ナイロビの蜂

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アフリカのナイロビでイギリスの外交官として働くジャスティン（レイフ・ファインズ）に、妻テッサ（レイチェル・ワイズ）が殺害されたという知らせが来る。ジャスティンは彼女が何か調べていたと気づいてはいたものの、それには干渉せず、庭いじりに徹していた。ジャスティンは妻が調べていたものを追い始める…。

そのジャスティンの旅は、ヨーロッパがアフリカを虐げる「闇」の追求、そして妻テッサの真実と愛の確認の旅になります。
こういう風に映画は、前半がラブストーリー、後半が陰謀の話といった構成で、過去と現在を程よくブレンドしたテンポのいい編集で退屈しません。ラストは静かな余韻がありますが、あえて盛り上げを避けたようで、泣くまでは至りませんでした。

レイチェル・ワイズが少ない登場シーンながらも、アグレッシブなテッサを貫禄の熱演で見せていて、アカデミー賞も納得です。「コンスタンティン」とは全然違う、圧倒的な存在感がありました。ヌードも惜しみなく見せてくれますが、イヤらしいというより愛らしい感じで、微笑ましくなります。でも彼女がアフリカに入れ込んだ理由はよく分かりませんでした。

キャラクターが多いので脇のキャラの名前が覚えにくいし、いくつかの団体（組織）が入り組んでるので、軽い気持ちで見ていると「謎」についていけなくなるかもしれないので、話をしっかり追う覚悟で見るべき作品です。
この地域で今問題になっているエイズの背後には、映画のようなことが隠れてるかも…なんてことを思ってしまいます。

映画はアフリカの現実を表しているのかもしれませんが、アフリカは危ないという印象を持ってしまいました。

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フツーの監督ならラストに銃声を入れてしまったかもしれません。それが無いのが、監督のセンスの良さを感じます。

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ブラッドレイン

18世紀のルーマニア。ジプシーの見世物団に囚われていたレイン（クリスタナ・ローケン）はヴァンパイアの本能が覚醒し、そこを逃げ出す。その彼女をヴァンパイア討伐の鍵として「業火の会」が追うが、彼女の実の父で最強のヴァンパイアと恐れられるケイガン（ベン・キングズレー）も、死んだと思っていたレインが生きていたと知り、自らの力をより強くする彼女を手に入れようと行動を起こす…。

TVゲームが原作らしい作品ですが、主人公がヴァンパイアと人間のハーフで吸血鬼を狩るキャラという設定は、「吸血鬼ハンターD」や「ブレイド」など今やありふれています。
ただこの作品の舞台は18世紀のルーマニアで、実際にそこでロケをしているそうで、冒頭の見世物小屋やジプシーという雰囲気は、今までのヴァンパイア物に無い感じがしました。しかし後半は単なる戦いの羅列みたいになって、眠くなります。

主人公レインを演じるクリスタナ・ローケンは「ターミネーター３」で敵ターミネーターを演じていたおねーちゃんですが、体格が「T3」よりふくよかになって、貫禄が付いた体型（悪く言えば太った）になっています。
予告やあらすじだとそこそこHシーンがありそうな感じですが実際はわずかで、同じ頃に公開されているヴァンパイア物「アンダーワールド：エボリューション」の方が、そのテのシーンは多少長いでしょう。でもクリスタナ嬢は胸をチラリと見せていて、隠していた「アンダーワールド」のケイト・ベッキンセールよりは思い切りがいい…って、そんなことがメインの映画ではないのだけれど…。

映画には脇役でマイケル・パレやビリー・ゼーン、ミシェル・ロドリゲスやジュラルディン・チャップリンなどが出ていて、話はB級ぽいのに役者はけっこう豪華で驚きですが、なんでこんなのに？とは思いました。ベン・キングスレーはさすがに存在感がありますが、時々これや「スピーシーズ」や「サンダーバード」とか、変なものに顔を出すのはどうかと思います。仕事選んで欲しいなあ。

監督のウーヴェ・ボルは「ハウス・オブ・ザ・デッド」に「アローン・イン・ザ・ダーク」にこれで、TVゲーム絡みのホラー専門監督みたいな印象がします。

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Ｖフォー・ヴェンデッタ

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第３次大戦後、独裁国家となったイギリス。街の自警団に絡まれていたイヴィー（ナタリー・ポートマン）は仮面姿の男“Ｖ”（ヒューゴ・ウィービング）に助けられ、「音楽会」に連れて行かれるが、それは彼の爆弾テロだった。それから数日後、彼女の働くテレビ局のスタジオをジャックしたＶは国民に向かい、独裁者に対して立ち上がれとメッセージを発信する…。

製作がジョエル・シルバーで脚本がウォシャスキー兄弟。「マトリックス」のコンビが再び組んだこの映画は、テロの勧めとテロリストの作り方を描いたような内容です。
原作は1990年代に出版されたコミックだそうですが、映画は9.11以降の世界を反映したようなお話で、今公開されるのにふさわしい内容でしょう。特にイギリス独裁への歴史は、今の保守的で犯罪者やテロリストに疑心暗鬼になっている日本（「共謀罪」なんてこの道かも）やアメリカを思わせるところがあって、リアルです。
クライマックスは「スパイダーマン２」の中盤を思わせて感動的でしたが、抑圧された統制か混乱した自由か、どちらがいいかは意見の分かれるところでしょう。

映画で語られる事件には地下鉄サリン事件、あるいはロンドンの地下鉄テロを思わせるものがあり、9.11や地下鉄サリン事件の時に一部で語られた、政府の陰謀説からアイデアを取ったような感じがしました。

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後半でＶが国民に仮面を送りつけますが、あれだけ大量の仮面をＶはどう調達し、どう輸送したのか不思議でした。これをトレースすればＶの正体が分かるかもしれないのに、捜査当局は何をしてたんでしょうか？少し前に公開された「白バラの祈り」の中で、郵便をトレースして抵抗組織の人間が捕まっていたことで、そんな突っ込みを入れたくなりました。

