ディー・ウォーズ

500年に一度生まれるという、龍の力を持つ女性。彼女をモノにして強大な力を得ようとつけ狙う敵から、彼女と、彼女を守ろうとする男性の逃避行のお話です。
主人公はアメリカ人で、舞台はロスアンゼルスということで一見ハリウッド映画のように見えますが、大方のスタッフが韓国人ということで、実は韓国映画です。日本でも例えば「北斗の拳」のように、日本資本のクセにハリウッド映画のごとく宣伝した例がありました。この作品もお隣の国では、韓国映画ついにハリウッドへ進出！とか宣伝したのかもしれません。
しかしこのお話、アメリカを舞台にする意味がありません。別にソウルでもよかったと思います。

それにこの映画での「敵」、外見は人間のくせに強大なパワーを持っているし、配下に大蛇やドラゴンやヨロイ軍団を従えていたりするのですが、どこから来たのか？宇宙人なのか？何も説明がありません。だいたい、あんな大軍団で一斉攻撃なんかやったら、目的の女を殺しかねないでしょうに。
この大軍団がロスアンゼルスで暴れまわるシーンが、この映画の一番の見ものでしょう。特にドラゴンたちと武装ヘリの戦闘は、ファンタジー世界が現代を侵食したように見えて、「聖戦士ダンバイン」みたいな面白いイメージです。この辺のシーンでは車とかちゃんと壊してたりして、金はそれなりにかかっているようです。

敵から逃げる主人公カップルを、敵の配下の大蛇が追いまわし、こいつが２人の行く先々で暴れまわることで、そこは瓦礫の山になります。そのくせこの２人は海岸でのんきにキスなんかしたりして、映画には緊迫感がまるでありません。
自分達に意図が無いとはいえ、その行く先々で破壊を生んでいるくせに、そういう迷惑をこいつらは考えないのでしょうか？宣伝コピーは「たった一人のために人類は壊滅するのか」というものですが、彼らが延々と逃亡していれば、本当に人類は壊滅しかねません。FBIの目的なんかいかにもではありますが、分かる気はします（あまりに単純すぎるその結果もお笑いだけど）。
この主人公カップルを演じている役者たちも、まるでやる気が感じられません。特にクライマックスでのヒロインの表情の無さにはなんだか、「これって怪獣とかCGがメインじゃね」とか言ってすねてたんじゃないか？という想像をしたくなりました。
このあたりの舞台は、地上なのか地下世界なのかよく分らない「ここどこだよ？」と言いたくなる場所で、大部分がCGで描写されています。そんなCG舞台でまた、龍なんかのCGモンスターが暴れまわるのは、ファンタジーシーンでCGが目立っていた韓国TVドラマ「大王四神記」とカブる印象を受けました。

こういった感じでこの作品、いわば突っ込みどころの多い「バカ映画」といっていいでしょう。怪獣が好きな人なら、まあ楽しめるかもしれません。
こんな映画が、2008年度の東京国際映画祭でプレミア上映されたというのもまたお笑いです。本来なら、ファンタスティック映画祭の枠で上映されるべき映画でしょう。まあ、無かったけど。

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トロピック・サンダー
史　上　最　低　の　作　戦

ベン・スティラー、ロバート・ダウニー・Jr、ジャック・ブラック演じる３人のガケップチ俳優が再起を賭けて挑んだ戦争映画のロケで、本物の戦場（紛争地帯）に入り込んでしまってドンパチやるお話です。
冒頭はこの３人の主演映画の「予告編」から始まりますが、これらがいかにもそれらしく、実在してもおかしくない感じに作りこんでいます。冒頭にちゃんと映画会社のロゴが出るのがリアルですが、いかにもその会社が配給しそうな内容であるのが、笑えると同時に感心しました。
こういう、映画好きなら笑えるネタがこの作品には結構あります。ただ先に書いた予告編のようなマニアックなネタもあるので、映画をあまり見ない人には辛いかもしれません。
またこの映画、F言葉のオンパレードや、死にネタなどブラックな笑いが多い内容です。中には児童虐待に見えてしまうシーンがあるのは気になりました。

監督もやっているベン・スティラーは主役だし、ロバート・ダウニー・Jrも彼のライバルみたいで目立っていますが、もう一人の主役級ジャック・ブラックは個性がいま一つ出ていなくて、他の２人に比べて影が薄いのは残念です。この人はハマる時はハマるけど、そうでないときは見ていて辛くなります。
しかし３人以上に目立っていたのはトム・クルーズでしょう。でもこの作品での彼の、外見のあまりの変わりようには、出てきた時にはトム君と気づきませんでした。中盤のセリフの言い方で、やっと彼と悟った時は「ええーっ！」と叫びたくなりました。なぜかラストがこの人の土壇場になるのはやりすぎに思いましたが、ハジけっぷりは最高！です。

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ダ　ー　ク　ナ　イ　ト

まだ見ていない人

「バットマン」映画シリーズで初めて傑作！と思えた「バットマンビギンズ」のクリストファー・ノーラン監督による２作目です。前作のラストの予告通り、今回の敵はジョーカーです。

ティム・バートン版の「バットマン」でも敵はジョーカーだったので、見る前は「またかよ」と思っていました。しかし今回のジョーカー、ティム版を完全に超えています。
今回の奴は、あのジョーカー以上に気まぐれで冷酷！そして頭が切れます！こいつが普通の人の悪意を利用する作戦は、人の心の弱さを上手く利用して、いかにもありそうなリアリティーを感じました。こいつの行動が予測不可能なおかげで、何をやるのか興味をそそられて、退屈する暇もありません。
ジョーカーがバットマンを追い詰めていく過程は凄まじく、他のヒーロー物映画と比べても、ここまで追い込まれるヒーローはめったにないはずです。悪に堕ちるのは何と簡単で、正義を維持していくのはいかに厳しいことか…。前作以上に非情な内容が、人間のエゴをあぶり出していきます！

ティム版の「バットマン」のジャック・ニコルソンが演じたジョーカーは有名なキャラクターですが、記憶が薄れてきているせいもあるのか、この「ダークナイト」のジョーカーを見たら、あれが単なる目立ちたがり屋にしかすぎないように見えました。崩れかかっている化粧がまた、それらしくていいです。
エンドクレジットで出る「ヒース・レジャーに捧ぐ」という文は拍手したくなりました（誰もしなかったけど）。今まであまりこの人には注目していませんでしたが、惜しい人を亡くしたものです。バットマンとの再戦を見たかったなあ…。

今回はジョーカー以外に、バットマンの有名な敵役であるトゥー・フェイスが出てきます（「バットマンフォーエヴァー」でトミー・リー・ジョーンズがやっていました）。２人も敵役を出してどうするのだろうと思っていたら、上手いやり方でこの２人をつなげています。

人々から憎まれる主人公（ヒーロー）というお話は、「機動戦士ガンダム」の富野由悠季氏がそれ以前に手がけたシリーズ「無敵超人ザンボット３」がありました。しかしそういう内容のお話はそれくらいしか思いつきません（「イデオン」もそうかな）。それがまさかハリウッドメジャー作品で、こんなシビアなヒーロー映画が見られ、そしてヒットする（アメリカでは、だけど）とは思いもしませんでした。ヒーロー映画も進化しているようです。

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キャストが変わったとはいえ、バットマンの元カノ・レイチェルを殺す展開になるとは驚きでした。
ハービー・デントが彼女を殺されて堕ちていく展開は、TV「沙庄妙子最後の事件」で柳場敏郎が恋人である飯島直子を殺されて、暴走するくだりを思い出しました。

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X　-　フ　ァ　イ　ル
真　実　を　求　め　て

「24」や「ヒーローズ」など、アメリカTVドラマの人気爆発の先駆けともなった「X-ファイル」がシリーズ終了後、久々に映画版で復活です。
「X-ファイル」といえば宇宙人、というイメージが僕は強いので、今回もその例を期待したのですが、映画版の第1作でそのネタをやってしまったからなのか、今回はそうではなく、モルダーとスカリーのコンビが連続殺人事件を追っていくお話です。
映画は謎解きの興味で退屈はしませんが、オチが分かってしまえばなーんだ、て感じです。期待の超常現象シーンもわずかで、映画でやるほどのスケールか、疑問な内容でした。
お話ではモルダーとスカリーがうじうじと悩みますが、彼らの苦悩が伝わってきません。特に、スカリーの受け持つ患者が本筋の話に全く関わらない構成は気になりました。

