を原作にしても優れた映画にはならないという証明はゴマンとあります。この映画もその1本に加わることになるでしょう。
お話は爽やかに気持ちよく終わり、感動的ないい物語です。でも泣くことはおろか、感動さえもできませんでした。
「一瞬のエンタテイメントより、一生心に残る感動を」という宣伝文句の対抗馬は「スパイダーマン2」あたりだと思いますが、そっちの方がよっぽど感動します。

荒唐無稽なホラっぽい話が現在に関わってくる筋立ては「ビッグフィッシュ」を思わせますが、この「ウォルター少年−」ではそれが単に過去にあった出来事として片付けられてしまい、「ビッグフィッシュ」の方が遥かに上手く話を結び付けています。
ただラストで、その昔話が現在につながる展開が出てきます。そこだけは面白いシーンでした。

 

 


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キング・アーサー

 

 

この映画はアーサー王の話ということで、ファンタジー物だからきっと「ロード・オブ ザ・リング」の2匹目のドジョウを狙う企画なんだろうと思っていました。
しかし出来上がった作品は、15世紀頃にまとめられたというアーサー王の伝説の、元になった話の再現を目指したそうで、魔法使いなんかは登場せず、ファンタジーというより時代劇というべき雰囲気になっています。

時は5世紀。ローマがブリテン(イギリス)の南半分を統治していた時代、アーサーは生まれ育ちはブリテンなもののローマ軍の司令官で、彼の部下はローマの領土内の諸国から集められた兵隊たちです。その彼らが、ローマからの撤退命令を無視して、北方から侵略してきたサクソンと戦う…。
いわばこの映画は、外国の軍隊が「自由のために」戦うお話です。
これはまるで、アメリカがイラクの戦争で掲げた大義を思わせます。
ローマの聖職者が地元民を牢につないでいたシーンも、アメリカ軍がイラク兵の捕虜を虐待していた比喩のように見えました。
製作がアメリカの正義押し付けアホ映画「パール・ハーバー」「バッドボーイズ2」のジェリー・ブラッカイマー。配給がブエナビスタ=ディズニーという布陣で、この話には納得です。

キャラクター同士の友情の話はそれなりに上手く描いてるし、話のペースも早めで退屈はしませんが、「ロード・オブ ザ・リング」なんかに比べるとはるかにこぢんまりとしたスケールで、そうエキサイティングな物語ではありません。
先に書いたようなテーマ的な部分や、アーサー王伝説との比較で楽しめた作品です。

アーサー王の妻となるグェネビアや魔法使いのマリーンが、映画ではアーサーと敵対してるウォードなる部族であるとか、ランスロットが他国から派遣された兵士であるなど、伝説とは違うキャラの配置は面白い点です。
予告では「Guide to me Excaliber. I’m ready.」と、アーサーが聖剣エクスカリバーに祈るシーンがありましたが、本編にはありません。映画にはエクスカリバーの言葉さえ出てこなくて、わずかにアーサーが幼少の頃に父の墓から剣を引き抜くシーンが、エクスカリバーのエピソードを連想させるくらいです。
映画では伝説にしないことにこだわって、アーサーがエクスカリバーに祈るシーンをカットしたのかもしれません。予告でこのシーンを入れたのは、僕のような伝説を知ってる人を映画に引き付けるために入れたのかもしれませんが、結局無いなら、ウソつきと思います。
また映画では、グェネビアとランスロットの不倫や、アーサーと息子の戦いなど、伝説のダークな部分はカットしています。あくまでハッピーな話にしたいかなあ。

アーサー王の話といえば、大学の時に見たジョン・ブアマン監督の「エクスカリバー」が自分の中のファンタジー映画のベストですが、今回の「キング・アーサー」はそれに比べると全く好きになれません。
映画館の観客はオヤジばかりでした。上映期間は1月も持たないと見た。

 

 


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テッセラクト

 

 

タイ・バンコクの安宿に泊まるイギリス人の運び屋ショーンは、大きな取引の連絡を待っている。その宿のベルボーイをしている少年ウィットは宿泊客の貴重品を盗んで売りさばいて金にしていた。そこへ少年の夢を取材をしている女性心理学者ローザが宿を取り、彼女はウィットに興味を持つ。全く接点のなかった3人は、ウィットがショーンのブツを盗んだことで絡み合い、急変していく…。

タイトルは4次元という意味らしく、本編の冒頭でも2次元がどーだ3次元がどーだ、といった説明ぽい文が出てきます。でも結局、中味はただの犯罪映画で、どこが4次元だよ?と思います。宣伝文句には「CUBE」の名前とか出してましたが、ああいうSF的な雰囲気は全くありません。
監督が「the EYE」のオキサイド・パンということで、SF的というか、「the EYE」を思わせる超自然的シーンもわずかにありますが、それが何の意味を持ってるのかさっぱり分かりませんでした。