Ｖは芸術品のコレクターです。普通そういう奴は、成り金ぽいイヤミな感じに映りがちですが、この映画では美術品が禁制品となっている設定のおかげで、彼が過去を軽視しないセンスのいい男に見えてきます。
この人結構しゃべりますけど、外見通り、もっとクールであって欲しかった気もしました。Ｖの「出来上がる」過程や、「クロックアップ！」と言いたくなる動きはコミック原作らしい設定です。

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地球を守れ！

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ビョング（シン・ハギュン）は、地球上の災難は異星人の仕業だと信じきっていて、製薬会社のカン社長（ペク・ユンシク）こそがエイリアン！と確信して恋人のスニ(ファン・ジョンミン)と協力して彼を誘拐し、隠れ家に監禁する。ビョングはカン社長の化けの皮をはがすべく、次々と凄惨な拷問を繰り返すが、やがてカンはビョングが昔彼の工場で働いていて、そのために大切な人々を失ったことを思い出す…。

基本の物語はSFといっていいでしょうが、コメディの面もあるし、サイコサスペンスとも取れる作りが面白いところです。この映画や「うつせみ」なんかのように、ジャンルを限定しない映画をポッと作ってしまうのがハリウッドなんぞ及ばない、韓国映画の強みでしょう。ただ、刑事ネタは盛り込みすぎな感じがしました。
主人公ビョングのクレージーぶりは三池監督の「オーディション」を思わせますが、あれのようにもっとサイコサスペンスの色を濃くしたらまた、別の面白さが出たかもしれません。拷問シーンはかなりグロイですが、「オーディション」ほど執拗に見せてないせいか、あの映画ほどは不快になりませんでした。

主人公の過去をもっときっちり説明してほしいと思いましたが、これは意図なのかもしれません。クライマックスは泣くというより「ええっ!?」という驚きが大きいですが、このテの話が好きな人にはたまらないでしょう。エンドタイトルにはほっとさせられました。

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こじんまりとした雰囲気からいきなり壮大なスケールになるのは驚いたし、「人類宇宙起源説」みたいなヨタ？話は大好きなので嬉しくなりました。
ここに出てくる宇宙人がグレイのような格好ではなく、中国的な衣装にしているのがアジア映画らしい独自さが出ているし、宇宙人の図解など、デジタルの見せ方にスピード感があって、センスの上手さが所々光っています。
アダムとイブのシーンは「2001年宇宙の旅」のオマージュの感じがしました。韓国でもあの映画はインパクトがあったということでしょう。

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アンダーワールド
エボリューション

ヴァンパイアとライカン（狼族）の闘争の歴史の中でヴァンパイア側の刺客であった女戦士セリーン（ケイト・ベッキンセール）は、自身の過去を知ったことでヴァンパイアの長老を殺害して仲間から追われる身となっていた。だが何百年の間封印されていたヴァンパイアの始祖であるマーカスが復活し、一族の指揮官達を抹殺する。マーカスは弟で、ライカンであるウィリアムを復活させるべく、彼が封印されている場所の鍵を握るセリーンを追う…。

「アンダーワールド」の２作目。監督のレン・ワイズマンと主演のケイト・ベッキンセールは前作が縁で結婚したそうで、今回は彼らが結婚して初めての仕事だそうです。
前作のあらすじは映画で語ってくれるので、忘れてしまってもなんとかついていけますが、キャラの説明はあまりしてくれないので、前作を見ておいた方とっつきやすいと思います。まあ、前作の敵たちは早々と退場するので、前作は前作と割り切ってしまう見方もできますが。
前作はヴァンパイアとライカンの関係がごちゃごちゃしていましたが、今回はヴァンパイア側の話なので前ほど複雑ではない、見やすい展開になっています。でもセリーンと恋人（恋狼？）マイケルの関係に変化はないし、今回の彼はセリーンのただのヘルプにしか見えなくて、キャラクターのドラマは深くありません。
大まかな話は、過去のごたごたが現代に復活という、前作と似たパターンです。過去を清算しないと未来に禍根を残す、という教訓でしょうか（どこかの国の外交政策みたい…）。

「エボリューション」とはラストで起きる現象を指しているのでしょう。でもこれは、今ではヴァンパイアモノではありがちなネタになってしまっているし、どうせならクライマックスで、新技として披露した方が盛り上がったように思います。

ケイト・ベッキンセールは前作同様クールでかっこいいのですが、肌の露出度は高くないので、宣伝コピーのように「エロかっこいい」とは思えません。Hシーンに所々ボカシが入っているけど、これが「エロかっこいい」の意味なんでしょうか。でもホラーアクションでボカシ、ていうのも何かなあ…。
新ヴァンパイア・マーカスのデザインはアメリカ版「ゴジラ」や「ピッチブラック」のパトリック・タトロプスで、鋭角的な武器がそれらしい感じがします。飛びながらトラックを襲うシーンの迫力とスピード感は、映画ならではでしょう。

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戦場のアリア

1914年の第1次世界大戦中、フランス北部のデルソーで、フランス・スコットランド連合軍とドイツ軍兵士たちが戦っていた。彼らはクリスマスイブの夜、互いの陣地でクリスマスを祝っていたが、ドイツ軍の塹壕でテノール歌手ニコラウス（ベンノ・フユルマン）が聖歌を披露していると、敵であるスコットランド軍の兵士達がそれに合わせてバグパイプを演奏し出す。それをきっかけに、３つの軍の指揮官達はこの晩だけの休戦を申し合わせるが、それは一晩限りでは終わらなかった…。

第1次大戦の歴史から抹殺されたという、出来事を映画化したものです。
肝心の「事件」は中盤に描かれ、これが映画のクライマックスといってよく、歌のシーンは感動的でした。その後のシーンでは兵士たちに、お前ら戦争やってんじゃねーんかい！と言いたくなってしまうような牧歌的な行動もあり、多少の脚色はあるようですが、こんなことが本当にあったなんて信じられませんでした。
戦争を終わらせる、あるいは避けるために有効な手段は、互いの交流なのかもしれません。

でもこれは、映画に出てくるドイツ、フランス、スコットランドの３国がキリスト教文化圏だから分かりあえたことなのかもしれません。そこにいた兵士たち全員がクリスマスを祝っていなかったら、この出来事は無かったことでしょう。
３カ国の兵士たちが話し合う時は英語が使われています。このころから英語は世界言語だったということでしょうか。

