レディ・イン・ザ・ウォーター

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フィラデルフィアにある高層アパートの管理人クリーブランド（ポール・ジアマッティー）は、日々住人たちの雑事に明け暮れていたが、何者かが毎夜アパートのプールで泳いでいることに頭を痛めていた。ある晩彼はその正体を突き止めるが、ストーリー（ブライス・ダラス・ハワード）と名乗る彼女は彼の部屋に上がりこんでしまう。彼女は自分がナーフだと言い、それが住人の語るおとぎ話に出てくる水の精に符合すると知ったクリーブランドは、彼女のこの世界での役割を助けようと奔走する…。

M・ナイト・シャマラン監督の映画ですが、「シックス・センス」の後の「アンブレイカブル」やら「サイン」やらは自分には合わなかったので、この作品もあまり期待はしていませんでした。
それらの作品が何を言いたいのかさっぱり分かりませんでしたが、今回は「誰にも何らかの役割がある」というメッセージに見えました。イラク戦争の批判もありそうで、この人の映画にしては珍しく、分かりやすい主張を出した作品だと思います。もっとも、他に隠された別のメッセージがあるのかもしれませんが…。
舞台がありふれたアパートで、そんなご近所でおとぎ話が繰り広げられていく設定は面白いし、自分らの隣に別の世界があるかもしれない、というのはワクワクさせられました。また勘違いゆえとはいえ、キャラの役割が二転三転する展開も面白く、クライマックスは「そうだったのか！」と言いたくなりました。その後の音楽の盛り上がりで、ラストはなかなかに感動させられました。

しかし、話の展開はかなり都合良過ぎでしょう。みんながみんな簡単にストーリーのことを信じてしまうのは引っかかりました。彼女に会っているならともかくも、会ってない人までもねえ…。
また、敵の設定が分かりにくいものがありました。話に意外性を持たせようとしたのかもしれませんが、おとぎ話をヘンに複雑にするべきではないでしょう。

M・ナイト・シャマラン監督は毎回自分の映画に出演していますが、今回は以前にも増して重要な役になっています。演じている役のようになりたい、という願望でしょうか。

撮影はクリストファー・ドイルが担当しています。この人は「恋する惑星」や「HERO」といった、香港などアジア系の映画ばかりやっている印象があるので、ハリウッド作品も手がけるとは意外でした。

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いろんな人種の人々が協力して誰かを救う…救われる対象であるストーリーは、環境問題などで危機に瀕している「地球」がモチーフなのかもしれません。

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弓

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海に浮かぶ船の上で、少女（ハン・ヨルム）と老人（チョン・ソンファン）が２人きりで暮らしていた。少女は、数ヵ月後に迫った17歳の誕生日に老人と結婚することになっているが、釣り客として船にやって来た1人の青年（ソ・ジソク）に強く惹かれ、青年も少女を意識するようになる…。

「うつせみ」や「悪い男」のように、キム・ギドク監督の作品に登場するメインキャラクターはセリフを発しません。今回も同様で、キャラの心理を観客に想像させる形で話が進行します。船の中という、狭く限定された舞台が少女、老人、青年の関係に弓のような緊張感をもたらします。
タイトルである「弓」がその通り映画で重要な小道具になりますが、それが武器だけでなく、楽器にもなる使い方が面白く上手いところでした。後半でファンタジーぽくなる瞬間にはハッとさせられます。

少女を自分好みに育てて嫁にするというのは、独身男の願望を絵にしたような設定で、ロリコン趣味に見えてかなりアブない感じですが、「悪い男」で男の夢を描いた（と解釈できる）ギドクならではの作りでしょう。
少女を演じるハン・ヨルムは無邪気ながら、そんな男の願望を体現するような小悪魔的な行動にはドキリとするし、老人や青年を時に受け止め時に反発する、その表情の魅力と目力の強さに圧倒されました。彼女はギドク監督とは「サマリア」以来２度目の出演だそうですが、存在感が「サマリア」より段違いです。

海の上の船という世界観はやはり独特で、今回は仏画も出てきたりして、「春夏秋冬そして春」のように、ギドクは仏教にけっこう思い入れがあるのかもしれません。
また「占い」のシーンは面白いイメージだし、タイトル通りの弓を生かしたサスペンスにもなっているのが効果的で、特に後半での「占い」は正視できませんでした。

ラストは少し切ない感じがありますが、さわやかで暗さは感じさせません。この辺の音楽は使い回しな感じがしましたが、メロディが良くて感動的に盛り上げてくれます。
ギドク監督はいつもメインキャラを、ラストで悲惨な目には合わせないように思います。

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クライマックスがファンタジーぽい描写になるのは、いつもながら全く予想しないところで出てきたので驚きました。ここでのハン・ヨルムは乳首をチラリと見せる程度の露出度ながら、腰の動きと表情はAV顔負けのエロさです。

少女はこの後どうなるのでしょうか？青年は正義感だけでモノを言ってる感じで、老人のように少女の全てを背負う覚悟があるのか疑問です。後になって青年は少女に飽きて他の女に走るかもしれないし、彼女は老人の元にいた方が、守られていたのではないかとも思います。

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グ　エ　ム　ル
漢　江　の　怪　物

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ソウルを流れる大河の漢江（ハンガン）に謎の怪物が現れ、次々と人を襲う。河川敷で売店を営むパク家の長男カンドゥ（ソン・ガンホ）は何とか怪物に立ち向かおうとするが歯が立たず、彼の中学生の娘、ヒョンソ（コ・アソン）は怪物にさらわれてしまう。パク一家がヒョンソが死んだと思い悲しみに暮れている時、政府から怪物の持つ謎のウィルスに感染したと疑われ、彼らは病院に隔離されてしまう。そんな時、カンドゥの携帯にヒョンソから助けを求める連絡が入り、一家は脱出を試みる…。

傑作「殺人の追憶」のポン・ジュノ監督が次に選んだ作品。それがモンスターものというのは意外でした。
でもさすがにポン・ジュノだけあって、単純なモンスター話にはしていません。怪物と戦うのはパク一家の面々ですが、これがクライマックスになるまで全然かっこよくなく、彼らと怪物のシーンはバトルというより、コメディといった感じです。その分（？）怪物からの脱出の努力をあきらめないヒョンソの健気な姿が、凛々しく見えました。
そんな彼らを助けるどころか、妨害する以外に何もしないのが警察と軍隊です。監督は「韓国の警察や軍は国民を守ってくれたことがあったか？」とインタビューで語っています。
映画にはウィルスが重要なネタになっていて、これはSAAS対策の批判とかがこめられているのではないかと想像します。韓国は中国と陸で接しているから、日本より問題意識は切実だったのではないでしょうか。
映画にはこういう社会批判がかなり盛り込まれていて、自衛隊と警察に媚びてばかりいる日本の怪獣映画とは異質な雰囲気になっているのが面白いところです。
そういった内容であるだけにこの映画、ストレートなモンスター話ではないので、日本やアメリカのような従来の怪獣映画を期待する人は見ない方がいいでしょう。怪獣映画マニアよりも、そうでない人の方が楽しめるかもしれません。
こういう社会批判やブラックコメディみたいな形はポン・ジュノらしいと思うし、ラストが爽快でないのも「殺人の追憶」を思わせます。でも映画のテーマが怪物なのか家族愛なのか社会批判なのかバラバラになってしまった感じで、やはり「殺人の追憶」の方が上の出来ではありました。

映画の英語のタイトルは「THE HOST（宿主）」で、こちらの方が内容に合っていると思います。話の中にはたぶん「グエムル」なる名前は出てきていないようで、これは日本の配給会社がつけた名前でしょう。
その「グエムル」、顔はユーモラスでありながら、口の開き方なんかに独特な獰猛さが感じられ、行動が残酷であるという落差に怖さがあります。
そのデザインは魚を思わせ、動きがトカゲのように滑らかなのがリアルです。特撮に「ロードオブ・ザリング」のWETAといったハリウッド映画のスタジオが協力しただけのことはありますが、韓国はITが盛んなのに、自国でこれをやってしまうくらいの技術力はないのでしょうか。
怪物が映画のしょっぱなから、しかも白昼に人ごみの中で暴れるというのはこれまであまりないパターンで、ここまであからさまに見せるとは意外でした。日本の怪獣より小さめのサイズであるのも「怪獣」とは違った、「怪物」にふさわしい独特さがあります。