お話はTVシリーズが終了して以降という設定です。モルダーとスカリーの境遇に変化がありますが、僕のようにTVシリーズの最終回を見ていなくても話にはついていけます。ただ部分的に、最終回に絡んでいるであろうセリフは出てくるので、見ていた方がより楽しめることと思います。

ある批評によれば、今回のお話はTV版での、宇宙人ネタではない傑作エピソードを彷彿させるそうですが、今さら、全く記憶に無い…。

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ウォンテッド

日常に嫌気のさしていた青年が、「フラタニティ」なる暗殺組織にスカウトされ、変わっていくお話です。
主人公ウェスリーのように、日常に満足できない人は多いことでしょう。今の自分が本当の自分ではない、と思っているかもしれません。そういった人々の変身願望をくすぐったのが、映画がヒットした理由かもしれません。
映画は主人公が自分を変えるまでをわりと丁寧に描きますが、それからはハイペースで進み、退屈させません。

コミック原作のせいか、予告でもあるような、主人公がクルマに吸い込まれていくといった、アニメのようなアクションシーンが見どころでしょう。特にクライマックスの殴りこみのシーンは、香港アクションをよりスピード感を増した、21世紀型というビジュアルの感じがしました。
監督のティムール・ベクマンベトフが手がけた「ナイト・ウォッチ」はビジュアルだけという印象でしたが、今回はビジュアルとストーリーが上手くかみ合っています。これがロシアとハリウッドの映画作りの違いなのでしょうか？

映画で圧倒的な存在感を放っているのは、やはりアンジェリーナ・ジョリーでしょう。今回は「Mr&Mrsスミス」以来の、強いアンジェリーナが帰ってきたようで、姉御のかっこよさにしびれまくり！です。彼女の登場シーンの最後をボカシてるのも、いいセンスです。

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ア　イ　ア　ン　マ　ン

このところ流行のようなアメコミヒーローの映画化作品は、主人公がいろいろと悩む内容が多い印象があります。この「アイアンマン」の主人公トニー・スタークにもそういう部分は少しありますが、ポジティブであまり暗くならない、明るいヒーローが魅力でしょう。
イケメンで金持ちでモテるというヒーローはあまり例が無いと思いますが、ロバート・ダウニー・Jrはそういう、「戦うCEO」をひょうひょうと演じていて、イヤミを感じさせません。今回のダウニー君はまさに適役で、スキャンダルで不調気味のイメージだった彼の「復活」も納得のキャラクターです。
彼の秘書を演じるグィネス・パルトロウは、このテの映画に出るとは思わなかったけど、なかなかに合っています。

アイアンマンはだんだんとバージョンアップしていくのがリアルだし、装着にちゃんと時間がかかるのもリアルです。日本のヒーローものだったら瞬間に「変身」させるでしょう。
メカのディテールもかっこよく出ていて、ロボットメカ好きにはたまらないでしょう。特撮が「トランスフォーマー」のILMというのも納得です。
しかし、テロリストに「ジェリコ」を作れといわれ、なぜアイアンマンという発想なのだろうか…？

テロは確かに良くないけど、いい悪いと単純に分けられない問題ではあるでしょう。主人公みたいに誘拐されて協力させられてる人もいたかもしれないから、ひとくくりで殺してしまうのはどうなんだろう…と思いました。とはいえ、複雑な話の多い中では、こういう単純な話もいいのかもしれません。映画のアクション同様、物語もハイペースで楽しめます。

エンドタイトル前のシーンはいいのでしょうか？これは掟破りでしょう。
その後に、「エンドタイトルの後にもシーンがあります」と字幕が出ます。親切なようなおせっかいなような…。「インクレディブル・ハルク」からこう続くわけね。

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ハ　ン　コ　ッ　ク

スーパーヒーロー並みの力がありながら、やる気の無いガラの悪いヤローが変わっていくお話です。
映画のテンポは良く、ウィル・スミス演じる「俺様」キャラがなかなかに笑わせてくれます。特に後半での、ハンコックとある人物の掛け合い＆アクションは笑えました。誰なのかは、予告で想像がついてしまいましたけど。
しかしクライマックスでのハンコックの行動は感動的！でした。ウィル君はおふざけもマジも似合って、コメディとシリアスが上手く同居している内容です。
続編があるなら、ハンコックの過去のエピソードを見てみたくなりました。

映画のアイデアは、ウルトラマンが怪獣と戦う時にビルを壊したりといった、ヒーローが本当にいたら結構迷惑じゃね？と思うことかもしれません。

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言　え　な　い　秘　密

まだ見ていない人

「頭文字D」のジェイ・チョウが主演、そして監督を手がけた作品です。演技も演出も力が入っていて、中盤のピアノバトルは本当に名人のように見えました。
音楽学校に入学したジェイ君がかわいいクラスメートと仲良くなり、愛を育んでいく…という展開なのですが、徐々にファンタジーの色が加わっていきます。撮り方で所々、気になる部分があったのでもしや…と思ってましたが、意外な展開ではありました。
しかし中盤で明かされる｢秘密｣は、某大ヒットホラー映画のパクリかい！と言いたくなりました。
それでも、「愛は全てを超える」クライマックスでは、主人公を激！応援してしまいました。

映画の初めの方はレトロなラブストーリーという感じで、この部分は、恋愛ていいなぁ、と素直に思わせてくれました（「世界の中心で、愛をさけぶ」の時はそんなこと思いもしなかった）。こういう部分があることで、余計に主人公達に肩入れしてしまったのかもしれません。

主人公がいる年代は1999年あたりでしたでしょうか。CDはあるけど携帯電話は無い（あるいは普及していない）ようだったので、2008年ではないのだろうと思っていましたが、いつぐらいかはっきりさせてほしいようにも思いました。

ヒロインであるシャオユーを演じるグイ・ルンメイは、長めのショートカットがとても似合っています。「ズームインSUPER」に出ている西尾由佳理に似てるように思いました。
もう一人のヒロイン、チンイーを演じるアリス・ツォンはきれいなロングヘアが似合う女のコで、こういう風に別な魅力の、違ったタイプの女子を配置するのは、キャラが分りやすくていいやり方です。しかしジェイ君、両手に花やのう。

主人公の父親を演じるのはアンソニー・ウォンで、彼とジェイは「頭文字D」に続いてまたも父子役です。これって「D」と代わり映えしませんが、組んでると安心なのかなあ…？

ラストのカットなど、映画にはよく分らない、謎のシーンがいくつかありました。他にもまだ「秘密」あるのかもしれません。パート２待ちか？

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ヒロインはもしかして幽霊？て思ったりしたので、後半でのタネ明かしは、「シックスセンス」のパクリに見えてしまいました。ごまかし方が「シックスセンス」に比べて、巧妙さに欠けます。

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ハ　プ　ニ　ン　グ

まだ見ていない人

「ヴィレッジ」や「レディ・イン・ザ・ウォーター」のM・ナイト・シャマラン監督が描く今回のテーマは、「人類の終末」です。
映画で描かれるそのイメージはなかなかにコワく、こんな最後は誰も迎えたくはないでしょう。理由が分らないままに最後を迎える、というのは「復活の日」を思い出しました。
お話は主人公たちがひたすら逃げ続けるものですが、シャマラン流のいつもながらの緊張感と１時間半というコンパクトな長さで、退屈はしませんでした。でもその主人公達の逃げ回りは、思い込みだけのようにも見えました。解釈はいろいろとできるかもしれません。

最後は「ミスト」のラスト近くのような雰囲気を期待したのですが、ハリウッドメジャーのような展開には拍子抜けでした。ま、オーラスはやはり！でしたけど。

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最後の方、農家の小屋で離れ離れになった主人公夫婦・エリオットとアルマが、外に出るあたりで映画が終わるんだろうな、と思っていましたが…まさかハッピーエンドとは…。
あのまま謎の現象が世界中に広まって、人類が死滅する終わりかと思っていたので、この「甘さ」は意外でした。もしかしたら「ミスト」の影響でラストを変えたのか、という想像もします。
あるいはシャマラン君、主人公夫婦に生きてほしいと思い入れてをしてしまったのかもしれません。

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僕らのミライへ逆回転

ダメにしてしまったビデオテープの代わりに、自分達で名作映画を演じて作ってしまい、それが人気を呼んで…というお話です。
話のアイデアは、ハリウッドメジャーのアンチテーゼのような感じがして面白いのですが、肝心の物語にはのめりこめませんでした。特にジャック・ブラックのキャラが浮いていた感じがして、ギャグが全然笑えません。
この監督の作品は「エターナル・サンシャイン」も同様に、アイデアは良かったものの、やはり話に乗れなかったと思います。

