ヒックとドラゴン

 

 

ドリームワークス製作の、バイキングの世界を舞台にした人間とドラゴンの物語です。
予告編で大方のストーリーが分かった感じがしましたが、実際の本編では予想した展開が意外に裏切られました。しかし予告の雰囲気のように感動させられるシーンがあることは確かで、楽しませてくれる作品です。
監督はディズニーの「リロ&スティッチ」を手がけた人だそうで、そう言われれば主人公ドラゴン・トゥースの目の感じはスティッチを思わせます。人間とドラゴンのはぐれ者同士が仲良くなっていく筋立ても、「リロ&スティッチ」を思わせました。
また映画で描かれる、主人公ヒックと父親とのぎこちない父子像は妙にリアルで、こそばゆい感じがしました。

この作品は3Dの作品ですが、あんまり3Dの効果を実感できませんでした。宣伝ではCGの製作時には、3Dメガネをかけて作ったと言っていましたが…。

 

 


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ソ ル ト

 

 

ママになってもアクションが板につく、アンジェリーナ・ジョリー主演の作品です。
彼女が演じるのは、CIAのスパイであるはずのイブリン・ソルト。この女は本当は何者なのか?アメリカにとって味方なのか敵なのか?そんなソルトがやろうとすることに興味を引かれて退屈しません。
ただこのイブリン・ソルト、キャラクターそのものにはあんまり興味を引かれませんでした。アンジーのアクション映画としては、「ウォンテッド」で演じたキャラの方が面白味があった感じがします。
しかしアクションシーン、特にカーアクションについては、「ウォンテッド」がアニメチック(それはそれで面白いのですが)だったのに比べ、この「ソルト」はリアルで、痛さが伝わるような感じがします。

クライマックスの舞台は、今も確かに現役で存在するとは分かってはいるのですが、過去の遺物のように思えたのか、どうもピンと来ませんでした。シチュエーションで、敵が誰だか途中で分かってしまうのも、引っかかるところです。

 

 


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ゾ ン ビ ラ ン ド

 

 

今やゾンビばかりが闊歩する「ゾンビランド」となったアメリカ。そこで「32のルール」を駆使して生き残ったコロンバスが、同様に生き残った3人の男女と「パシフィックランド」なる遊園地を目指す?話です。
映画の見ものは、まずは予告編にも出てくるゾンビとの戦い方でしょう。クライマックスでの遊園地での戦闘など、冗談みたいな退治のやり方が大いに笑わせてくれます。
もう一つは主人公コロンバス。引きこもりという慎重な性格?のおかげで生き延びてきた彼が、いかにして勇気を見せるようになるかという、いわば彼の成長物語という側面も映画にはあります。そのせいか中盤はゾンビはあまり出ないのですが、退屈することはないし、もちろん後味もいい仕上がりになっています。
この作品の少し前に公開された「ザ・ホード」もそうですが、ゾンビ映画もいろいろバリエーションが考えられるものだと、感心します。

後半にゲストで、某コメディ俳優が出てきますが、そこはあんまり笑えないところでした。「ゴーストバスターズ」のリスペクトは分かるけど、ほどほどにしてほしいです。

 

 


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ザ ・ ホ ー ド
死 霊 の 大 群

 

 

悪党グループに同僚を殺された刑事たちが、復讐のため犯人たちの立てこもるマンションに向かいますが、逆に死の一歩手前まで追い詰められます。しかしそこに、突然の人間ゾンビ化現象発生!
初めは犯罪アクションドラマだったお話が、途中からゾンビアクションにチェンジ!何も知らないで見たら、さぞかし驚いたことでしょう。なかなかにユニークな筋立てです。
刑事とワル、2つのグループがあるときは敵対したり、あるときは共同したり、生き残りをかけて少ない人数の中で刻々と変わっていく人間関係が退屈させません。

この作品のような、走るゾンビはもはや常識かもしれません。まあ怖くは無いのですが、追いつかれそうなスリルはあります。こいつらと戦うのは犯罪者と刑事ということで、戦闘にはもちろん銃が使われますが、殴ったりといった肉弾戦が目立つのも、ハリウッドのゾンビものと一味違います。
そしてラスト。これがフランス映画風…というべきなのでしょうか…?

 

 


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エアベンダー

 

 

M.ナイト・シャマラン監督は「シックス・センス」や「ハプニング」など、不可思議な大きな流れの中の個人をよく描いてきた感じがあります。そんな彼が、意外にも世界的なスケールのファンタジーを手がけました。
監督はインタビューで、この作品はテレビシリーズが元であると語っています。映画の製作はアメリカのケーブルテレビ会社であるニコロオデオンなので、たぶんここで放映したドラマが元なのでしょう。

キャラクター達が使う術の重要な要素が「気」であるという、アジア的な部分はこのインド系の監督にふさわしいかもしれません。アジア的なモノだけでなく北欧的なモノもあったりして、世界観やデザインには独特の感じがあります。
修行を途中で投げ出した救世主、父との戦いを拒否して国を追われた王子、といったキャラクターのいわくありげなバックグラウンドにはそれなりに面白さを感じました。特に、主人公のライバル的な立場であるズールー王子は、「スラムドッグ$ミリオネア」の主役デヴ・パテルが演じていますが、全く違うイメージを見せています。
しかしこの人たち、行動に唐突なシーンがあったりして、気持ちについていけません。また中盤に出てくるラブストーリーなんか短すぎておざなりな感じで、その後の自己犠牲なんてところも感動できません。設定にしても説明不足な箇所がチラホラあって、特に後半で重要になる、精霊と人間の関係がよく分かりませんでした。
そういう風に展開が粗い部分があることでこの映画、なにか総集編のように見えました。ラストはモロに「つづく」といった終わり方なのでこの映画、何部作かの「第1部」ということなのでしょう。

映画は「気」が重要なアイテムであるせいか、キャラたちが術を使うときのアクションは「ドラゴンボール」のイメージを思わせます。監督はジブリ作品のファンらしいので、日本のアニメもいろいろチェックしていることでしょう。

 

 


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イ ン セ プ シ ョ ン

 

 

「ダークナイト」で世界を感嘆させたクリストファー・ノーラン監督が、またもチャレンジングな話を作り出しました。
その舞台は「夢」。過去に夢を題材にした映画といえば「トータルリコール」なんてのがあったし、ビデオのみのリリースだったデニス・クェイド主演の「ドリームスケープ」は夢の中に入り込む話でした。
しかしこの「インセプション」では夢に「階層」や「時間」といった設定をすることで、上手くアクションやサスペンスといった状況を生み出し、壮大なエンターテイメントを作り上げています。そういった話は今まで見たことがなく、大いに興奮させられる話でした。
まさに「知的エンターテイメント」という言葉が相応しい作品ですが、これらの設定は簡単ではないモノもあるので、ホケッと見てるとついていけなくなるかもしれません。眠い時には見ない方がいいでしょう。僕も話は理解できましたが、1回見た限りでは細かい部分で、あれはどうだったんだっけ?と後で思う箇所がチラホラありました。
ただ、銃撃シーンはもう少し少なめでいいでしょう。アクションシーンが長すぎる感じはしました。

夢であれば現実の法則には捕らわれない、いわば何でもありの世界です。なのでこの映画に出てくる舞台を例えば「アバター」のようなファンタジックな世界で表現することも可能でしょう。しかしこの作品では夢の舞台をロケやセットで撮るといった、実景にこだわっています。これが主人公コブの、人は「ここから先が夢」という認識はしない、というセリフに説得力を与えています。
このやり方はCGを使う以上にお金がかかったと思いますが、あまり特撮に走る映像にしないのが節度があるし、リアルな風景が続く中で突如、異様なシーンが出てくるとインパクトが大きくなります。市街地や雪山など階層ごとに変わるイメージが面白く、予告にもある町が変形するシーンは僕の好きな「ダークシティ」を思い出しました。