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怪物が廃液で生まれた、と映画でははっきり言ってはいませんが、これはパターンな感じがしました。ネットではこれが「WXIII：PATLABOR THE MOVIE 3」の盗作と言われていますが、ストーリーは全然違っていたはずです。あの映画は僕の記憶からすっかり抜けてしまう程度の出来で、この「グエムル」の方がまだオリジナリティーがあります。

映画の中盤でのパク一家の食事のシーンで、いないはずのヒョンソがひょっこり現れて、家族がそれを当然のように受け入れている描写はとても暖かい感じがして、いいシーンでした。
なので、最後にヒョンソが死んでしまうのは救いが無くてイヤな感じですが、もし彼女が助かっていれば、「ヒョンソを殺したのは誰だ？」という社会批判のテーマが、感動の陰に隠れてしまったかもしれません。

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太　陽

太平洋戦争時の昭和天皇裕仁を、ロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督が描く物語です。
ネタがネタだけに日本での公開が危ぶまれましたが、この映画は天皇裕仁の終戦前後の気持ちの変化を重点に描いたもの、と捉えられる内容で、特にヤバいと思うところはありません。この作品の上映に反対する人は、特にいないのではないでしょうか。
映画は状況やキャラの説明はあまりしないで、観客に想像を委ねるスタイルであり、天皇の実像を追求しているのではなく、監督の解釈する天皇像と見るべきでしょう。
天皇が神経症のような感じに見えたのは引っかかりましたが、その心理の解釈は納得できるものがありました。こういうネタでは日本人だと遠慮してしまい、ここまで内面に踏み込めなかったかもしれず、やはり外国人でなければ作れなかった映画かもしれません。
しかしロシア映画というせいなのかこの作品、長回しに長いセリフが多くて眠くなりました。
また映画は終戦前で始まったのに、天皇裕仁が関わったはずの玉音放送の録音とか無くて、いつの間にか戦争が終わっている展開には戸惑いました。

東京大空襲のシーンで、B-29が魚になっているのは面白いイメージでした。天皇は海の生き物の研究をしていたから、ありそうに思います。
映画は色調を落としているのが、古い時代の雰囲気が出ているし、時代考証などはかなり正確に見えました。ただ、占領軍の通訳が天皇を崇拝気味に見ているのは、アメリカの軍属なのにそこまで畏れていたもんだろうか？と疑問に思いました。

天皇裕仁を演じたイッセー尾形は悪くなかったと思います。問題視されるかもしれない役柄をよくやりました。そして彼の侍従を演じる佐野史郎も、役にぴったり合っている感じでした。

天皇の侍従が常に彼の発言をメモしている描写には、この映画の公開の少し前に発見？されて話題になった「冨田メモ」が、本当にありそうに思いました。

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ユナイテッド93

世界に衝撃を与えた2001年9月11日の出来事を、関係者の証言を元にして「ボーン・スプレマシー」のポール・グリーングラスの脚本と監督で再現した作品です。
タイトルはこの日ハイジャックされた旅客機４機のうち、ただ１機だけ目標に達することなく墜落した、ユナイテッド航空93便から取っています。映画の中心になるのはこの話ですが、それは主に後半で、映画の前半は航空司令室や管制塔や軍といったアメリカの航空各局がハイジャックを把握できないまま、世界貿易センタービルの悲劇をただ見ることになってしまう混乱ぶりが主に描かれます。
今でこそ（たぶん）アメリカの航空各局はハイジャックにすばやく対応できる体制になっているでしょうが、この９・11の当時はハイジャックなんて何年も無かったおかげで管制官たちは出来事をよく理解できず、軍の方も適切な出動ができませんでした。この一連の描写は、いざといった事態に対応できない危機管理の弱さへの警告とも見れます。
前半のそれらの描写の間に、ユナイテッド93便が飛び立つまで、そして飛び立った後しばらくの機内の平穏な風景とテロリストたちの姿が交互に描かれます。93便は飛び立つまでだいぶ空港に待機させられますが、もしこの待機時間がもっと長ければ…と思ってしまいました。結果が分かっているだけに、見ていて辛くなる映画です。

映画はまず、テロリストたちのイスラムの祈りの言葉から始まります。このシーンから始まることでこの作品が、誰が悪いというような善悪に偏ることなく、事実の再現に徹するという冷静な描写をしようとしてることが分かります。
そしてカメラは、93便のシーンでも他の管制各局のシーンでも、手持ちのように動いています。これがまるでドキュメンタリーを見ているような、臨場感を出しています。
クライマックスでの93便のテロリストのコーランの祈りと、乗客の聖書の祈りが同時に唱えられるシーンは、宗教の不条理を言っているように見えました。

93便の墜落については、テロではないという説もあります。しかし映画に描かれていることが事実かどうかはともかくも、理不尽な事態に立ち向かった人々の勇気の物語、と見るべきでしょう。
いつもと同じ日常が、いきなりそうでなくなる事態には怖くなります。事件に巻き込まれた人たちはごく普通の人々だけに、あながち自分とは無関係とは思えませんが、それが映画を作った人たちの狙いかもしません。

エンドクレジットでの管制側や軍のパートでは「AS HIMSELF」と書いてあるものがけっこうありました。これは「本人」ということで、たださえ辛い出来事だったろうに、そんな風に事件の当事者本人がかなり出ていることには驚いたし、感心します。
映画には有名な俳優は出ていませんが、それがかえってリアルに見えました。特にテロリストを演じたアラブ系の俳優は、犯人役だけに演じて辛かっただろうに、良く出たと思います。
93便には一人だけ日本人の乗客がいたそうですが、その人らしきキャラクターもいます。

これの映画評で登場人物が「レッツ・ロール」と言ってる、と書いてあるものがありましたが、その言葉は聞き取れませんでした。本当に言ってたのかなぁ？

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スーパーマン
リターンズ

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５年前に地球から突然姿を消したスーパーマン（ブランドン・ラウス）が、故郷であるスモールビルのケント農場に帰ってきた。メトロポリスにあるデイリープラネット社のクラーク・ケントとして復帰した彼は、想いを寄せていたロイス・レーン（ケイト・ボスワース）が母親になっていると知りショックを受ける。だがロイスはスペースシャトルの飛行実験の取材中に事故に巻き込まれてしまう。その影には出所したスーパーマンの宿敵、レックス・ルーサー（ケヴィン・スペイシー）がいた…。

1987年の「スーパーマン：最強の敵」以来久々に復活したスーパーマン映画です。今回は「スーパーマン２：冒険編」からの続きになるそうで、内容はクリストファー・リーブ版を継承した形です。
ジョン・ウィリアムスのあのテーマ曲に立体的なオープニングクレジット、そしてマーロン・ブランドのデジタルでの再登場といった部分は、クリストファー・リーブ版と役者が違っても同じ世界観が続いてる雰囲気が出ているし、前シリーズのリスペクトという感じで嬉しくなります。
なので前のスーパーマン映画を見なくても話についていけるとは思いますが、DVDとかで見ておいた方が、より楽しめるはずです。

今回は「スーパーマン」のヒロインであるロイス・レーンに子供がいる、という設定がまさか！で驚かされました。そのロイス、彼氏であるリチャード、そしてスーパーマンとの三角関係が前シリーズと最も違う、面白い点でした。リチャードは初めは少し嫌な感じがしましたが、何があってもロイスを信じる姿勢がいい奴に見えてきて、儲け役でしょう。
この３人の関係で、ヒーローが孤独ではなく人々と助け合う「つながり」を持つのが、「スパイダーマン２」でもそうであったように、今ぽいところに思います。

前の「スーパーマン」では人の死はあまり意識しなかったように記憶してますが、今回は直接は見せないものの、死人が出る展開があり、少し血なまぐささを感じました。この点だけがスーパーマン像を損なった感じで少し残念です。「バットマン」なんかだったら多少死人が出ようと（悪人側で）仕方ないと思いますが、「スーパーマン」はやはり健全であってほしいです。