とはいえ、ラストは感動的で爽やかなものでした。文化祭で映画を作り、みんなで見る楽しさを思い出しました。映画を作ることの面白さを訴えたいのかもしれません。

シガニー・ウィーバーの出演は、ネタにされていた「ゴーストバスターズ」の縁でしょうか…。

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イーグル・アイ

いきなりワケの分らない犯罪に巻き込まれ、FBIに追われる男女が、謎を解き明かしていくお話です。
映画のテンポは良く、カーアクションも迫力があります。主人公たちの翻弄されぶりや巻き込んだ者の正体、その後の行動の興味で退屈しません。
ただ中盤のタネ明かしは、正体や目的がありがちで新しくないと思ってしまいました。でもこのネタはここ何年は出ていなかったかもしれないので、若い人には新鮮なのかもしれません。

監督は「ディスタービア」の人ですが、あちらの方が謎とか無い分、妙な期待をしなくて面白かったように思います。

この映画の後で監視カメラを見ると、コワくなります。こんなとこにまで？と思うところにもあるもんなあ…。

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デイ・オブ・ザ・デッド

ジョージ・A・ロメロの1980年代の作品、「死霊のえじき」のリメイク（これが原題）だそうです。しかしこの映画、元と似ている箇所は人間を襲わないゾンビが出てくるところくらいで、それと絡んで、ちと感動的に見えるシーンがあります。とはいえお話はほとんど別物と言っていいでしょう。
映画の舞台はアメリカの小さな田舎町で、オリジナル以上に小品な作りになっています。これは予算の関係かもしれません。ただ時間はB級ホラー並みに短いせいか、テンポはよく、退屈はしません。でもラストに、もう一押し欲しかった気はします。

この映画のゾンビはオリジナルと違い、走って襲ってきます。だからといってそうコワくもなく、瞬間的にドキリとする程度で、ホラー演出に見るところはありません。まあ、天井を這うゾンビは面白い動きでした。
走るゾンビは「28週後…」でもやっているし、そう新しくもないでしょう。今後のゾンビ映画は、このパターンがスタンダードになるのかもしれません。
新しくないといえば、「バイオハザード」にしろ「アイ・アム・レジェンド」にしろ、ゾンビになる原因がウィルスというネタにはいーかげん飽きました。

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インクレディブル・ハルク

アメコミ原作でTVドラマにもなった「インクレディブル・ハルク」＝「超人ハルク」の映画版といえば、何年か前に「ブロークバック・マウンテン」のアン・リー監督による「ハルク」がありましたが、早々と忘れ去るような出来でした。
今回はベースの設定は同じながらも、その「ハルク」とは全く関係ない、オリジナルの物語です。主演はエドワード・ノートンですが、演技派と言われる彼がこういうコミック原作の映画に出るということは意外で、ただのアクションにはならないのではないかと期待しましたが、それを裏切らない出来になりました。

今回、主人公であるブルース・バナー博士が自らの新薬の人体実験の失敗でハルクになってしまう過程は、オープニングタイトルのバックで断片的に描かれるのみで、ずいぶんと思い切った省略をしています。話をバナー博士と恋人・ベティに絞ったシンプルな構成にしたおかげで分りやすく、テンポのいい展開になっています。

今回の映画の特徴は、これまでの「ハルク」と違い、クライマックスでのハルクへの変身がポジティブに展開するところでしょう。おかげで見た後は爽やかな気分になります。
バナー君がドキドキしてしまうとヤバイ、ということで、シチュエーションによってはかわいそうだけど、ギャグになってしまう箇所なんかも、これまでの「ハルク」には無かったシーンでしょう。
ハルクが暴れるシーンは当然ながら、フルCGの描写になってしまうのでノートン君の演技が堪能できませんが、仕方ないところでしょう。でもハルクの表情は、ノートン君の演技をCGに取り込んでいるかもしれません。

ラストにはある人物が登場しますが、「アイアンマン」の本編か予告を見ていない人しか分らないでしょう。チーム組むのかな…？

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ドラゴン・キングダム

ジャッキー・チェンとジェット・リーが（意外にも）、初めて共演した作品です。ただこの作品、２人は主役ではなく、お助けの役です。
映画の主人公は、アメリカン人のカンフーオタクでいじめられっ子のジェイソンなる若者ということで、初めはありきたりな話かと思いました。しかしジェイソン君、主人公だけあってさしみのツマにはなりません。最後の方では立派に活躍して、応援してしまいます。
全体的に話の予想はついてしまいますが、その期待通りの展開で、爽快に楽しめる作品です。

映画の一番の見せ場は、やはり中盤のジャッキーとジェットの対決でしょう。ここは期待通りの迫力！です。またメイン以外でも見せる、２人の２役（書くとネタバレ…）にも注目です。
アクションシーンはやはりユエン・ウー・ピンが手がけただけあって、「グリーン・デスティニー」のような、ハリウッドのまがい物ではない、本物の香港映画の雰囲気があります。ウー・ピン氏はこの作品では、製作総指揮にもクレジットされていました。

この映画では、女性キャラにも注目です。特に主人公達を追い詰める白髪魔女は、文字通りの白髪に白目で見るからに不気味な、悪という感じ。でもなかなかの美人で、クールビューティーという言葉がふさわしいキャラです。

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ホ　ッ　ト　フ　ァ　ズ
俺たちスーパーポリスメン！

ロンドンの超マジメ警官・ニコラスは「あまりに優秀」すぎて田舎に左遷されてしまう。彼が赴任した小さな町は犯罪とは全く縁のない、のどかに見える土地であったが、そこで住民が次々に怪死する事件が起きる…。

話の基本はバディモノのポリスアクション＋コメディで、それにホラーや怪獣映画の要素が入った感じの映画です。テンポは快調で、初めのうちはコメディの色が強く、キャラたちの掛け合いなんかがなかなかに笑えるのですが、だんだんマジな内容になっていって、主人公を応援したくなります。クライマックスは文字通り「怒涛の展開！」で、穏やかな人たちの破壊アクションへのエスカレートには大笑いでした。

監督のエドガー・ライトは「ショーン・オブ・ザ・デッド」なる作品（未見）でゾンビ映画ファンから喝采を浴びたそうですが、今回は警察ネタということで、「バッドボーイズ」や「ハートブルー」なんかのオマージュ（パロディ）があったりする、映画ラブの姿勢に好感が持てます。しかもそういったシーンがキャラの行動の伏線になっていたりして、単なる映画ヲタクではない才能を見せてくれます。
この作品、日本では劇場公開がオクラになりそうだということで、ファンの人が署名を集めて劇場公開にこぎつけたそうです。映画を見るとその行動も納得で、何故配給会社がオクラにしようとしたのか、ということの方が理解に苦しみます。

ニコラスを演じるサイモン・ペッグは「ショーン・オブ・ザ・デッド」でもライト監督と組んで脚本を書き、出演したそうで、これからのイギリス映画の希望の星でしょう。
メインの役者は彼のように、あまり名前を聞かない人ばかりですが、脇役ではかってジェームズ・ボンドであったティモシー・ダルトンや「パイレーツ・オブ・カリビアン」のアゴで触手クネクネ男・ビル・ナイが顔を見せています。

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スターシップ・トゥルーパーズ３

細々とパート２が公開されて、まさかの３作目です。
今回は１作目よりチープな感じではあります。とはいえ随所に国威発揚のようなCMが挿入され、メカや設定はレトロなデザインであったりなど、雰囲気はパート１と同じものがあります。過激に右翼的な描写が笑えるのも、同様です。
お話に反戦とか出てくるのでテイストがパート１と変わるのかと思いましたが、やはり「やっつけろ！」の姿勢は変わらなくて安心しました。中盤はバトルシーンはあまりありませんが、陰謀や謎解きが絡んでいるおかげで、退屈しないで楽しめます。

日本では宣伝のウリになっている「パワードスーツ」マローダーですが、本編では「マローダー」と呼ばれているだけでパワードスーツという言葉は出てきません。思った通り、こいつは少ししか活躍しませんが、戦闘シーンでは圧倒的な強さを見せてくれて爽快です。搭乗者のスキャンのシーンはえらく古めかしい感じ（予算が無かったのかも）ですが、なかなかにセクシーで、男子には嬉しいシーンでしょう。