ラストではこの事件の「その後」が語られます。興味ある事象だし、「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ！」と言いたくなるような怒りが感じられる箇所ですが、見せ方が淡々として泣けませんでした。ここにもう一つ泣けるような大きな盛り上がりあると、もっと評価が高くなったところです。
この辺で描かれる、新任の神父の説教はブッシュ大統領の演説を思い出しました。自分たちの正義を誇示するこの言葉の空虚さに、今この映画が作られた意義があるように思います。

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トム・ヤム・クン！

タイの片田舎で暮らすカーム（トニー・ジャー）は、父と共に象を育てていた。だがある日、彼が一番かわいがっていた象の親子が何者かにさらわれてしまう。彼らを追ってシドニーにたどり着いたカームは、図らずも中国系マフィア組織と対決することになる…。

「マッハ!」で度肝を抜くアクションを見せたトニー・ジャー。宣伝コピーによればこの「トム・ヤン・クン」はトニー君の海外進出第1作だそうで、そのせいか映画に出てくるセリフの半分くらいは英語です。でもトニー君はやはり、タイ語しかしゃべりませんが。
目玉のアクションシーンは期待通りの迫力で、対カポエラやBMXを使うなど「マッハ!」よりバリエーションがあるし、立て続けのアクションを長回しで切れ目なしに見せる、といった野心的な試みが見られ、アクションの全シーンを合わせたら「マッハ！」より多くなっていると思います。
とはいえ長ければいいというものでもなく、クライマックスの格闘は飽きるし、主人公の技は反則に思えました。また所々出てくるスローモーションのカットなんか、敵が当てられるのを待ってるように見えてしまい、興ざめしてしまう箇所もありました。

映画の冒頭の舞台はタイで、中盤からオーストラリアのシドニーになります。これは海外を意識したゆえかもしれませんが、場所をタイ以外の国に変えなければならない意味が分かりません。「トム・ヤム・クン」もレストランの名前として出てくるだけで、なぜこのタイトルなのか不可解です。
映画にはこういう意味が分からない唐突な設定が目立つし、いきなり話が飛んだりして、物語に関しては「マッハ！」以上にムチャクチャです。あくまでもアクションだけ、と割り切って見るべき作品です。
前回の「マッハ！」は仏像の奪還の話で、文化財保護のテーマをチラリと見せて、今回は像の奪還の話で、野生動物保護のテーマを出しています。トニー君の次回作も、また何かを取り返すパターンになるのでしょうか…？

「マッハ！」でトニー君の相棒を演じていたペットターイ・ウォンカムラオが今回も出演していて、コメディリリーフ的なキャラになっているのが、ガチンコのアクションの中でホッとするアクセントになっています。彼は一応、英語しゃべるんだよねえ。

タイの映画ではもしかしたら初めてかもしれないフルCGシーンがある（大して必要とは言えませんが）し、エンドクレジットでのメイキング風景で、合成も使っていると分かります。タイ映画にもIT化の波が押し寄せているんですねえ。

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クライング・フィスト

借金を抱え、妻子と別れて「殴られ屋」で暮らしている元オリンピック銀メダリストボクサーであるテシク（チェ・ミンシク）、そして盗みで送られた少年院でボクシングに目覚めた若者サンファン（リュ・スンボム）。この２人が、ボクシングの新人王戦で対戦するまでの人生を、交互に描く物語です。
ボクシングネタの映画は珍しくないし、そういうのでは最近では「シンデレラマン」や「ミリオンダラー・ベイビー」などのように、たいがい人生ドラマを描いています。しかしこの作品のように、主人公格のキャラクターが二人いて、彼らが最後の試合まで出会わないという構成は、一見今までありそうだったけど、無かったパターンで上手いところです。

中盤ちょっとスローな感じがして退屈しましたが、テシクとサンファンがクライマックスとなる新人王戦を意識したあたりから盛り上がり、面白くなってきます。たいがいのドラマがそうであるように、「覚悟」を決めた男の姿はかっこいいものです。
普通の物語なら応援するキャラは片方だけですが、この作品ではどちらも応援してしたくなり、それが感動を呼びます。僕は最後の試合でのチェ・ミンシクのある表情でグッ！ときてしまってから、終わるまでウルウルし通しでした。
ただこの辺、彼らを応援する人たちのリアクションを入れていれば、もっと号泣できたと思います。

予告編ではテシクとサンファンがリングで倒れて笑いあってるシーンがあったのに、本編にはありませんでしたが、これも感動できそうなシーンでした。どういう理由でカットしたのかは分かりませんが、監督はあまり泣きを狙いたくなかったのかも、とも想像します（それとも単に演出が今一つだっただけか？）。

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ナニー・マクフィーの
魔法のステッキ

悲鳴と共にセドリック・ブラウン（コリン・ファース）の屋敷から飛び出した女性。これで彼の７人の子供たちが追い出した子守は17人になった。セドリックはある理由でどうしても子守が必要だったが、もはやあっせん所も相手にしない。そんな彼の元に突然、子守のマクフィー（エマ・トンプソン）なる女性が子供たちの世話に現れる。長男のサイモン（トーマス・サングスター）を筆頭とする子供たちは今度も、新しい子守の言うことを聞こうとしなかったが…。

「ブリジット・ジョーンズの日記」や「ラブ・アクチュアリー」などを製作したワーキング・タイトルが手がけたファンタジーです。
これらの作品同様、今回も退屈しません。話の先は読めてしまいますが、その期待通りに盛り上げてくれて、クライマックスのきれいさにはウルウルしてしまいました。

「ブリジット－」などと同様、この作品もコメディ路線のお話ではありますが、ギャグシーンはかなり滑って笑えません。ケーキのネタなんて古典的すぎます。
ブラウン氏の行動には、こうすればいいのに、と突っ込みたくなるところはあるし、悪役格の人はそんなに悪い人には見えなくて、クライマックスは少しかわいそうになりました。
脇のキャラでは強烈な感じの人がいるのに、その生かし方もあまり上手くありません。「ラブ・アクチュアリー」みたいに、もっと丁寧な仕事をしてほしかったところです。

