A V P 2
エイリアンズVS.プレデター

 

 

エイリアンVS.プレデターの2作目。今回はアメリカの小さい町でエイリアンたちとプレデターが戦います。前作は南極という、人の少ない地域がバトルフィールドでしたが、今回は多くの人を巻き込んで、前作以上にはた迷惑な話になっています。
今回は前作と違い街中ということで、子供も出てきますが、犠牲者には子供にも容赦はしていません。メイン級のキャラもあっけなく死んでいったりして、ラストはそこそこ明るい感じに終わるものの、死者の数を思うと、かなり凄惨な内容ではあります。
前作はクリーチャーたちが活動するまでしばらく間があったのが退屈気味でしたが、今回はエイリアンもプレデターも早い段階で出てくるし、アクションが多い(エイリアンやプレデターの人間への一方的な襲撃が多いけど)ので、退屈はしません。

今回のクリーチャーのウリは、プレデターから生まれたエイリアン「プレデリアン」だそうです。でも映画は大部分がナイトシーンのため暗く、動きも早いので、どういう姿をしているのかよく分かりません。
エイリアンには今回新たな増殖方法が出てきますが、かなりグロく、特に妊娠している人には鑑賞を薦められません。
対するプレデターは、今回は1体しか出てきません。こいつがエイリアンの痕跡を消していくのが新設定でしょうか。
ラストシーンで、これまでのシリーズとのつながりが出てくるのはお約束かも。

にしてもプレデターの宇宙船、けっこうハデに落ちたのに、「Xファイル」みたいに政府は調べないのかなあ…?

 


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ナショナル・トレジャー
リンカーン暗殺者の日記

 

 

ニコラス・ケイジ主演の歴史ネタアクション「ナショナル・トレジャー」の2作目です。しかしこの映画、タイトルに「2」とはつけられてはいません。これは、シリーズ化を意識してるゆえと想像します。
古代(といってもそんなに昔ではないけど)の謎を追う話、という意味ではこのシリーズ、現代版「インディ・ジョーンズ」とも言いたくなる内容ですが、今回は遺跡に罠があるなど、よりアドベンチャー色が強くなりますます「インディ」にカブってきた感じがします。この作品の公開の翌年には10年以上ぶりに「インディ・ジョーンズ」シリーズが復活する予定で、もしかしたら意識してる?と勘ぐりたくなりました。

前作同様、話は調子&都合よく進みますが、それなりにワクワクできます。今回は前作よりもベン君(ケイジ)の推理の強引さは、控えめな感じがしました。ラストに「オチ」があるのも前作同様です。
前作の舞台は、オープニングの南極以外はアメリカ国内に留まっていましたが、今回はパリやロンドンなど、ヨーロッパに進出しています。2作目になるとスケールを広げるのはシリーズものの常道ですが、これは広げすぎではないでしょうか。だいたいゲイツ一族、そんなに金持っているのかな?
そのゲイツ一族のメンバーに、今回はベンの母親が加わります。演じるヘレン・ミレンと元夫役のジョン・ボイトとの絶妙のかけあいが、楽しませてくれます。

話の中にカーチェイスが出てくるのも、スケール拡大の一環でしょうか。まあ迫力とサスペンスはそれなりに出ていて退屈はしませんけど、街中で銃を撃つなんていう展開もいかにも「映画」で、ちとやりすぎでしょう。このへん、製作ジェリー・ブラッカイマーな感じですが、「バッドボーイズ」じゃないんだから…。

 


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ルイスと未来泥棒

 

 

アニメをCGオンリーにしてしまったディズニーが、「チキン・リトル」に続いて作った映画です。タイムトラベルネタの話ですが、意外にもディズニーアニメでは未来を舞台にしたSFは初めてだそうです。相変わらずテンポよく話を見せるし、ポップアートのような未来の風景の面白さが、やはり見どころです。

映画はディズニーらしく「家族」をテーマに楽しく見れて、ちょっとした教訓はお子様にはいいかもしれません。ただ、同じディズニーの傘下であるピクサーのCGアニメ作品に比べると軽い感じがしますが、それが差別化かもしれません。

物語には予告で語られるオヤジ以外に本当の敵がいるのですが、こいつを倒す箇所はあっけなさすぎです。ルイスが親に捨てられた理由に何か秘密があるのかと期待しましたが、何も語られないのは拍子抜けでした。
製作総指揮は「カーズ」のジョン・ラセターですが、彼が関わっているのなら、もう少し見ごたえのある内容を期待してしまいます。

 

 


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アイ アム レジェンド

 

 

初期の予告編では人一人しかいない、廃墟になったニューヨークのシーンばかり強調されて話の想像がつきませんでしたが、TV版「トワイライトゾーン」で何本かのシナリオを手がけたリチャード・マシスン原作の「地球最後の男」の映画化です。
この小説、1970年代にチャールトン・ヘストン主演で「オメガマン」というタイトルでも映画化されましたが、それはB級のような扱いだったと思います。「オメガマン」は見ていないので具体的にどういう話だったかは知りませんが、この「アイ アム レジェンド」も、正月大作として宣伝している作品にふさわしいかどうか、疑問になる物語ではあります。
ウィルスで人間が変異する話というのは、「28日後…」がありました。こちらは身近な人がウィルスで変異してしまう、という悲しみがあり、「アイ アム レジェンド」より深みが感じられます。ただ単純に退屈しないという点では、アクションで押せ押せ(特に後半)で展開する、この「アイ アム レジェンド」の勝ちでしょう。

映画のいちばんの見どころは、やはり廃墟のニューヨークの光景です。人間がいなくなった(来るべき)未来を暗示しているようで、このシーンが続く前半はこの映画、高級そうに見えます。その意味では、この廃墟のシーンを前面に押し出した宣伝のやり方は正解です。
そこで他の生存者の形跡があっても喜ばないで、やみくもに銃を振り回す主人公ウィル・スミスの姿はなんだか、他国を信じないで武力に頼る、アメリカの象徴みたいに見えました。