同じ時間軸を違う人物の視点で見せるなど、編集が多少凝っている点は面白いところです。でも眠くなりました。

 

 


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至福のとき

 

 

初老を迎えたチャオは、早く結婚したいと何度も見合いをした末に、やっとつきあいを承諾した女性が現れる。彼は自分は旅館の経営者と言っていたが、実は工場をリストラされて無職だった。チャオは女の家に招かれ、実の息子と、前夫の連れ子である盲目の少女ウー・イン(ドン・ジエ)を紹介され、旅館の経営者ならウー・インが得意のあんまの仕事を世話してくれと頼まれる。チャオには当てがあったが、それが外れてウー・インを連れて女の家に帰ると、彼女の部屋は息子の部屋にされていた。チャオは仕方なくウー・インを自分の家に泊める。旅館の経営者とウソを突き続けるチャオは、ウー・インのために、彼がかつて勤めていた工場をあんまのスペースに改装することを思いつく…。

「HERO」で世界的に有名になったチャン・イーモウが「HERO」の前に撮った中国映画です。
しかしこの映画で一番気になったのは物語が、 起承転結の「転」で切ったような終わり方であることでした。TVドラマなんかだと、クライマックスの前に必ず不幸が起こりますが、その不幸シーンで終えたような感じの映画です。こういう終わり方を否定はしませんが、これから面白くなる(する)パートを放棄したように見えて、この後どうするんだ?と突っ込みたくはなります。
もしかして、チャン・イーモウは早く「HERO」を撮りたいがために、途中で無理やり終わらせたのでは?と勘ぐりたくなりました。

ヒロインを演じるドン・ジエは、初めは無愛想なキャラであまりかわいいとは思えませんでしたが、だんだんきれいに見えてきます。彼女とチャオとの触れ合いはホッとさせるシーンですが、チャオの境遇に好転する要素が無いせいか、いつかこの幸せが崩れると思えて、ハッピーな気分にはなれません。
映画ではウー・インが下着姿のシーンが妙に多くなってます。必然性は無さそうだし、監督の趣味かな?

 

 


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ハリー・ポッター
とアズカバンの囚人

 

 

全世界的に人気のファンタジーシリーズ「ハリー・ポッター」の3作目です。今回はハリー・ポッターと、彼の両親を敵の魔法使いに売ったという脱獄囚シリウス・ブラックとの関係が描かれます。

第1作「賢者の石」の頃はまだ、ハリーたちホグワーツの生徒キャラクターは子供らしい感じでしたが、3年も経つとすっかり大人びてきて、特にドラコ・マルフォイの変わりよう(性格は全然進歩ないけど)には驚かされました。これだと次回作「炎のゴブレット」はもっと大人に近くなっていることでしょう。今のところこのシリーズは現キャストのままで作り続けるそうですが、今後もその形で続けられるのか疑問になります。

シリーズの監督は前作「秘密の部屋」まではクリス・コロンバスでしたが、今作(から?)はアルフォンソ・キュアロンになり、クリス・コロンバスは製作総指揮に回っています。「スター・ウォーズ」シリーズで、エピソード5「帝国の逆襲」の監督がジョージ・ルーカスからアービン・カシュナーに変わったことを連想しましたが、やはり疲れたのかな。
今回は「ロード オブ・ザ リング」のナズグルを思わせる、ディメンター(吸魂鬼)が登場しますが、こいつがなかなかに不気味で、シリーズ中一番怖い感じが漂うキャラクターです。
今回はこういった、前作よりダークな雰囲気が増したのが監督交代の成果かもしれません。ブラックユーモア的な描写もいくらか増したように思いますが、中には小さな子供には、ユーモアであると理解できるのか疑問なシーンがあるのが少し気になりました。
お話は例によってハイペースで進み、退屈しませんが、盛り上がりに欠けるのもシリーズ通りです。「何でそうなる?」と突っ込みたくなる箇所も数カ所ありました。

今回初登場のシリウス・ブラックを演じるのは「レオン」や「フィフス・エレメント」で悪役づいた感じがするゲーリー・オールドマンです。またしても悪役かよ、と思ったのですが、映画ではそれ以外の性格も見せてくれて、この人はやはり上手い役者なのだと再確認できました。

 

 


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ブラザーフッド

 

 

1950年のソウル。ジンテ(チャン・ドンゴン)とジンソク(ウォンビン)兄弟は、母とジンテの妻とその妹たちと、貧しくとも幸せに暮らしていた。だが戦争が勃発し、一家は田舎に避難しようとするが、駅でジンソクが強制徴収にあい、彼を助けようとしたジンテも戦場に連れて行かれてしまう。ジンテは弟を無事に家に帰すために危険な任務に志願していくが、そのおかげで勲功を立てていく兄をジンソクは誤解していく…。