車が故障した人など、スーパーマンが細かいトラブルまで引き受けているのは前のシリーズと同様ですが、いちいちそんなことをしてたら身が持たないだろうし、全ての人間を助け切ることは不可能でしょう。
スーパーマンの透視能力は今だと覗きに見えてしまうし、ロイスの後をつけるのはストーカーみたいです。前のシリーズではそんなこと思わなかったのに、これも時代なのでしょうか（すさんでるなあ）。

今回スーパーマンを演じるブランドン・ラウスは、まるでそのために出てきたようで、クリストファー・リーブと比べても遜色はありません。こんな役者がちゃんといてしまうのが、ハリウッドの強みでしょう。
レックス・ルーサー役のケビン・スペイシーは悪役を楽しそうに演じていますが、最後はマジ過ぎで、違う感じを受けました。ルーサー君にはいかなる状況でも、ユーモアを忘れない余裕がほしいです。

エンドクレジットで「クリストファー・リーブ夫妻に捧げる」という文が出ますが、この出来なら天国の彼らもほぼ満足だろうと思います。ブライアン・シンガー監督は、「Xメン」の３作目を断って正解でしょう。

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まさかとは思ったけど、ロイスの子供の父親がスーパーマンとは意外でした。スーパーマンとロイスがHをしたなんて想像つきません。この映画がアメリカであまりヒットしなかった理由は、これだったりして…。

レックス・ルーサーの情婦が最後にレックスに反感を持つのは、オリジナルと同じパターンで良かったけど、彼女が最後に落としたクリスタルはどうなったのでしょう？かなりの本数がありました。1本だけでもあれだけの被害を出したのに、これだけ沈んだら地球がぶっ壊れかねない、いやクリプトン星になってしまうんじゃなかろうか…。

今回のスーパーマンは、キリストのイメージを重ねているように見えました。でも入院は人間的過ぎで、ちとヒーローに似つかわしくありません。

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青　春　漫　画
僕らの恋愛シナリオ

アクションスターを目指すジファン（クォン・サンウ）と女優を夢見るダレル（キム・ハヌル）。ご近所同士で13年間兄妹のように育った２人の関係を、日本でも大人気らしいクォン・サンウと、「彼女を信じないでください」のキム・ハヌルのコンビで描く物語です。

イケメンヒーローのイメージのあるクォン・サンウが、それを覆すようなヘアスタイルでのヲタぶりは楽しめました。でも全体的に展開がかったるく、後半での韓流映画のいかにもなパターンは気になりました。特に予告編を見た人は、ストーリーが容易に想像できるでしょう。
それでもクライマックスでは、感動できる箇所はありました。

今回のキム・ハヌルも元気いっぱいで魅力的ですが、さすがに女学生役は苦しく見えました（でもTシャツから見えるおなかがセクシーだったりする）。彼女とクォン・サンウは息ぴったりのコンビで、特にカラオケシーンでの爆発！ぶりは見ものです。
サンウの父がダメ親父ながらも子供のことを一番に考えるキャラで、いい味を出しています。

映画館の客は女性ばかりでした。みんなクォン・サンウ目当てかなぁ。

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ナチュラル・シティ

人間とアンドロイドが共存する2080年のメッカ・ライン・シティ。警察の特別捜査官Ｒ（ユ・ジテ）はリア（ソ・リン）というアンドロイドに心を奪われ、廃棄期限が迫る彼女を救うため、スラム街に住むジロ博士に協力して非合法の活動をしていた。そんな時、逃亡した戦闘用のアンドロイド「サイパー」がニュートロン社のビルに潜入し、Ｒを含む特殊部隊は多大な犠牲を払いながらもなんとか１体を除いて殲滅する。ジロ博士はリアを救うには娼婦のシオンの体が必要だとＲに言うが、逃亡したサイバーもシオンを狙っていた…。

「春の日は過ぎゆく」や「オールド・ボーイ」のユ・ジテ主演の韓国製SF作品です。
未来都市で、ほとんど雨ばかりで、人間と人間そっくりのアンドロイドがいる、という設定は「ブレードランナー」みたいだし、出てくる文字が漢字ばかりなのは「攻殻機動隊」みたいで、香港あたりでロケしたのではないかと思うシーンもありました（未来では、ハングル語は無くなると？）。
スタッフはいかにもこういった作品が好きそうで、エンドクレジットで出てくるデザイン画なんて、まるでアニメキャラでした。

でもこの映画、主人公Ｒがアンドロイドであるリアにこだわる理由がさっぱり分かりません。そのおかげか戦闘以外のシーンはかったるく、特に初めの１時間は退屈でした。
舞台になる都市はかつてのソウルという設定らしいのですが、どこの国とされているのか見ている間は分からなかったし、アンドロイドに３年の期限があるというのも日本版の予告編で初めて知りました。
ストーリーの根本となる世界観の説明が無いというのは、製作者たちが、この物語を初めて見る観客のことを考えないで、自分たちが知ってるからヨシとしてしまったゆえのように思ってしまいます。

しかし後半にはグッ！と来るシーンがありました。死ぬと分かっていても戦いに赴くというのは、いかにも韓国というかアジア映画で、なるほど「ユリョン」を手がけた監督という感じがします。でもこういうの、燃えるんだよねえ。

Ｒとリアが水中を泳ぐシーンは、幻想的で面白いイメージでした。夜のはずなのにやけに明るいんだけど。

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悪　い　女
～　青　い　門　～

ジナは，ポハンにある旅人宿にやってくる。そこは家族経営の売春宿で、彼女はそこで娼婦として働くことになる。主人である父、母、その息子で高校生のヒョンウはジナを歓迎するが、姉である女子大生のヘミは嫌がる。彼女は家を恥じていて、ボーイフレンドを連れてこれないでいた。ジナはやがて父と関係を持ち，ヒョンウからも強引に関係を持たされてしまい、ヘミのジナへの嫌悪はますます深くなっていく…。

「うつせみ」や「サマリア」のキム・ギドクが、初期に手掛けた監督作品です。
タイトルは「悪い女」とついていますが、主人公のジナは悪いと思うような描写はあまりなく、むしろ可哀想になるシチュエーションが目立ちます。このタイトルは劇場公開された「悪い男」を意識したものでしょう。主人公は娼婦で海辺が出てくるなど、共通する部分もチラホラあります。
その「悪い男」と同様この「悪い女」も、並みの監督がやったら暗くなるかもしれない話を、こうも爽やかに描いていることに感心します。この作品でもやはり、キャラの心理や行動の説明はあまりなく、観客に想像させるギドクの作風を貫いています。
映画のメインの見どころは、ジナとヘミの関係の変化でしょう。「悪い男」と同じように、この作品も擬似家族の映画とも見れるし、ファンタジーとも解釈できます。
浜に置かれた絵や、さび付いた飛び込み台、血の着いたトイレットペーパーなど、ところどころのハッとさせるイメージにも注目です。

主人公が売春婦ということで、映画にはセックスのシーンはありますが、そんなに多くないし、胸もあまり見せません。日本版のDVDには15歳以下レンタル禁止という制限がありますが、そんな制限は無くてもいいと思います。

「悪い男」のように、聖女は汚いと見える所にいるのかもしれません。やろうと思えば日本のポルノ（AVではない）でもできるかもしれない話です。

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ハードキャンディ

14歳の少女ヘイリー（エレン・ペイジ）と売れっ子フォトグラファー、ジェフ（パトリック・ウィルソン）は出会い系サイトでチャットを続け、会うことにする。ヘイリーはジェフの自宅に行きたいと言い、そこで彼女はジェフにカクテルを作り、飲ませる。その後気を失ったジェフが目覚めると、いすに縛り付けられていた…。

出会い系サイトを利用してる人（期待してる奴いるのかなあ？）には、うすら寒いお話でしょう。男にとっては生理的に、痛い！と思うシーンもあります。
ヘイリーの行為とジェフの抵抗戦術の展開に話の先が読めなくて、興味はそそられました。でも会話とか長くて少し退屈でした。1時間程度に切っていい内容だと思います。
そう感じたのは、キャラに思い入れが出来なかったゆえかもしれません。ヘイリーがジェフにひどいことをする目的が分からなくて彼女に同情できず、かえってジェフが悪人には見えずに、被害者に見えてしまいました。ロリコン趣味程度でここまでされなければならないのか？と、キチガイ娘が大人をいたぶっているだけに見えてしまいました。
最後のサプライズゆえにこういう構成にしたのかもしれませんが、謎が解けても感動はありません。ご近所さんを出した意味もよく分かりませんでした。