映画の内容、特にラストはいろんな解釈が可能で、渡辺謙がメイキング番組で言っているように、何人かで見ると盛り上がることでしょう。

コブを演じるレオナルド・ディカプリオは、いつもながらの安定した演技を見せてくれますが、過去にとらわれてうじうじし過ぎのように見えました。それに過去のトラウマに悩まされている設定は、この作品の数ヶ月前に公開された「シャッターアイランド」のキャラとかぶる感じがします。むしろ彼のグループの一人で、重力に逆らって格闘するイケメンのジョセフ・ゴードン=レヴィットの方が、しっかりとした仕事人という感じがして、儲け役でしょう。「(500)日のサマー」の主人公だとは全然気がつきませんでした。
渡辺謙は本編では予告編以上に目立っていて、クレジットではディカプリオの次に登場します。存在感も互角なのはさすがです。

この映画は、企画書とかシナリオだけでは内容の想像がつかないかもしれません。「ダークナイト」を大ヒットさせたクリストファー・ノーラン監督だからこそ通った企画でしょう。この人はブレイク作の「メメント」といい「ダークナイト」といい、今ハリウッドで一番オリジナルな作品を作れる監督かもしれません。

 

 


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トイ・ストーリー3

 

 

まだ見ていない人

今やメジャーCGスタジオとなったピクサー、その躍進のきっかけであり唯一のシリーズである「トイ・ストーリー」のパート3です。
今回はウッディたちおもちゃのご主人様・アンディも大学生になり、ついにお別れがやってきます。屋根裏にしまわれるのか?ゴミとして捨てられるのか?どこかにもらわれるのか?迷走する彼らの行く先に待ち受ける、小さな世界での大きなアドベンチャーが、これまでのシリーズ同様にエキサイティングで、退屈させません。
そして今回、何といっても最高だったのはラスト。泣けました。アンディってもしかして…なんて想像させる表情です。これまでのシリーズの思いがこもったような最後のエピソードには、やはり「トイ・ストーリー」はピクサー映画の中で別格なんだろうと思わされました。ウッディたちにも、そして観客にも、つきあってきて良かったと思える幸せを味わえると思います。

今回のおもちゃには、スタジオジブリのキャラも登場します。監督ジョン・ラセター氏がスタジオジブリをリスペクトしているのは有名ですから、念願かなったというところでしょう。

今回も例によってやはり短編から始まります。その「Night & Day」は、2Dアニメと3DCGを合体させることで、3Dにふさわしい奥行きを感じさせる表現を生み出すことに成功しています。本編以上に、また昨今の粗製乱造の3D映画の中では珍しく、3Dで見た方がいい作品になっています。
ピクサーが作り続けているこれらの短編は、CGの実験の意味もあるのだろうと想像していますが、今回の作品はまさに、単に娯楽に留めないピクサーの力を感じさせる意欲作です。
3D といえば、本編前に流れたDSの「ドラゴンクエスト」のCMが3D仕様であったのには、ちょっとプレミア感がありました。

 

 

すでに見た人

ラストで久々であろう、おもちゃたちと遊ぶアンディ。彼もおもちゃたちも幸せそうに見えて「良かったね」と言いたくなりました。
そして彼らと別れる時のアンディのセリフと表情は、もしかしたら彼はおもちゃたちに感情があることを知っていたのではないか?なんて想像してしまう、演出技術共にピクサーの表現力が全開の名シーンでした。

 

 


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ぼ く の エ リ
2 0 0 歳 の 少 女

 

 

まだ見ていない人

人間とヴァンパイアの恋愛、という内容の映画は今や珍しくありません。しかしそれがスウェーデン製で、「初恋」というネタはあまりなかったように思います。
映画にはしっとりとした情景シーンが多く、テンポも若干スロー気味なので、眠い時に見るのはお勧めできません。しかしそういう雰囲気の中で見せられるヴァンパイア的な行為は、かえって鮮烈に写ります。また初恋の切なさや爽やかさといった描写も上手く、そんなにエキサイティングな展開ではないものの、ハリウッド製のヴァンパイアモノと違い、簡単には忘れがたい雰囲気の作品です。

映画には所々、グロいシーンがあります。どこかの批評でこのことを「思春期特有の残酷さ」と書いていましたが、まだキャラたちの感覚が大人になりきれていないと考えれば、それもありだと思います。
お話の時代設定は1970年代あたりらしいのですが、なぜその年代でなければならないのか、よく分かりませんでした。現代でもよかったように見えました。まあ、原作の小説がそうだからかもしれませんが。
小説といえば、映画ではエリのことを、日本版のタイトルにある「200才」とは言っていません。これも小説からの引用かもしれません。映画では言っていないということは、200年より長く生きていると解釈することもできますか…。

今回、映画館で券を買うときに、窓口で「フィルムに傷があります」と言われました。そういう告知をされたのは始めてかもしれません(映画館側も大変だ…)。まあ、分からなかったけど。
そことは関係ありませんが、映画には一箇所ボカシのシーンがあります。雰囲気ぶち壊しで、客席から失笑が聞こえました。

 

 

すでに見た人

「入っていいと言って」のシーンは、ハッとさせられました。オスカーはこれで彼女を受け入れる覚悟が出来たのでしょう。自分より力の弱い者に意地悪をして後悔する、といった感覚がよく表現されたシーンです(だからといって、自分にこういう経験があるかということは全く記憶に無いのだけれど)。

ラストは、これからどーすんの?と思ってしまいましたが、そんな心配をしてしまうのが年寄りなのでしょう。初恋映画の傑作と言われる「小さな恋のメロディ」を連想したシーンでした。

 

 


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プ レ デ タ ー ズ

 

 

近年はエイリアンとも戦った、20世紀フォックス製モンスターの新作です。宣伝や紹介文ではリメイクとかリ・イマジネーションといった言い方をされていますが、シリーズという方が正解でしょう。
この映画、宣伝ではスーパー・プレデターなるものが出ると言っていますが、以前のプレデターとどう違うのかよく分かりません。プレデター側の明らかな新味は、せいぜい猟犬みたいな奴が出てきたことくらいです。
映画の舞台はプレデターの星ということになっていますが、単なるジャングルにしか見えませんでした。そこで展開する物語も、人間側もプレデター側も内紛が多いだけで、大して面白味はありません。

人間側のグループは地球上のワルたちを集めたということで、日本のヤクザも登場します。でもこの人、ヤクザというより日本人に見えないし、外なのに裸足になるのは何か意味があるのかと思ってしまいました。刀で戦うシーンはそれなりにかっこいいのですが、舞台が草っぱらということで、「姿三四郎」をやりたかったように見えます。
他の人間キャラでも、例えば女性スナイパーなんて非情さがあんまり無いせいかどうも軍人に見えないなど、キャラの設定に疑問符をつけたくなる奴もいます。
しかし何よりがっかりさせられたのは、途中から参加するローレンス・フィッシュバーンでした。「マトリックス」の時より一段と肥えて、凄みも何もありません。

「プレデター」のファンならなんとか見れる内容だと思いますが、満足するかは大いに疑問です。

 

 


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ア デ ル
ファラオと復活の秘薬

 

 

近年は監督業から遠ざかり、製作ばかり(引退宣言したって?)していたリュック・ベッソンが、久々に監督に復帰した作品です。
映画は「インディ・ジョーンズ」を、主人公を女性にしてより内容をファンタジックにした感じです。特にクライマックスでのミイラの扱いは、逆「ハムナプトラ」といった趣があります。
またこの作品は、「インディ」以上にユーモアのシーンが目立ち、クスクス笑えるところがチラホラあるのも特徴でしょう。ただ、主人公の行動の動機となる妹の「事故」の異様なシチューエーションは笑うべきか、悲しむべきか、よく分かりません。またブラックな上にやけに悲惨すぎるシーンがあったりして、ギャグの程度に戸惑う箇所もあります。
それにお話では、ストレートに行かなくて退屈な展開の箇所もありました。主人公の目的は分かるけど、明確な「敵」がいないせいか話が弱いような感じで、余計にユーモアのシーンが目立ってしまっているのかもしれません。

主人公アデルを演じるルイーズ・ブルゴワンはかわいいし、鼻っ柱の強いキャラは合っています。ただコスプレの連続はしつこいかな。映画初登場で脱ぐのは驚きでした。

 

 


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ザ ・ コ ー ヴ

 

 

