G. I. ジ ョ ー

 

 

「G.I.ジョー」は、先頃パート2が公開された「トランスフォーマー」とほぼ同じ時期である80年代のアメリカで、その「トランスフォーマー」のおもちゃのシリーズを出していたハスブロが、フィギュアとおもちゃ、そしてテレビアニメ(作画は日本)で展開させて人気を博したシリーズです。日本でもこのテレビアニメが放映されましたが、1シーズンだけで終わってしまいあんまり人気がなかったようです。
「トランスフォーマー」がヒットしたおかげなのか今度はその「G.I.ジョー」を、「ハムナプトラ」シリーズで名を上げたスティーブン・ソマーズ監督で映画化です。
話は単純で先読みできますが、世界征服を狙う悪や秘密基地などが登場して、かつての007シリーズのような、超兵器バトルが楽しませてくれます。アニメ版と同様に、話の都合よさも含めて、荒唐無稽さを楽しむべきでしょう。

原題には「Rise of Cobra」というサブタイトルがついています。その文言の通りこの映画版では、アニメやおもちゃでは常にジョーチームの敵という設定の悪の軍団・コブラはまだ活動していません。今回は「つづく」的な終わりになっているから続編(たぶん作るんでしょう)で、いよいよコブラの総攻撃となるのでしょう。
その時にはデニス・クエイドや、顔見せだったブレンダン・フレイザー(「ハムナプトラ」の縁なんでしょうな)も、本格的に参戦してもらいたいものです。

ジョーチームや悪役のメンバーにニンジャがいるということからなのか、映画には「Tokyo」が出てきますが、これがいかにもハリウッドの思いそうな日本、て感じなのもアニメ版と同様です。
そこの出身というストームシャドウを演じるのは、あの韓流イケメン俳優のイ・ビョンホンで、いよいよ本格的にハリウッド進出!というところなのでしょう。お話ではなかなかに目立っていますが、クレジットでの彼の英語の名前が「イ・ビョンホン」でないのは何故でしょうか?「ラスト・ブラッド」に出ていたチョン・ジヒョンも英語の名前違っていたし。

 

 


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H A C H I
約 束 の 犬

 

 

日本の「ハチ公」の物語を、アメリカで映画化した作品です。何で今頃になってハリウッド?と疑問だったし、ハリウッドリメイク自体信用できないので、当初は興味がありませんでしたが、監督が「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」や「ギルバート・グレイプ」など爽やかな映画を作る名称ラッセ・ハルストレムということで、どういう内容になるか興味がわきました。
ハルストレム監督の「サイダーハウス・ルール」や「ショコラ」には、内容に皮肉さのようなものがありましたが、今回の「HACHI」はあまり奇をてらわない、スタンダードなお話になっています。なので展開は予想がつきましたが、泣かされましたシーンがチラホラありました。伏線はあからさまだけどちゃんと生かしていて、「ボール」のシーンなんかは、物語を知ってる人なら切なくなるでしょう。
戦前だったらハチの行動は「忠犬」だけど、それを現代に合わせて「愛情」あるいは「信頼」にちゃんと変えているのがいいところです。エンドクレジット前では、渋谷のハチの像に手を合わせたくなりました。今回のリメイクは、オリジナルの話のリスペクトが見て取れて、とても良心的な出来になっています。

主人公パーカーの家族は、絵に描いたように問題の無い家族で、あんまり面白味はありません。でもみんながみんなドラマのように浮気や暴力じゃないだろうから、意外にリアルかもしれません。また映画に余計なエピソードを入れないで、犬とパーカーの話にフォーカスさせる意図で、そう設定したのかもしれません。
そんな家族の奥さんを演じるジョーン・アレンは、「ジェイソン・ボーン」シリーズや「デス・レース」できついおばちゃんを演じていましたが、いい人役も合うというのが分かりました(さすが役者!)。

ハチの名付け親ともいえる、重要なキャラクターを演じるケイリー・ヒロユキ・タガワは、今回ヒゲを蓄えているせいか、オリジナル版の「先生」みたいなイメージがしました。ラスト近くで日本語を話すシーンでは、日本語でなくてもいいと思いましたが(発音がやけにちゃんとしてたが…)、ウルッときました。いい役者になったのう。

 

 


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ボ ル ト

 

 

一時期低迷していたディズニーアニメが、ピクサーよりジョン・ラセターをチーフに迎え、反攻開始といった作品でしょうか。
別れた者(動物)たちが元のパートナーと再会するために冒険する、という内容のCGアニメはピクサーの「ファインディング・ニモ」や他にもあったはずで、珍しくはありません。しかしこの「ボルト」は旅先での動物達との触れ合いが退屈させないし、クライマックスはどうなるか予想できるけど、その期待通りになって泣けました。「スーパードッグ」という設定を上手く生かした伏線がさすがです。
映画はテレビのスター犬であるボルトが偽りの世界を抜け出し、本当の自分に目覚めていくといった内容ですが、自分が日頃いる場所から離れることで新たな発見をするという形は、ラセター氏がピクサーで監督した「カーズ」に似ている感じもします。テーマも「カーズ」と共通しているように思えました。