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スピード・レーサー

「スピード・レーサー」とはタツノコプロのアニメ「マッハGOGOGO！」のアメリカのタイトルで、それの実写映画化です。監督は「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟ですが、「マトリックス」とはまるで違う、ド派手な色使いが目立つ作品です。
ゆえに予告なんかで見るとこの映画、ビジュアルに走ってばかりのように見えてしまいますが、実はなかなかに燃える話で、エキサイトできました。家族を話の中心に持ってきているのが上手いところで、誰も死なないし、見た後の感じは爽快です。アニメ同様、子供にも安心して見せられる内容です。
話が盛り上がるいいところで、アニメの主題歌のメロディが流れるのも絶妙でした。エンドクレジットで、ちゃんと日本語の主題歌が流れるのもヨシです。監督はアニメのファンであったそうで、オリジナルをリスペクトしている姿勢には好感が持てます。
映画の中では「北斗の拳」みたいな妙なアニメが流れます。「マトリックス」シリーズの亜流で日本のアニメスタジオが協力した「アニマトリックス」なんてのもあったし、監督の趣味が思いっきり出ているように見える作品です。

映画には韓国の歌手＆俳優ピが出ていて、クレジットの名前が「RAIN」とされています。なかなか目立つ役柄ですが、「パイレーツ・オブ・カリビアン」３作目でのチョウ・ユンファと同じような位置に見えました。真田広之はチョイ役で、この人でなくてもいい役でしょう。

特撮にはILMとデジタルドメイン、２つの大御所がクレジットされていますが、こういったところで、技術に走って見えるのが映画があまりヒットしなかった理由かもしれません。

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ミラクル７号

「少林サッカー」のチャウ・シンチーが製作・監督したお話です。シンチースタイルの「E.T.」という感じでしょうか。
映画のウリ、ナナちゃんはなかなかにかわいいキャラだし、スーパーパワーらしきものがない（実はそうでもないのだが）という設定も、これまでの宇宙人ネタをひっくり返した感じで上手いところです。ただこのナナちゃん、予告のイメージに反して、出てくるのが結構遅いのはちと不満ではありました。
映画で見ていて一番楽しい箇所は「ドラえもん」やのパロディといった、中盤の夢想シーンで、予告でも多く使われています。映画のクライマックスの展開は容易に予想がついてしまいましたが、全体的にこじんまりとしたスケールと快調なテンポで退屈しません。

この作品の少し前に「少林少女」が公開されましたが、シンチーはそれの製作に関わっていたはずで、製作時期はこの「ミラクル７号」とカブっていたのではないかと想像します。しかしこの映画、「少林少女」に比べれば遥かに面白く、まあシンチー君、「少林少女」にはあまり身を入れなかったんだろうなあ、と想像します。ま、他人の映画だし。

主人公であるディッキー少年を演じている俳優は実は女のコだそうですが、男にしか見えませんでした。この演技力には、シンチーが惚れこむのも分かる気はします。でも映画には他にも、男が女のコをやってるキャラもいるし、シンチーってこういう倒錯が趣味なのかなあ?

結局、ナナちゃんて何だったんだろう…とは思わされました。もしパート２ができたら、正体が明かされるのか…？

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奇跡のシンフォニー

孤児院で育った少年が、自分の特別な「音感」を頼りに、本当の親を探しに行く話。予告編でもう予想がついてしまう通りの展開で、ラストは気持ちよく泣かせてくれます。

主人公を演じるフレディ・ハイモアは当然と言っていいくらい、今回も上手い演技を見せてくれます。ただ演技とは関係ありませんが、彼が出自を偽っているのに、あの有名なジュリアード音楽院に入れる、という展開は疑問になりました。
脇で活躍するロビン・ウィリアムスは今回は悪役的なキャラです。でも彼の最後のシーンは哀愁を感じさせてくれました。

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インディ・ジョーンズ
クリスタル・スカルの王国

第３作「最後の聖戦」から19年ぶりに作られた「インディ・ジョーンズ」シリーズの第４作です。
今回はこれまでと違い第２次大戦中ではなく、米ソの冷戦時代を舞台にしています。映画の前半には核実験や赤狩りなどが出てきて、時代のネタを上手く生かしています。
感動的でワクワクできたけど遺物自体に面白味が無かった２作目「魔宮の伝説」、親子の掛け合いに重きを置きすぎて遺跡発見に面白味が無かった（特撮もILMと信じられないほどひどかった）第３作「最後の聖戦」に比べると、今回は遺跡のトラップがチラホラ出てきたり、超自然ネタになっているのが、僕の大好きな第1作「レイダース／失われたアーク」と同じような雰囲気がして、面白かったところです。ただ逆に言えば、「レイダース」で見たなあと思うシーンが多いので、新しさは期待しない方がいいでしょう。

今回の唯一？新しいところは、インディの相棒に「トランスフォーマー」のシャイア・ラブーフが参加していることで今回もこの人、アクションをけっこうがんばっています。ただ後半、「レイダース」に出ていたカレン・アレンが復活すると、掛け合いの面白さが一挙に楽しくなりました。やはりノリの面で、シャイア君一人では辛いところがあるのかもしれません。

この作品の前年に公開された「ナショナル・トレジャー：リンカーン暗殺の秘宝」も黄金都市ネタで、今回の「インディ」を意識したのでは？と勘ぐりたくなります。でもわりと現実的だった「ナショナル－」に比べると、「インディ」は超自然的であるのが違いでしょう。
でも今回の「超自然」ネタは、匂わせるに留めていた「レイダース」と違って見せすぎの感じで、そこまでやるか？とは思いました。前にスピルバーグが関わった、某TVシリーズを思い出します。

これでシャイア・ラブーフが２代目インディ…と思ったら、あのイカしたスカし方。まだハリソン・フォード、終わらせないようです。

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靖　国
Y　A　S　U　K　U　N　I

中国人の監督が撮った、靖国神社にまつわるドキュメンタリーです。神社に納められる「靖国刀」を作る刀鍛冶を導入として、終戦60年の日に靖国神社に集まる様々な人々を見せ、ラストでは靖国神社にまつわる歴史をイメージ的な構成で見せていきます。
この作品は議員試写をやったことでマスコミで賛否両論になりました。中には映画を「反靖国」とレッテルを貼る雑誌もありましたが、僕が見る限り、映画はそういう態度は示していないと思います。
ただ、映画は靖国を否定はしていませんが、肯定もしておらず、どちらの立場なのかは明確にしていません。なので監督が何を言いたいのかは、はっきりしません。
一部のマスコミがこの映画を反靖国とした根拠の一つに、南京大虐殺での中国側の捏造と言われている写真を使っていることが上げられていましたが、その写真の真否はともかく、映画は南京大虐殺に関しても肯定する事例も否定する事例も見せています。また映画の大部分を占める戦後60年の終戦記念日のシーンでも、英霊に敬意を表す人や、靖国を参拝した小泉元首相（当時は首相）を支持するというアメリカ人、神に祭るのをやめてくれという戦死者の遺族など様々で、一概に肯定否定と言い切るのは難しいでしょう。
映画はそういう事例を見せて、「靖国とは何か」を考えるきっかけにしてほしいのではないかと思います。

映画で取り上げられている事例の説明には間違っている事柄もあるようで、完璧に正しいものかは分りませんが、興味を引かれる部分は多々あります。ただシーンによっては長い箇所もあって、所々眠くなります。
特に眠くなった箇所は、靖国刀（これが間違っているらしい）のくだりですが、なぜこれがメインのように扱われているのかよく分りませんでした。

映像は全てビデオ撮影のようでした。機動性や予算の面でこれは仕方ないところでしょうが、ラストシーンくらいはHDで撮ってほしかったと思います。粗い画質のおかげで、余韻が台無しになったように見えました。

この映画がマスコミで話題になったのは、中国人の人が撮ったからということもあると思います。でももしこれを日本人が監督していたら、かえってイデオロギーに縛られて、完成しなかったかもしれません。

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シューテム・アップ

ニューヨークを舞台に、かっこいい主人公がひたすら銃を撃ちまくるガンアクションです。まるで香港映画のオマージュのようで、この監督、ジョン・ウーの映画とか好きなんだろうなあ、と思わされます。
こういう映画では、敵の弾が主人公にめったに当たらないような、こんなことあるかい、と思うシーンが多々ありますが、そこはリアリティが無いなぞと言わず、お約束のかっこよさを楽しむべきでしょう。
またこのテの映画では人がバタバタと死んでいきますが、ここで命の重さがどうこうと言うのも野暮というものでしょう。ただこの映画、後半に1箇所虚しさを感じさせるようなシーンがあるのが、ちと変わっている部分です。