2010年度のアカデミー賞で、長編ドキュメンタリー賞を受賞した作品です。和歌山県の太地で行われているイルカ漁を隠し撮りした映画ですがその違法なやり方、そして内容が反日であるということで上映中止の騒ぎになり、公開が延期された作品です。
映画の中心となる人物はリック・オバリーという人。イルカの活躍で人気を博したアメリカのTVドラマ「わんぱくフリッパー」でイルカのトレーナーを務めながら、出演したイルカの死をきっかけに、彼らを野性に返す保護運動を始めたそうです。
映画はこの人が太地で行われていることを世界に知らせるべく、その撮影チームが、太地側の厳重な警備をかいくぐっていかに撮影を敢行していくかという、いわば「盗撮大作戦」という感じで楽しませてくれます。
彼らのやっている事はもちろん違法ではありますが太地の方だって、バリケードを作って厳重に警備なんかをしていれば、いくら合法だとはいえ、何かヤバいことをしていると疑われても仕方ないでしょう。
そしてこのイルカ漁のシーン、かなりショッキングでした。

太地にとってイルカは魚と同じ扱いなのでしょう。漁師の人にとってイルカは、取った魚を食べて困る存在かもしれません。漁業の人と、映画で「活躍」する、海を楽しむだけの人とはイルカに対する見方は違うでしょう。でもあんなにイルカを殺す必要があるのでしょうか?太地で行われている出来事を「伝統」で見過ごしていいものか、疑問にはなりました。
映画は、このイルカ漁の隠蔽にマスコミが協力していると言っていますが、この映画が公開されるまでこのことが知られることはなかったのだから、それも有り得る話です。
また太地は、水族館などで行われているイルカショーに出ているイルカの、世界的な供給源になっているそうです。ということは、水族館関係者もここでのイルカの殺戮は知っているのでしょう。オバリー氏はイルカショーは、イルカには凄まじいストレスだと言っていましたが確かに、海で自由に泳いでいたのを捕らえられショーを強制されるのですから、そうかもしれません。これを見たら、単純にイルカショーを楽しめなくなりました。

また映画は、太地で殺されたイルカが「鯨肉」として売られていると主張します。その根拠はあいまいですが、疑念は残ります。ラストで出る字幕では太地町はそのことは否定していますが。そりゃ認めるわけはないでしょう。ただ水銀の絡みまでは余計に思います。

映画は魚が世界的に減少しているのは、日本が魚を乱獲しているためと主張しています。しかしこれは日本だけではなく、魚を取る他の国が増えていることも影響しているでしょう。ここは「反日」に見えてムカつきました。
ただ問題のイルカ漁をやっているのは日本国内だし、こうして日本を悪者にしておいた方が単純になり、観客に分かりやすく見せる効果はあります。こういった分かり易さと娯楽性、いわばマイケル・ムーアのような見せ方をしたおかげで、映画はアカデミーを受賞できたのでしょう。

映画は反イルカ漁、反捕鯨(そしてちょっと反日)をテーマにして、リック・オバリーをヒーローのように撮っています。そしてあのシーシェパードのメンバーも、インタビューで出演したりして、その本拠地で反捕鯨の急先鋒であるオーストラリアは英雄的に扱われています(鯨を食べないくせに!)。
とはいえ、「鯨が増えたから魚が減っているという」日本の言い分(これだけではないでしょうが)は、アホとしか思えません。じゃあ鯨が今より多かったであろう昔は、魚は少なかったんかい?と突っ込みたくなりました

上映している映画館には、制服を着た警備員が一人いました。しかもロビーではなく、上映している劇場の中に警備員、という光景は映画鑑賞歴の中で初めて見たかもしれません。でもこの人、映画が始まったら一番前の席に座りました。これだと、もし後ろで騒ぎでも起こされたら分かるのか?と疑問になります。
映画がスタートした一瞬、スクリーンにウィンドウらしき画が見えたので、上映はプロジェクターではないかと思います。映画に登場する太地町の人の顔にはモザイクが入っていますし、明らかに日本側で挿入された字幕が入っていたりします。こういうのはフィルムだと高くつくことでしょう。

映画の上映館は騒ぎのおかげで当初より少なくなったようですが、公開されたこと自体は良いことでした。見てみなければ、どういうところが「反日」なのか分かりません。この作品を見せたくないであろう、どこかからの圧力を疑ってしまいます。

 

 


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エルム街の悪夢

 

 

まだ見ていない人

シリーズが何作か作られ、TVシリーズも作られたホラー作品の第1作を、近年「悪魔のいけにえ」などホラーの名作をリメイクし続けているマイケル・ベイの製作でリメイクです。
オリジナルは「夢が人を殺す」というアイデアが怖かったものでした。この時の記憶は薄れていますが、内容は今回の話と似通っていたと思います。そのせいか怖さはあんまり感じませんでした。
変わらないといえば、今回はフレディ君を演じる役者も違うのに、鼻が低くて無いように見えるくらいの違いしかなく、旧シリーズのロバート・イングランドと変わり映えしません。
こんななら作る必要もなく、DVDでオリジナルの第1作を見る方がまだましかもしれません。せめて続編は止めてほしいものです。

 

 

すでに見た人

映画には、フレディが子供たちにヤバいことをしたというのは誤解ではないか、という見方が出てきますが、後半でやはりやっていたことが判明します。しかし、もしこれが本当に誤解だったという展開なら、オリジナルとも違う話になったでしょう。その場合だと話を大幅に作り直さなければならなくなるでしょうが、見所がある内容になったかもしれません。スタッフはその困難から逃げて、同じ話を再現するという安直な道を選んだように見えます。

 

 


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アイアンマン2

 

 

ヒーローらしからぬ性格が魅力のトニー・スタークが帰ってきました。ナルシストなところは変わっていませんが、そのでかい態度と今回の自暴自棄な行動が、新たな危機を呼ぶことになります。
今回は謎の組織・シールドの存在が物語を左右するほど大きくなっています。この組織は前作のラストで、トップのサミュエル・L・ジャクソンがチラリと顔を見せたのみの登場だったので、前作を見ていない人は今回ついていけるのか心配になります。彼らのことを気にしなければ、前作を見ていなくても楽しめると思います。
まあトニーは相変わらずの性格だし、前作同様のスピード感とアクションの迫力、そして新しい敵と仲間たちの戦闘で退屈はしません。

今回は戦闘用ドローンなど前作以上に多彩なメカが登場しますが、メカの見所といえばアイアンマンスーツのバージョンアップでしょう。特に予告編にも出てくる、持ち運びできるほどコンパクトになったスーツをトニーが装着するシーンは、実に気持ちのいいスピード感でした(何年か前にやったリメイク版の「仮面ライダー」もこうすればよかったのに)。アイアンマンが何体も出てくるのは最近の「仮面ライダー」を思わせましたが、こうなると量産型が出てくるのも時間の問題なのでしょう。

今回登場の新キャラ・ブラックウィドーはスカーレット・ヨハンソンが演じていて、セクスィーで強く!かっこいい!と楽しんでやってる感じがしました。映画の中で語られる彼女の過去の経歴で、「ロスト・イン・トランスレーション」を連想させるとこは面白いお遊びです。
敵キャラを演じるミッキー・ロークもなかなかに存在感がありましたが、あれだけトニーたちを苦しめたのに、最後があっけなかったのは残念でした。

エンドクレジットの後にもシーンがありますが、次に出てくるヒーローは誰か?アメコミを知っている人なら予想がつくかもしれません。

 

 


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鉄 男
THE BULLET MAN

 

 

タイトルはあの有名な「鉄男」で、人間が鉄(というか武器)に変化していくという筋は同じものの、今回は主人公が白人ということで、アメリカ公開用にリメイクしたものかもしれません。
鉄男が作られた経緯が明らかにされるのも、オリジナルと違う点だと思います。しかしそこで語られる事象は、これまでのSF系作品と代わり映えしません。
クライマックスもそれほど盛り上がらなくて、こじんまりと終わってしまい、オリジナルにあったような破壊的な面白さは影を潜めてしまいました。何か塚本晋也監督、丸くなってしまったように思えてなりません。だいたい、本人が出ることもないだろーに…。

 

 


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プリンス・オブ・ペルシャ
時 間 の 砂

 

 

遥か昔に栄えたペルシャ帝国での、無実の罪を着せられた王子の受難を描くアドベンチャーストーリー。宣伝では言っていませんが、TVゲームが原作の映画です。
製作が「パイレーツ・オブ・カリビアン」などを手がけているヒットメーカー、ジェリー・ブラッカイマーだけあって、展開がスピーディーで飽きさせません。サブタイトルで展開の予想はついてしまいますが、いかにもな冒険活劇で、爽やかに見終える仕上がりです。「ラブ」に深入りしないのが、ファミリー層を意識したディズニーブランドの作品らしさを感じます。
ただし、悪役が誰か?容易に想像がついてしまいましたが…。