ボルトの設定はジム・キャリーが主演した「トゥルーマン・ショー」を思わせてユニークではありますが、テレビの収録がすべて生の一発撮りというのは、あまりにもリアリティーに欠けるように思いました。今なら子どもでも、テレビドラマはリアルタイムで撮っているものじゃない、ということを知っているのではないでしょうか。

ボルトの声を演じているのはジョン・トラボルタですが、クレジットを見なければ気がつかないほどの上手さにびっくりです。その逆に、音楽は妙にうるさく聞こえました。アメリカアニメではこういう、オーケストラを使いながらも、やたらにうるさい作品が多いように思います(そのくせメロディーが耳に残らない)。

ピクサーのCGアニメの時と同様、「ボルト」では本編の前に短編が上映されます。モノは「カーズ」のスピンオフですが、主人公となっているメーターがなぜかTokyoに来てしまい、ドリフトのレースをやるという話は、どうも「ワイルドスピード*3:TOKYOドリフト」のパロディ(見てないけど)のように思います。日本側のキャラ(もちろんクルマ)の英語の発音が日本語ぽく聞こえるのがちょっとリアルでした。

 

 


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ノ ウ イ ン グ

 

 

まだ見ていない人

ニコラス・ケイジ扮する科学者ジョンが、事故を予言する「数字」の謎を解こうと奔走するお話。その果てには…。

予告は飛行機墜落や地下鉄脱線など、ディザスターシーンのオンパレードになっていますが、おかげでこれを見てしまうと、どんな事故が起こるのか想像がついてしまいました。これらの事故のシーンは、人が燃えていたり電車に押し潰されたりとか、なかなかリアルでエグい描写です。残酷なシーンが苦手な人は気持ち悪くなるかもしれません。

お話自体はジョン君が追う「謎」の行方で退屈はしませんが、途中で最後がどうなるのか、読めてしまいました。でもこの終わり方はなあ…。一応希望はあるけど。

 

 

すでに見た人

見守るような存在が出てきた時点で、ラストが読めました。彼らの正体は天使をモチーフにしているのでしょうが、宇宙船のデザインも21世紀版「未知との遭遇」という感じで、このへんはなかなかきれいなCGを見せています。
しかしそういう存在が出ることで、この映画のテーマは、進化論に反対する学説「インテリジェント・デザイン」だと見ます。啓蒙かもしれませんが、思い切り引きました。ラストはエデンの園なんだろうなあ。

 

 


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レ ス ラ ー

 

 

20年前には人気絶頂だったプロレスラー、ランディ=ラム・ザ・チョップ。年老いた今でも現役生活を続けていた彼が選手生命の危機にさらされ、生き方を変えようとしますが…。

年老いた格闘家を描いた映画といえば、近年では「ロッキー・ザ・ファイナル」(あちらはボクシング、という違いがありますが)がありました。そのロッキーは家庭をそこそこ大事にしていたおかげで、家族や友人の支えがありました。それに対してこの作品の主人公ランディは肉親とも絶縁状態で、生活を変えようとしても上手く行きません。
この作品の少し前に公開された「グラン・トリノ」は「変化」を訴えていましたが。ランディのように、変わろうと努力したつもりでも変われない人もいるのでしょう。ライフスタイルが自堕落と見えるとこもあって自業自得、と彼には同情できない部分もいろいろあるのですが、もはやフツーのカタギの生き方ができないのは、可哀そうではあります。
そんな不器用な彼が最後に見せる「意地」には熱くなりました。主人公の行方を想像させ、余韻を感じさせるラストです。ここは泣くまでは至りませんでしたが、製作者たちの方も、ヘタに涙なんか流させねえぞ、て意図したのではないかという感じもしました。
爽やかになるような内容ではありませんが、主人公の生き方が鮮烈に残る作品です。

主演のミッキー・ロークは、映画ではブヨブヨの肌など老醜をさらして、かつてはイケメン俳優だったとはとても信じられません。昔は大人気だったものの、「猫パンチ」などで人気が下降して行ったミッキーの過去(人気絶頂だったのも、主人公と同じくらいの頃)と、この映画の主人公ランディの人生がオーバーラップしてしまうこともあり、まさに彼にしかできない役でしょう。ミッキー・ロークてこんなにいい役者だったっけ? と目を疑いました。ベネチア国際映画祭で主演男優賞を受賞したのも当然と思えます。