それに対して主人公？であるナニー・マクフィーの、当初は彼女と分からないほど化ける
エマ・トンプソンの存在感は映画を上手く引き締めています。今回彼女は脚本も担当していますが、この点では手馴れていないところが出てしまったようです。
ナニー・マクフィーのように、いい者が悪の顔をして出てくるのは今っぽいように思います。子供に自分で考えて行動させるとこなんかは、日本のドラマ「女王の教室」を思い出しました。

エンドタイトルの前半に流れるアニメがかわいく、楽しませてくれます。

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the EYE 2

ジョーイ（スー・チー）は不倫の末自殺をしようとするが命をとりとめる。病院に運ばれた彼女は自分が妊娠していることを知らされるが、直後から霊が見えるようになってしまう。相談した霊能者から、霊は転生するために子供が生まれる瞬間を狙っていると言われた彼女は、ある人影が気になっていた…。

トム・クルーズがリメイク権を買った（本当か？）などと評判になった「the EYE」のパート２です。しかしお話は前作とは、全く関係ない内容になっています。
前作は角膜移植ということで、「アイ」というタイトルは納得でしたが、今回の「アイ」は霊が「見える」という意味くらいしかつながりが感じられず、こじつけみたいです。

映画にはもちろん幽霊が出てきますが、彼らは人を呪うでも殺すでもなく、宣伝で言うような「悪霊」には見えません。おかげで彼らに怯える主人公がただのヒステリーに見えるし、クライマックスあたりの行動はただのバカにしか思えなくて、全然同情できませんでした。ラストもこじんまりとして、第1作のスケールにとうてい及びません。
それほど怖くはない映画ですが、妊娠中の人は気味が悪くなるかもしれません。

主人公に取り付く霊の正体は、映画ではかなり後になって分かるという、話の中では重大な扱いのネタですが、チラシやネットなんかのストーリー紹介ではモロにバらしているのはいかんでしょう。配給会社、やる気無いな。

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ナイト・ウォッチ

その昔、人間以上の力を持つ超能力者や獣人といった種族が光と闇のグループに分かれて戦いを繰り広げていたが、その争いに果てが無いと気づいた両サイドのリーダー達は協定を結び、彼らの種族が光の側である「ナイトウォッチ」か、闇の側の「デイウォッチ」かの選択させ、お互いを監視するという協定を結んだ。
それから1000年後、現代のモスクワを舞台に密かに繰り広げられる彼らの戦いを描くお話です。

こういう善と悪の戦いのお話は、「オーメン」や「コンスタンティン」などのようにハリウッドの十八番でしたが、この「ナイト・ウォッチ」はロシア製の作品で、これは珍しいところです。
ビジュアルはなかなかにスタイリッシュで、アクションがスピーディーな箇所があります。言語はロシア語で、英語の字幕がついていますが、この英語字幕の色を変えたり動かしたりと、シーンに合った演出にしてるのも面白いところでした。
しかし、キャラクターで光サイドか闇サイドかの区別がつかないし、彼らが何をやりたいかも、クライマックスになるまで分かりにくくて話についてゆけず、所々眠ってしまいました。２時間もない長さですが、もっと切った方がすっきりしたかもしれません。

とはいえ、ラストはどういうことかは分かったし、そこで語られる「作戦」は上手いように思います。ハッピーでない終わりも、ハリウッドと違う感じはしました。
この映画、３部作シリーズの第１作ということらしく、今後もこういうパターンで行くのかは分かりません。でも次回作を見るとしたら、DVDの方がいいように思います。

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THE MYTH
神　話

考古学者のジャック（ジャッキー・チェン）は最近同じ夢を見るようになる。それは2000年前、彼は秦の始皇帝の近衛将軍で、朝鮮から迎える妃の玉漱（キム・ヒソン）の警護にあたっていたが、彼女を奪回しようとするチェ将軍（チェ・ミンス）と激しい闘いになり、彼は命がけで妃を守り抜く。そんなジャックは、友人ウィリアム（レオン・カーフェイ）のインドへの冒険旅行に付き合い、ある遺跡に潜入するハメになるが、そこで夢で見た王妃の肖像画を見つける…。

ここ数年、ハリウッドから香港に腰を落ち着けたように見えるジャッキー・チェン。今回は武侠タッチの作品に挑戦です。
しかしこれ、武侠をやりたいのか？ラブロマンスなのか？ファンタジーか？SFなのか？肉体アクションなのか？いろんな要素を入れながら全てが中途半端になってしまい、設定や展開が無意味な結果になってしまいました。
だいたい中国が舞台の話なのに、なんでインドに行かなければならないのか？全く必然性が感じられませんでした。しかしここで展開されるアクションが一番ジャッキー映画らしく、楽しいシーンになっています。
ここではジャッキーを助ける女性が登場しますが、彼女はアクションでも決めて見せ、本来のヒロインである王妃よりもジャッキー映画に合っている感じでした。でもこういう、ヒロイン格の女性が２人もいる時点で、映画は分裂しています。

映画がこういった構成になってしまったのは、ジャッキー・チェンがこれまでのアクションオンリーではなく、それ以外のお話をやろうとしたからだと思います。かといって今までと全く路線の違う、アクションのない話をやってしまったならば今までのファンが離れてしまうかもしれません。それを考えてアクションも入れたのでしょうが、それがかえって浮いてしまい、どっちつかずの不自然な結果になってしまいました。
ジャッキーは恋愛映画をやりたいのかもしれませんが、トシがトシなだけに若いねーちゃんだと不釣合いに見えました。「香港国際警察：NEW POLICE STORY」の時みたいに、それなりにトシの女優を使った方が合ってると思います。

後半での悪役の登場は唐突だし、こいつと主人公の因縁もよく分かりません。終わりは苦い形になってますが、ハッピーにしても別に不自然ではないし、その方がまだ気分良く見終われたことでしょう。製作陣は、暗い終わり方にすると映画は高級に見えるとでも思ってるんじゃないでしょうか。
こういう風に今回は、かつての悪しき香港映画の例が再発したような出来で、ジャッキーの映画では前作の「香港国際警察」のレベルを遥かに下回っています。これに比べればいまいちだったジャッキーのハリウッド映画の方が、まだよく出来ています。