 

 


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9
9番目の奇妙な人形

 

 

短編として作られた作品を見て感動したというティム・バートンが、長編作品としてプロデュースした映画です。元の短編はモデルアニメーションだったそうですが、この長編版はCGにしています。
映画の世界観は、戦前のナチスを思わせるレトロフューチャーなイメージが面白く、同じように短編を長編映画にしたCGメインの作品「スカイ キャプテン」を連想しました。「CASSHERN」も、そんな感じがあったと思います。
しかし、ここで語られる「謎」はありがちで、長編のためにムリに作ったように思えてなりません。たぶん元のバージョンは時間が短いはずだから、「謎」なんて無くてイメージのみであろうと想像しますが、そちらの方が良い出来なのではないでしょうか。
ただ、ラストはなかなかに感動的でありました。まあこれもありがちではあるのですが、自分としては弱いパターンです。

 

 


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タ イ タ ン の 戦 い

 

 

80年代に制作された、ギリシャ神話をモチーフにしたお話のリメイク作品です。オリジナル版は特撮シーンを、モデルアニメーションの「神様」レイ・ハリーハウゼンが最後期に手がけた作品として映画史に残るものと思いますが、今回は特撮をCGで製作しているのが今風の大きな違いでしょう。
さらにお話の方も、主人公ペルセウスの行動の動機を「神への怒り」としたことで、キャラクター像がより人間的になり、分かりやすく感情移入しやすい話になったのも、オリジナル版との大きな違いだと思います。ラストシーンもホッとさせられました。

映画は次々と出てくるモンスターファイトで退屈させません。中でもメデューサは、オリジナル以上にヘビに近いデザインになり、動きもより生物的なのが技術の進歩を感じさせました。でも3Dで上映する必要は無いでしょう。

 

 


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第 9 地 区

 

 

地球に突如現れ、母星に帰れずに地球に留まって難民化してしまった異星人たち。彼らに関わることになってしまった地球人の主人公・ヴィガスを取り上げたドキュメンタリー、いわゆるフェイクドキュメンタリーという構成で進むお話です。
このヴィガスという男、けっこうエゴイストなとこがあり、あんまり同情できません。でも彼以外の大方の地球人のキャラもみんなエゴ丸出しで、そんな欲望に振り回されるヴィガスが可哀そうになります。そういう奴らに比べると、エイリアンの方がまだ純粋に見えてくるというのは皮肉でしょうか。
映画はそういったキャラクターが繰り広げる悲劇とアクションを、怒濤のハイペースで見せてくれて、退屈しません。クライマックスにロボット兵器まで出してくるサービスぶりには、僕のようなロボットアニメ好きにはたまらないところでした。

地球の上空に巨大宇宙船、というイメージは「V」や「インデペンデンス・デイ」などでありましたが、その舞台が南アフリカというのは今までにないところです。そして映画の舞台のほとんどをセットではなく野外にしているのも、B級低予算を逆手に取ったような上手い作りです。
こういった、ハリウッドのSF作品とは一味違う感じは、なるほどあのピーター・ジャクソンがプロデュースの作品、と思わされます。ラストのちょっとした切なさにも、そんな印象を受けました。

宇宙人が地球で難民として暮らしているという設定のお話は、TVシリーズにもなった「エイリアン・ネイション」がありましたが、この「第9地区」の宇宙人はあの映画とは違い、容姿が地球人とはかけ離れているおかげか、かなり違う物語です。ただ、大っぴらな差別があるのは同じですが。

 

 


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シャッター アイランド

 

 

アメリカでベストセラーになったという小説の映画化です。
レオナルド・ディカプリオ演じる刑事が監獄島となっている「シャッターアイランド」に捜査にやってくる話ですが、彼は過去にトラウマを持つという設定で、映画には時々そのトラウマによって生み出されるホラーぽい描写が出てきます。人間ドラマのイメージが強い(自分だけか?)マーティン・スコセッシ監督がこういう、ホラー的な演出を見せるのは面白い部分でした。
映画はシャッターアイランドの「謎」がウリですが、クライマックスは容易に想像がつく内容で、がっかりしました。
…と思っていたら、ラストでのレオ様と相棒のセリフに「一体どういうこと?」と驚愕!どうやら話はそう単純ではなさそうで、2回ぐらい見ないとこの謎は解けないかもしれません。ま、そこまで金を払ってやろうとは思いませんが。

レオ様は「タイタニック」のイメージが今だに強いのですが、いつの間にやら年相応の役をやるようになっていました。トシとるわけだねえ…。

 

 


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アリス・イン・ワンダーランド

 

 

ティム・バートン監督があの有名な「不思議の国のアリス」を映画化ですが、この作品はアリスの19才の話で、原作の後日談と言うべき物語です。
ちょっと血なまぐさくて、ブラックな感じはいかにもティム版「アリス」ではあります。物語を女子の自立という形にしているのが今っぽいところで、ラストはそれなりに爽快でした。
しかしこの映画、主人公アリスの気持ちがよく伝わってきません。戦いを嫌がっていた彼女が、何ゆえ剣を取る気になったのか疑問です。ジョニー・デップが演じていることで宣伝では前面に出ているマッドハッターも何を考えているのか分からなかったし、白の女王もいい人なのですが、あんまりそう見えませんでした。ただそういったキャラたちの中で、青色の芋虫=アブソレムは感動的!な奴でありました。

映画は大方の劇場で3Dで公開されました。僕はIMAXで見ましたが、メガネが軽いおかげで見やすいと感じました。しかしこの「アリス」そのものは3Dで見て凄いと思ったシーンは無く、3Dに相応しい内容かは大いに疑問です。おそらく元々は3Dで企画されていなかったものを、無理やり3Dにして公開したのではないかと思います。

 

 


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シ ェ ル タ ー

 

 

ジュリアン・ムーア演じる精神科医の元に、父親の紹介で一人の男がやってきます。
多重人格を信じない彼女も、さすがにこれは…と思いますが…。
という感じで、映画はサイコものぽい導入で始まりますが、話が進むにつれて心霊ホラーに変わっていきます。しかし脅かし方がパターンで、全然怖くありません。
ラストは明るくないしなにより、神を信じない者は救われない、ともとれる内容は、まるで復古主義のようで不愉快でした。

ジュリアン・ムーアは以前どこかのインタビューで、子どもは大切だという発言をしていたと思います。その彼女が何でこんな映画に出るのか、理解に苦しみます。

 

 


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シャーロック・ホームズ

 

 

テレビや映画などで何度も映像化されている「ホームズ」を、ホームズ役で「アイアンマン」などで人気回復のロバート・ダウニー・Jr.、ワトソン役でジュード・ロウというコンビで、「スナッチ」のガイ・リッチー監督が映画化です。
キャラクターはシャーロック・ホームズではありますが、この作品でのホームズは格闘が得意で彼女がワルという、新解釈のキャラクターになっているのが今っぽくて面白いところで、そんなキャラクターから生まれる軽快なタッチは悪くありません。
しかし肝心のお話はアクションや爆破に走り過ぎて、眠気を催しました。僕は「ホームズ」の原作を全部読んでいないのでよく分かりませんが、この映画のお話はオリジナルではないでしょうか。黒魔術とホームズて、何か合わない感じがします。
結局この映画、キャラクター像はいいのに生かし方がヘタという、残念な仕上がりになってしまっています。ガイ・リッチー監督はマドンナとあれこれあってから作品に恵まれないようですが、まだその不運?が続いているようです。

 

 


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パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々

 

 

「ハリー・ポッター」のクリス・コロンバス監督がハリーから離れて、新たなファンタジーシリーズを手がけました。現代に生きるギリシャの神々と、その子どもたち「デミゴッド」のお話です。
映画はメデューサやヒドラといった怪物のバトルシーンが楽しめて退屈しないけど、ご都合的な展開が目立つし、そのせいかどこか軽さが漂う雰囲気も気になりました。そもそも、ギリシャの神々がなぜアメリカに?と突っ込みたくなります。