ウィルスで変異した食人鬼・ダークシーカーズは少し知恵がありそうに描かれていて、途中まで、こいつらが人類文明を継ぐ話になるのかと想像していました。
彼らのデザインを手がけたのはパトリック・タトポロスです。アメリカ版「ゴジラ」や「ピッチブラック」といった、こういう暗闇に生きるモンスターには、彼にデザインのお鉢が回ってくることが多い印象があります。

 

 


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ベ オ ウ ル フ

 

 

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズの監督、ロバート・ゼメキスの作品…ですが、この場合は「ポーラー・エクスプレス」の監督、と言うべきでしょう。なんせこの「ベオウルフ」は、「ポーラー」と同様、フルCGムービーですので。ただ、「ベオウルフ」はキャラの表情など、表現がよりリアルになっていて、「ポーラー」を進化させた形というべきでしょう。
キャラがリアルなのも道理で、この映画では俳優の表情や動きをモーションキャプチャーで取り込んでいます。いわば「ロード・オブ ザ・リング」でのゴラムを俳優全員がやった感じでしょう。おかげで主人公ベオウルフをやっているレイ・ウィンストンや国王のアンソニー・ホプキンスなど、キャラクターはほとんど本物の俳優に見えます。
とはいえ肌の質感はやはりCGで、全体の絵づらもこれまで作られてきたフルCGムービーとたいして代わり映えがしません。ここまで俳優に似せるなら、ブルーバックで実写合成というやり方でもよかったように思います。この映画に比べると、実写映像を加工した「300」の方が、よっぽど独自の美意識が感じられました。
キャラの中では、アンジェリーナ・ジョリーのシーンでかなり実写に見えるショットもありました。でもラストでの彼女は、ゲーム版の「トゥームレイダー」のララ・クロフトのような、モロCGのキャラに見えてしまいましたが。

この映画、なぜか公開1ヶ月前から突然TVでCMを大量に流しだしました。しかもCMや映画の紹介文では「映像新体験」みたいな言い方をして、フルCG映画とは言っていません。CGというと客が引くと思われているのでしょうか。

「勇者」と言われている人物がやはり勇者であるという話はよくありますが、この映画の主人公ベオウルフが語る自慢話は多分に誇張してあって、実はそれほどの奴でもなかった、というパターンは今っぽい感じで面白いところでした。でもこの勇者ベオウルフ、なぜかやたらと脱ぎたがり、ヌードシーンが目立つのは閉口でした(男の全裸見たってなあ…)。
また人が潰されるというような、残酷なシーンも映画には目立ちました。ヌードといいグロといい、実写じゃないから規制がゆるいのでしょうか。

 

 


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マ リ ア

 

 

キリスト誕生までの「聖母」マリアと、その夫ヨゼフとの物語です。
キリスト自身を描いた映画は何本かありましたが、その親(養父母?)というのはこれまでに無い視点で、上手い目の付け所です。
処女なのに子を宿すことになったマリアと、自分の血がつながっていない子を宿した妻を持つことになったヨゼフ。初めから愛し合っていたわけではなく、どちらかといえば反感を持っていたようなこの2人が、徐々に信頼し合っていく姿を丁寧に描いていて、夫婦の絆を深めていく過程には納得でした。物語にはマリアが天(神)に「なぜ私を選んだのですか?」と問うシーンがありますが、それはヨゼフという忠実なガーディアンが伴侶であるから、とも思えてきます。
クライマックスはやはりキリスト誕生のシーンになります。ここはビジュアルも音楽も感動的に盛り上げてくれて、キリスト教徒でない僕でも涙がこぼれました。

この後、東方から来た三賢人が生まれたキリストに贈り物をするのですが、幼子にはあまり意味が無いように見えました。聖書にそういう描写があったゆえのシーンでしょうけど、後にカソリック教会に寄贈されていく豪勢な美術品の歴史の始まりのように見えました。
この東方の三賢人は、映画ではコメディメーカー的な描写もされているのが面白い解釈でした。深刻な物語の中での息抜きといった、上手い設定になっています。

話には敵対勢力としてヘロデ王がいますが、彼の手下がマリアたちに直接危害を及ぼしそうになる描写はわずかです。せっかく敵が設定されているのなら、彼らが追い詰められるサスペンスがもう少し欲しかったようにも思いました。

 

 


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ベティ・ペイジ

 

 

1950年代のアダルト系写真やフィルムで人気を博したという女性・ベティ・ペイジの物語です。
実在の人物の映画で重点的に扱われがちな、幼年時代や結婚といった人生の重大事のエピソードは、この作品ではサラリと流されていて、彼女を有名にしたアダルト系モデルの仕事時代に重点を置いた構成になっています。
お話にあまり盛り上がりはありませんが、人から後ろ指を指されるように見える仕事でも誇りを持つベティの姿には、男の僕でも共感できました。「女性のお仕事」の映画とも言えそうです。価値観が多様な今だから、作れるようになった映画でしょう。

奔放な仕事をしているように見える彼女が、実は信心深い人だったというのは意外でしたが、クライマックスであろう教会での出来事は、彼女の単なる思い込みと解釈したくなりました。このシーンの彼女の気持ちはよく分かりませんでしたが、意図的にそう描写したのかもとも思えます。

50年代当時に問題にされたエッチなシーンは、今見るとほのぼのとして、猥褻な感じがしません。気分が乗ってきたベティがオールヌードになると、撮影していた男がかえって戸惑うのが可笑しく、時代を感じさせます。

猥褻を裁く判事でデビッド・ストラトザーンが出ています。この人は「グッドナイト&グッドラック」でもそうでしたが、生真面目な役が似合います。

 

 


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ス リ ザ ー

 

 

アメリカの片田舎に落ちた隕石。中から出てきた生物がある男に寄生し、おぞましい姿に変形した男は、一人の女性を誘拐する。いけにえにされた彼女の巨大に膨らんだ体から、何千何百というヒルのような生物が放たれ、町の住民に襲い掛かる…。