中盤のアクション以外で見れるシーンは、クライマックスの舞台となるイメージでした。ここはファンタスティクな荘厳さがあり、中国の歴史が好きな人はおおっ！と思うかもしれません。ただCGがダさいし、ここのアクションは中盤の元気さに比べてダれて退屈でした。

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シ　リ　ア　ナ

アカデミー賞を取った「トラフィック」を作ったチームが、アメリカ人の石油権益をむさぼる姿を描いた作品です。
お話も、「トラフィック」のように複数のエピソードを交錯させていく構成で、今回は中東での工作活動に従事しているジョージ・クルーニー演じるCIA職員、スイスにある商社でアナリストをしているマット・デイモン演じるアメリカ人、大手石油会社の合併問題を調査する弁護士、そしてパキスタンからアラブの国に出稼ぎに来た青年といった、主に４人を主人公にしたエピソードが語られます。
これは「トラフィック」の評判が良かったから、こういう構成にしたのかもしれません。でも僕には、話の概要は何とか分かりましたが、「トラフィック」同様にキャラが多すぎて話の整理がつきにくく、眠くなりました。

話の大筋は、「華氏911」で言っていたことをドラマにしただけの感じがしてしまいました。
せめてテロ組織のエピソードで、これも裏でアメリカが糸を引いてる（9.11の噂みたいな）、なんてことでも描いていれば面白かったけど、意外性が無くて物足りません。ラストが妙に明るい感じなのもムリヤリで、内容にそぐわないように見えました。

アラブの指導者候補の役で「スター・トレック：ディープスペース・ナイン」でドクター・ベシアーを演じていたアレクサンダー・シディグが出ています。スタトレファンにはちょっと注目でしょう。

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サウンド・オブ・サンダー

タイムトラベルが可能になった2055年。シカゴにあるタイムサファリ社では、いつものようにトラヴィス博士（エドワード・バーンズ）率いる恐竜ハンティングツアーがジュラ紀に出発する。だが今回は銃器にトラブルが起こり、彼らは危機一髪の目にあって帰ってくるが、その後町の気候が変わり、植物が異常発生する。トラヴィスはタイムサファリ者に敵対する科学者ソニア博士（キャサリン・マコーマック）を尋ね、彼女は彼らが過去に何かをしたために進化の歴史が変わったと言うが、彼には心当たりはなかった。ソニアはこのままでは今後さらなるタイム・ウェイブ（時間の波）が押し寄せ、人類は消滅するかもしれないと言う…。

SF小説の巨匠レイ・ブラッドベリの短編を、「カプリコン１」や「タイムコップ」などを手がけたピーター・ハイアムズ監督が映画化した作品です。映画のタイトルは「バタフライ・エフェクト」と同じような意味だったと思いますが、この意味を説明してる箇所は本編にはありませんでした。
この作品でのタイムトラベルの原則は「過去を変えない」ということで、恐竜ハンティングもちゃんとこの「注意」にのっとっている設定は上手いところです。これを見ると「ドラえもん」がかなり雑に見えてしまいました。
時間の波の設定はビジュアルとしては面白いけど、実際にもし歴史改変が起こるならもっと急激で、原因を作った当人たちも変わったとは意識できないのではないでしょうか。ここはいかにも、映画的すぎる描写に見えました。
映画の後半はキャラたちが異常進化の生物に追われることになりますが、追っかけがメインというお話は、違うと思います。「ジュラシック・パーク」と同じことをやっても、何も面白くありません。

ただ追いかけてくるクリーチャーの、爬虫類と哺乳類を結合させたようなデザインは面白いし、未来設定のデザインが「ブレードランナー」のシド・ミードというのは見ものでしょう。でもそういう市街をキャラが歩くシーンが、モロに合成とバレるのは興ざめでした。

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ウォレスとグルミット
野菜畑で大ピンチ!

発明家ウォレスと相棒グルミットは、年に一度の「巨大野菜コンテスト」に出される野菜をウサギの群れから守るため、ご近所を鉄壁のセキュリティシステムで守っていた。だがある夜、巨大な生物によりそのシステムが破られてしまう。ウォレスとグルミットは犯人（獣）とされる、巨大ウサギの捕獲作戦を開始するが…。

人気クレイアニメ「ウォレスとグルミット」シリーズの、約10年ぶりの最新作。今回は全編85分あり、シリーズ初の長編と言うべき作品です。
ニック・パーク監督の長編作品では、これの前に「チキンラン」がありましたが、今一つノリが良くない部分がありました。しかし今回は、ノンストップアクションと奇想天外なメカで退屈する暇がなく、ニック監督はやはりウォレスとグルミット！と思わされます。
グルミットがウォレスを助けるパターンも相変わらずで、困ったような表情を崩さないグルミットが笑わせてくれます。

原題は「The Curse of the Were-Rabbit」。これは往年のユニバーサル映画のクラシックホラー「The Curse of the Were-Wolf」＝邦題「狼男の呪い」のパロディで、いわば「ウサギ男の呪い」というべきでしょうか。ということで？今回は新たにホラー演出も見せてくれます。
こういう映画の楽しさと技術には、アカデミー賞受賞も納得でした。やっぱ話が理解しにくい「ハウルの動く城」じゃないよねぇ。

怪物の姿を宣伝で出さないのは納得です。正体は直接確認すべし！

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S P I R I T

19世紀末に実在した中国の有名な武道家、フォ・ヨンジャの生涯を、ジェット・リー主演で映画化した作品です。
映画はまず、クライマックスとなる1910年に開かれたヨンジャと4人の格闘家による異種格闘技試合で始まり、これは観客の興味を引く上手いやり方でしょう。この後、その試合に至るまでの生涯が語られ、強さだけに憧れたために招いた悲劇を乗り越え、真の格闘家になっていく姿には、格闘家はかくあるべき、というジェット君のメッセージに思いました。ラストのヨンジャのセリフも、紛争の話題の絶えない今に訴えてるように聞こえます。
ジェット君はアクションはこの作品で封印とコメントしたそうですが、それにふさわしい内容になっていて、クライマックスは泣けました。「SPIRIT」の邦題も合っています。