映画は「レスラー」のタイトル通り主人公だけでなく、彼以外でも過去の人気でしか生きられないレスラーの悲哀も描いています。また対戦相手同士で試合前に技のタイミングを決めるなど、プロレスはやはり「ショー」だというような、内幕も分かります。でも飛ばされたり刺されたり、やはり命がけで大変な職業です。だから対戦相手でも誉めあうような、仲間意識が強いのかもしれません。

 

 


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ラスト・ブラッド

 

 

プロダクションIGによるアニメ「BLOOD:THE LAST VAMPIRE」を「グリーン・デスティニー」の製作者ビル・コン製作で実写化した作品です。70年代の日本で、セーラー服の少女がヴァンパイアを狩る、という基本設定はアニメと同じです。
アニメ版は48分という短編のような尺でしたが、この実写版は1時間半という長さのせいか、主人公・サヤの設定などアニメより膨らませている部分がいろいろあります。しかし、サヤの過去や正体?なんてどこかで聞いたような話ばかりでパターン過ぎるし、組織の内部抗争なんてのも余計な話です。
元のアニメくらいのワクであれば、アクションだけで押していく作りも可能でしょうが、この実写版の尺くらいになれば、話を膨らませざるを得ないのは当然です。しかしその部分がどれもあまりに薄っぺらく、おかげで肝心の、キャラクターの気持ちがまるで伝わってきません。そういう部分をちゃんと作りこんでいれば、設定がパターンでも気にならなかったと思います。
また、映画のウリであろうアクションに関しても、迫力もスピード感も元になったアニメより、はるかに落ちます。主人公を演じるチョン・ジヒョンはワイヤーワークなどのアクションはがんばっていますが(でもセーラー服は若干ムリがあるような…)。
小雪が悪役というのはあんまり聞かない、面白いキャスティングですが、あっけなく退場してしまうのは残念です。

映画の舞台は一応日本のようですが、場所も時代も妙に無国籍な感じです。アニメだと面白い雰囲気になるのに、実写にしてしまうと日本に見えないのが気になりました。

 

 


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グラン・トリノ

 

 

主人公ウォルトを演じるのはクリント・イーストウッド。ライフスタイルを変えないこのガンコ爺さんの姿は、ダーティーハリーがトシを取ったらこんなキャラになるかも、と思わされます。
しかしこの作品のメインは、そんな彼がひょんなことから関わることになった、隣りに越してきたアジア人一家との交流を通して、変わっていく姿でしょう。オバマ大統領が選挙戦で「チェンジ」という言葉を強調していましたが、その言葉通りの映画と言っていいのではないでしょうか。
ウォルトの青春だった冷戦時代は敵味方が見分けやすかった時代だったかもしれません。しかし今や世界は変わり、単純ではなくなっています。この映画はクリント・イーストウッドが、変化を受け入れ、自分たちも変わっていく必要があるんだ、というメッセージを送っているように見えました。
もしこの作品が若い監督に作られていたなら、若い奴が何言ってやがる、と受け取られるかもしれません。もう80才近い年になるイーストウッドが手がけたからこそ、力強い説得力を持つのでしょう。その年齢が信じられない、現代にふさわしい物語です。
映画の最後にはほの辛いのもがありますが、爽やかに見終われます。エンドクレジットの歌はなんだか、クリント・イーストウッド自身が歌っているみたいに聞こえたのがまた、いい余韻でした。

ただ、アジア人の描き方はちょっと過激のように思いました。いくらなんでもあそこまでおせっかいではないと思うのだけど…。

 

 


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キ ン グ コ ー ン

 

 

「アメリカ人の体はコーンで作られている」という話を実証すべく、アイオワでコーンを育ててみたアメリカ人2人が、自分達が育てたコーンがどう使われるのかを調べていくドキュメンタリーです。
展開が全体的にもたつくテンポで、しばしば退屈感を味わいました。特に冒頭は、野郎二人がコーンを育てるのを追うだけで何の面白味もなく、眠くなりました。
でも中盤からの、コーンの意外な使われ方が分かってくるあたりから、知らなかった事実がポロポロ出てきて多少は面白くなります。特にコーンシロップの話は驚き!でした(コーラとか嫌いでよかった、と思う)。
ただ事象は興味深いものの、食い足りないのは残念です。メインの行動はコーンの育てるのだから仕方ないのかもしれないけど。追求とかしたらマイケル・ムーアの2番煎じにもなりそうだし。

 

 


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スラムドッグ$ミリオネア

 

 

アカデミー最優秀作品賞など、8部門に輝いた作品です。
この作品の評価でよく「疾走感」という言葉が使われます。「疾走感」と聞いて思い出すのはこの監督ダニー・ボイルの出世作「トレインスポッティング」です。ただこの「スラムドッグ$ミリオネア」は確かに「トレインスポッティング」なみのハイペースの展開ですが、舞台がインドという全く違う国だし、社会問題も絡めていることで、「トレインスポッティング」とは違う、いい意味での「重量感」を受けました。
お話ではクイズを使って人生を語らせるアイデア、そして構成の巧妙さには唸らされました。こうなってほしい!と思う通りの展開で2時間があっという間に過ぎて、爽やかに見終われます。そしてラスト=エンドクレジットはまさにインド映画のノリで、最後の最後まで楽しませてくれます。アカデミー賞も当然でしょう。