メデューサを演じるのがあのユマ・サーマンというキャスティングは面白いけど、あまり出番の長くないチョイ役で、いいのか?と思いました。

 

 


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ハートロッカー

 

 

2010年度のアカデミー賞で、「アバター」を退けて最優秀作品賞に輝いた映画。イラクに赴いているアメリカ軍の爆弾処理班を描くお話です。
戦後生まれの自分は当然、戦場には行ったことはありません。しかしこの映画、「戦場」がかなりリアルに感じられました。なんせ映画の中では、音楽を鳴らすとか敵の姿を出すというような思わせぶりな前ふりをしないで、いきなり爆発!いきなり銃撃!と来ます。こういう予断を許さない緊張感が凄くリアルで、まさに「戦場」の中に投げこまれた感じを味わえます。何か起こりそうなシーンでは、スクリーンを正視できませんでした。

この作品、「今」を描くという意味では「アバター」よりアカデミー賞にふさわしいし、「アバター」のようにどこかで見た話ではないので、最優秀作品賞には順当でしょう。ただ、CGとかの技術を毛嫌いする人たちが、票を入れた可能性もあるようにも思います。

映画の冒頭に「War is a drug」という言葉が出てきます。ラストでその意味が分かりますが、いい意味で唖然…とさせられました(ようやる…)。

 

 


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ダレン・シャン

 

 

原作シリーズが人気らしい、ファンタジーモノの第1作です。
映画の舞台の大方は夜のシーンだし、ネタはフリークやヴァンパイアや死など、かなりダークな世界観の内容で、オリジナル度は「ハリー・ポッター」より高いかもしれません。
今回は一応話の決着は着くものの、いかにも「第1話」という形で、「つづく」という字幕が出そうな終わりではあります。それでありながらこの映画、今後の世界観の広がりを感じさせてくれるし、敵がかつての親友という形も個人的に好みのせいか、退屈させない話作りになっていて、早くも続編が楽しみになります。

主人公が所属することになる、フリーク団の座長を演じる渡辺謙はなかなかに怪演な感じなのですが、大方の劇場が日本語吹替版の上映なので、彼がどんな風に英語のセリフをしゃべっているのか聞けないのが残念でした。

 

 


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イ ン ビ ク タ ス
負 け ざ る 者 た ち

 

 

硫黄島2部作や「チェンジリング」など、精力的に作品を発表し続けるクリント・イーストウッドが今回選んだ題材は、1995年に南アフリカで開催された、ラグビーのワールドカップです。
ラグビーというのはあまり馴染みがないし、ましてや南アフリカでワールドカップがあったなんて初耳だし、それがアパルトヘイト後の南アフリカを1つにした「事実」であったというのは驚きです。
勝ち負けを描くスポーツドラマは珍しくないし、そういう映画を見ると感動します。しかしこの「インビクタス」ではラグビーに加えて、アパルトヘイトという歴史が凄いパンチになり、試合のシーン以外でも感動的なシーンがチラホラあります。
映画のテーマは「グラン・トリノ」同様、「チェンジ」なのでしょうけど、「グラン‐」は個人のレベル、そして今回の「インビクタス」では国家レベルでそれを訴えるという、スケールアップといったところでしょうか。今や彼は映画で思想を語れる、希有な巨匠と言っていいのではないでしょうか。
この作品が、サッカーのワールドカップが開催される2010年(アメリカは2009年でしょうか)に公開されるというのは、意義があると思います。クリント・イーストウッド、いい話に目をつけました。

映画はラグビーの話ですが、ルールがわからなくても、観客のリアクションで勝っているか負けているかが分かるので、気にすることはないと思います。ただ、ネルソン・マンデラがどういう人であったかということと、アパルトヘイトとは何か、という解説は映画には無いので、少しは知って見た方がいいでしょう。まあ映画でそれをいわないと言うのは、そんなことは知っていて当たり前、ということなのでしょう。

映画で描かれるマンデラ大統領が、いつも南アフリカのことを考えているというのは、立派過ぎるキャラに見えます。本人がまだ南アフリカ本国で現役であるせいかもしれません。でも常にユーモアを忘れない描写のせいか、モーガン・フリーマンがやるとイヤミになりません。
ラグビーのチームメンバーがマンデラが投獄されていた収容所を訪問するシーンは、ラグビーだけを語るならば不要だったかもしれないシーンでしょう。しかしこのシーンが入ることで、アパルトヘイトの過酷さとマンデラの想いが伝わってくる感じがします。

エンドタイトルには「ジュピター」の英語版の歌が流れます。映画のテーマと合ってる、素晴らしい歌詞です。

 

 


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パラノーマル・アクティビティ

 

 

まだ見ていない人

日本円にして100万円台という低予算の制作費ながら、アメリカで大ヒットを飛ばしたというホラー話です。
映画は全編、ホームビデオで撮った映像、という構成になっています。「放送禁止」などフェイクドキュメンタリーがチラホラ出ている昨今、新しいやり方ではありませんが、携帯でムービーが手軽に撮れたり、ハイビジョンが家庭用ビデオカメラで撮れる今の時代を表しているようではあります。
ビデオ映像を使った大ヒットしたホラーというと、「ブレアウイッチ・プロジェクト」(あれはフィルムという設定ではありましたが)がありました。あの作品と同様にこの「パラノーマル‐」も、怖いシーンをモロに見せないで、想像させるやり方が上手いところで、所々ギョッとさせられる箇所がありました。ただこういった怖いシーンでは、始まる前に音響のような、いかにもなSEを流されるのはまるで合図のようで、興ざめでした。
日本でビデオ映像を使ったホラーというと、「ノロイ」という、TV番組の収録という設定の映画がありました。「パラノーマル‐」のラストは、この「ノロイ」を参考にしたように見えました。

 

 

すでに見た人

襲われる女性・ケイティに付きまとう者の正体も理由も映画では結局分かりませんが、これも「ブレアウイッチ・プロジェクト」と同様な感じがします。

エンドタイトルが終わった後にしばらく、黒いままの画面が流れて、この時は何か出てくるのかと期待してしまいました。結局ただ黒画面だけだったのは、一体何のためなのか理解に苦しみます。

 

 


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ラ ブ リ ー ボ ー ン

 

 

「ロード・オブ ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督による、殺されてしまった少女・スージー・サーモンの死後を描く物語です。
映画を見る前は、「ゴースト」みたいに死者が霊力を使って犯人に復讐する、あるいは復讐させるというパターンの話になるのかと予想しました。そして本編には確かに、「ゴースト」に似たエピソードはありますが、それが復讐ではなく、あくまでスージーの現世に残した思いを遂げるためというのは独特なポイントで、思春期の少女らしいところだと思います。
この作品を復讐のお話にしてしまうと、確かにパターンになるかもしれません。ただその分、映画は爽快感に欠ける感じはしました。それでも、後半には感動的なシーンもあります。
映画はジャクソン監督の前作「キングコング」みたいにエピソードが次から次へと展開していく形ではない、おとなしめの展開です。眠くはならなかったものの、スージーが霊界でただ長い時間遊びまくっているだけのように見えて、早く昇天するか、復讐しろと言いたくなりました。
ただし、そのスージーが過ごす死後の世界のイメージは素晴らしく独創的で、そのパートが一番力が入っているように思えました。

 

 


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サ ロ ゲ ー ト

 

 

近未来、人類は「サロゲート」と呼ばれる分身ロボットに感覚を接続し、自らの体を危険にさらさない安全な生活を手に入れていた。そんな時、サロゲートが何者かに破壊される事件が起きるが、それはサロゲート単体だけでなく、サロゲートに接続していた人間も死亡させていた…。

少し前に上映が始まり、大ヒットしたジェームス・キャメロン監督の「アバター」も分身の話でしたが、この「サロゲート」は地球が舞台で、あの映画より多少リアルなお話です。女のサロゲートの本体が実は男だった、なんていう設定は今現在のネットのアバター現象の延長という感じがします。
サロゲート生活ならば犯罪に逢うこともないだろうから、確かに安全ではあります。でも映画を見ると、それが本当にいいものかどうか考えさせられました。
とはいえこの映画、キャラクターは表面的で感情移入とかは出来ません。まあ謎解きとアクションを楽しむ、と割り切って見るべきでしょう。