この作品の監督ジェームズ・ガンは、リメイク版の「ドーン・オブ・ザ・デッド」を手がけた人だそうです。その関連かどうかは分りませんが、この映画はまさに「宇宙生物+ゾンビ」といった内容です。
CMにも出てきて、映画のウリであろうヒル型の生物は、日本語の字幕では「スリザー」と呼ばせていますが、言語では「ワーム」と呼ばれています。日本語字幕で言語と違う名前をつけるのは「オバンバ」とかでたらめな名前をつけていた「バタリアン」を思い出しました。
この「スリザー」、大きなヒルあるいは芋虫みたいで、ヌルヌルしてなかなかに気持ち悪い奴です(ホームページも気持ち悪い!)。群れるシーンはCGでしょうが、こいつらが人間と絡むシーンはCGでないように見えました。もしそうなら、CGでないグチャドロの生物は久々に見たかもしれません。

エイリアンに初めに憑依されるキャラ・グラントを、マイケル・ルーカーが演じています。彼はB級の映画にはちょくちょく出ていますが、今回はあまり素顔を見せません。このクラスの映画なら主役級で出てもおかしくないのに、こんな役でいいのか?と余計な心配をしたくなりました。
このグラントの美人の奥さん・スターラが映画のヒロインという立場で、演じるエリザベス・バンクスはなかなかに色っぽいおねーさんです。取り付いたマイケル君の意識が残っているようで、エイリアンや表意された人々が口々に「スターラ!」と、このおねーさんに執着するのが面白いところでした。

こういった部分でこの映画、「フロム・ビヨンド」や「ゾンバイオ」といった、知る人ぞ知る?エンパイア・ピクチャーズの映画を連想しました。エンドタイトルの後はお約束のシーンだし、B級SFが好きな人にはたまらない作品でしょう。

それにしても、結局町の住民は全滅てことでしょうか。これはこれで凄い終わり方かも。

 

 


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ディスタービア

 

 

「トランスフォーマー」で熱演を見せたシャイア・ラブーフ演じる、学校で騒ぎを起こしたため、家で監禁という判決を受けた少年。初めは気楽な覗きライフを楽しんでいたのが、隣に殺人鬼が住んでいるらしいと分ってから、怒涛のサスペンスになります。

アメリカで本当にやっているのかは知りませんが、監禁の監視にGPSを利用するやり方は上手いアイデアです。おかげで自宅から出られず、出てしまったら即座に警官が駆けつける設定がミソになっていて、全体的に小気味いいテンポとサスペンスで飽きさせません。「アメリカで大ヒット」という、通常信用ならない宣伝文も、この作品の場合は納得です。
携帯やipodなど、IT機器の使い方も上手いところでした。日本の監督も見習ってほしいものです。

主人公の母親役でキャリー・アン・モスが出ていますが、やられてばかりで、合っている感じがしません。マトリックスだろうに…。

 

 


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バイオハザードIII

 

 

パート3ものが続く2007年公開作で、「バイオハザード」も3作目の登場です。今回は前作以上にウィルスが広がり、人類がほとんど死滅して荒れ果てた世界という、「マッドマックス2」的なテイストの雰囲気のお話です。
今回はカラスや、前作のラスト以上に強いラスボスのような新種のゾンビ達が出てきて、1時間半程度の長さでコンパクトに楽しめます。ただ動きの速いゾンビというのは「ハムナプトラ」で既に出てきているから、サスペンスはあるもののアイデア不足の感じがしてしまいました。

前作からチラリと出てきたアリスの超能力は、今回は能力全開な感じになりますが、「バイオハザード」の世界観からかけ離れている感じがします。主人公なので超人的な能力を持たせなければならないというのは分かるけど、これではニュータイプだ。

日本でのこの映画の宣伝文句は「サヨナラ」となっていますが、本編はモロに続編を意識したような終わりになっています。このラストから次回作の始まりを想像すると、笑ってしまいますが。

 

 


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ス タ ー ダ ス ト

 

 

「もののけ姫」のアメリカ版の脚本を担当したという、ニール・ゲイマン原作のファンタジーです。
主人公の青年の他、魔女や空賊や落ちた星の美女や幽霊の王子たちなど、登場人物が多くて入り組んでいますが、話が分りにくいことはありません。ラストで明かされる意外な人間関係には驚けたし、ラストは爽やかです。

主人公よりも目立っているのが脇のキャラで、まずロバート・デ・ニーロ演じる「空賊」の頭領。彼がこれまでの映画で演じたコワモテキャラの、パロディみたいな設定が面白いところです。
もう一人は、空から落ちてきたヒロインを付けねらう魔女。演じているのはミシェル・ファイファーで、この人は(言っちゃ悪いけど)もうそれなりのトシなはずですが、若返った時の色っぽさにはドキリとしました。
そこから年を取っていって、彼女の美貌はだんだん崩れていくのですが、よくここまで醜くなっていくメイクを許したと感心しました(日本の女優もこの根性を見習って欲しいぞ)。また彼女の使う魔法のシーンでは、なかなかに面白い箇所がありました。

空賊のキャラやメカのデザインは、宮崎アニメを思わせる雰囲気があります。そのせいか、アメリカではこの映画を「宮崎映画の実写版」と評した人もいるようです。でも大方の内容にはブラックユーモアが目立ち、もし宮崎氏がこの作品を手がけていれば、死をこんな風に笑いものにはしなかったと思うし、そういったシーン自体、あまり笑えませんでした。
主人公には今一つ感情移入できなくて、魔女や空賊といったキャラクターの存在感には負けています。話の舞台もイギリスの片田舎といった、限定空間みたいで。世界の広がりはあまり感じられませんでした。恐らく、原作の小説の方がもっと良くできてるのではないかと想像します。

 

 


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ボーン・アルティメイタム

 

 