映画での「ミリオネア」は回答に電話やオーディエンスを使っていたし、「ファイナルアンサー」の言葉があったりして、もしこの映画の「ミリオネア」がオリジナルの形ならば、みのもんたが司会をやっていた日本版は、オリジナルにかなり忠実に作っていたということになるのでしょう。

 

 


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ト ワ イ ラ イ ト
初 恋

 

 

アメリカでベストセラーになったという、人間と吸血鬼のラブストーリー。でも本編では彼氏が吸血鬼であるということは前半では秘密にされているので、分かってしまっても驚きがありません。宣伝なんぞ見ないで行った方がもっと楽しめることでしょう。
ヴァンパイアネタのお話ではありますが、ホラーの味付けはわずかで、物語の大部分はラブストーリーです。とはいえ主人公たちの心情が全然迫ってこなくて、彼らが危機に陥っても、あんまり応援する気になれませんでした。ラブよりホラーのシーンが多かったコッポラの「ドラキュラ」の方が、まだキャラが立っていたように思います。お話はまだ「続く」という感じがありますが、もういいでしょう。

主人公ベラの彼氏・エドワードを演じるロバート・パティンソンは「ハリー・ポッター:炎のゴブレット」でハリーの恋のライバル&復活したヴォルデモートの初の犠牲者として印象を残してくれましたが、今回はあれとは全く違うイメージで、言われなければ分からないくらいの変わりようには驚かされました。仲間の吸血鬼たちもそれらしい雰囲気があります。ただ彼らの中にはどうも、平愛梨や窪塚洋介など、日本人の役者を連想したくなるキャラがいるのが妙でした。
この作品では吸血鬼たちがある「スポーツ」を見せてくれますが、昼時にスポーツに興じる吸血鬼というのは珍しいと思います。「ハリー・ポッター」のクディッチを意識したようにも見えて、いかにもアメリカ的な感じがします。

 

 


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ワルキューレ

 

 

ナチスが全権を握っている時代。彼らに反感を持つ人々がヒトラーの暗殺を企む物語です。
歴史の結果は分かっているけど、作戦の決行への過程は興味を引かれました。人が増えるとしがらみが増えてやりにくくなるのは暗殺計画に限ったことじゃないし、弱気や強気、あるいは思い込みが身を滅ぼすといった、教訓が見て取れる作品です。
ただキャラの描写は薄く、主人公に至っても、ヒトラーを殺す決心をするほどの切実な思いは見て取れません。

ドイツ語では「ワルキューレ」が、英語だと「バルキリー」という発音になるようです。「マクロス」…。

 

 


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D R A G O N B A L L
E V O L U T I O N

 

 

前々からハリウッドで「映画化」という噂のあった話がついに実現です。しかしキャスティングの発表段階から、原作やアニメを知る大方の人たちが「どうなのこれ?」と思ったことでしょう。映画はまさにその危惧が当たりました。おそらく、この映画が「ドラゴンボール」だと思っているのは、スタッフだけでしょう。
この作品は「ドラゴンボール」というより、「ドラゴンボール」チックな青春アクション映画という方が正解でしょう。映画は2時間以内にコンパクトにまとまって、適度にアクションを散りばめて退屈しないような展開にしているので、原作を意識しなければそこそこ楽しめます。
とはいえ、話はえらくイージー。主人公ご一行の旅はまるでピクニックで、地球の危機というのに緊迫感がまるでありません。お話の舞台がどことは断言していませんが、今の地球らしいところも違和感がありました。原作者の鳥山明が宣伝のコメントで「別次元のドラゴンボール」と書いていたのは、「大人の事情」が見えるようでした。
ただ、お話はストレートに流れます。コメディかシリアスか不明な「ヤッターマン」とは違い、ブレがなく見やすくなっています。その点だけは、ハリウッド映画のいい部分でしょう。

キャラクターは、悟空やブルマはヘアスタイルで原作とそこそこ似せようとしているようですが、ヤムチャはえらく違和感がありました。亀仙人も、演じるのがチョウ・ユンファという時点で原作のイメージはなしでしょう。あのスケベ具合がほとんど見られないのは、今の時代ではセクハラと言われかねないゆえかもしれません。
ピッコロ大魔王の配下・マイは映画オリジナルのキャラでしょうか。おかっぱのイメージは、アメリカで出版された日本コミックで初期に出て人気を博した池上遼一の「舞」の主人公から取ったように思いました。彼女を演じた田村英理子は、マスコミでハリウッド進出と騒がれたようですが、こんなクオリティの映画じゃどうよ?と思います。ただもう一人の日本人出演者、関めぐみの出演は意外で、なかなかおいしいところを持っていっています。