主人公の刑事を演じるのはブルース・ウィリスですが、彼の操るサロゲートはまだ髪がフサフサの「こちらブルームーン探偵社」あたりの頃の若いブルース・ウィリスの姿です。これが特殊メイクなのかCGよるものなのか、異様に気になりました。
ウィリス君のサロゲートは、アクションシーンでは異様な高さの跳躍を見せますが、いくらロボットとはいえ、スーパーヒーロー並みの跳躍をさせる必要があるのか?と突っ込みたくなりました。でもこのサロゲート、表情を出せないものや半完成品などお金によっていろいろ種類があるのはリアルです。しかしこれじゃあ、貧乏人には持てないだろうし、1企業の独占というのも問題でしょう。

 

 


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Dr.パルナサスの鏡

 

 

「ダークナイト」のジョーカー役で鮮烈な印象を残し、去っていったヒース・レジャーの遺作となった作品です。彼はこの映画の撮影中に亡くなったようで、撮れなかったシーンは彼の友人であるジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの3人が代役を演じています。
物語の舞台は現世と、鏡の向こう側の世界の2つに分けられます。現世のシーンは全てヒース・レジャーが演じ、鏡の世界は映画では3回入り、代役3人がそれぞれのシーンを演じています。このやり方は巧妙で、違和感を感じませんでした。ただ、最後に演じたコリン・ファレルが一番いいシーンをさらってしまって、やはり全編ヒースで見たかったという思いも持ってしまいます。

監督は「12モンキーズ」や「ブラザーズ・グリム」などを手がけたテリー・ギリアムですが、これまでの彼の映画は常に眠くなりました。この「Dr.パルナサスの鏡」も、鏡の世界に入るまでがもったいぶってるようでイラつきましたが、パルナサス博士の住居である、近世あたりのサーカスのような仕掛けが、現代のロンドンの街角を通るイメージにどこか情緒が漂うせいか、眠くはなりませんでした。

しかしイメージで言えば何といっても、鏡の世界には魅了されました。幻想シーンのみ見どころだった「バロン」のダンスシーンをグレードアップしたような箇所など、テリー・ギリアムのイマジネーションを映像化するには、CGこそふさわしいのではないかと思います。仏教的なイメージがチラホラ出てくるのも興味深いところでした。

 

 


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(500)日のサマー

 

 

グリーテンィグカードの会社に勤めるトムは、同じオフィスのサマーに一目ぼれ。そのトムとサマーの「友達として」のおつきあいの、500日に渡るお話です。
冒頭にまず、「これはラブストーリーではない」とナレーションが流れます。まあ確かに、サマーはトムに恋愛感情は抱いていない…?ようなので、そうかもしれません。こういう感じに、映画で描かれる男と女の感覚のズレには興味深いものがあります。トム君がサマーのリアクションに一喜一憂する姿はリアルで、男が相手に抱く妄想や願望を、映画では分かりやすく描いています。特に予告編にも出てくる、ミュージカルっぽい演出は、トム君が「俺が世界の中心だ!」というような有頂天な喜びにひたっている様子がよく出ています(アニメもキュート!)。

映画の構成は、過去や未来の時間を行きつ戻りつという形で、時間軸よりも2人の関係性の関連を重視して編集をしているのが独特ですが、見ている人が戸惑うことはないと思います。ラストがまたしゃれていて、「上手い!」と言いたくなりました。

この映画で特筆すべきポイントは、サマーを演じるズーイー・デシャネルのキュートさ(外見のみだけど)でしょう。この人は「ハプニング」とかにも出ていたようですが、印象が全然違い、今回は完全にノックアウト!されました。特にポニーテールが凄まじく似合い、トムが惚れるのも分かります。ただ前半のサマーはめちゃくちゃかわいいのに、ラスト近くは何かしょぼくれた感じが漂いました。
サマーが恋愛をしようとしないのは、人と深く関わって、傷つくことを恐れているようにも見えました。なんだか今の人間関係を表してるようです。
それにしても、彼女についていくのは難しそうです。男からすれば、あれじゃあ「恋愛」だと思ってしまうわなあ。まあトムにも、落ち着いて彼女の気持ちを想像してやれよ、て言いたくなるのですが。

 

 


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キ ャ ピ タ リ ズ ム
マ ネ ー は 踊 る

 

 

今回のマイケル・ムーア先生の講義は、資本主義がいかに「悪」であるかということ。
貪欲に金を求めるごく一部の人々に搾取されていくアメリカの姿を追及する、ムーア君流の「ドキュメンタリー」です。例によって、ムーア君の都合のいい事実を羅列したであろう一面的なところはあるけど、凡百の経済番組を見るより、こちらの方がはるかに分かりやすく伝わってきます。
ローンを払えなくて長年住んだ家を追い出される人々がいたり、パイロットの年収がバイトをしなければならないほど少ないとか、死んだ社員に保険金をかけて黙って金だけ取る会社があったりなど、信じられない事実が前作の「シッコ」のように今回も、続々出てきます。
さらに今回は「シッコ」以上に主張と怒りが鮮明で、さらに絶望めいたものも見受けられました。わざわざ観客に訴えるといった、ムーア君の「焦り」が感じられるのが、興味深いところです。
原題は「CAPITALISM: A LOVE STORY」。別にラブシーンがあるわけではありませんが、これはムーア君のアメリカの愛、という意味なのだと思います。愛しているからこそ、彼は「なんでこんなになっちまったんだ!」と怒っているのでしょう。

本編にはムーア君の出世作「ロジャー&ミー」で取り上げた、フリントの町が再び登場します。そういう部分も含めてこの作品、「ロジャー&ミー」の「その後」のようにも見えました。

 

 


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ア バ タ ー

 

 

「タイタニック」で過去最大の映画興行成績を打ち立てたジェームス・キャメロン監督が手がける、地球より遠く離れた衛星パンドラでの、人類と地元住民ナヴィとの抗争のお話です。
舞台となるパンドラのクリーチャーや浮かぶ巨岩といった風景描写は、アメリカのSFアートの画集を見ているようで、まさに動くSFアート!です。映画の宣伝キャッチコピー「見るのではなく、そこにいる」の通りと言っていいでしょう。
映画のほとんどの映像はCGに見えることは見えるのですが、実写と絡んだシーンでも妙に違和感が無く、馴染んでいるのは驚きでした。役者のデータを取り込んだ「ベオウルフ」なんぞよりも、このように実写の役者は実写として使った方がやはり良く見えます。

ナヴィの世界観はネイティブアメリカンをかなり参考にしているように見えました。お話でも「ダンス・ウィズ・ウルブス」や「ラスト・サムライ」を思わせるところがあります。それはパクリというより、観客に分かりやすくするためゆえ、と解釈すべきでしょう。
ナヴィのアバターになった主人公ジェイクが、ナヴィの人々に共感していく過程を映画は丁寧に描いて観客の感情移入を誘い、物語のペースも速くて退屈しません。しかしお話は先読みできるし、どこかで見たような展開もあります。ラストなんて予想通りでしたが、都合よすぎです。この「アバター」は「タイタニック」に次ぐ興行収入を上げているようですが、それほどの映画だろうか?とは思ってしまいました。

この映画は基本的に3D用に作られているそうですが、従来の3D映画のように、画面を突き出してくるような、いかにも3Dといったケレンのシーンが無いのに、節度が感じられます。ただその分、立体的な感覚をあまり意識できませんでした。ただ映画の中の3Dディスプレイは、ちゃんと立体的に見えました。
この映画を初めて見た時、劇場は大方の3D方式であるXPANDでの上映で、僕はメガネをしていました。これの3D眼鏡はメガネの上からでもかけられましが、少し重いし、初めのうちはメガネにしっくり合わないので戸惑いました。特に3D眼鏡を外すと画面が明るくなり、かけると暗く見えるという、明度の落差には戸惑いました。
しかし後で、IMAX方式の3Dだと違うと聞かされ、IMAX版の「アバター」を見に行きました。IMAX用の3DメガネはXPANDのものより軽く、メガネの上からでも脱着が楽です。また3Dメガネをかけると、これも映像が多少暗くなりますが、XPANDよりは明度の落差が小さい感じがしました。3Dで見るならIMAXの方が楽に、オリジナルに近い感じで見れそうです。
しかしこの3Dというのは、メガネをかけなければならない、という面倒くささがネックで、本当に普及するのか疑問です。ただ、いろんな人が3Dは疲れると言っていますが、それは意識しませんでした。