パート3モノばやりの2007年、「ボーン・アイデンティティー」で始まったジェイソン・ボーンシリーズも3作目。逃げ回ってきたボーン君の反撃で、シリーズも遂に核心へ向かいます。
いつもながら世界を巡るスケールと迫力のアクションとスピード感、そしてサスペンスで、今回も退屈しません。第1作から監督を全てポール・グリーングラスが手がけているせいか、シリーズに統一感があり、安定した筋運びを見せてくれます。

今回は後半に強力な助っ人が出てくるのが、見ていて気持ちいいところでした。アメリカの敵はアメリカ、というのはこのごろありがちな感じがしてしまいましたが、アメリカ万歳の描写よりはマシでしょう。
ラストシーンがシリーズの初め、第1作の冒頭のイメージでつながるのが上手いところでした。一応シリーズはこれで最後だということですが、まだ続編が作れそうな…。

 

 


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パンズ・ラビリンス

 

 

「ミミック」や「ヘルボーイ」などの監督・ギレルモ・デル・トロが「デビルズ・バックボーン」に続いてスペインで、この国の内戦時代を舞台に作った物語です。
今回の主人公は少女オフェリア。母親がスペイン軍の大尉と結婚することになり、山の中にある彼の屋敷に来るのですが、この大尉は山中に潜むゲリラ殲滅のためなら何でもする非道な男。彼が支配する(とオフェリアには見えているのでしょう)血なまぐさい、人間達が生きる世界と、「本当の自分」に戻るための試練を与えられる幻想的な世界を、オフェリアが行き来するお話です。

「デビルズ・バックボーン」はホラーのカテゴリーに入れられる作品でしたが、今回はカテゴリー分けをするならファンタジーでしょう。
しかしこの映画、現実世界では人を切ったり拷問したりする残酷なシーンがあるし、幻想世界もなかなかにグロいシーンや、子供の殺害を匂わせる描写があったりするのが、数多のファンタジー作品と違うところです。さすがに子供に容赦しないデルトロらしいけども、不愉快にもなりました。
とはいえ、やはり当代随一のビジュアルセンスを持つデルトロだけあって、幻想世界のシーンは見ものです。中でも悪魔的な容姿を持つ妖精や、チラシにはペイルマンと名づけられている、目のない(実はあるのだけど、見方が最高!)化け物は出色です。
お話はリアルな血なまぐさいドラマとファンタジーの融合が上手く、退屈しません。こういう、ファンタジーの形を借りて歴史を語ってしまう作品なんて今まで見たことがなく、この構成を考えたデルトロには感心します。
ただし、ラストは好きになれませんでした。物語の上ではこれでいいと思いますが、イヤーな気分にはなりました。もしこの作品がハリウッドで作られていたら、こういうラストにはならなかったかもしれません。たぶんスペインの方が、デルトロの思い通りに作れるのかもしれません。

幻想世界のパートは話を広げられる要素が色々とありますが、あえてしなかったのは現実の話に重きを置きたかったからかなのでしょう。大尉の「死の時刻」の設定なんて、もっと何かあるのかと期待してしまいました。

映画での幻想世界は、オフェリアが辛い現実から逃げるために作り出した夢想の世界とも解釈できます。しかしデルトロ監督がインタビューで言うことには、現実世界もファンタジーの世界も違いは無いそうです。なら現実世界がファンタジーであると捉えれば、この映画はハッピーエンドでしょう。
少し前に作られた、日本ではビデオリリースのみだった同じスペインで作られたファンタジー?映画「クィーン&ウォリアー」は妄想か現実か混乱させる話でしたが、これを思い出します。

 

 


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ファンタスティック・フォー
銀 河 の 危 機

 

 

シリーズものばやりの2007年。「ファンタスティック・フォー」も2作目の公開です。原題は「Rise on Silver Serfer」となっていますが、シルバーサーファーは単体のコミックになってる割には日本じゃあまり有名じゃないから、サブタイトルを「銀河の危機」にしたのかもしれません。
お話は「銀河の危機」までは行っていませんが、クライマックスのCGはそれなりの迫力が出ています。今回はメインメンバーの超能力が入れ替わってしまうのが面白いところですが、アクションよりも、メンバーのパワーを生かしたおちゃらけシーンの方が楽しく見れました。

シルバーサーファーはコミックの主人公になってるだけあって、思っていた通り完全な悪役にされていません。ラストは、それだけやれるなら早く抵抗してればいいのに、と言いたくなりました。
今回は前作の敵ビクターが復活して、ファンタスティック・フォーのメンバーと妙な関係になりますが、彼がメンバーの関係を引っかき回したらもっと面白くなったかもしれません。まあそういう話になると、グチャドロな内容になってヒーローものらしからぬ展開になりそうですが。
彼の再登場で一番動揺したはずのジェシカ・アルバには、今回も色っぽいシーンがあります。やはりそういうのを期待されてしまうのでしょうか。

冒頭で駿河湾が出てきますが、アラスカに富士山を合成したような光景に笑えました。クライマックスの舞台は上海で、アジア市場を重視はしてるみたいです。しかしラストの着物にも笑えた…。

 


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シ ッ コ

 

 

「ボウリング・フォー・コロンバイン」のマイケル・ムーアが取り上げる今回のネタは、アメリカの医療制度です。
映画の中で語られる、「医は仁術」なんて言葉が吹き飛ぶようなアメリカのお寒い事例はまるでブラックコメディを見てるようで、やらせじゃないかとまで思えてきます。ヘタなドラマを見るよりも、よっぽど楽しめる内容です(不謹慎な表現かもしれませんが)。
この作品、ラスト近くではウルッときたシーンがありました。まさかマイケル・ムーアの映画で感動するとは意外です。でもよく考えると、なぜアメリカではこうならないのか?という怒りも感じられます。市場原理は本当に人を幸せにするのか?という問いも、映画は投げかけているようです。