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パイレーツ・オブ・カリビアン
デッドマンズ・チェスト

エリザベス・スワン（キーラ・ナイトレイ）とウィル・ターナー（オーランド・ブルーム）は結婚式の当日、ジャック・スパロウ（ジョニー・デップ）の逃亡を助けた罪で逮捕されてしまう。そのジャックはさまよえる幽霊船「フライング・ダッチマン」の船長デービー・ジョーンズ（ビル・ナイ）から逃げようとしていたが、エリザベスは彼女らを逮捕した新しい総督がデービー・ジョーンズの持つ「デッドマンズ・チェスト」を欲している事を知る…。

ディズニーランドのアトラクションを原案にした大ヒット映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」のパート２です。今回は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のようにパート３と同時撮影だったそうで、来年には続編が控えています。
前作はそこそこ楽しめましたが、今回は手を変え品を変えたシチュエーションで飽きさせないアクションに加え、サメや貝の合体生物（ゲルショッカー！）のような海的なゾンビにクリーチャー（クラーケン）の登場で、よりファンタジック＆アドベンチャーという形になっていて、前作以上に楽しめました。２時間半もの長さを全く感じさせなくて、久々にハリウッドメジャーの底力を見せてくれた作品です。
次にパート３があるせいか映画はモロに「つづく」という終わり方になりますが、ラストに出てくるキャラクターには、「この人が!?」と驚かされました。続編も期待してしまいます。

脇役まで前作のキャラがかなり出てきてるおかげで、今回はまっとうな続編という形になっていますが、そういうキャラクターの関係の説明が全く無いので、これを見る前に改めてパート１のDVDとか見ておいた方が話が分かりやすいと思います。
前作を見て無くても楽しめるでしょうが、キャラの関係がつかみづらいだろうし、特にラストの驚きを味わえないのはもったいないように思います。

今回も、映画の一番の魅力であろう主人公ジャック・スパロウの調子よく（ごく?）たまにかっこいいキャラを、ジョニー・デップが楽しそうに演じています。
リーダー格のウィルも、今回は父親とのエピソードが重要なポイントになって見ものだし、実は海賊が似合いそうな破天荒なエリザベスといい、各キャラクターも前作からブれることない魅力を見せてくれます。

映画スタジオのロゴはちゃんとディズニー（タッチストーンとかではなく）でしたが、それにしてはグロいシーンがチラホラとあって、子供が見たときどう感じるか気になりました。
人食い人種のエピソードはなかなかに笑えますけど、こういう設定は昔は許されたでしょうが、今出すのはどうかと思います。なんか見下している感じもするし。

エンドクレジットが終わってもシーンがあります。話には関係ありません（たぶん）が、笑えるので見て損ではないと思います。

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サイレントヒル

ローズ（ラダ・ミッチェル）の娘シャロン（ジョデル・フェルランド）が、目を離した隙に自宅からいなくなってしまう。危うく事故に遭いそうになったシャロンは「サイレントヒル」と謎の言葉を発して意識を失うが、気がついたときは何も覚えてはいなかった。娘の言葉が気になっていたローズは、ネットでサイレントヒルが実在の町であることを知り、シャロンと共に向かうが、町の入り口で事故を起こしてしまう。彼女が気が付いた時、娘の姿は車内に無かった…。

ヒットしたホラーゲーム「サイレントヒル」の実写映画化です。「バイオハザード」がヒットしたし、「リング」なんかでJホラーがハリウッドで好意的に見られてるゆえの企画でしょうか。
クリーチャーのデザインは面白いし、雰囲気はそこそこ不気味で、灰が降り続ける町といった世界観も悪くありません。でも話の進み具合が緩くて眠くなるし、町の秘密といったような細かい部分の話がよく分かりませんでした。
町はセットだろうけど、地下シーンのCGの多用はゲーム画面のCGを少々グレードアップしただけに見えて、チンケに感じました。
でもロ－ズの夫役で「スタンドアップ」や「フライトプラン」のショーン･ビーンが顔を見せているのには、ちょっと高級感が出ているように思いました。でも娘を演じるジョデル・フェルランドは、出ずっぱりだった「ローズ・イン・タイドランド」の方が彼女の魅力が出ています。

物語で時折サイレンが鳴るのは、同じくゲームを映画化した「サイレン」を連想しましたが、ゾクゾクとさせる怖さは出ています。サイレンとホラーは相性がいいのかもしれません。
クリーチャーデザインに「ゴジラ」や「ピッチブラック」のパトリック・タトロプスがクレジットされていました。鋭角的なホラーキャラクターは、そんな感じを受けます。

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ディセント

アメリカ、アパラチア山脈奥地の洞窟を訪れた６人の女性。細く狭い洞窟でスリリングなケイビング（洞窟探検）を楽しむが、突然の落盤で出口をふさがれてしまい、迷路のような洞窟内で出口を探してさまよう…というのが映画前半のお話。
しかし後半は、怒涛のモンスターホラー！となります。チラシなんかではモンスターのことにほとんど触れていなかったので、これほど大々的に出てくるのには驚きました。追っかけホラーはハリウッドお得意のネタですが、それを明かりが無ければ真っ暗闇という、洞窟を舞台にしたアイデアに感心しました。
洞窟内での女性たちの息遣いなんかがリアルで怖がらせてくれるし、ギョッと驚かせるシーンも結構あり、なかなかにドキドキさせられます。
でも流血量が多くてグロイし、終わりは爽やかではないので、その覚悟で見たほうがいいでしょう。デートには相応しいか疑問な映画です。

言ってしまえばこの映画、B級ホラーとも言えますが、宣伝ではモンスターをほとんど出さないことで、ちょっと高級感を出しています。そのおかげかそこそこ客も入っているようで、この宣伝手法は上手いかもしれません。

モンスターは清水崇監督の「稀人」の「でろ」を連想しました。あれも地底に行く話だったし、意外にそれが原案かもしれません。今は亡き川口探検隊にぴったりの題材ですな。

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M : i : III

まだ見ていない人

I.M.F.で活躍したイーサン・ハント（トム・クルーズ）は第一線を退いて教官の任に就き、愛するジュリア（ミシェル・モナハン）との結婚を目前に控えていた。だが彼の教え子の危機を知らされ、イーサンは何も知らないジュリアを残して危険な作戦に飛び込んでいく。それが彼女を命の危険にさらすことになるとも知らずに…。

トム・クルーズのライフワークのようになってしまった「ミッション・インポッシブル」シリーズの第３弾です。
オープニングはいきなり緊迫したシーンで、「これは一体どうなるんだ!?」とかなり興味を惹かれました。でもその分、前半は調子よすぎな展開で、退屈はしないもののあまり物語に身が入りません。でも話が進み、冒頭に関連するシチュエーションが始まってから、トム君が追い詰められてきて面白くなってきます。
アクションも、特に後半は手に汗握るシーンがあって、トム君の相変わらずのがんばりが伝わってきます。
今回のお話はI.M.F.メンバーのチームプレイを重視したそうで、その部分では各人の信頼感とプロフェッショナル度がよく出ていて気持ちよく見れます。こういうところは「ミッション・インポッシブル」＝「スパイ大作戦」の醍醐味の一つだったはずですが、１作目はチームが分裂しちゃったし、２作目はほとんどトム君の個人プレーだったので、今作でやっとTVシリーズに少し近づいた感じがします。

今回映画で一番重視したのは、イーサンとジュリアの人間ドラマでしょう。でもイーサンがスパイという設定のせいか、２人が本当に愛し合っているように見えませんでした。それにジュリア役のミシェル・モナハンも、美人というだけでそれ以上に魅力的には見えず、なんでこいつをイーサンは好きになるのか、よく分かりません。
だいたい、お互いがスパイという仕事でもない限り、彼らに普通の結婚生活は成り立たないと思うのですが、その違和感が最後まで消えませんでした。