中盤の、ヨンジャが滞在する村のシーンでは村人たちと自然とのかかわりが感動的で、最近流行のスローライフを意識したように見えるシーンでした。
ただ映画には、説教くさいセリフがところどころあるし、ヨンジャが再び戦いをする決心に至る心理の描写が、もう少しほしいと思いました。中国人の誇りというのはまあ、分かるのですが。

中村獅童は後半で強力なライバルとなる役で目立つし、キャラ的にもおいしい立場です。アクションはがんばっていますが、よく見ると吹き替えと分かるシーンもあるのは、仕方がないところでしょう。中国語も吹き替えのように聞こえました。
彼の背後に控える原田正人が、「ラスト・サムライ」のキャラそのままの悪役を演じていますが、日本語のセリフの中に英語が不自然に入る箇所があるのが、いかにも外国人向けの映画の話し方に見えました。

エンディングタイトルで流れる歌は、日本版ではHIGH and MIGHTY COLORの「罪」になっていますが、このハードロック的な曲が映画の余韻を見事にぶち壊してくれています。本来ここはジェイ・チョウの「霍元甲」が流れてるそうですが、日本ではその曲はなぜか「キャンペーンソング」なる位置づけで、CMで流されています。この方がまだ映画に合っている感じがします。

ジェット君はもうそれなりにトシのはずですが、相変わらず瞬速のアクションは凄まじい迫力です。これでアクションを封印なんてもったいないと思いますが、インド洋津波での被災が彼の心境に変化をもたらしたのでしょうか…？

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エミリー・ローズ

19歳の女子大生エミリー・ローズ（ジェニファー・カーペンター）が死去する。その死の原因として、彼女に「悪魔ばらい」をしていたムーア神父（トム・ウィルキンソン）が過失致死罪で起訴される。殺人犯を逆転無罪にして注目された女性弁護士エリン・ブルナー（ローラ・リニー）は教会の依頼で、ムーア神父の弁護を担当することになる…。

実話を元にしたという作品ですが、元になったお話は70年代のドイツでの出来事だそうで、映画はそれの舞台を現代のアメリカに置き換えています。
悪魔憑きの映画は今時珍しくありませんが、法廷ネタを絡めているのが、この作品の目新しいところです。映画では悪魔憑きの現象に合理的な解釈も提示され、そういう「科学的」な見方が、僕には興味津々でした。
なのでかえって、エミリー・ローズの主観となるホラー現象が、これまでのホラー物と変わらないパターンに見えてしまいました。心霊シーンをもう少し大人しくした方が、リアルになったように思います。
CMで話題となった「悪魔のイナバウアー」なんかも、おおやってるやってる！みたいに思うだけでゾーッとする描写でもなく、ホラーモノとしてはあまり怖くない映画です。ただ音でギョッ！とさせる箇所がいきなり出てくるので、少々注意が必要でしょう。

エミリー・ローズは、何も食べてないという設定の割にはふっくらとして見えました。ただ、彼女を演じるジェニファー・カーペンターの悪魔憑きの演技は「エクソシスト」のリンダ・ブレアを髣髴させ（この人の名前を出すと誉め言葉になっていないような気もする）、なかなかがんばっています。

宣伝コピーは「その裁判は悪魔の存在を初めて認めた」ですけど、そうは言っていないよなあ…。

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力　道　山

日本で一時代を築いたプロレスラー・力道山を、スタッフと主演俳優が韓国人、サブキャストを日本人で描く作品です。
映画を観ると、力道山がどういう人生を送ったかということは分かりますが、エピソードに今ひとつ深みが感じられなくて、彼の心情がよく分からず、感動もなくて眠くなりました。ただ、ラストを彼の死という終わり方にしなかったのが、爽やかな余韻を残してくれます。
映画は韓国製の作品なので、力道山の朝鮮への想いが映画のテーマになるのかと思っていましたが、本編ではそういう点はセリフで少し語られるだけで、あまり感じ取れませんでした。そういう意味ではこの映画、韓国よりも日本向けに作った映画に見えました。あるいは、日本用に編集したバージョンかもしれません。力道山の日本での熱狂振りは良く描けていて、当時の熱さが少し追体験できたように思います。

主演のソル・ギョングは日本語をがんばったかもしれませんが、セリフが聞き取れない箇所がありました。僕は本物の力道山を見たことはありませんが、国民的なヒーローならばあんなヘタな日本語ではなかったのではないかと想像します。ただソル・ギョングの存在感はあるので、せめて日本語は吹き替えにでもしてほしいところでした。

ポスターなんかでは、日本人俳優で中谷美紀と藤竜也と萩原聖人の名前がクレジットされていますが、他にも山本太郎や岡本麗など、メインでクレジットされてないけどTVなんかでよく見る日本人俳優がけっこう出ています。
また船木誠勝や武藤敬司、そして今は亡き橋本真也など、レスラーも出演しているのは格闘系の映画らしく、船木なんかはちゃんとファイトを見せています。

戦中戦後の日本のシーンは、看板の字なんか部分的にヘンな箇所はありますが、CGでの再現はなかなか上手く雰囲気が出ていて、日本映画もこれくらい見せてほしいところです。「ALWAYS：三丁目の夕日」の同時代ということで、アナザーストーリーとも見れるかもしれません。

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う　つ　せ　み

テソク（ジェヒ）は留守宅に侵入し、住人が戻るまでそこで暮らす生活をしていた。ある豪邸に忍び込んだとき、亭主にDVにあっていた主婦ソナ（イ・スンヨン）が彼についていき、以来彼らは２人で空き家を転々とする生活を続けてゆく…。

韓国のキム・キドク監督が、ヴェネチア映画祭で監督賞を受賞した作品です。
映画の基本はラブストーリーのようで、それをファンタジーくるんだような形です。これはギドク監督の「悪い男」を思わせますが、後半が全く予想外の展開を見せ、ラストがとてもさわやかな感じがしたのも、それを連想しました。
今回はさらに演出にホラーやコメディぽい描写が見られて、簡単にジャンル分けのできない作品になっています。「悪い男」同様、説明的なシーンを排除したような構成で、観客によって解釈が様々に分かれる映画でしょう。