米国は悪で、他国は善という感じに受け取れる構成は単純すぎるし物足りないところではあります。アメリカと比較されるカナダや英国、フランスといった国々が映画では天国に見えますが、いいことばかりではないだろうとも思いました。
とはいえ、そういう「影」の部分にまで触れてしまうと、映画の形がぶれてしまうかもしれません。主張を惑わすような要素にはあえて触れない?ことで、映画には言いたいことがストレートに出ていて、テーマが分かりやすくなっています。今回は特定の敵もいないせいか、ブッシュ大統領をやっつけようという意図がうるさかった「華氏911」よりも、気分良く見れました。

映画で語られるような、保険金の未払いは日本でもありますが、政府が是正命令を出すだけまだましかもしれません。でも日本の保険制度だって、介護を民間に丸投げしたりして、規制緩和の名の下にアメリカに近づいてるように見えます。自民党はアメリカのポチだから、この映画が将来の日本の姿になりそうで、心配になります。他人事と思って見てはいけない作品です。

 

 


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ラッシュアワー3

 

 

パート3ものの目立つ2007年(何回こう書いたことか)、「ラッシュアワー」も3作目の公開です。今回の舞台は冒頭がアメリカで、その後はパリになりますが、パリでなければならないという必然性はあまりなく、単に場所を変えてみましたというだけの理由に見えました。
ジャッキー・チェンとクリス・タッカーとのコンビは相変わらずの調子なので、シリーズを見てきた人にはそれなりに退屈はしないでしょう。でもやはり、クリスはうるさい。
ジャッキーのアクションは今回は大がかりなものはありませんが、高低差のあるフリーウェイを駆け上ったりとか、けっこうがんばっています。特撮が鼻についた前作よりは、まともにアクションに取り組んでいるようです。

今回の敵役は真田広之で、順調に出世しているようです。真田広之もジャッキーまでは行かなくとも、アクションを結構がんばっています。この人は日本人という設定になっていますが、彼が日本語をしゃべるシーンでは、ジャッキーも日本語で返してきて、ジャッキーが日本語もしゃべれることになっているとは驚かされました。彼らは義兄弟という設定ですが、知り合いが敵というのは、シリーズモノにありがちな展開です。
真田君の配下で工藤夕貴が出ているのですが、クレジットには結構大きく出ているわりには、チョイ役だったのはかわいそうでした。

お話には真田や工藤以外にも敵がいるのですが、いかにも怪しい!バレバレな、設定のパターンぶりには呆れました。これじゃトム・クルーズの出ていた某未来SF映画と同じだぜ…。

 

 


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オーシャンズ13

 

 

パート3ものの目立つ2007年、「オーシャン」シリーズも「13」となり3作目です。
今回もオーシャンたちは実現不可能な作戦を仕掛けますが、あまりにも計画が調子よく運びすぎて、大した危機もなくてドキドキハラハラもあまりなく、中だるみの感じです。シリーズを見てきた人の同窓会、として見るべき映画でしょう。まあ、ラストのオチは笑えましたけど。

今回は前作「オーシャンズ12」までメインメンバーだった、ジュリア・ロバーツが出ていません。さすがに飽きたのでしょうか。
その代わりには及ばないけど(失礼な言い方か)、前作に出てきたヴァンサン・カッセルが、舞台がヨーロッパでないのに、ちょっとだけでも顔を見せているのは嬉しいところでした。

 

 


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ゴーストハウス

 

 

the EYE [アイ]で名を上げた、タイのパン・ブラザーズのハリウッド進出第1弾。アメリカの片田舎の一軒家に引っ越した一家を襲う、超常現象の話です。
幽霊の描写には確かに「アイ」みたいなシーンがちらほらあるし、クライマックスが来る来る!という感じも「アイ」を思わせます。
とはいえ、「アイ」に比べるとスケール感はこじんまりとしていて、いかにもB級といった作りです。アメリカでの1作目ということで、スケールの大きくないホラーでジャブを出したところでしょう。でも製作を担当しているサム・ライミのスタジオ「ゴーストハウス」のレーベルと同じ名前の作品を任せるというのは、パン・ブラザーズはかなり信頼されているのでしょう。
主人公である娘が親に信用されていない、という設定が上手く生きていて、彼女が追い詰められていく過程は興味深く見れました。

 

 


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トランスフォーマー

 

 

日本のタカラが出した変形ロボットのおもちゃを、アメリカのメーカー・ハスブロが輸入した「トランスフォーマー」は1980年代に人気になり、アニメのシリーズまで作られました。その「トランスフォーマー」が20年も経ってまさか実写、しかも製作がスティーブン・スピルバーグ、監督がマイケル・ベイという大作になるとは、初めてチラシを見たときは信じられませんでした。
お話は別の星から地球にやってきた金属生命体が、乗り物や機械をコピーして変形ロボットになり、善のオートボット、悪のサイバトロンと戦いを繰り広げるという、他でやってくれよ!と言いたくなるハタ迷惑な内容です。
アニメ版はもっぱらオートボットとサイバトロン同士の戦いで、地球人と戦うことはあまりなかったと思いますが、今回の映画はサイバトロンと海兵隊が戦うシーンがかなりあり、異星人と人間とのバトルアクションの面が強い物語になっています。予告編もその部分を強調した作りになっていて、アニメ版よりも大人向けの活劇といった内容になっています。
この映画のプロデューサーである、スピルバーグが作った異星人の侵略モノの映画では「宇宙戦争」がありました。あの映画はテロをモチーフとしているようなので性質は違うかもしれませんが、この「トランスフォーマー」の方がはるかに、気分よく見られる内容です。
監督のマイケル・ベイは、いつものようにテンポのいい展開で、ノリノリの演出を見せてくれます。物語にはトランスフォーマーたちの出自に関する「謎」が絡むのですが、その謎の行方にあっさりと決着がついてしまうのはまるで監督が、謎解きなんぞよりアクションだぜ!と言ってるみたいでした。そんなバトルシーンは来る来る!といった盛り上げが上手くて、大いにエキサイトしました。スカッと爽快に見終われる、娯楽活劇です。