今回の悪役を演じるフィリップ・シーモア・ホフマンは、「ブギーナイツ」での彼のキャラを悪くしたような、小悪党のような虚勢を張ってる悪役といった存在感がさすがですが、出番が思ったほど少なかったのが残念でした。
真の悪役の想像はついてしまいましたが、民主主義の拡大を助けてきたはずのI.M.F.のメンバーがアメリカの正義のまやかしを語るところは、今の時流に合わせた感じがします。

予告で分かるとおり、キーウェストが舞台に出てくるし、主人公はスパイだけど自分の身分を家族（恋人）に秘密にしてる…って、こりゃ「トゥルーライズ」。てことはトム君たち、今後は夫婦でスパイでしょうか。
先ごろの来日でトムはパート4は日本で撮りたいといってたし、東京でWスパイの話になるのかなあ…。ま、どーでもいーけど。

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ジュリアはあれだけ怖い目にあっても、イーサンと結婚したいと思うのでしょうか？ラストはハリウッド特有の強引なハッピーエンドパターンに見えました。今後の結婚生活、上手くいくかなあ？

ラビットフットて結局何だったんでしょう？実はそんなものは存在していなかったりして…。

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ローズ・イン・タイドランド

両親が共にジャンキーである10歳の少女ジェライザ・ローズ（ジョデル・フェルランド）。ある日、クスリのやり過ぎでママ（ジェニファー・ティリー）が死んでしまう。ローズはパパ（ジェフ・ブリッジス）と田舎にあるお祖母ちゃんの家に行くが、そこは空き家になっていた。相変わらずクスリをやっているパパもある日動かなくなるが、ローズはパパの死体を生きているものと思っていた…。

「12モンキーズ」や「ブラザーズ・グリム」のテリー・ギリアム監督の作品です。彼はそんなに多作な人ではないので、前作「ブラザーズ・グリム」から1年も経たない間に次の作品が公開されるのは、異例のように思います。
内容は主人公ローズの妄想と現実を行き来するお話で、そこに死体、少女愛、ドラッグ、障害者といったヤバいネタがちりばめられていて、かなり悪趣味な雰囲気が漂います。アメリカなんかでは、結構問題になったのではないかと想像します。
そういったブラックユーモアで部分的に笑える箇所はありますが、全体的にタラタラとしたペースには眠くなりました。予告編だとファンタジーな感じがしますが、そういうファンタジックなイメージのシーンは長くなくて、予告編を見てれば十分です。
なので、映画にエキサイティングな物語を求める人は見ない方がいいでしょう。これに比べればあの「ブラザーズ・グリム」でも、まだ楽しめました。

「ブラザーズ・グリム」はプロデューサーからの干渉がかなりあったそうで、この「ローズ・イン・タイドランド」の方がギリアムの意向がよく出ているそうです。ならば、この人とはやっぱり合わんなあ。

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カ　ー　ズ

新人のレースカーであるライトニング・マックィーンは、ディトナのレースで接戦を演じるが、３台が同時にゴールに着いたことで、決勝戦が再度カリフォルニアで開催されることになる。トレーラーでレース場へ移動していたマックィーンは手違いでフリーウェイから出てしまい、見知らぬ町に迷い込んで事件を起こしてしまう。裁判のため、マックィーンはそのラジエイター・スプリングスと呼ばれる町に足止めをされてしまうが、レースの日時が迫ってくる…。

CGアニメの雄、ピクサーの今度の作品は車が主人公のお話で、監督は「トイ・ストーリー」のジョン・ラセター。「トイ・ストーリー２」以来プロデュースに回っていた彼が、久々に監督した作品です。
映画はいつものピクサー作品の通り、初めから終わりまで退屈しないで楽しめました。でも今回は子供よりもむしろ、仕事をがんばりすぎてる大人にこそ見てほしい映画です。
監督へのインタビューによればこの「カーズ」は、彼が「トイ・ストーリー」が終わって、激務から開放されて家族と休暇を過ごしていた時に感じたことが物語の元になっているそうです。映画の中盤にはそれが納得できるエピソードがあって、そこはジーンと来てしまいました。いつも突っ走り続けていた主人公が立ち止まると見えてくるもの…。「人生」を描いた映画、と言ってもいいと思います。

車そのものがキャラクターになっている設定はTVの某機関車クレイアニメを思わせるせいか、初めは違和感がありました。でも従来のピクサー作品同様、今回も表情のつけ方が自然だし、話の中で個々のキャラクターが立ってきて、いつの間にか違和感は消え、純粋にキャラクターとして話に引き込まれました。
クルマたちの表情だけでなく、クルマのてかりや周りの風景の写しこみ具合は実写以上にリアルに見え、ワックスやさびといった質感もよく出ていて、技術的にも完璧です。

クライマックスには予想のついたエピソードがありますが、そうなってほしいと思う展開なのでヨシでしょう。キャラの成長が見えてジーンとする箇所がありました。脇のエピソードの持っていき方も秀逸で、いつもながらピクサー作品の話作りの上手さには感心します。

主役のライトニング・マックィーンの声はオーウェン・ウィルソンが演じていますが、それよりも驚いたのは、重要な脇役の声をポール・ニューマンが演じていることでした。この人はかつてレースにも出場していたはずで、その役をほうふつさせるようなキャスティングがしゃれてるし、やっぱ渋い、いい味を出しています。

映画で１点だけ残念だったのは、マックィーンのレースの相手になる悪役キャラが、単に意地悪であるだけだったところでした。せっかく声をマイケル・キートンがやってる（全然気づかなかったけど）んだし、どこか憎めない部分がほしかったなあ。

日本語吹き替え版では、主役のライトニング・マックィーンの声を山口智充が演じていますが、バラエティで聞かせる声より若々しく聞こえて、全く違和感がありませんでした。ヒロインの声が戸田恵子というのは意外性に欠けますが、無難な役どころでしょう。
タイトルや新聞記事などを日本語の文字にしていたのは配慮が感じられますが、「Closed」なんかも「閉店」とかにした方が子供達には分かりやすかったのではないかと思います。また歌は原語のままなので、日本語の字幕をつけたほうが分かりやすくなったのではないでしょうか。

今回のエンドタイトルにはピクサー映画恒例のNG集はありませんが、これまでのピクサーキャラがいくつか登場して笑いを取ります。エンドクレジット後にあるワンシーンもクスクス笑えるので、クレジットは最後まで見るべきです。

「トイ・ストーリー」ではおもちゃの大切さが描かれていましたが、今回もそれと同じくらいの愛情がクルマに込められています。映画を見た後に、車を運転したくなるかもしれません。
そんなクルマ大好きのジョン・ラセター監督は今後、ピクサーを買収したディズニーのアニメ部門のシニアディレクターになるそうです。今のディズニーアニメは３DCGオンリーになってしまいましたが、ラセター氏は２Dのセルアニメの復活を企んでるらしいので、期待してしまいます。

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ウルトラヴァイオレット

細菌兵器開発の過程で偶然生まれたウィルス。感染した人間は超人化してファージと呼ばれるようになり、危険視した政府は彼らの抹殺を開始するが、生き残ったファージたちはテロ活動で抵抗していた。そんな中、ファージを完全に滅ぼす「兵器」が開発されるが、それをファージで最強の女戦士ヴァイオレット（ミラ・ジョヴォヴィッチ）が奪還する。軍の追っ手を振り切って「兵器」をファージの本部に運んだ彼女は、その中身が少年であることを知ってしまう…。

アクションだけは傑作だった「リベリオン」のカート・ウィマー監督が、「バイオハザード」シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチ主演で作った映画です。
「リベリオン」同様、アクションはスピード感があって気持ちいいし、武器のチェンジなんかも素早くて、かっこいい描写になっています。
…が、「リベリオン」の方がもっとアクションが決まっていたように思います。「リベリオン」を見てなかったらすげー！と思ったでしょうが、あれを見てしまっていると２番煎じの感が否めません。近未来の世界観も新味ないし。
主人公には子供に対するある「想い」を感じさせる設定にはなっていますが、それに関する具体的な描写もないせいか、彼女の心の動きが分からなくて、ヴァイオレットにまるで感情移入できませんでした。都合よすぎで「何で？」と突っ込みたくなる箇所も多くて、同じ子供を絡めたアクションなら、これの前に公開された「トランスポーター２」の方がずっと上手です。