主人公は映画では全くしゃべらないし、ヒロインもほとんどセリフがありません。そうでいながら、彼らの境遇や心理を観客に想像させる演出は見事です。意図したわけではないでしょうが、これだと海外の観客にも分かりやすいだろうし、ヴェネチアで賞を取ったのも理由の一つかもしれません。
しかしこういう映画はハリウッドでは、少なくともメジャーでは絶対作れないでしょう。韓国本国ではギドク監督の作品はヒットしてないそうですが、韓国映画のレベルの高さを感じます。
韓国のタイトルは「空き家」、英語タイトルは「3-iron」（３番アイアン）です。それらと比べると、日本のタイトルが一番意味が分かりません。雰囲気ものということでしょうか。

主人公を演じる、ジュヒの目の強さが印象に残ります。見るからに薄幸そうなヒロインも、守ってあげたいと思いたくなるようでした。こんな彼女、欲しいなあ。

主人公たちが転々とする空き家には、それぞれの家族の物語もチラリと匂わせますが、どれも違うパターンで楽しませてくれます。主人公たちに居心地のいい家は、住んでる人も気持ちがいい、というのは納得です。家にも人格が現れるのかもしれません。

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イーオン・フラックス

西暦2011年、新種のウイルスにより人類の98％が死滅。天才科学者グッドチャイルド博士が開発したワクチンでわずかに生き残った人々は、ブレーニャと呼ばれる人工都市で生き永らえた。以来400年間、グッドチャイルド家はそこの実権を握っていたが、その圧政に反政府組織「モニカン」が対抗していた。その中でも卓越した戦闘能力を持つイーオン・フラックス（シャーリーズ・セロン）は政府によって殺された妹の復讐の機会を窺っていて、そんな彼女にグッドチャイルド家の総帥トレバー（マートン・ソーカス）の暗殺命令が下る…。

MTVで90年代前半に放映したアニメが原作ということで、この作品にはMTVも製作に関わっていて、あまり見れないMTVの映画用ロゴも出ます。
ヘンに和風チックな設定デザインや、脳の中で情報を伝える薬や実をミサイルにして発射する木の実といった、未来世界のガジェットが楽しませてくれて、そういったモノで主人公達が追われていくアクションは結構ドキドキします。「ターミネーター」などを手がけたゲイル・アン・ハードが製作だけあって、予告編の印象の通り、アクションが一番の見どころの作品です。
世界の「謎」はそれなりに引かれたけど、ネタはありがちだし、主人公達の行動が人類の生存に関わるようには見えない、チマチマした感じでスケール不足です。お話は「THX-1138」や「2300年未来への旅」を目指したかもしれませんが、上っ面をなぞっただけです。

主演のシャーリーズ・セロンはかっこいいですが、この人は演技派というイメージがあるので、こういうドラマ重視でない映画には出てほしくなかった気はしました。彼女のコスチュームは体にフィットして線がきれいに出ていますが、こういうボンテージ的なコスチュームに全く興味のない僕には全然セクシーには見えません。唯一、寝る時の衣装（寝巻きとはとても言えない）は露出が多くて、セクシーではありました。
また彼女の顔のクローズアップで肌のキメが細かくないように見えたのは、僕の錯覚ですかねえ…？

「父の祈りを」や「ダーク・ウォーター」のピート・ポスルスウェイトがチラリと顔を見せていますが、彼が出るとそこだけ重厚感が出てる感じがします。

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ミュンヘン

ミュンヘンオリンピックの最中、イスラエル選手団がテロリストに襲われ、逃走の途中で犯人たちは殺害されたものの、人質となった選手たちも全員殺されてしまう。イスラエル政府はその報復として、テロの実行に関わった者たちの暗殺を極秘に計画する。暗殺チームのリーダーに任命されたアヴナー（エリック・バナ）はヨーロッパに渡り、４人の部下と共に標的を次々に消していく…。

映画の前半は「スパイ大作戦」（「ミッション・インポッシブル」とは違うでしょう）ぽい感じで、暗殺計画の実現の過程をスリリングに描いて興味を引きます。宣伝コピーは「私は正しいのか?」ですが、主人公達がかなり後まで任務に一生懸命であるのは、予告と違うイメージでした。
しかし後になるに従って主人公達は外からの敵、そして味方への疑念という内からの敵に追い詰められていきます。そういうテロの報復と応酬が生んでいく不毛を、スティーブン・スピルバーグ監督がテンポ良く描き、３時間の長さながら全く退屈しません。色あせた色調の画面効果もテーマの重苦しさと上手くマッチしています。
ただ映画には、同じく事実を元にした「ホテル･ルワンダ」のような感動は感じられなかったし、「イノセント･ボイス」みたいな強烈さも受けなかったのが、物足りないようには思いました。

悪意のある言い方をすればユダヤの犬かと思っていたスピルバーグが、これまでの「シンドラーのリスト」などとは違う、イスラエルを責めるような映画を作ったのには感心しました。ただ彼がユダヤ人だけに、この人は本当にイスラエルを糾弾する気があるのか？てちょっと疑いたくもなってしまいます。
しかしここで糾弾されているのはイスラエルだけでなく、テロを支持する人々やその報復を口にする人々、特にアメリカでしょう。ラストの舞台をニューヨークに持ってきているのが、この映画のミソだと思います。
この映画はスピルバーグ監督の「宇宙戦争」より後に作られたと思いますが、「宇宙戦争」はテロ事件のモチーフに見えたので、スピルバーグがその後のこの「ミュンヘン」で、テロがなぜ起こるのか?終わりはあるのか？と、テーマを深化させたように思えました。

ただ、日本のアニメ「機動戦士ガンダムSEED」で「殺されたから殺して、殺したから殺されて、それで本当に終わりになるのか?」というセリフがありました。この「ミュンヘン」でようやくハリウッドも、日本のアニメのレベルに追いついた感じがします。