映画のテイストはB級ですが、主人公を演じるのは「キング・アーサー」のクライヴ・オーウェンだし、敵のボスは「レデイ・イン・ザ・ウォーター」のポール・ジアマッティ、そしてヒロインにはモニカ・ベルッチと、キャストはなかなかに豪華です。いづれも演技派のイメージがある俳優でありながら、こういう単純なお話に出るのは意外でしたが、みんな嬉々としてやっている感じで、特にポール・ジアマッティは今までの無難な人キャラを覆すのを楽しんでいるように見えました。この人、最近「幻影師アンゼンハイム」など、演技の幅が出てきたように思います。
モニカ・ベルッチの今回の役柄は娼婦、といういかにもな役ですが、主人公や赤ん坊を心配する時のフツーの表情が、何かいいなあ…と思ってしまいました（フェチか？）。

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幻影師アイゼンハイム

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19世紀のウィーン。驚愕のイリュージョンで人気を博している幻影師・アイゼンハイムはかって愛しながらも身分の違いで分かれさせられたソフィーと再会する。彼女は皇太子レオポルドの婚約者となっていたが、彼は女性に暴力を振るうと言われていて、その噂を裏付けるように、ある日ソフィーが怪死する。アイゼンハイムは「降霊術」でソフィーの霊を呼び出し、現れた彼女は「自分は皇太子に殺された」と語る…。

映画はソフィーの死の真相を捜査する、ウール警部の視点で語られます。容疑をかけられている皇太子の腹心の部下でありながら、次第にアイゼンハイムに同情していって板ばさみになる複雑なキャラを、「サイドウェイ」のポール・ジアマッティが上手く演じています。

映画には手品や心霊といった、19世紀の西洋で流行したであろう怪しい雰囲気が出ています。この時代を舞台にした映画で、こういうオカルト的要素を出した作品というのはあまり無かったと思うし、怪しいネタがサスペンスと上手く絡んで退屈しません。ラストは観客がこうなってほしいと思う形でしょう。爽やかに騙されてしまいました。

ヒロインであるソフィーを演じているのがジェシカ・ビールとは意外でした。「ステルス」の軍人だったとは思えない、清楚な感じがキュートじゃ！

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ラストの種明かしはウール警部の推測として語られますが、彼にそこまで分るのか疑問になりました。特に仮死状態のトリックなんてどうなんでしょう？家畜でも使った実験シーンでも、伏線として見せるべきだったと思います。

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ラ　ン　ボ　ー
最　後　の　戦　場

シルベスター・スタローンの当たり役「ランボー」の４作目です。しかし今回は、昨年「ロッキー・ザ・ファイナル」が当たったので、「ランボー」もやろうか、なんてノリで作られたように推測してしまいます。
というのもこの「ランボー」、何ゆえに戦うのか？をストイックに求めた「ロッキー・ザ・ファイナル」に比べると、そういったテーマ性が全く感じられなくて、ただ殺し合いだけが目立ち、感動も何も無い内容になっているからです。

シルベスター・スタローンは今回の「ランボー」で世界の人たちに「ミャンマーで何が行われているか知ってほしい」と語っていますが、映画ではただミャンマー兵士が住民を単純に、残酷に虐殺するだけで、そこに社会的な意図は感じられません。まるで絵に描いたような残虐さには逆に、本当にここまでやるか？と疑問になります。
虐殺＆戦闘シーンは、地雷の爆発で人が飛び散るところをモロに見せるなど、CGを足したことでかなり残酷な描写になっています。別にそこまでグロくする必要はないと思うのですけど。

今回のランボーは小さいながらも部隊を率いる（そういうことになってしまう）ことになり、この描写がシリーズ中唯一、新しいとこかもしれません。彼はミャンマー兵の部隊に捕らわれたアメリカ人のボランティア団体のメンバーを救いに行きますが、理想で世界は救えない、とでも言いたいのでしょうか。

サブタイトルは「最後の戦場」とついていますが、お話は全然最後という感じがしません。これは恐らく日本でつけたサブタイトルでしょう。この映画が大ヒットするかどうか疑問ですが、それなりの興収を上げればればまだ続けるように思います。

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ミ　ス　ト

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スティーブン・キングの小説をフランク・ダラボン監督が「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」に続いて映画化した作品です。しかしヒューマン的話の前２作品と比べて、今回は全然テイストが違う内容になっています。
この「ミスト」は霧が重要な舞台になります。まずこの霧の中から怪物が出てきて襲ってくるのですが、姿が見えないわけだから、どこから現れるのか分かりません。さらに、スーパーマーケットに閉じ込められた人々が「姿の見えない敵」に相対することで疑心暗鬼になり、人間関係が段々険悪になってきます。
ということでこの作品の主人公は怪物、そして人間と２重の敵を相手にすることになり、なかなかにドキドキハラハラできます。

しかしこの映画で一番凄かったのはラストでした。映画で「衝撃の結末」という言葉は珍しくありませんが、この作品はその言葉にぴったりのラストと言えるでしょう。暗い終わり方だなあ…、と思った後にあとワンシーンあり、そのあまりの皮肉さに愕然としました。ハリウッド映画で、ここまで暗く、かつ皮肉なラストは珍しいと思います。
僕は暗い終わりの映画というのは嫌いな方ですが、この「ミスト」に限っては好きとは言えないものの、かなりのインパクトがありました。

スーパーマーケットでの人間関係、そしてこのラスト。映画のテーマは人間の愚かさ、ということかもしれません。

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ラスト近くで主人公達が車で彷徨うシーンは黙示録的な、人類の終末を描いているようで、独特の雰囲気がありました。しかしアメリカ映画でも「自殺」を選ぶとは思わなかったし、まして子供まで犠牲にするとは意外でした。
ここで「暗い終わりだなあ」と思っていたら、最後の「一押し」。主人公の取った行動を「無」にするような、凄まじいラストです。

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紀元前 1 万年

紀元前1万年の世界を舞台に、強大な力を持つ部族にさらわれた女性を救出しに行く、「人類史上初のヒーロー」の冒険物語です。
クライマックスはピラミッドが舞台ですが、映画にはその時代の遥か前に絶滅したはずのマンモスやサーベルタイガーが出てくる、と設定はムチャクチャです。でもそういうことを気にしなければ退屈はしません。まあ製作者達は歴史的事実よりも、こんなイメージがあると面白いだろう、といったノリで作っているのでしょう。
ピラミッドに怪しい宗教、そしてそれに反抗する主人公たち、という設定は「アポカリプト」とかぶる感じもします。でもある程度歴史を重んじている感じだったあの映画に比べると、この「紀元前1万年」は軽さが目立ちます。特に最後は超都合いい展開で、強引なハッピーエンドには笑うしかありませんでした。

監督のローランド・エメリッヒは「インデペンデンス・デイ」や「ゴジラ」など、話の面白さよりもイメージを優先しがちな作品を作る印象があります。今回は特に「特撮だけ」と言われてしまうであろう映画の、好例になってしまっています。

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スパイダーウィックの謎

郊外の家に越してきた一家が、悪の妖精たちと戦うお話です。
人間の世界と妖精の世界、と世界観は壮大ですが、舞台を片田舎に限定してテンポ良く、１時間半程度の時間で、こじんまりと見やすい話になっています。
映画の製作会社は、子供向けのケーブル番組を配信しているニッケルオデオンで、初めはバラバラだった家族が、妖精との戦いで一つになっていく過程は、なるほど家族で見るのに相応しいファンタジームービーです。
主人公達が取る行動にはムダと思えるものもありますが、後で意味を持ってきて、ラストは爽やかに感動させてくれました。

主人公となる兄弟を「チャーリーとチョコレート工場」あたりから売れっ子になったフレディ・ハイモアが２役で演じているのですが、同じ人とは全然気づきませんでした。なかなかに凄いことですが、この兄弟の役を同じ役者が演じる意味があるのか、疑問ではあります。２人が同一画面に入るシーンでは合成をしたりとか、やたらと手間がかかるでしょうに。別に違う役者が兄弟役でもいいと思うのですが。

物語の発端となるキャラクターを「グッドナイト＆グッドラック」のデビッド・ストラトザーンが演じています。この人がこういう特撮ネタの映画に出るとは意外でしたが、学識がある感じが役に合っています。
ただ、この人が書いたたかだか本一冊に、世界を支配するような凄い力があるようには見えんかった…。