日本のメディアが原作のハリウッド映画では、古い例ですが「スーパーマリオ」や「ストリートファイター」など、あまりいいものが思い当たりません。もしかしたら日本が絡んだ原作モノは良くない、というイメージを植えつけようというハリウッドの陰謀でもあるのでしょうか。
それは勘ぐりすぎでも、今回の「ドラゴンボール」は映画化したい!という想いではなく、「映画化権が取れた」という理由で、原作に愛情を持たないスタッフが集まって、やっつけ仕事で映画にしてしまった、不幸な例なのかもしれません。

 

 


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7 つ の 贈 り 物

 

 

予告や宣伝では物語の内容に触れない謎の形で通していた、ウィル・スミス主演作です。
映画は、ウィル君の行動の謎に興味を引かれて退屈はしません。でも途中で、ウィル君がラストで何をするのか想像がついてしまいました。その行動の理由はなんとなく想像できますが、それでいいのか?という疑問も少々抱きます。このパターンは、ウィル君がこの作品の前に主演した「アイ・アム・レジェンド」とかぶる感じがします。
しかし映画では、ウィル君がなぜ彼らを「選んだ」のか?という疑問に関しては説明がありません。関係者でもなさそうだし、不可解です。

この映画、ケータイの危険な使い方防止のCMに使えるかも。車の免許更新の時に見せるといいかもしれません。

 

 


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チ ェ ン ジ リ ン グ

 

 

ロスアンゼルスで息子ウォルターと暮らすシングルマザーのクリスティン。ある日、彼女が仕事から帰宅すると息子の姿が消えていた。必死に息子を探す彼女に数ヵ月後、朗報がもたらされるが…。
お話は20世紀の初めに実際に起こった出来事だそうで、映画の冒頭に「A True Story」と字幕が出ます。
しかしその内容は愛の強さ、組織の恐ろしさ、狂気とも見える信念、子供の純真さとズルさ…と、いろんな見方ができます。あまりにもドラマティックすぎる内容で、とても真実とは思えませんでした。2時間以上もの長さを感じません。

監督はクリント・イーストウッド。「ミリオンダラー・ベイビー」や「硫黄島からの手紙」といった骨太な作品を作ってきたこのオッサンらしく、パワフルな物語です。
主人公を演じるアンジェリーナ・ジョリーは、こういうシリアスな作品にも積極的に出ていますが、今回は強さはもちろんのこと、それを超えた狂気めいたものや、気弱さといった感情を見事に表現していて、これの前に公開された彼女の「ウォンテッド」とはまた違った魅力を見せつけてくれます。

 

 


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ベンジャミン・バトン
数 奇 な 人 生

 

 

「セブン」や「パニック・ルーム」などを手がけたデビット・フィンチャーの監督作。老人の姿として生まれ、年を取るにつれて若返っていく男・ベンジャミンの一生を語るお話です。
デビット・フィンチャーの映画は「セブン」や「ゲーム」や「ファイト・クラブ」といった、暴力やアクションが絡んだ、とんがった作品という印象が強いのですが、今回はそれらとは全くテイストが違う、どちらかというと穏やかな話です。劇的な盛り上がりはありませんが、ベンジャミンと交わる人たちのエピソードが「人生いろいろ」という感じで興味深く、3時間程度もの長さがありながら、退屈しません。
ただこの作品、劇的な内容でなかったゆえに、アカデミー賞にノミネートされていたのに取れなかったのかもしれません。

映画には「若返り」というファンタジーの要素がありますが、お話はファンタジーという感じを全く受けませんでした。むしろかなり現実感があって、人生を描いた大作という印象です。特に、悪い人がいないのがリアルです。
ラストは泣くまではいかなかったけど、感動的ないい雰囲気で、デヴィット・フィンチャーも何か丸くなったなあ、という感じを受けました。ティム・バートンが「ビッグ・フィッシュ」を作ったときを連想します。

ブラッド・ピットが若返っていく過程で、最後の方の10代らしい外見は、ホントにそれっぽく見えて驚きました。おそらく合成でしょうけど、アラが全然分かりません。それに対してケイト・ブランシェットの方は、いかにも若作りという感じがしてしまいました。女子を若返らすのは難しいのか…?