 

 


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戦 場 で ワ ル ツ を

 

 

まだ見ていない人

「おくりびと」が取った2008年度のアカデミー外国語映画賞にノミネートされていた、イスラエルの映画です。アニメの作品なのに長編アニメーション部門ではなく、外国語作品というのは異例ではないでしょうか。
主人公が失われた過去の記憶を求めて友人達を訪ね、彼らの証言という形で映画は進み、主人公が忘れていたイスラエルのレバノン侵攻の実態が明らかになっていきます。しかしこれが段々、主人公と関係しないはずの人の証言も入ってきて、個人的な話がいつの間にかドキュメンタリーに変質してきたようで、違和感がありました。確かに映画はドキュメンタリー的な面を目指しているのでしょうが、やり方が上手くない感じがします。

映画はイスラエル軍による、一方的な虐殺といってもいい実情を描いていきます。こういうお話は普通なら実写でやるところでしょうが、それをアニメーションという手法を使ったのは興味深い試みです。タイトルの由来であろう「ワルツ」のシーンや、主人公が度々夢で見る海岸から上がってくる幻想的なシーンなどは、実写以上に鮮烈なイメージではあります。
しかし、その夢っぽいシーンはどこの現場かはっきりしなくて意味不明だし、「ワルツ」のシーンも後半に出てくる、重要となる作戦とは違う現場で起こったことなので、映画のテーマに沿っているか疑問になりました。

映画の衝撃!はラストカットでしょう。これのためにアニメを使ったのではないか?とも勘ぐりたくなりました。本当に凄いのですが、これで終わり?という物足りなさも感じます。
ショッキングな作品ではありますが、全体的には「おくりびと」のように感情を揺さぶられるまではいきませんでした。アカデミー外国映画賞の最優秀を譲ったのも、納得です。

この作品の監督はイスラエルの人で、資本もイスラエルだそうで、事件の当事者の国がよく作ったものです。でももしこの作品がパレスチナ側で作られたのなら、イスラエルはたぶん「そんな事実は無い」と反発したんでしょうなあ。

 

 

すでに見た人

虐殺時の主人公の関与が結局、照明弾の射出というのは、ショック度がいま一つでした。これが虐殺を手がけた当事者だった、とまで行けば衝撃度が上がっただろうし、まさに贖罪という感じがしたかもしれません。またこの事実は、主人公の関与はそれほどでもなかったという、エクスキューズにも見えます。

ラスト、衝撃のシーンは実写ゆえのインパクトがありました。それゆえにアカデミー賞では、長編アニメーション部門ではなくなったのでしょうか。

 

 


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牛 の 鈴 音

 

 

韓国の農村で、長年飼ってきた牛と老夫婦との別れを見つめるドキュメンタリーです。
こういうおとなしめの作品が韓国で大ヒットしたというのは驚きですが、上映時間は1時間半も無いので、長くはありません。
爺さんと牛の関係は単なる家畜の関係ではない、絆といってもいいようなものでしょう。そんな2人?を婆さんはよく毒づきますが、乱暴な言葉の中にどこか思いやりが感じられ、彼らの関係がほのぼのとした空気を感じさせてくれます。

映画はTVでよくやる、ナレーションのようなやり方を排除して、映像とわずかなBGMに徹した作りにしているのが、説明的にならなくて好感が持てました。でも老夫婦の生活の通りに映画のテンポもゆっくりで、疲れている時にこの映画を見たら寝てしまうかもしれません。

主人公の老夫婦の生活は農業ですが、古いやり方にこだわります。機械や肥料を使わないのはいわゆる「エコ」でしょうけど、その分の労働量はハンパではなさそうで、エコライフの現実の厳しさを見せてくれます。それにしても、農地の風景がまるで日本なのには驚き!でした。

 

 


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フォース・カインド

 

 

ドキュメンタリータッチで描く宇宙人による地球人誘拐=アブダクションのお話です。ただ、宣伝でも「アブダクション」とは言ってしまっていますが、映画はまず不眠症の話から始まり、途中でようやくアブダクションが出てくるので、宣伝も一種のネタバレかもしれません(この文もですが)。
前半は、しばらくアブダクションが出てこないせいか眠くなる箇所がありましたが、後半は予告編で少し見せているように、ギョッとさせられるシーンがありました。また宇宙人がかつて地球で使われていた言語を話すなど、初めて聞く事実?は興味深いものがありました。
ホントかどうか追求するのはヤボだろうけど、映画の舞台になったノームというところは本当にそんな町なのか?という興味は書き立てられます。

もじかしたら我々も宇宙人に監視されていて、眠っている間に何かされているのかも?と思うと怖い…。
なーんてことは全然思わなかったけど(しょせんは映画だし)。

 

 


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カールじいさんの空飛ぶ家

 

 

まだ見ていない人

人間を主人公にしたピクサーの映画といえば、「Mr.インクレディブル」がありましたが、正確に言えばあれはスーパーヒーローの映画でした。この「カールじいさんの空飛ぶ家」ではついに、フツーの生身の人間、しかもおじいちゃんが主人公です。
映画の一番の見どころはカールじいさんと亡くなった奥さん・エリーとのシーンでしょう。特にエリーの写真のシーンでの情感は、ヘタな実写なんぞ遙かに超える豊かさです。

しかしこの作品、泣くまでは至りませんでした。じいさんの目的地にはあっさり着いてしまうし、その後に出てくる「敵」の設定が皮肉すぎて「それはないだろう」と言いたくなります。
それに銃を撃つなど、映画には暴力的な描写があるのも気になるところでした。「Mr.インクレディブル」でもその類のシーンはありましたけど、一応低年齢層も観客として意識してるのだろうし、ドンパチが必要な話なのか疑問です。
とはいえ全体的には、ピクサー映画の例によって、退屈しない作りにはなっています。

この作品の前に上映される短編は、赤ちゃんを運ぶコウノトリのお話。ラストがほのぼのとさせられます。

 

 

すでに見た人

悪役がじいさん夫婦のかつての憧れの英雄(後で出てくるだろうとは予想しましたが)というのは引っかかるし、最後も救いが無くて残酷な感じがしました。せめてエンドタイトルあたりで、生きていると出して欲しかったところです。

 

 


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2 0 1 2

 

 

「デイ・アフター・トゥモロー」で終末ぽい世界観を描いたローランド・エメリッヒが、それ以上のスケールで、いわば「世界沈没」を描いたお話です。
映画のウリである、地震や津波といったディザスターシーンはかなりのド迫力でした。特にロスアンゼルスの壊滅を、飛行機で飛びながら見せていくやり方は「一気」!という感じで上手い見せ方です。火山噴火がまるで核爆発のイメージも、インパクトがありました。
「デイ・アフター・トゥモロー」では話の中心を1家族に絞っていましたが、この「2012」もほぼ同様にしています。これだと話が散漫にならないで見やすい構成になるだろうし、都合の良すぎるシチュエーションも多いけども、危機の連続で飽きません。映画ならではのヒューマニズムの訴えで、泣けるシーンもあります。

この映画の公開は2009年の末でした。2012年までに公開しないとまずい、ということで急いで作ったのでしょうか…?