ファージの歯には牙みたいに鋭い部分があるし、字幕には無いけど彼らのことをセリフで「ヴァンパイア」と言ってる箇所があります。闇の中でも目が見えるらしいけど、あまり意味のある設定には思えません。

ミラ・ジョヴォヴィッチは「バイオハザード」同様、存在感はありました。おなか出した衣装はセクシーだし（どうせなら脚も出してほしかった）。でもこのままだと彼女、アクション専用の女優になってしまうような…。

冒頭のクレジットはアメコミタッチで、それが各国で翻訳されたバージョンというような、お国柄を出しているのが面白い見せ方でした。
そういえば、男の子が目を開けるシーンは日本のＴＶアニメ「装甲騎兵ボトムズ」の第１話を連想したし、スタッフはアクション系のコミックやアニメが好きなのかもしれません。でもだからといっていいかげん、アクションとCGだけで映画を作るのはやめてほしいものです。

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インサイド・マン

マンハッタン信託銀行で強盗事件が発生し、犯人グループは客たちを人質に取って立てこもってしまう。現場に急行した捜査官フレイジャー（デンゼル・ワシントン）は現場のダリウス警部（ウィリアム・デフォー）と協力して包囲体制を整える。だが銀行の会長であるケイス（クリストファー・プラマー）は弁護士のマデリーン（ジョディ・フォスター）に、犯人と極秘に接触するように依頼する…。

監督は「ドゥ・ザ・ライト・シング」などを手がけたスパイク・リー。インディーズのアフリカ系アメリカン映画のイメージが強い彼がこういう、いかにもハリウッドなエンターテイメント映画を監督するとは意外でした。
冒頭のクレジットにインドの音楽を流すなんて、普通のハリウッド映画ではやらないでしょう。「スパイク・リー・ジョイント」のクレジットもいつものスパイク・リー映画の通りで、そういうクレジットの出方もカッコよく、やはりスパイク・リーは違う、と思わされました。
くだらない話のセリフが出てくるところや、人種が色々と登場するのもスパイクらしい独特さを感じるし、９・１１以降の皮肉をにじませているのも、普通のハリウッド映画とは違うところです。

お話は、単に金目当てだけとは思えない、犯人の真の目的に興味をそそられました。でも展開はぬるめで、物語は淡々と進んでいきます。事件の展開にキャラクターの思惑がいろいろと絡んでくるのに、それが盛り上がりに繋がりません。
暴力を避ける犯人に好感は持てましたが、彼らの行動の動機が結局明かされないのは不満でした。人質の服を犯人と同じにしてしまうアイデアは面白く、予告でこれを見てから期待したのですが、結局「当たり」とは言えません。

OPとED以外の音楽は普通のアクション映画ぽく聞こえたし、ラブシーンでムーディな曲がかかるのもあまりにもパターン過ぎてがっかりしました。OPがインパクトあっただけに。

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ポ　セ　イ　ド　ン

まだ見ていない人

突然押し寄せた大津波で真っ逆さまに転覆した豪華客船ポセイドン号からの脱出行を描いた、1972年に公開されたパニック映画の傑作「ポセイドン・アドベンチャー」を、「Uボート」や「トロイ」を手がけたウォルフガング・ペーターゼン監督によりリメイクされた作品です。
船が転覆して脱出、という状況はオリジナルと同じですが、同じ頃に公開されたリメイク版の「オーメン」なんぞとは違い、キャラクターの設定や人数、脱出のルートは変えています。
でもオリジナルではもっと脱出グループのメンバーが死んだように思うし、船が上下逆さまになったことの驚きやユーモアがもっとありました（せめてトイレのシーンは入れてほしかった）。
ただ今回そういうことを割愛した？分、映画は１時間半くらいの時間でコンパクトにまとめていてテンポは良いし、お話がお話だけになかなかにドキドキできました。
でも人が死ぬシチュエーションで、今回は後味が悪いシーンがありました。生き残るためにはしょうがないのだろうけど、ここまで見せる必要はないと思います。
あと「アルマゲドン」まんまのシチュエーションがあるのは、もっと工夫がほしいところです。

特撮はILMが手がけていて、転覆シーンで人が船内で落ちていくのが外から見えるカットなんかは、なかなかの迫力でした。映画の最大の見所はやはり冒頭の、この転覆シーンでしょう。船のデザインもそういうことを考えて、窓を多くしたように思えます。
でも冒頭、夕陽の中のポセイドンはCGぽく見えてしまいました。モデルでも使えばよかったと思うけど、船内のセットに金を大方つぎこんだかなあ。

もし本当に津波が来る場合、今なら警報が来るのではないでしょうか。この映画みたいに、気づいたら来ていた、てことはないと思います。
船室のガラスも、津波で割れるのはもろくないかなあ。映画だけであってほしいものです。

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リチャード・ドレイファスが、助かるためにウェイターを蹴落とすシーンは不快に思いましたが、この後にこのウエイターが世話をしていた女性が脱出グループに加わったことで、この女が何らかで事実を知って、後でドレイファスに何かするシーンでも出てくるのかと期待したら、あっさりと何もありませんでした。「船から脱出」というメインの行動からは外れるかもしれないけど、こういう状況を設定して話を盛り上げられたのではないかと思います。
ドレイファスが結局助かってしまうのも引っかかりました。自殺しようとしてたくせに。まあ、死にたがってた者が生き残るという皮肉を言いたいのかなあ。

カート・ラッセル以外の有名俳優がみんな助かるのも、予定調和みたいで面白味がありません。大ザメ襲撃映画「ディープ・ブルー」みたいに、有名俳優を途中であっさり殺してくれれば、誰が死ぬかが予想つかなくてもっとハラハラできたかもしれません。

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オ　ー　メ　ン

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６月６日６時に生まれた悪魔の子ダミアン。彼が邪魔者を抹殺していく「オーメン」は、聖書のネタを上手く絡めて古代から現代までのスケールの大きさを感じさせるホラーの傑作になり、この後２作のシリーズが作られ、TVスペシャルなどでもこのタイトルを冠したドラマがいくつか作られました。その第1作から30年経っての、リメイク版です。
リメイク版が作られる場合、いろいろ改変はつきものですが、この「オーメン」は同時多発テロの映像を使ったり携帯電話が出てきたり、と現代に合わせた設定にしていますが、お話はオリジナルと全くといっていいくらい同じです。
なのでオリジナルの第１作が大好きな僕には、今回の内容には驚きが全くありません。せめて殺し方を変えるとか、ダミアンが果たして本当に悪魔の子なのか父母が悩む部分を膨らませるとかいろいろ方法はあったはずですが、一番安直な作り方をされてしまいました。

お話がオリジナル版と同じということでかえって、オリジナルがいかにインパクトがあったかがこの映画を見るとよく分かります。特に音楽は、アカデミー賞を受賞したジェリー・ゴールドスミスの最高傑作といっていいオリジナル版のスコアとは比べ物になりません。エンドタイトルで、オリジナルで使っていた「アベ・サンターニ」を出したのはリスペクトのつもりかもしれませんが、まんまぶりには笑ってしまうしかありませんでした。
映画でほぼ唯一新しい部分は、夢で驚かすシーンくらいでしょう。そこは多少ドキリとしましたが、他でもっと上手く怖がらせる演出ができたと思う箇所があるし、父親がダミアンを殺すと言っときながら、次のシーンでは子供を殺せるかと言っているちぐはぐさもあり、演出も全体的に上手いとは言えません。
でもテンポはいいので、オリジナルを知らない人は楽しめると思います。怖くはならないでしょうが。

ダミアンにつく側のキャラでミア・ファーローが登場します。「ローズマリーの赤ちゃん」で悪魔の子に怯えた彼女の、このキャスティングにはニヤリでした。どうせなら父親のロバート・ソーンの役も「オーメン３：最後の闘争」でダミアンを演じたサム・ニールにやってほしかったと思います。今回のリーヴ・シュライバーも悪くはありませんが、オリジナル版のグレゴリー・ペックに匹敵する格ではないでしょう。サム・ニールなら「ジュラシック・パーク」なんか出ている分まだ彼よりは有名だろうし、今なら年相応でしょう。もしかして役のオファーがあったけど蹴ったかもしれませんが（当然か）。