中盤にある、主人公の家でのオートボット軍団のやりとりは、アニメにあったようなロボットと人間のおちゃらけ感がけっこう出ているように思います。もっともここはヘタな香港映画を思い出すシーンもあり、なんだかなーという気もしてしまいましたが。
アニメといえば、トランスフォーマーたちの変形する時の音が、アニメと同じようなSEになっているのは、アニメ版をリスペクト指定している感じがしました。
この、映画のウリであろうトランスフォーマーたちの変形シーンがスピーディーなのも気持ちのいいところで、これはCGならではの恩恵でしょう。あの膨大な数のパーツをよく動かしたものだと思います。意外と「アクエリオン」なんか参考にしたんじゃないか、とも思わされましたけど。

映画は続編が決定してるそうです。スタースクリームはまだ残っているし、今度は新たなディセプティコンが攻めてくる話でしょうか?ホットロディマス出るかなー?

 

 


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レミーのおいしいレストラン

 

 

CG映画の雄・ピクサーの放つ、料理の得意なネズミのレミーと、料理の苦手な若者リングイニのコンビがシェフになってしまう物語です。今回もハラハラドキドキ&感動的な作りで、全く退屈させません。
映画を見ている時は、このお話は主人公達のいるレストランをつぶした料理評論家イーゴを、レミーの料理でぐうの音も出ないようにやりこめる結末になるのだろう、と想像してました。確かに映画では、イーゴが主人公達のいるレストランに来ますが、その後の展開は僕の予想を大きく裏切る形になりました。
映画は、本当においしい料理は人生を変えてしまう、と言いたいのかも知れません。誰も不幸にならない暖かい終わり方で、ピクサー作品ではこの前の「カーズ」に続く、ナンバーワンでなくオンリーワンの話というところでしょう。この作品の少し前に公開された「ロッキー・ザ・ファイナル」でのロッキーと同じようなセリフがあるところも、そんな感想を抱かせます。やはりピクサーの作品は違う!と今回も唸らされました。

ピクサーの映画は毎回CG表現で何らかの挑戦をしていますが、この作品では「料理」でしょう。毎度のことながら今回も成功で、CGの料理の質感はなかなかに、おいしそうに表現されています。見終わるとラタトゥーユ(映画の原題)が食べたくなりました。
さらに今回はもう、コンクリートなどの建物の質感がまるで本物であるのにも驚かされました。街中のシーンはところどころ、実写と区別がつかないカットがあります。

映画の主人公というべき、レミーはネズミです。ピクサーは今ディズニーの傘下に入っていますが、ディズニーでネズミのキャラクターといえば、世界中で知らない人はいないであろう、ミッキーマウスがいます。キャラがかぶるかもしれない、という意味でもピクサーはよく冒険をしたと思いますが、人間にかなり近いイメージで作られているミッキーマウスに比べると、映画のレミーはCGということもあってかより本物のネズミに近く、ミッキーマウスを思い起こさせることはありません。
ただレミーを含めこの映画のネズミたちは、4つ足の時の動きは自然な感じで、群れが動く時は本物のネズミみたいに見えました。ネズミが人間を襲撃する内容で有名な「ウィラード」を思わせるシーンもあり、ネズミが嫌いな人には苦手な箇所があるかもしれません。

今回の監督は「Mr.インクレディブル」のブラッド・バードです。彼がその前に手がけた「アイアン・ジャイアント」はロボットものの傑作でしたが、レミーのリングイニの「操縦」はまるでロボットアニメを見ているようでした。「ミスター味っ子」のようなシーンもあり、日本のアニメの影響も垣間見える感じがします。
ただ今回は「Mr.インクレディブル」に比べると、キャラクターが弱い感じがしたのが、唯一気になる点でした。まあ、「インクレディブル」にフツーの人はいなかったから、比べるのは酷かもしれませんが。
あとこの作品で残念な点と言えば、冷凍食品を下に見ているところです。冷凍食品が本物の料理ではない、という心理は分からないことはありませんが、冷凍食品を美味しくしようと努力してる人もいるので、そういう偏見?は気になりました。

今回も、いつものピクサー映画のようにまず短編から始まります。その「Lifted」は、「Xファイル」のパロディみたいで大いに笑えました。

この作品の日本語吹き替え版では、リングイニの声を佐藤隆太が演じています。初め聞いたときは少し年っぽい感じに聞こえたのですが、段々気にならなくなりました。同じ頃に公開された某ポケモン映画の若手女優と違ってヘタではないし、なかなかに合っていたと思います。
敵役イーゴの声は家弓家正で、「レプカ様!」と言いたくなりますが、その後の「変化」も違和感なく聞かせてくれています。

 

 


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ゾ デ ィ ア ッ ク

 

 

「パニック・ルーム」「ファイト・クラブ」のデビッド・フィンチャー監督が、実在の未解決である殺人事件の経過を映画化したお話です。
連続殺人が題材というのは一見、この監督の出世作である「セブン」の元ネタという感じもしますが、あの映画ほど展開は劇的ではなく、お話は淡々と進みます。
後になって、いくつかの謎がつながりを見せると「おおっ!」とは思うのですが、結局それが事件の解決に結びつくわけでもないおかげか、大した盛り上がりにはなりません。まあ映画は基本的に事実を描いているので、しょうがないかもしれませんが。

未解決の殺人事件を追う話といえば、韓国の「殺人の追憶」がありますが、こちらの方が犯人への怒りを感じられて、主人公達を応援できました。それに比べるとこの「ゾディアック」は、あまりキャラクターたちに感情移入できません。
殺しの描写なんかは結構残酷なのですが、それも怒りや悲しみを掻き立てるような描き方ではなく、全体的にドキュメンタリーを見てるような感じもあります。
この作品、ゾディアックを追う話ではなく、ゾディアックに振り回される人々を描いた映画、と見れば、また印象が違うかもしれません。