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王　妃　の　紋　章

「HERO」「LOVERS」のチャン・イーモウ監督作品です。
今回のお話の時代設定が唐代末期というということで、そういった時代モノのようなアクションを期待してしまいました。しかしこの映画では単独のアクションはあまりなく、群集で殺しあう流血シーンがやたらと目立ちます。
物語は王族内部での闘争のお話で、しかも不倫、近親相姦、子殺しなどドロドロの人間関係がメインだし、そういうファミリー抗争を繰り広げるキャラもほとんどが死んで、幸福になる奴は一人もいません。「LOVERS」もハッピーエンドではありませんが、あの映画以上に後味が悪く、見たことを公開しました。
チャン・イーモウが何を訴えたくてこんな暗い映画を作ったのか、よく理解できません。でも無数の人間が死んでいき、無数の人間がそれをなかったことにしていくのは、関係ないとは思うけど、チベットのことと関連付けたくもなりました。数多くの人間が死んでも関心を払わない歴史の国、ということでしょうか。

映画の一番の見どころは宮廷のセットでしょう。壁や柱が玉らしい質感で、ピンクや黄色といった極彩色の光がきれいです。女官が一斉に身支度をする光景など、王宮の日常といった風景も興味深いシーンです。
戦闘シーンも残酷ではありますが、勢力によって色分けがはっきりしていて、特に次男のジェイ・チョウの軍隊のシーンは黄金のヨロイで華麗です。

悲劇を引き起こす王女を演じたコン・リーは、チャン・イーモウの映画には久しぶりだと思います。役には合ってるけど、どこかトウがたった感じがしてしまい、チャン・ツィイーの方がよかったのではないかと思います。ただもしそれをやられても、パターンなキャスティングになりますが。
王の役のチョウ・ユンファは「グリーン・デスティニー」以来の時代劇と思いますが、この人でなくてもよかった役のように思います。しかし今回のユンファは、プロレスの武藤敬次に似ている…。

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クローバーフィールド
HAKAISHA

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後に「クローバーフィールド事件」と呼ばれることになる、正体不明の何者かがニューヨークを襲う中、逃げ惑う人が撮影したビデオの再生、という設定のお話。ほぼ全編がビデオの映像で、記録の再現という形で進みます。
映画の予告編は、ニューヨークを襲う何者かの正体が明らかにされなくてそそられる、上手い作りではありました。しかし本編でその正体が分かってしまうと、そう衝撃的なものではありません。映画は何年か前に公開された「ブレアウィッチ・プロジェクト」と感じが似てますが、あれのモ○○タ○版といったところでしょう。
冒頭、事件が起こるまで20分くらい時間が経ちますが、その部分はパターンな恋愛ドラマみたいで退屈でした。映画は全体で１時間半もない尺ですが、導入部分はともかく、それ以上長いと退屈するかもしれません。
ビデオに写るキャラたちは戦うこともなく、ひたすら逃げ回りますが、これはトム・クルーズの出ていた「宇宙戦争」と似たパターンです。あの映画のように、ニューヨークを襲う「何者か」がテロリストのモチーフという捉え方も出来るかもしれません。
このテの映画だと主人公は自衛隊員や軍人や科学者ということが多いですが、この映画では徹底して、巻き込まれる一般人からの視点というのは新鮮でした。

事件の時間は一晩に渡っていますが、その間にビデオのバッテリーが持つのか?という突っ込みもできます。でもそれを言ってしまうとおしまいなので、割り切りましょう。

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映画の元ネタはゴジラでしょう。「Tokyo Headline」に掲載されているマット・リーヴス監督のインタビューでは「日本でフィギュアになっているXXX」と言っているし。あれにエイリアンやレギオンを加えた感じです。クリーチャーデザインのクレジットは見逃したけど、アメリカ版「ゴジラ」のパトリック・タトポロスぽい匂いがする…。

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燃えよ!ピンポン

アメリカのオリンピック代表にまでなったのに無様に負けて没落したメタボ男が、非合法のピンポン大会の潜入捜査にスカウトされるお話です。
日本人がマワシを締めて卓球をやるといった、変な日本の風景はギャグネタでしょう。こういうそこそこ笑える、小ネタのギャグがチラホラとありますが、それらが大爆笑や、話の爽快さにはつながりません。テンポもいま一つで、この映画の少し前に公開された「俺たちフィギュアスケーター」の面白さ再び！の期待は裏切られました。

悪のボス役で出ているクリストファー・ウォーケンが、ヘンな着物で卓球をやるような、なかなかの怪演をみせてくれます。でもこんな映画に出なくてもなあ…。
彼よりも、短パンやミニスカで卓球を見せる「M:I-III」のマギーQのセクシーさが、一番の見ものかもしれません。
彼女の敵役でジェイソン・スコット・リーが出ているのですが、長髪のせいか、クレジットを見るまで気がつきませんでした。いつの間にかチョイ役株になったの？

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魔法にかけられて

アニメの世界で暮らすお姫様が、魔女のたくらみで別世界に落とされます。着いた先は現代のニューヨーク。実写の体になったお姫様は嘆き落ち込みますが、持ち前のポジティブシンキングで彼女だけでなく、周りの人々も変えていくお話です。
ディズニーがアニメパートと実写パートで描くドラマです。ギャグシーンを予告編でけっこう見せてしまっているのは残念ですがやはりこの映画、単純なアニメ世界と、複雑な現実世界とのギャップがなかなかに笑えて、一番のウリでしょう。
ディズニーアニメのパロディのような内容を、ディズニー自身が手がけるというのは面白い現象です。「本当だったらヤバいよな」みたいなスタッフの内輪話が、映画のアイデアかもしれません。毒リンゴや舞踏会など、ディズニーアニメでおなじみの設定がいろいろ出てくるので、「白雪姫」や「美女と野獣」などを見ているとより楽しめるはずです。
ヒロインがヒーロー格になるなど、映画はディズニーアニメのパターンを壊した感じではありますが、やはり最後は「幸せに暮らしましたとさ」という従来の形で終わり、伝統には沿っています。話は読めますが、期待通りの展開で気持ち良くさせてくれて、家族とでも恋人同士ででも（もちろん一人でも）楽しく見れます。

今回のアニメパートが３DCGではなくセルアニメというのは、ディズニーでは久しぶりな感じがしました。たぶんこの方がディズニーアニメの伝統に合っているからでしょう。ただアニメの表情に一瞬、微妙に下品に見えるカットがあったように見えたのが気になりました。

実写パートで魔女を演じるのはスーザン・サランドンですが、この人はアート系のイメージがあったので、こういう単純なエンターテイメントに出るとは意外でした。原語版のナレーションが「サウンド・オブ・ミュージック」のジュリー・アンドリュースというのは、ミュージカルを意識したようなキャスティングです。
魔女の密命を受けるナサニエル役のティモシー・スポールはアニメの顔がそっくりで、実写になったら彼が出てくるとすぐに分りました。「スウィーニー・トッド」でもそうだけど、この人はこういう、お間抜けな部下役が多い印象があります。

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バンテージ・ポイント

スペインの町でアメリカ大統領が狙撃される事件が起こります。これまでの映画やTVドラマでは時系列で、事件を始まりから描くのが大方の例ですが、この「バンテージ・ポイント」は事件を目撃、あるいは関係した何人かの異なる視点からそれぞれ見せていく構成になっています。
つまり、まず大統領狙撃までの事件が語られ、その次にある程度時間がさかのぼり、別の人の視点で同じ事件が描かれていく、という形です。
視点の人が変わるたびに、新しい事実が順々に出てくるのが興味深いのですが、同じ事件なので何人か経つとどうしても似たようなシーンが続いてしまい、途中ちと飽きてきます。でもそれを見計らったかのように、別のシチュエーションが出てきて、意外な事実が明かされてきます。
そういったことでこの映画、ストーリーそのものは目新しいものではありませんが、見せ方が新鮮で退屈しません。映画全体が90分くらいという時間もちょうどよく、快調なテンポで一気に見れます。

監督がこの作品を「「羅生門」へのリスペクト」と、インタビューで言っていたそうですが、その発言は納得です。ただこの「バンテージ・ポイント」は「羅生門」みたいに視点が違うと見てるもの違うという描写ではなく、真実は一つという形ですが、「羅生門」みたいな内容だと話の収拾がつかなくなるでしょう。またこの映画、過去にさかのぼって謎が分る「メメント」がヒントになっているようにも思えます。