もし今回のリメイクをシリーズ化するなら、今度は当初のオリジナルのプラン通り、悪魔が勝つ話にしてほしいです。そのくらい変えないと、リメイクする意味がないでしょう。

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オリジナル版の時は気が付きませんでしたが、殺したソーンの子供の墓をわざわざ作るのもヘンに思いました。母親だってジャッカルなんだから、普通はどこかに捨てるだけじゃないかなあ。

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インプリント
ぼっけえ、きょうてえ

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明治らしき時代の日本、クリス（ビリー・ドラゴ）はかつて愛したものの別れることになった芸者小桃（美知枝）の行方を探していた。川べりの遊廓を訪れた彼は、顔の右側が奇妙に歪んだ女郎（工藤夕貴）に惹かれ一夜を共にすることにする。クリスの身の上話に、彼女は小桃がこの遊郭で働いていたと語りだすが、その内容は次第におぞましいものに変わっていく…。

アメリカのケーブルテレビ局、ショウタイムで放映するホラーアンソロジードラマ「マスターズ・オブ・ホラー」の中で唯一、日本から参加した作品。岩井志麻子原作の「ぼっけえ、きょうてえ」を、昨年「妖怪大戦争」を手がけた三池崇史監督でドラマ化したものです。
そしてこの「インプリント」は唯一、放映がNGになったという作品です。確かに後半に出てくるネタは、倫理面で厳しいアメリカのTVでは、ケーブルといえどもヤバ過ぎでしょう。
内容だけでなく描写にもかなりグロがあり、特に中盤で芸者を虐めるシーンは、同じ三池監督の「オーディション」を思わせるイヤーな気持ち悪さがかなりあります。神経が繊細だと思う人は、見ない方がいいでしょう。
この虐めのシーンでは、原作者の岩井志麻子がゲスト出演しているそうです。僕はこの人の顔をよく知らなかったのですが、あのキャラならば…こわっ！

セリフが英語で、ヒロイン（といっていいのか？）が工藤夕貴で芸者役で、時代が日本の古い頃、とこの作品は数ヶ月前に公開された「SAYURI」のパロディみたいな感じがしましたが、あれよりはるかにテンポが良く面白く、そしてグロイ作品です。
尻すぼみだった「妖怪大戦争」に比べると、この「インプリント」の方がはるかに納得のいく作りでしたが、これはシナリオのおかげかもしれません。

工藤夕貴以外で名前が知られている日本人俳優では、根岸季衣や木下ほうかといったメンツが顔を見せています。根岸季衣は英語の発音も悪くなく、役柄のせいか存在感も「SAYURI」の桃井かおりに匹敵するように見えました。
木下ほうかはほとんどセリフはありませんが、やはりこういう役なんだなあ、と思わされました。
セリフは英語なので画面には日本語字幕が出ますが、その文体は「～じゃろ」みたいに中国地方の方言のような言葉？になっています。原作の雰囲気を出そうとしているのかもしれませんが、話してる言葉はちゃんとした英語に聞こえるので、何か変な感じでした。

この作品、元はテレビということでビデオ上映なのでしょうが、映画館での画は走査線が結構見えました。伊勢佐木町東映や渋谷シネ・ラ・セットなんかのビデオ上映だともっとクリヤーに見えていたので、この「インプリント」をやったイメージフォーラムのプロジェクターは、あまりいいものではなかったのかもしれません。映画の色使いが主に赤を基調とした独特のものなので、少し残念です。
映画館には先に上映した「バッシング」よりも人が入っていて、女性が目立ちました。やはり女の人は怖いもの好きなのか…？

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ラストの方で出てくるクリーチャーは、B級ぽくて楽しいのですが、造形がダサいし、これがいない方がちゃんとしたサイコホラーになって、まさに「人間が一番怖い」話になったようにも思います。

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トランスポーター２

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フランスからマイアミに居を移したフランク（ジェイスン・ステイサム）の今の仕事はビリングス家の一人息子、ジャックの送り迎え係。だがジャックの定期健診のために訪れた病院で２人は何者かに襲われ、フランクの超人的ドライビングテクニックをもってしても逃げ切れず、ジャックはさらわれてしまう。九死に一生を得たフランクは、ジャックとの「何としても君を守る」約束を果たすべく、行動を開始する…。

リュック・ベッソンが製作、脚本の「トランスポーター」。そんなにヒットしなかったと思いますが、まさかのパート２です。
しかし今回は、前作のように下手に人間ドラマに走らず、テンポ良くアクションだけに徹して、スカッと気持ちよく見れる話になっています。
ありえねえ！て言いたくなるシーンも多々ありますが、そんな突っ込みは割り切って楽しむべき映画です。

この映画の最大の魅力は、主人公フランクを演じるジェイソン・ステイサムでしょう。スーツとネクタイがばっちり決まり、あくまで強くかっこよく。これの前に公開された「デイジー」なんぞと違い、下手に愛に走らないストイックな姿勢には、男でも「ついていきます！」と言いたくなります。
前作でもありましたが、道具を上手く使った彼の格闘アクションはジャッキー・チェンの映画を思わせました。

殺し屋の女はけっこう露出度の多いキャラですが、どうせそうするならもっとナイスバディのねーちゃんにしてほしかったところでした。髪もショートすぎで、男みたいに見えるのも魅力に欠けるけど、これが監督の好みなのかなあ。

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細菌兵器まで出すのは話を広げすぎな感じでした。それに空気感染だと、感染者が続出してフランク一人じゃ対処できなくなると思うぞ。まともな話なら。

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デ　イ　ジ　ー

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アムステルダムで暮らすヘヨン（チョン・ジヒョン）の元には、見知らぬ誰かから毎日デイジーの花が届いていた。ある日街頭で似顔絵を描く彼女の前にジョンウ（イ・ソンジェ）が現れ、彼がデイジーの花を持っていたことでヘヨンは彼こそがデイジーの贈り主だと信じ、惹かれていく。ジョンウがヘヨンに近づいたのは別の目的だったものの、彼もヘヨンに惹かれていくが、そんな２人をパクウィ（チョン・ウソン）が見つめていた。そんな時公園で銃撃戦が起こり、ジョンウは銃を構えるが…。

「猟奇的な彼女」でブレイクしたチョン・ジヒョン、「私の中の消しゴム」のチョン・ウソンといった韓国のキャストで、恋に一途な美しい女性＆刑事＆殺し屋の三角関係の話を「インファナル・アフェア」の監督アンドリュー・ラウが描く映画です。
韓国と香港という違う国のヒットメーカーが組んでアムステルダムを舞台にしたのは、これらの国のフツーの映画と違って、街の古い感じがいい雰囲気を出しています。

しかしこの映画、メインキャラは誰も幸せになりません。宣伝文句では「消しゴムの次はこれが泣ける」と言ってますが、明るく盛り上げてくれた「消しゴム」とは全然違うテイストです。
クライマックスはあの暗い「JSA」を思い出したし、最近の「The Myht／神話」とか、アジア映画はどうしてこう終わりを暗くしたがるのでしょう。悲しい話が苦手な僕には全然泣けませんでした。

刑事や殺し屋が当初自分の身分を秘密にしてるのは「インファナル・アフェア」を連想しました。
中盤では殺し屋が主役みたいになりますが、このあたりはテンポが鈍って中だるみになるしなんといっても、こいつに感情移入できませんでした。殺し屋がフツーの幸せを求めちゃいけないでしょ。

殺しの組織が刑事の依頼を簡単に受けるなど、突っ込みたくなる箇所も多いですが、この都合のよさが香港の監督という感じもします。
「甘い人生」と同様、バイオレンスシーンの多さには韓流ラブストーリーを期待したであろうオバ様方は戸惑ったかもしれませんが、こういうシーンでのテンポの良さに、実は監督が一番やりたかったのはガンアクションではないかという気もします。