予告編では「事件に携わった人間の人生がことごとく破壊されていく」と言っていますが、映画では人生を狂わされたと思えるキャラはサンフランシスコ・クロニクルの記者が数人くらいと、予告のイメージほど多くありません。そそられる文句だけにがっかりでした。
まあ、これは宣伝部が勝手に考えたキャッチコピーだろうから、製作者達に責任は無いでしょうけど。

 

 


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ア ポ カ リ プ ト

 

 

「ブレイブハート」「パッション」のメル・ギブソンが監督したこの作品は、これまでと同様過去が題材ですが、マヤ文明とは近年珍しいネタです。しかも言語までもマヤ語でやってしまうというのは、「パッション」同様にメル君のこだわりが感じられます。
ある森で平和に暮らしていた部族がマヤの傭兵に捕らえられ、逃げ切ろうとする話で、前半は主人公ジャガー・パウたちが捕らえられるまでで、後半が追っかけという構成です。

映画の最大の見どころは、中盤に来るマヤの都市のピラミッドのシーンでしょう。ここはセットがちゃんと再現されていて、エキストラも多いせいか、迫力があります。
主人公達が都市に近づくにつれ景色が殺風景になり、変な人が目立っていくのは、現代の都市化文明の批判のように見えました。映画のテーマは主人公の父親が語る「恐れは病」のようで、ここでは人々が「死の恐れ」によっておかしくなってきているように感じられます。
ただ、実際のマヤはこういう狂信的なものではなかったようで、映画のこの箇所はかつての「土人」を描いたような匂いもあり、人々が誤解するかもしれません。
ここで行われる首切りなど、映画には残酷なシーンが多いので、そのテが苦手な人は注意でしょう。

映画の後半は主人公の反撃などがあって退屈せず、なかなかにハラハラしますが、追われる方だけでなく、滝があっても諦めないような、追う方の執念にもびっくりです。
ただあえて言えば、追う方が一人だけでなく、もっと多人数が恐怖で内部崩壊するというような展開でもあれば、よりテーマに合っていたように思います。

 

 


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ダイ・ハード4.0

 

 

「ダイ・ハード」シリーズの、パート3より12年も(!)たって製作された、4作目です。
タイトルに「4」ではなくて「4.0」とつけているのは、インターネットの技術「Web2.0」を意識しているのでしょうが、何が新しいのかよく分からないドコモ2.0みたいに、ただ今ぽさを強調してるだけのようで、あざとく思えます。

テロ騒ぎに巻き込まれるジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)というお話のパターンは同じではありますが、今回はジョン君のぼやきが少ないし、黒人警官やジョンの妻が出てくるわけでもない(全く、とは言えませんが)し、音楽もパート1や2と違うので、「ダイ・ハード」という感じがしません。ジョンが主人公でなくてもいい話で、他によくあるブルース・ウィリスのアクション映画、という印象です。
ジョンの妻が出てこない代わりなのか、今回はジョンの娘が登場します。かといって名前が同じだけで、なじみのキャラとは言えません。ただ、この男にしてこの娘あり、と思わせる行動があるのはいいシーンでした。
例によって事件やアクションが次々に起こるので退屈はしません。アクションは回を重ねるごとにありえねえ度が高くなっていますが、特に後半の戦闘機が絡むアクションは大掛かりな、怪獣映画並みの破壊シーンで迫力があります。

今回テロリストが仕掛けるのは、銀行や官公庁や交通網といったコンピューターを狙ったサイバーテロですが、コンピューターで集中管理するゆえのモロさは怖くなりました。まあ実際、あれだけテロリストの数が多ければ、情報漏れなく実行できるとはとても思えませんが。サイバーテロのシュミレーションに絡んだアクションを見る、と割り切って楽しむべき映画でしょう。
テロリストのメンバーでマギーQが出ています。アクションはいいけど、やはり「ミッション・インポッシブル3」のようなセクシーさを見せてほしいところでした。

 

 


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プレステージ

 

 

「バットマン ビギンズ」のクリストファー・ノーラン監督が描く、ある事件をきっかけにライバルである2人のマジシャンが復讐のため傷つけあい騙し合う話です。
この監督の出世作である「メメント」は、時系列を逆転させた構成が話題になりましたが、ラストでは驚くべき秘密が明らかになりました。この「プレステージ」でも、一番大がかりな「トリック」がラストで明かされる構成は「メメント」を思わせます。
このトリックは明かされてみれば単純なのですが、僕は見事に騙されてしまいました。でも後で思うと、途中でわずかながらヒントが示されているので、カンのいい人は気づくかもしれません。
主人公のマジシャン2人の過去と現在の時間軸をブレンドする構成は飽きさせませんが、彼らの行動には、早くこうすればよかったのに、と突っ込みたくなる箇所はありました。

 

 


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3 0 0
(スリーハンドレッド)

 

 

紀元前のスパルタ軍とペルシャ軍の戦いを描いた、フランク・ミラーのグラフィックノベル(大人向けのアート志向のアメコミ)の実写化です。
以前公開されたグラフィックノベル原作の「シン・シティ」と同様に、今回もデジタル技術を駆使して色彩やスピードを変えたりと、アーティステックな感じを出しています。映画では戦闘シーンや人間のオブジェといった、残酷さとグロさと美しさが両立しているシーンが続出し、「シン・シティ」以上に見事なビジュアルインパクトが出ていて、ラストには宗教画の感じさえ漂うシーンがあります。
コスチュームなどのイメージにも、歴史的事実よりも想像力を重視したような面白さがあります。

スパルタ軍の奇抜で迫力ある戦法には、「なんて奴らなんだ」という宣伝コピーも同意です。自らの信念で軍を率いるレオニダスは、一国の王としてどうよ?と思わなくもありませんが、後半では「行けえーっ!」と声を上げたくなりました。「シン・シティ」も悪くなかったけど、あれに比べると技術に溺れている印象は少なくなっています。
とはいえ、流血のシーンや死体がかなり多く出てくるので、血が嫌いな人には勧められません。