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クラッシュ

クリスマス間近のロサンゼルス。黒人刑事のグラハム（ドン・チードル）と、相棒であり恋人でもあるスペイン系の女性リア（ジェニファー・エスポジト）が巻き込まれた追突事故を導入に、アラブ人の商店主、若い黒人強盗、白人の検事夫婦、人種差別主義の警官、黒人のTVプロデューサー夫婦など、一見接点が無いような人々が絡んでいく物語。2006年度のアカデミー最優秀作品賞を受賞した映画です。

いろんな人種の人が出てきて、差別ネタのエピソードが多いうえに、Fの放送禁止用語の連発がリアルです。この映画を見た人は、LAは人種差別の町、という印象を持つのではないか？と余計な心配をしたくなりますが、それもアメリカの「現実」だし、こういうイヤなことを観客が不快になるのを恐れずに、まともに描くのは勇気のあることだと思います。

ハリウッド映画、特にエンターテイメント系の作品のキャラクターは善い者は善、悪者は悪と分けられがちです。でも我々現実の人間はそんなに単純ではなく、いろいろな性格を持っています。この「クラッシュ」に登場するキャラには、そういうような悪の面と善の面が両方描かれている点で、多くのハリウッド映画と一線を画しています。
特にマット・ディロン演じる警官に、その人間の２面性が現れていて、彼のアカデミー助演男優賞のノミネートも納得でした。こういう描写のおかげで彼だけでなく、キャラクター全員に「生きている」リアリティーが感じられて、全く退屈しませんでした。

予告編だと映画には何人か死人が出そうなイメージがありますが、お話はそれほど凄惨でもありません。後半では感動するシーンもちらほらあり、希望のあるラストが爽やかです。あまり盛り上がりのないラストですが、それがかえって本当ぽく見えました。

監督のポール・ハギスは「ミリオンダラー・ベイビー」の製作と脚本でアカデミー賞にノミネートされた人です。「クラッシュ」はアカデミー受賞の価値がある映画だとは思いますが、「ミリオンダラー・ベイビー」の方が内容的に強烈ではありました。

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アサルト13
要　塞　警　察

デトロイトの刑事ローニック（イーサン・ホーク）は伏面捜査で負傷し、部下を死なせてしまう。それから８年後、彼が巡査部長をしている第13分署はこの大晦日で閉鎖されることになっていたが、そんな日に大吹雪を避けるために囚人護送車がやってくる。その中には警官殺しで有名になったビショップ（ローレンス・フィッシュバーン）がいた。彼らを留置場に入れてしばらく経って、謎の集団が13分署を襲撃してくる…。

ジョン・カーペンターが監督してB級映画の傑作と言われる「要塞警察」をリメイクした作品です。
お話は退屈しませんが、盛り上がりもドキドキもあまり無いし、中盤で明かされる敵の正体もありがちな感じがしました。主人公にはトラウマらしい設定がありますが、特にそれが生きていると思うシーンもありません。各カットを何の工夫もせずに、シナリオ通りに並べました、て感じがしてしまった作品でした。

ローレンス・フィッシュバーンは、「マトリックス」に比べてまた肥えてます。貫禄は出てるけど、いーかげんダイエットした方がいいような（人のことは言えないけど）。

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PROMISE

遥か昔、神と人がまだ共存していた時代。戦場を彷徨う一人の少女は女神･満神からの「この世の全てを手に入れることができる代わりに、本当の愛を得ることができない」という取引を承諾した。それから十数年後、大将軍光明（真田広之）は奴隷たちを犠牲にした作戦で、足の速い崑崙（チャン・ドンゴン）が逃げ回ったことで再度の大勝利を収め、光明は崑崙を自分の奴隷とする。国王が公爵（ニコラス・ツェー）の軍に包囲されていると聞いた光明は直ちに向かうが、公爵の刺客に手傷を負わされたため、崑崙に彼の鎧を着せ、王の城へ向かわせる。だが手違いで崑崙は王を殺してしまい、王妃･傾城（セシリア・チャン）を奪ってしまう…。

「花の影」や「北京ヴァイオリン」といった人間ドラマを作ってきたチェン・カイコー監督が、チャン・ドンゴンなど豪華キャストで手がけた東洋風ファンタジーです。
ネタがネタなので、映画では合成やCGを多用していますが、それらにはアラがかなり出ているように見えます。でもこれは「アラ」と捉えるのではなく、監督がデジタルのツールで遊んでるというか、実験している感じがしました。
そういう技術を駆使して作っている、傾城が捕らえられたケージや大将軍の隠れ家や王城などの、イメージやセットには「ロード･オブザ・リング」に対抗するような、デジタルで作る東洋の美学、といった独特の感性が出ていて見ものです。

話のテンポはなかなかに良くて退屈はしませんでしたが、少々ひねりすぎな感じがしました。でもその複雑な感じが、チェン・カイコーらしいところかもしれません。
今回はチェン監督のこれまでの作品とかなりテイストが違いますが、チャン・イーモウ監督の「HERO」に触発されたのかもしれません。でも僕にとっては「覇王別姫」なんかよりは話に入り込めました。

真田広之、チャン・ドンゴン、ニコラス・ツェー、セシリア・チャン、と主役級の俳優の競演だけあって、どのシーンも役者たちがかっこよく、アクションも決まっています。中でも、日本の宣伝では一番スポットが当てられていないニコラス・ツェーは、キャラクター的においしい役ということもあって、妖艶さと存在感が抜きん出ていて、この作品は彼の代表作になることでしょう。
真田広之は中国語のセリフもがんばってしゃべっています。でもネイティブの中国人が聞くと、やはりおかしいのだとか。

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ナ イ ロ ビ の 蜂

ブラッドレイン

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Ｖフォー・ヴェンデッタ

地球を守れ！

アンダーワールド エボリューション

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戦場のアリア

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トム・ヤム・クン！

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クライング・フィスト

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ナニー・マクフィーの 魔法のステッキ

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the EYE 2

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ナイト・ウォッチ

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THE MYTH 神 話

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シ リ ア ナ

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サウンド・オブ・サンダー

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ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!

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S P I R I T

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エミリー・ローズ

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力 道 山

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う つ せ み

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イーオン・フラックス

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ミュンヘン

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アサルト13 要 塞 警 察

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ナイロビの蜂

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神　話

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