今回のチョン・ジヒョンは後半で難しい役に挑戦していますが、前半の元気なキャラの方が彼女の良さが出ているように見えました。後半では寄り目に見えてしまったシーンがあるし、二重あごが時々分かるのも何だか…。

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彼女自身は何も悪いことをしてないのに死んでしまうヘヨンには何の意味もなく、後味の悪さだけが残りました。この後で殺し屋が殴りこみに行くけど、こいつがヘヨンに近づかなかったら彼女が死ぬことはなかっただろうに。自分で状況を勝手に悪くしただけやん。

映画で一番良かった箇所は、ヘヨンが橋を作ったことに「サンキュー」と言ったのを殺し屋が聞いてるシーンでした。バイオレンスを無くしたら、もっといい感じのお話になったんじゃないかなあ…。

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ブロークバック・マウンテン

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1963年の夏。ワイオミング州のブロークバック・マウンテンの山中で、羊番の仕事に就いたイニス（ヒース・レジャー）とジャック（ジェイク・ギレンホール）の、その後20年に渡る関係を描いたお話です。
この作品は2006年度のアカデミー作品賞にノミネートされましたが、最優秀作品賞を「クラッシュ」にさらわれてしまいました。男同士の関係を題材にしていることで、保守的なジイさん審査員たちに嫌われたかもしれません。

男同士の恋愛話という内容から、僕自身当初はあまり興味を持てませんでしたが、実際見てみるとこの映画はゲイの話というよりも、普通の生活を送る男たちが世間的に後ろ指指される関係を抜け出せない話、と捉えるべきでしょう。
自分の気持ちを封印してフツーの日常を生きようとするイニス、自分の心に正直に生きようとするジャックの２人の対比が分かりやすく描かれていて、キャラクターに引き付けられて退屈しませんでした。監督はアン・リーですが、前作があの「ハルク」だったとは信じられないような、ちゃんとした人間ドラマになっています（その前に「グリーン・デスティニー」という傑作がありましたけど）。
本当は幸せと思えなくても世間どおりの「幸せ」にこだわってしまい、大切なものに後から気づくイニスには、思い当たる人が多いのではないでしょうか。

最後は２人が心中でもして終わるのかと思っていましたが、そんなドラマチックな盛り上がりはありません。ラストはあっけない感じがしますが、余韻があるとはいえるでしょう。この静かさがアジア人の監督らしい描写かもしれません。

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２人が初めてヤってしまうのは唐突な感じがしましたが、その前にいろいろと匂わせているシーンがあるので、こういう衝動にかられたと捉えるべきなのでしょう。
でもジャックの言うように一緒に暮らしていたら、こんなに長く愛し合っていたでしょうか？たまに会うだけだからこそ、関係が長く続いたように思います。
Hシーンは1箇所だけだし、入れるシーンは見せていないから、思ったてたほど直接的ではないのはホッとしました。そこまで見たくないし（でもいきなり入るもんかなあ）。

２人ともいい夫ではないけどいい父親ではあるのが、人間の完全さと不完全さを表してるようで、リアルに見えました。

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アイス・エイジ２

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マンモスのマニー、サーベルタイガーのディエゴ、ナマケモノのシドの３匹は、氷河の谷間で他の動物達と群れて暮らしていたが、その氷河が溶けつつあり、そうなると谷間が水没してしまう。彼らは他の場所に移動を開始し、その旅の途中で、自分がマンモスの最後の生き残りだと思っていたマニーは、別のマンモスに出会う…。

｢アイス･エイジ｣の２作目は、氷河が溶けて自分たちの住処が水没してしまうという、地球温暖化を意識したようなお話です。
今回は前作のように泣くまでは至りませんでしたが、主役３匹の役割配分が相変わらず心得られていて上手いし、所々ハラハラさせる展開もあって楽しめました。
前作同様今回も３匹のエピソードとは別に、リスのスクラットがドングリを求めるドタバタが並行して進みます。そのエピソードが入る箇所が、そろそろ３匹のエピソードがだれてきた…と思うようないいタイミングの所で入ってきて、退屈さを回避させているのも上手いところでした。

先史時代の動物達が災害を避けてどこかへ逃げる、というお話は「リトルフットの大冒険」や「ダイナソー」と同じパターンですが、「アイス･エイジ２」の前にこのスタジオが、いま一つだった「ロボッツ」を作ったことを忘れてしまうような出来でした。

ただギャグに関しては笑えない箇所が多く、特に冒頭での動物の子供たちとシドの触れ合いは、子供たちがシドをいじめてるようにしか見えませんでした。この部分だけは子供に見せたくないところです。

新キャラの女マンモス・エリーが出てきた時の設定は、上手いアイデアで笑わせてくれます。まあ女性キャラは気が強いという描き方は、近年のハリウッドアニメのパターンのようには思いますが。
日本語吹き替え版でエリーの声を演じたのは優香ですが、エンドタイトルのクレジットを見るまでは「新世紀エヴァンゲリオン」や「機動戦士ガンダムSEED」なんかに出ていた三石琴乃かと思っていました。それぐらい声が似てたし演技も上手くて、本当に優香なのか？と疑いたくなるほどでした。
エリーの相棒であるフクロネズミのコンビの声を久本雅美と中島知子が演じています。演技は悪くないしいいコンビぶりではありましたが、久本は時折彼女の声と分かってしまうのが気にはなりました。

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ラストでシドがスクラットを助けた？のには驚きました。スクラットって本筋のキャラには絡まないものだと思っていたので…。

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グッドナイト&
グッドラック

共産党主義者を追放する「赤狩り」の嵐が吹き荒れていた1953年のアメリカ。その活動の中心であったマッカーシー議員に真っ向から異議を唱えたCBSの番組「Person to Person」のキャスター、エド・マローとその製作チームの物語です。

自由と良識を力強く訴える主人公マローのセリフは今のマスコミ界に訴えているようで、「その通り!」と拍手したくなりました。
自分の意見を語るキャスターというのは今の筑紫哲也や木村太郎の元祖みたいですが、映画のマローは、まあ映画ということでか、あの人たちよりははるかに渋くてかっこよく、演じるデヴィッド・ストラザーンはいかにもで合っています。

しかしお話は淡々と進んで盛り上がりらしい演出もなく、キャラも紋切り型で面白味が無いし、脇のエピソードも何のために入れたのかよく分からないものがありました。映画は全部で90分くらいで長くはありませんが、眠くなってしまいました。

キャラのほとんどがタバコを吸い、特に主人公マローは番組でもプカプカとやっていて、近年珍しく喫煙量の多い映画です。でも白黒の画面だと煙が良く映えてかっこよく見えてしまいました。タバコ会社がスポンサーゆえの描写でしょうが、これは50年代ならではでしょう。当時の白黒フィルムを使ったりして、映画は50年代の雰囲気をよく出ています。
ただ白黒だと、背景が白い場合は白色が際立ってしまい、字幕がそういう部分に当たってしまうと字が飛んでしまって、読めない箇所がありました。

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レディ・イン・ザ・ウォーター

弓

グ エ ム ル 漢 江 の 怪 物

太 陽

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ユナイテッド93

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スーパーマン リターンズ

青 春 漫 画 僕らの恋愛シナリオ

青 春 漫 画 僕らの恋愛シナリオ

ナチュラル・シティ

ナチュラル・シティ

悪 い 女 ～ 青 い 門 ～

悪 い 女 ～ 青 い 門 ～

ハード キャンディ

ハード キャンディ

パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト

パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト

サイレント ヒル

サイレント ヒル

ディセント

ディセント

M : i : III

ローズ・イン・タイドランド

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カ ー ズ

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ウルトラヴァイオレット

ウルトラヴァイオレット

インサイド・マン

インサイド・マン

ポ セ イ ド ン

オ ー メ ン

イ ン プ リ ン ト ぼっけえ、きょうてえ

トランスポーター２

デ イ ジ ー

ブロークバック・マウンテン

アイス・エイジ２

グッドナイト& グッドラック

グッドナイト& グッドラック

グ　エ　ム　ル
漢　江　の　怪　物

太　陽

太　陽

スーパーマン
リターンズ

青　春　漫　画
僕らの恋愛シナリオ

青　春　漫　画
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