映画にはTVドラマ「LOST」のマシュー・フォックスが出ているのが新鮮ですが、この人の重要なシーンをデニス・クエイドの回想の中で見せるのではなく、彼の視点で見せてほしかったのが残念な点でした。
「ラストキング・オブ・スコットランド」でアミン大統領を演じたフォレスト・ウィッテカーが重要な視点のキャラで出ていますが、やはりこの人はこの映画や「フェノミナン」のような、いい人役が似合います。

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ジ　ャ　ン　パ　ー

「Mr.&Mrs.スミス」のダグ・リーマン監督が描く、テレポーテーション（瞬間移動）の能力を持ってしまった男の物語です。
ジャンプするシーンのスピード感は予告での期待通りで、迫力があります。上出来のSFXの上に、ロンドンやローマや東京など世界各地を舞台にして金がかかってる感じだし、設定にも面白いところがあり、退屈はしません。

とはいえこの映画、いま一つ話に乗れませんでした。最大の不満は、何故ジャンパーたちが殺されればならないのか、理由が明らかにされないことです。チラシには地球環境に悪影響が出るらしいと書いてありますが、本編ではそんな言葉は出てきません。
ラストは一応決着がつく形にはなっていますが、続編狙いの感じがありありなので、もしパート２があるならそれで明らかにされるのかもしれません。

それに、主人公が完全にいい奴（まっとうな人）とも言えません。ヘイデン・クリステンセンはこういう裏のあるキャラクターは合っていますが、行動の軽率さには「こいつアホだろ」と突っ込みたくなります。もしかして、思うだけでいろんなところに行けたりするから、考えることをしなくなって思考能力落ちてんのかねえ…。
彼に協力することになるもう一人のジャンパーを、ジェイミー・ベルが演じています。でもあの「リトル・ダンサー」の名演技を封じられたような、何を考えてるのかよく分からない役に成り下がっているのは、もったいない限りです。
ジャンパーを敵視するグループ・パラディンのリーダーをサミュエル・Ｌ・ジャクソンが演じています。ヘイデン・クリステンセンと彼のコンビは、「スター・ウォーズ」の対決再びという面白さはありますが、先に書いたようにこの組織がジャンパーたちを殺そうとする目的が分りません。結局、こういうよく分らないキャラたちのオンパレードのおかげで、誰も応援する気になれません。

東京のシーンは渋谷や銀座や秋葉原を適度にミックスしていて、地理的な正確さを無視していますが、ドキュメンタリーじゃないのだから、別にいいのではないでしょうか。でもここで何か重大な事件が起こるわけでもなく、あえて東京を出す必要はないと思います。まあこれも映画人口が多いであろう、日本の観客へのサービスかもしれません。
あとここや他の場所でもジャンプの時、周りの人目を全く気にしないでやっているけど、いいのかなあ？

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エ　リ　ザ　ベ　ス
ゴールデン・エイジ

好評を博した歴史ドラマ「エリザベス」のパート２です。前作から何年か経っていますが、監督、そして主演のケイト・ブランシェットを始め大方のキャストは前作と同じ顔ぶれが揃っています。しかし前作のあらすじや人間関係の説明は無いので、前作を復習してから見た方がいいかもしれません。

映画の見どころは女王になったエリザベスが反対派につけ狙われたり、スペインとの抗争のあたりでしょう。エリザベスを巡る陰謀には面白い箇所がありました。しかし今回、メインのお話はエリザベスと、彼女が恋をする冒険家と、やはり彼に恋をしてしまうエリザベスの侍女との三角関係の過程です。しかしこのエピソード、エリザベスの気持ちについていけなくて、話が空回りしてる感じでした。彼女がわめくシーンばかり目立ちます。

エリザベスの衣装や髪型は前作同様に豪華というか奇抜で、やはり見ものです。彼女がヨロイを着るシーンも、さすがにサマになりっています。ただこのシーン、大軍団を前に、という感じではなくて、一部の兵にのみ語りかける感じだったのがスケールダウンしたように見えました。
この後に来るスペインとの艦隊戦はCGでしょうけど、そこそこの迫力は出ています。この海戦シーンはわりと短く終わりますが、メインのエピソードではないので、こんなものでしょうか。

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いのちの食べかた

豚や鳥といった肉類や野菜が、どのように加工されていくのかを淡々と見せる、ドイツ製のドキュメンタリーです。新聞などで話題にされました。
映画にはナレーションや説明は一切ありません。なので見てても何をやっているのか良く分らないシーンもあります。でもこれがかえって、これは何だ？と思わされて興味を引かれました。この映画の場合、説明が無い方がパワフルに思えます。
本編には音楽もありません。音は工場や車などの背景音だけですが、その中にはキーン！というような、耳障りに聞こえるものもあり、レベルなどの調整はあまりしていないようです。でもそれが、観客がその場にいるような臨場感を出しています。製作者たちが感じた驚きを観客にも味わってもらおうと意図して、あえてこういう不愉快な音なんかも残しているように思えます。

野菜だけでなく、家畜類の出産から加工までもコントロールされていて、全てがシステム化されている過程を知っている人はあまりいないのではないでしょうか。映画はその事実を非常に興味深く見せてくれます。ドラマで牛の出産のシーンが感動的に描かれることがありますが、この映画では生まれる感動などはなく、出産も単なる仕事として処理されているように見えるのにも驚かされました。と殺も淡々と行われます。
こういう、命というよりも生産物という扱いであるのには、いいのか？と思わなくもありません。でも無数にあるスーパーや商店に、切れることなく肉や野菜を供給するには、こういうやり方が一番効率がいいのかもしれません。そんなことを考えさせるのが、この映画の意図なのでしょう。「食育」にも絶好の教材です。
映画には工場のシーンが多いので非人間的に見えますが、時おり工場や農場の労働者のシーン、それも彼らが食事をしているシーンが挿入されるのはユーモラスだし、ホッとさせられます。そのおかげで映画がシステム化を非難している感じには見えません。いかに機械化が進んでも、作るのは人間ということなのでしょう。

原題は「Our Daily Bread」。訳せば「日々の糧」というところでしょうか。なるほどと思えるタイトルですが、日本版の「いのちの食べかた」もなかなかに秀逸なタイトルです。「ごちそうさまを誰に言いますか」というキャッチコピーも、上手く考えたと思います。

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スウィーニー・トッド
フリート街の悪魔の理髪師

19世紀のロンドンであったという、客を殺して肉をパイにしていたスウィーニー・トッドと呼ばれた人物の話はだいぶ前に、「ガンジー」のベン・キングスレー主演で映画になっています。後にその物語がミュージカルとなり、この「スウィーニー・トッド」はそのミュージカルを、主演ジョニー・デップ＆監督ティム・バートンという黄金コンビで映画化したものです。
お話はかなり陰鬱なものですが、退屈はしないし、暗い色調に統一した画の雰囲気が話に合っています。
しかし今回はこのコンビの前作「チャーリーとチョコレート工場」のような感動はまるで無く、彼らの神通力も叶いません。流血シーンばかり目立って、不愉快なだけでした。
主人公スウィーニー・トッドを演じるジョニー・デップは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」なんかと雰囲気が全く違う熱演を見せますが、いくら復讐のためとはいえ、あんな行動を取るキャラに同情も何もあったものではありません。彼以外のキャラクターもみんな自分勝手でその上残酷で、感情移入できるポイントがありません。こういう自分勝手な奴らが現代人と同じといいたいのでしょうか。
ラストには救いとなるような状況もあるのですが、話の終わりにそういうシーンはありません。エンドクレジットの後に救いのシーンを期待したけど、何も無いのにはがっかりでした。結局、イヤーな気分のままで映画は終わります。

人殺しのシーンは、舞台だったら直接的な残酷描写は難しいところだから工夫のしようがあるでしょう。しかし映画だとかえってリアルに出来てしまうせいか、ここまで残酷にやる必要があるのか? と疑問になるくらい、やたらと流血が目立つだけの描写になっています。ただグロいだけで、ブラックユーモアにもなっていません。僕の隣にいた女性の観客は、殺しのシーンのたびにうつむいてました。
こんなものが一月以上も上映されるとは、さすがバートンとジョニデのコンビとは言えます。おそらく、元になったミュージカルの方がもっとマシな出来なのでしょう。