 

 


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悲 夢

 

 

まだ見ていない人

監督キム・ギドク&主演オダギリジョーのコンビで、夢を見る男と、その男の夢の通りに行動してしまう女性の話です。
今回も現実と幻想が入り混じる、やはりギドクのパターンな作りですが、話が進むにつれてキャラが入り混じり、人間関係が混沌としてきます。そういったイメージは面白いけど、かなり混乱させられて「悪い男」や「うつせみ」以上にファンタジー寄りというか、ケムに巻かれるエンディングになっています。また「春夏秋冬そして春」のように、仏教が何らかのモチーフになっているような感じがします。

なにゆえわざわざ、日本人であるオダギリジョーをキャスティングしたのか、初めのうちは分かりませんでしたが、ギョロ目で狂気の演技は似合っていました。
しかしオダギリジョーは日本語で話しているのに、彼以外の人たちは韓国語という会話は、かなり違和感があります。韓国では、オダギリのセリフは韓国語に吹きかえられたのではないかと想像します。

映画は川崎で見ましたが、ほぼ満席でした。大多数はオダジョーのファンだと想像しますが、彼女達には内容が分かるのだろうか…?

 

 

すでに見た人

お話は「胡蝶の夢」をモチーフにしているのかもしれません。
ラストはハッピーエンドなのか?解釈によりけりでしょう。身体はこの世で滅んで、ファンタジーの世界で救われる…「パンズ・ラビリンス」のようなものかと見えました。

 

 


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0 0 7
慰 め の 報 酬

 

 

007シリーズではたぶん初めてであろう、続き物のお話で、「カジノ・ロワイヤル」の続編という作品です。
その前作の説明は全くありませんが、知らなくても大方は楽しめます。映画はいきなりカーチェイスで始まりますが、こういう感じでアクションがつるべ打ちに展開し、テンポがよくて退屈しません。
アクションシーンは予告で紹介している以上に多く、前作のウリだった肉体を生かしたアクションというコンセプトは継続されているようで、迫力があります。ただ屋根伝いのアクションは「ジェイソン・ボーン」シリーズを思い出してしまいました。
クライマックスが大破壊!というのはシリーズのお約束でしょう。南米やヨーロッパなど、ボンドが各国を巡る伝統も継承されています。
でもボンドガールが添え物ではなく、彼の相棒みたいな位置になるのは世の流れなのでしょう。もちろんそれでいいと思いますが。

しかしこの映画、肝心の主人公ジェームズ・ボンドの感情は伝わってきません。今回の敵に対する結果は明白ですが、それが目的であろう復讐とどう関わっているのかがよく分りませんでした。ボンドよりも、うまく立ち回るMの方がかえって目立ってるように思えました。

今回面白かった部分はボンドよりも、彼の周囲の設定でした。「善」だけでは動けない状況が、混沌とした世界を語っているようで興味深いところです。もはやどこかに悪の組織がいる、という時代ではなく、たぶん「敵」を倒しても他が出てくることでしょう。今は007シリーズには、敵が作りにくい時代のようです。今回のボンドの敵はむしろ、彼の所属するMI6そのものという感じもしますが、これはTVドラマ「24」の影響のような感じもします。

 

 


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ヘ ル ボ ー イ
ゴールデン・アーミー

 

 

ギレルモ・デル・トロ監督による「ヘルボーイ」の2作目。原題は「ヘルボーイ2:ゴールデン・アーミー」ですが、日本のタイトルには「2」の表記はありません。評判の良かった「パンズ・ラビリンス」の監督の作品ということで、改めて売り込もうという意図なのかと想像します。
今回は「パンズ・ラビリンス」のような社会派のシーンは無くて、前作同様思い切りエンターテイメントに徹しています。ヘルボーイを初め、次々と登場する怪物や異人、メカ、異種族の社会なんかはまさにデル・トロの脳内イメージ大爆発!といったところです。ファンタジー好きの人には堪らないでしょう。
今回の敵は自然に関連のある種族ということで、環境問題のテーマも入っている感じで、滅びゆく種族の切なさも感じられます。
そういう関連からか、敵のモンスターには「もののけ姫」を連想しました。歯車もマストアイテムといった感じで、監督がファンであるという、宮崎アニメのテイストの匂いがします。

今回はヘルボーイの頼れる相棒・エイブが恋!という、その外見からは信じられないエピソードが展開しますが、初めの方は微笑ましい感じでした。その相手になるヌアラ王女はグィネス・パルトロウをかわいくした感じで、白塗りメイクにも関わらずなかなの美女ぶりです(目当てにパンフ買ったぜ)。
映画ではこのエイブの恋の話が目立ってるし、新登場のクラウスなどキャラがみんな強烈なおかげで、さすがのヘルボーイも1作目より影が薄くなってしまった感じはしました。まあそれでも、ラブソングを熱唱するシーンなんて、いかにもヘルボーイらしいシーンで、キャラクターは出ています。
中盤の、ヘルボーイが人間から罵倒されるシーンは、前作にもあったような気がしますが、とってつけた感じがしてしまいました。3部作予定らしいので、次回の伏線なのかもしれませんけど。

 

 


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その男ヴァン・ダム

 

 