ただ、スパルタ軍の「自由のために戦う」という主張は分るけど、イラク戦争時のブッシュ大統領を連想させて、時代遅れの感じがしてしまいました。また、甲冑のデザインや、草原のシーンなど「グラディエーター」とかぶる感じもあります。 

 


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リ ー ピ ン グ

 

 

「イナゴ少女現る」のCMがインパクトのあった、ホラー専門レーベル・ダークキャッスル製作の作品です。
お話は「オーメン」の変形版といった感じで、ヒラリー・スワンク演じる主人公が心霊現象を調査していく前半はそこそこ楽しめましたが、主人公の懐疑的姿勢が消えてから退屈になってきました。
CMに出てきたイナゴ少女のシーンはわずかで、これが一番迫力あるシーンでした。「TATARI」といい「13ゴースト」といい、やはりダークキャッスルてこんなんばっかや。

 

 


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バ ベ ル

 

 

ほとんど名が知られていなかった菊池凛子が、アカデミー助演女優賞にノミネートされたことでワイドショーにも取り上げられ、話題になった作品です。
彼女は結局賞は取れませんでしたが、格別上手いようには見えませんでした。もしこれがセリフのある役柄だったら、果たしてアカデミーにノミネートされていたのか?と思います。映画は彼女の心のうちを推測できるようには描写していますが、端から見れば色情狂と見られても仕方ないと思えました。まあ、そんなことしか思いつかない彼女の悲しさ、というのがテーマかもしれませんが、

この映画が2006年度のカンヌ映画祭で好評だった、という評判を聞いたときはかなりヤバそうだと思いました。なんせカンヌで賞を取った映画で、僕が良かったと思ったものはあまりないので。
その懸念どおり、映画はいかにもカンヌの審査員が好みそうな暗いお話です。悪意は無いのに物事が悪い方向に転がっていく人生の不条理が、カンヌで受けたのかもしれません。
悲劇的なエピソードが加速していく展開は、見ていて辛くもあり「早く終わんねーかな」としばしば時計を気にしてしまいました。
とはいえ、アフガニスタン、メキシコ、東京といった違う舞台で、ほぼ同じ時間帯で進行するエピソードを、時間軸をずらして見せていく編集はなかなか巧妙で、退屈はしませんでした。途中で予想したほどラストが暗くはなかったのにも、ホッとさせられました。

 

 


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ロッキー・ザ・ファイナル

 

 

「ロッキー」シリーズの、通算6作目にあたる作品です。
「ロッキー」といえばあのテーマ曲ですが、やはりあれがかかるシーンは燃えます!今回は犬を連れているのが、上手いスパイスになっています。
そして今回は、試合が泣けました!自分のために戦うロッキーの姿は、シリーズの中で一番、パート1のスピリットを継いでいるのではないでしょうか。
キャラクターのセリフに少々説教くさい感じはしましたが、スタローンが自分に言い聞かせてるような「ロッキー」ならではの含蓄のあるセリフは、人生を迷ってると思ってる人に響いてくるかもしれません。

ただロッキーの語る「燃えるもの」は、ちと唐突な感じに受け取りました。また彼と親しくなる女性の息子の接し方には、自分の息子との距離を埋めようとしたように推測できて、彼らの触れ合いをもう少し丁寧に描いた方が良かった気もします。とはいえ、そういうエピソードを増やしてしまうと、映画の流れを削いだかもしれないのですが。

エンドタイトルに、アメリカ人のロッキーへのなじみぶりが出ていてほほえましく感じました。次回作は「ランボー」らしいけど、この「ロッキー」みたいにそれらしい有終の美を飾れるかなあ?

 

 


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ハンニバル ライジング

 

 

「羊たちの沈黙」「「ハンニバル」そして「レッド・ドラゴン」と続いてきたレクター博士シリーズ。まだまだ儲けようというのか、今度はレクター博士の若い時代を描くお話です。
トシが合わないのか、役の固定化を嫌ったのか、この作品では今までレクター博士を演じてきたアンソニー・ホプキンスは出ていません。
でもそれは、シナリオのせいかもしれません。なんせ今回はレクター博士の初めての連続殺人&復讐を描いただけで、これまでのシリーズと比べて新味が無い内容だからです。つまり映画は彼の行為を追うばかりで、「なぜ猟奇殺人をするようになったのか?」という心の闇を描いていないのには、がっかりでした。

彼に影響を与えたのは日本の「斬首」であるとされるなど、映画にはハリウッド作品で久々に見る妖しげな日本趣味が見られます。といってもヨロイを拝むなんて日本では無いし(「八つ墓村」の影響か?)、なんだかなあ…。
そのきっかけを与える、レクター博士の親戚としてコン・リーが日本人役の重要なキャラで登場しますが、これが何を考えてるか分らないキャラでした。「SAYURI」といい、彼女てハリウッド映画だと日本人をやらされるのが目立つようなイメージがしますが、本人はどう思ってるのやら(ちなみに、けっこう巨乳というのが分るのはおトクな感じ)。

 

 


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パ フ ュ ー ム
ある人殺しの物語

 

 

人一倍嗅覚が優れた若者が、究極の香水の作成を目指し、人の道を踏み外していく物語です。
主人公以外のキャラが次々と悲惨な目にあう展開には「ンなことあるかい!」と突っ込みたくなりました。ブラックコメディという見方もできるでしょう。特にラストの予想外な展開には唖然とします。笑うべきなのか泣くべきなのか、迷うシーンです。
傍から見ると主人公は正常ではありませんが、映画は主人公を単なるモンスターという描写にはしていません。時々入るナレーションは状況説明だけにとどめてあり、主人公を初めキャラの心情を想像させていろいろと解釈できる作りになっています。なのでこの映画、人と一緒に見ると話が盛り上がるかもしれません。 

 


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