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ヒトラーの贋札

ナチスは敵側の経済を混乱させることを狙い、ポンドやドルの贋札を作る作戦を立てたそうです。この映画はその作戦を、収容所でこれに従事させられた、偽札のプロだったユダヤ人の目から描いた物語です。
やむなくとはいえ、ナチスの中のユダヤ人の協力者、というのは映画ではあまり描かれなかったように思います。贋札作戦も歴史的事実としてあまり知られていないことで、大いに興味が持てる話ではあります。
しかし映画の語り口は淡々としていて、凄い盛り上がりはありません。何ヶ月もの経過が、数日のように見えるといった、時間経過の分かりにくさも気になりました。ただ1時間半程度とあまり長くない時間の映画のゆえか、何とか退屈しないで見られました。

全く暗いとはいわないけど、全体的に虚無的な雰囲気が漂うのはドイツというか、ヨーロッパの映画らしい感じがします。もしこの映画がハリウッドで作られていれば、もっと派手な話になっていたと思いますが、歴史を語るという意味では、こういう形でいいのかもしれません。

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ウォーター・ホース

第２次大戦時を背景にした、今時珍しい「ネッシー」ネタのお話。映画では「本当の話」と言っています。
主人公の少年に父親がいないということで、親のいないモンスターに自分の境遇を重ねるのは納得できます。ただこの少年を初め、他の人間キャラクターの描写にはあまり興味をそそられるところがないせいか、モンスターが出てこない、人間だけのシーンはあまり面白くありません。
戦争の悲惨をファンタジー（「本当」と言ってるけど）で乗り切るという内容は、少し前に公開された「パンズ・ラビリンス」を思わせます。両作品とも時代はほとんど同じでしょうが、「パンズ－」の方がキャラの描写も面白く、作りは上でしょう。ただあの映画のラストは賛否両論分かれそうな感じでしたが、この「ウォーター・ホース」のクライマックスは万人向けに感動的です。

少年が卵を孵化させるとか、大きくなったモンスターを湖に放して騒ぎになるなど、お話には「ドラえもん：のび太の恐竜」を連想させる箇所がいくらかありました。製作者は見ていたのかも。

映画の特撮は「ロード・オブザ・リング」のメタが担当していますが、モンスターに乗っている少年の動きがカクカクと見える箇所があったのは興ざめでした。同じ頃に公開された「テラシビアにかける橋」の特撮もこの会社ですが。こちらに力を入れてしまっていたのでしょうか。

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テラビシアにかける橋

現実の辛さをファンタジーの想像力で乗り越えていくお話、というところでしょうか。予告で泣けそうな感じがしましたがその通りで、クライマックスは気持ちよく泣けました。
ただ、空想世界テラシビアの出来事はメインキャラみんなが共有しますが、頭の中の空想のイメージを各人が違うことなく共有できるのか?とも思わないこともありません。でもそれを言ってしまうと話が成立しないでしょう。子供たちが見るファンタジーに素直に乗れるかどうかが、この映画を楽しむカギです。
上映時間は1時間半程度と長くはありませんが、人物描写は丁寧で、いじめっ子の立場が違っていくような、キャラの変化が気持ちいいです。

ヒロインを演じたアナソフィア・ロブは、「チャーリーとチョコレート工場」のイヤミなガム少女や、「リーピング」のイナゴ少女を演じていますが、今回はこれらの映画とイメージが全然違います。撮り方と演技でこれだけ変わるのかと、驚かされました。
主人公の少年の父親をロバート・パトリックが演じています。この人も「T2」の時とは違う、いいオヤジになりました。

特撮はメタが担当しています。「ロード・オブザ・リング」以来、ファンタジーといえばこの会社というイメージがついた感じです。ロケもニュージーランドだし。

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俺たちフィギュアスケーター

互いをライバル視するアメリカ人のフィギュアスケーターが、それゆえ起こしたケンカで永久出場停止処分になります。彼らが人生に再起をかけたのはルールで禁止されてはいない、お互いの男同士のペアでの出場でした。
フィギュアスケートの男のペア、なんて見たい人はあまりいないでしょう。スケートのワザもありえないし、キャラにしても、見るからにメタボな奴がセックスシンボルなんてありえず、こういうキテレツなギャグがカマしてくれます。またゲロのシーンとか下ネタなど、お下劣なギャグも多いし、政治的にヤバそうな（日本だったら絶対やりそうもない）ネタもチラホラあり、こういったギャグ攻勢がなかなかに笑わせてくれます。特に、人が被害にあうようなブラックユーモアのシーンは、死ぬシーンでも大爆笑してしまいました。
お話は調子よすぎで、ギャグと同様にありえない内容の続出ですが、主人公達を応援したくなる展開で、ラストは爽快でした。メチャクチャそうで意外にこの映画、アメリカンコメディの伝統にのっとった作品といえるかもしれません。

映画にはナンシー・ケリガンとか、過去にスケート界で聞いたことのあるような名前の人が何人か顔を見せています。本当に本人なんだろうか?
日本人のゲストは出ていませんが、主人公達の出る試合のペアのリストで、日本の出場者に「スグリ」という名前がありました。名前だけ取ったのでしょうけど、本当だったら凄いぞ…。

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や　わ　ら　か　い　手

難病の孫の治療費を稼ぐため、やむなくロンドンのフーゾク店で働くことになったオバちゃんのお話です。
世間知らずの田舎のオバちゃんが人々と関わっていくことで認められ、必要とされ、変わっていくという、お仕事の映画とも取れます。初めは嫌がっていた仕事も、時間が経つに連れ私物を持ち込んだりして慣れていく、オバちゃんの変化が面白く、笑えるところでもあり、働くことの意義なんてことも考えさせられます。
先輩の仕事を奪ってしまう苦しさや、フーゾクに対する偏見など、苦い部分も描かれますが、最後は爽やかに終わってくれます。
なのですが、音楽が全体的に暗いのがいかにもイギリス映画という感じでした。もしこの映画がハリウッドか日本で作られていたら、もっと明るく盛り上げるでしょう。ただ、この暗い感じは批評家は好みかもしれません。でも同じイギリス映画「フル・モンティ」はもっと明るかったように思うなあ…。

映画はフーゾクネタということで、男のモノが関わりますが、そのモノは手や物の影とかに隠されたりして、モロには映されません。原題「イリーナ・パーム」の意味はそれに関りますが、それは本編で分かります。
ちなみに109シネマズ川崎の予定表には「画面に見苦しいところがあります」と書いてありましたが、モロには出てこないので、どこのことを指しているのか不可解でした。

主演のマリアンヌ・フェイスフルは昔はセクシーな女優だったそうで、そう言われればどことなくそんな面影がありますが、ただのオバちゃんに見えてしまいました。だからリアルなんでしょうけど。

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迷子の警察音楽隊

エジプトからイスラエルに来た、警察所属の音楽隊。バスの手違いで目的地と違う片田舎に迷い込んでしまった彼らと、地元の人々との触れ合いを一晩を中心に描く話です。
ジャンル分けするならコメディというところでしょう。間が上手い箇所もあるけど、長いと思うところもあって、1時間半もない尺ながら、眠気を感じる箇所がありました。

映画では格別事件らしいことは起こらず、これといった盛り上がりも無い内容です。ただ、イスラエルとエジプトが対立している現実を思うと、日常の大切さとか、どこでもフツーの生活があるというような、いろいろな意味に取れる作品ではあります。まあそういう部分が東京国際映画祭で評価されて、グランプリを取ったのかもしれません。

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おいしい人生のつくりかた

アメリカの片田舎のダイナーで働くジェンナの、望まない妊娠＆不倫で悩むお話。キャラのやり取りが小気味よく笑える、ラブコメ的ドラマです。
特に「母は強し」と言いたくなるラストが爽快！でした。主人公の変節は少々唐突な感じもありますが、妙に納得はできます。

ポジティブに人生を切り開いていく主人公たち女性キャラに比べ、男はみんなヘタレに見えます。特にメインの男共はDV野郎に優柔不断と、ダメダメの奴ばかり。ただ彼ら以外のサブキャラ格の男たちは、イヤな奴ぽい描写が目立ちながらも、時おりキラリと光るイイ人描写で「オッ!」と見直してしまいます。いつも「いい人」よりも、ワルが時おり見せる優しさの方が女性を引き付けるというし、これがモテの法則なんでしょうか…？

主人公ジェンナはパイ作りの名人ということで、パイで自分の気持ちを表す描写がこの映画の特徴で面白いところです。これらのパイはなかなかに美味しそうで、腹が減ってる時に見るとヤバイでしょう。

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トロピック・サンダー 史 上 最 低 の 作 戦

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