一世を風靡した…という言い方はまだ早いかもしれませんが、このところ名前を聞かなくなったアクションスター:ジャン・クロード・ヴァン・ダムが強盗!!今のこの人の境遇を嘆くような「自虐ムービー」という感じの映画です。
映画で一番面白い箇所は、後半でいきなり始まるヴァン・ダムの「独白」でした。虚とホントが入り交じっているようで、本当なのか演技なのかケムに巻かれます。誰に言っているのか不明だし。
映画のペースはゆっくり目で、前半は眠気を感じました。あのヴァン・ダムが…と思うと楽しめる映画ですが、彼を知らない人であれば退屈するかもしれません。

冒頭のヴァン・ダムのアクションは動きにキレが無く、いかにも年を取った感じに見えるのが哀愁を誘います。このシーンの監督が中国人という設定がまた、今っぽい感じでした。

 

 


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ミ ラ ー ズ

 

 

廃墟になったデパートの中にある鏡の呪いと戦う、元警察官のお話です。
鏡をネタにしたホラーは新しくありませんが、その呪いが主人公だけでなく、鏡とは関係ない彼の家族にもふりかかってくる設定は初めてでしょう。これは「呪怨」のような、呪いの連鎖ネタと言えると思いますが、狙われている対象が主人公の家族に限定されていてるせいか、危機を盛り上げるためだけの設定のように見え、大して怖くありません。
怖くないといえば、肝心のホラーシーンもグロいばかりで、しかも大きい音で瞬間的に驚かせるパターンが目立ち、工夫が見られません。「呪怨」のレベルになんぞには、とても達していません。
またパターンといえば、主人公に過去のトラウマがあるおかげで、周囲に言ってることを信じてもらえないなど、設定にもありがちな部分が見られます。それに、主人公を演じているのがキーファー・サザーランドということで、この人が銃を振り回すのは「24」のジャック・バウアーとかぶる感じがします。

しかしこの映画、これで終わりかと思ったら新しい謎が出てきたりと、謎解きの部分がひねってあって退屈しません。クライマックスはある意味「モンスター」まで出てくるし、最後の「ひねり」も今までのハリウッドホラーにないパターンで、後半はかなり楽しめました。

 

 


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永遠のこどもたち

 

 

「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロがプロデュース(まずこの人のクレジット)した、心霊ホラー作品です。元孤児院の建物で、母親が行方不明になった息子を探すうちに、そこで起こった悲劇に絡む「存在」に気づいていくお話です。
ハリウッドではない、スペイン製の映画ゆえか、デル・トロの「デビルズ・バックボーン」のように、ホラーシーンが大げさに驚かせるものでなく、抑制が利いてるのがいい雰囲気です。ただわずかながら、グロい状態の死体をモロに見せるシーンは引きました。
主人公の息子の行方と、過去に孤児院で起こったことの謎解きの興味に引かれて退屈はしません。ただ結果的に、過去の惨劇と子供の不明がリンクしていると言い難い感じがしたのは、少し気になりました。

映画には「ポルターガイスト」(あるいは「ヘルハウス」と言っても分かる人少ないでしょう)に出てきたような、霊を分析するような機械が出てきますが、最近のホラーでこういうハイテクぽいマシーンをあまり見ないような気がしてたので、うれしい設定でした。
このシーンでジュラルディン・チャップリンが顔を見せていますが、霊媒の役というのがいかにもな感じです。この人、かなりの年だと思いますが、まだ現役だとは意外でした。

ラストは途中で想像がつきますが、まさにデル・トロの「あの映画」を思わせます。まあ、本人たちにとってはハッピーエンドなのでしょうねぇ…。

 

 


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地球が静止する日

 

 

50年代の名作映画として有名なSF作品のリメイクです。オリジナル版は核戦争の恐怖を背景にしていましたが、今回は地球環境問題を取り上げて、テーマは上手くアップデートされています。
人類の行動を改めなければ、人類を地球から消滅させる、と宇宙人が人間を脅迫するお話ですが、彼らに消されるかもしれない、という緊迫感が映画からはまるで感じられません。退屈はしませんが、妙にダラダラとお話が流れていきます。
その中で、チラリと顔を見せるジョン・クリーズは、異様な貫禄がありました。

破壊シーンのVFXはちゃんとスタジアムやトラックなどを壊したりして、同じ時期に公開された日本製災害映画「252」よりいい仕事をしています。ただそういったシーンは、予告で流れたシーンが大半で、予告を見てりゃあいいか、と思えたのはがっかりでした。

あくまで攻撃を主張する大統領。顔は出てこないけどブッシュがモデルのように感じられました。

 

 


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WALL・E
ウ ォ ー リ ー

 

 