韓国映画の歴史を変えた大ヒット作「シュリ」の監督カン・ジェギュが、またまた韓国で最大のヒットを飛ばした映画です。
韓国での大ヒットは、舞台が朝鮮戦争だから、という理由はあるでしょう。しかしキャラクターを2人の兄弟に絞り、戦争に翻弄される彼らの奇想天外な運命に最後まで目が離せないドラマは、大河ドラマに匹敵する重量級で、ヒットも当然と思えます。

朝鮮戦争については、日本に特需が起こった、程度の知識しかなく、それがなぜ起こり、どう終息したか、という知識は僕にはまるでありません。映画はあくまでジンテとジンソク兄弟に焦点を当てているので、歴史的なことはあまり語りませんが、それでもこの映画で描かれる、朝鮮戦争での事象は驚きでした。
日本がやった強制連行を参考にしたのではと思える徴兵、全村民の虐殺や問答無用のアカ狩りには慄然とさせられますが、大義のために自国民を犠牲にすることは日本も太平洋戦争時代にやっていたことで、変な意味で同じアジアの民族、と感じさせられました。
このようにこの映画は、韓国側を単に英雄や被害者という一面だけを描くのではなく、戦争の加害者としてもちゃんと描いているところも、評価すべき点でしょう。

映画はこういう、疑心暗鬼の恐ろしさや同じ民族同士で殺し合う虚しさ、戦争で変わる人間を描くことで、戦争の恐怖と非人間性をあぶり出します。映画は戦争反対という言葉は出しませんが、そのことがドラマを通じて強く訴えられているように思えました。こういうドラマとテーマの巧妙な融合は「シュリ」以上の完成度が感じられ、カン監督の語り口の成長が見られるように思います。
この映画と比較される映画はおそらく「プライベート・ライアン」でしょう。たしかに、CGなど特撮を使って迫力を出した戦闘シーンには「プライベート・ライアン」の影響が感じられます。しかしドラマとテーマの完成度は「プライベート・ライアン」なんぞをはるかに超える見ごたえ十分のクオリティです。
ラストでの戦争時代と現代とのつながりも「プライベート・ライアン」より上手い描写で、しかも感動的に見せていて、客席からはすすり泣きの声も聞こえました。韓国映画がまた、ハリウッドを超えたと思わせる1本です。

冒頭の映画会社のロゴはまず、ユニバーサルが出てきます。ということはこの映画、全世界に配給されるのでしょう。戦争の話題が絶えない今、全世界の人々に見て欲しい作品です。韓国の魂の叫びを聞け!

 

 


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メダリオン

 

 

蛇頭のリーダー(ジュリアン・サンズ)がある物を追って香港にやってくる。それは古代から伝わる奇跡のメダルで、死者を蘇らせ、肉体に超人的なパワーを宿す力があった。蛇頭の一団はとある寺でそのメダルを守る少年を連れ去ろうとするが、間一髪のところで張り込んでいたエディ(ジャッキー・チェン)に阻止される。だが蛇頭たちは再び行動を開始し、少年を誘拐してしまう。蛇頭の行方を追ってエディはアイルランドに向かい、少年を救おうとするが彼と共に倉庫に閉じ込められ、海に沈められてしまう。エディの働きで少年は無事だったものの、エディは命を落とす。だがその死体の傍らに、死んだはずのエディが現れた…。

最近のアクションを反映しているのか、それともジャッキーが年をとったのか、このところのジャッキー・チェン主演の映画では特撮を使った映画が目立つように思います。今回も後半は特撮バリバリのシーンが展開しますが、「タキシード」に比べればまだ、特撮とジャッキーのアクションの絡みがしっくりなじんでいるように思えました。
また「タキシード」では女性キャラは戦いませんでしたが、今回は思わぬキャラクターまで女性キャラが参戦します。やっぱジャッキー映画のヒロインは強い方が気持ちええわ。
映画にはいつもの軽快なジャッキーアクションもちゃんとあって、軽く楽しめる内容になっています。これでかつての香港映画みたいな、変なコメディシーンがなければもっと良かったところです。

今回悪役を演じるジュリアン・サンズは、80年代に「ワーロック」なんかのB級ホラーに出ていたイケメン俳優でしたが、いつの間にやら名前を聞かなくなりました。久しぶりに見たと思ったらやっぱり特撮系の映画だ。

エンドタイトルはいつものごとくNG集ですが、本編に無いシーンもいくらかありました。完全版が出来るなら見たいなあ。

 

 


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