いつも外さない信頼のブランド:ピクサーによるCGアニメ。今回は未来の地球と宇宙が舞台の、ピクサー初の未来SF仕立てです。
お話はロボットが主人公の恋愛ドラマ+アドベンチャーといったところで、いつものピクサー作品のごとく退屈しないで時にエキサイトできます。環境問題をテーマにしているのは今っぽいところで、いい目の付け所です。
しかし今回は、あの評判の良かった「モンスターズ・インク」や「ファインディング・ニモ」同様、いま一つ乗れなくて、感動はありませんでした。

ウォーリーが何故感情を持つようになったのか、本編では説明されていません。予告のみで語っているだけです。それはいいとしても、700年ものウォーリーの孤独感があまり感じられませんでした。
主人公であるロボットたちの感情はそれなりに分かるように表現されています。でもどこか親近感がわきませんでした。主人公の相手となるイヴは、単なる探査ロボットなのに感情を持ちすぎのように見える、余計なこと?を思ってしまいました。

ピクサーが作ったメカが主役の物語では、前に「カーズ」がありましたが、こちらの方がキャラの表情がはっきり出ていました。
そのせいかこの「ウォーリー」では、脇キャラでありながら人間達の、特に宇宙船の船長の方に表情が出るせいか肩入れしてしまいました。「今まで何もしなかったのに、何かしなくちゃならないだろ!」のセリフには共感です。

今回の短編はマジシャンと、その相棒のウサギが繰り広げるバトルです。いつものごとくスピード感のあるドタバタで、テンポ良く爽快に楽しめます。

 

 


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デス・レース

 

 

1970年代に作られた「デス・レース2000」のリメイクです。
主人公を演じるジェイソン・ステイサムは、いまやタフガイの定番になった感があります。今回はカーアクションのお話ということからか、スピード感のあるテンポで退屈させないし、クライマックスは男の友情で締め、爽やかな内容になっています。監督のポール・W・S・アンダーソンがこれの前に手がけた作品は「エイリアンVS.プレデター」でしたが、それよりノれました。
ウリであるレースシーンは、映画ではTV中継という形で描写されますが、冒頭の「18才未満は見ないでください」のクレジットが、それらしくて上手いです。カーアクションの中には何を映しているんだかよく分からないカットがありますが、一瞬なのでいいのでしょう。
レースをするのはドライバー一人ではなく、ナビゲーターがつき、しかもそれが女性、というのは色モノ的な感じ(露出度高いし)はします。この、女子が出てくるシーンには必ずラップが流れるやり方は、パターンで笑えました。でもある程度描かれる男性ドライバー達に比べると、大方のナビの女のコたちはろくに写されないまま死んでいくのは哀れです。

オリジナル版はレースが公道で行われ、一般人をひき殺すと得点というルールだったような記憶が(主演のデビッド・キャラダインよりも、敵役のシルベスター・スタローンの方が、日本では大きく宣伝されてたような)あります。それに比べると今回は舞台が刑務所の中ということで、一応オリジナルよりは合法的に見えます。まあ本当にやったら、人権団体が許さないだろうけど。
しかし、失業者が増えて犯罪者が増加という設定は不況の今、妙にリアルに見えました。

敵役を演じているジョーン・アレンは「ボーン・アイデンティティー」などのシリーズでも悪役だった女優で、やはり悪女キャラが似合っています。

 

 


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ブロードウェイ♪ブロードウェイ
コーラスラインにかける夢

 

 

2007年に行われた「コーラスライン」公演のためのオーディションと、初めての公演が出来上がるまでのメイキングを、関係者の証言と亡くなった脚本家のインタビューテープでたどる内容です。
僕は「コーラスライン」はR.アッテンボロー監督による映画版しか見ていませんが、この「コーラスラインにかける夢」で流れる音楽を聞いているうちに、メロディが甦ってきました。クライマックスはやはり「あの曲」で、本物の舞台を見ている人にはたまらない内容でしょう。

オーディションに列をなす人々、そして彼らが体験する何度ものオーディション…。オーディションのパートではアメリカでの、ショウビズ界に入り込む厳しさがよく分かります。一体どれだけ多くの人々が夢を追い、敗れていくことでしょう。
しかしこの中で、役が相手(ライバル)に決まってもハッピー、なんて発言があったりするのは、ホントかよ?と言いたくなりました。まあこういう優等生的な発言は、いかにもアメリカらしい感じがします。
役が決まった、という電話を受ける瞬感もカメラは記録しています。これが、もし決まってからの後撮り(まあやらせみたいなもの)であればそんなにカメラはいらないはずですが、もし本当にその瞬間を記録していたなら、一体何台カメラを回したことでしょう…。

映画の原題は「EVERY LITTLE STEP」。内容としてはこのタイトルの方がふさわしいと思います。まあアメリカの舞台だと、日本人なら「ブロードウェイ」というタイトルにした方が分りやすいだろうという配給会社の判断だと思いますが、ワンパターンのようには思います。

 

 


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