 

 


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ビッグ・バグス・パニック

 

 

ある日の朝、人々が一斉に気を失ってしまいます。目覚めた時、そこは昆虫が支配している世界になっていました…。
生き残った人々が人間大の昆虫と戦うという、いかにもB級テイストな作品です。ただこういうシチュエーションでは、普通ではまず目の前の昆虫達をどうする、と考えるところですが、この映画では、主人公はやたらとホれた女のコを意識するし、彼に迫ってくる女子がいたりして、脇にそれた行動をしたがる奴が多く、「そんなことしてる場合かよ!」と突っ込む楽しさがあります。ブラックユーモアで笑えるシーンもチラホラあるし、ゾンビモノのテイストもあったりして、何でもありの内容が楽しませてくれます。
ただ宣伝ではキャラがメチャクチャであるようなイメージを持ってしまい、もっと壊れるのかと期待してしまいましたが、それなりにちゃんと戦っていて、結構まともなお話の作りではあるのは、ちょっと期待はずではありました。クライマックスは「エイリアン2」を思い出すような正統アクションだし(まあ、退屈するよりはましだけど)。

 

 


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イングロリアス・バスターズ

 

 

作品を発表するたびに話題になる、クエンティン・タランティーノの監督作です。今回はナチスのお話ですが、正史とは明らかに違っている部分があり、あくまでフィクションと割り切って見るべきでしょう。
今回も例によって長いと思うシーンがあります。ただ、この映画ではそういうシチュエーションはたいがい、敵同士のキャラクターが相対しているシーンなので、この長さが「いつこのキャラたちが爆発するのか?」というサスペンスにはなっています。
映画にはグロいシーンがチラホラあるし、後味も良くありません。お子様と血の嫌いな人は見ちゃダメです。

今回も大方のタランティーノ映画並みに、いいとは思えない出来でありますが、毎度のタランティーノの映画同様、映画評では悪いことを書いてあるのを見ません。彼の映画を誉めないと映画通でない、という雰囲気を感じてしまいます。

 

 


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母 な る 証 明

 

 

「殺人の追憶」でおおっ!と驚嘆させられ、「グエムル」でオイオイ!と落胆させられた、韓国のホン・ジュノ監督の作品です。
少女殺しの犯人にされた息子の無実を晴らそうと、母親が行動するお話なのですが、その行動にリミットは無く、犯罪といってもいいようなことまでやってしまいます。まあ頼るべき警察、つまり権力が息子を捕まえているのだから、なりふり構ってはいられないでしょう。フツーのオバちゃんに見えていたこのオムニが、段々狂気を漂わせてくるのは「母は強し」なんて簡単な言葉では片付けられません。特に「ダンス」は、妙なインパクトがありました。

一方息子の方は精神に障害があるという設定ですが、これもなかなかのクセ者と分かって
きます。演じるウォンビンは「ブラザーフッド」でも狂気を孕んだ演技を見せてましたが、今回はピュアに見える中に不気味さを感じさせてくれて、兵役というブランクがあったとは思えませんでした。

「殺人の追憶」と違い、今回は謎をうやむやにはしませんが、1つでは終わりません。その真実(なんだろうなあ?)には「ええっ!」と驚愕させられました。ホン・ジュノ監督、やっと「殺人の追憶」のような王道?に戻ってくれた感じです。
爽やかな内容の映画ではありませんが、あんまり暗い印象でもありません。やはり「ダンス」のせいだろうか…?

 

 


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ロ フ ト

 

 

マンション内で男たちが共有する部屋(ロフト)に女の死体。犯人は…?
ベルギーで大ヒットしたというサスペンスドラマです。候補が何人かいる中で意外な奴が犯人、というパターンは確かに宣伝で言われている通り、「ユージュアル・サスペクツ」を思わせます。
しかし、キャラクター同士の関係があまり深くなかった「ユージュアル‐」に比べて、この「ロフト」のキャラ達は友人、そして妻や愛人という関係でありながら、謎が明らかになるごとに、そのキャラ達の関係性が変わっていくのが面白く、犯人の意外な正体に驚愕させられました。
それにしてもこのお話、男が女に翻弄されるのが今っぽいところでしょうか…。

 

 


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ス ペ ル

 

 

「スパイダーマン」に走っていたサム・ライミが久々に見せる「死霊のはらわた」テイストの映画。「怖い」というより「笑える」ホラーがここに復活しました!「呪怨」ほど上手くないけれど「音」を生かした演出など、Jホラーの影響かも?と興味深く見えるシーンもあります。

TVCMでおすぎが誉めていたラストは伏線もあるし、カンのいい人なら予想がつくでしょう。このラストで彼氏は泣いていましたが、何かほっとしているようにも見えました。主人公の女にイヤなとこがあったりして、単純に同情できないようにしている点も、ハリウッドの本流から少しずれている、ライミらしい描写です。ハリウッドムービーでは御法度な、子供にも動物にも容赦しない態度も、そういうことを思わせます。

 

 


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エ ス タ ー

 

 

子供の周りで、大人たちが次々と不審な死を遂げていく…というお話は「オーメン」を思わせます。この作品の主人公エスターは女のコなので実際、劇場公開当時は女子版「オーメン」という宣伝の仕方もされていました。
映画は確かにホラーにカテゴライズされていい内容ではありますが、「オーメン」とは違うネタになっています。ただその違いを書くとネタバレになってしまうので、触れられないのは辛いところではあります…。
とはいえ、エスターの「正体」はカンのいい人なら予想がつくかもしれませんが、なかなかに面白いアイデアでした。お話は退屈しないし、来る来る!と思わせて外すようなショック描写も良しでしょう。ただメインキャラで死人が出たりするので、後味は悪いものがありました。
まあよく考えると、エスターも不本意であろう仕打ちを受けてきて、かわいそうではあります…。

 

 


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A T O M

 

 

マンガ&アニメ史上に残る手塚治虫氏の傑作を、ハリウッドでCGムービーにした作品です。
原作よりも目が小さく、リアルな人間に近くなったアトムは初め違和感がありましたが、見ているうちに慣れました。アメリカではこういうキャラが受ける、というのがそうした理由であると製作者がインタビューで言っていましたが、果たして本等にそうなのか、少々疑問ではあります。
原作やアニメではあんまり出てこない天馬博士が目立っているのが、お話では一番違うところでしょう。でもいわゆる「父子もの」にしたおかげで、後半にはウルウルするシーンがいくつかありました。
ただ、ところどころキャラの心情描写が雑で、特に敵となる市長の行動理由が不可解でした。

大方の映画館では、アニメということだからか日本語吹き替え版の上映で、アトムの声は上戸彩が演じています。この人はアニメ版とは違い(そんな年食ってないし)ますが、なかなかにがんばっています。ただやはり、清水マリの声で見てみたかったとも思います。

 

 


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きみがぼくを見つけた日

 

 

主人公ヘンリーは時間を超えることができます。でも困ったことにこの力は使う時、そして行く場所や時代を選べません…。
タイムトラベルできる人間、という設定の映画は珍しくありません。でもその能力を制御できない、というアイデアは今までに聞いたことがないものでした。それゆえのトラブルが時に笑え、時に悲しく、退屈させません。
主人公は時間跳躍という運命に流されざるを得ませんが、それを使いながら幸せを見つけようとするヘンリーと、彼の力を受け入れて愛するクレア(レイチェル・マクアダムスがすっげえかわいい!)の姿は感動的です。ラストも爽やかでした。

原題は「タイムトラベラーズ・ワイフ」。まんまなタイトルで、この場合は珍しく、邦題の方が雰囲気があります。

 

 


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デビル・ハザード

 

 

北アフリカに派遣された米軍部隊に、ある遺跡の発掘現場で博士を救出する命令が下ります。しかし彼らが向かった場所には恐ろしい「秘密」が待ち構えていました…。
遺跡の絡むホラーストーリーといえば過去には、「オーメン」や「ギャザリング」などがあり、自分の好みではあります。ただこの「デビル・ハザード」では、肝心の遺跡が出ないのは残念でした。しかし「堕天使」の解釈、そしてその姿は今ぽくて面白いところではあります。
ゾンビ映画と「惑星ソラリス」を混ぜたような内容は今までに無いパターンで、退屈はしませんでしたが、そう面白いこともありません。

主演はアカデミー賞も受賞したキューバ・ゲッティングJr.。こういうB級の作品に出るなんて、仕事ないのでしょうか…?

 

 


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私の中のあなた

 

 

難病にかかっている姉の治療のドナーとなるべく作られた「デザイナーズベイビー」のアナ。彼女がそのドナーを拒否したい、と両親を訴えるところから映画は始まります。
お話はいわゆる「難病もの」ではありますが、全体的に深刻な感じにはなっていません。ブラックぽい病気に関するジョークなんかが出てくるなど、モロにお涙ちょうだいにせずに、サラリとした雰囲気にしているのは好感が持てました。重病の患者だって恋愛(Hも!)しちゃうし。ちなみに彼氏はTVシリーズの「ターミネーター:サラ・コナー・クロニクルズ」でジョン・コナーを演じていたトーマス・デッカーなのですが、全然違う印象に驚かされました。
訴訟に関しては話が進むにつれて、本当の事情が分かってきて切なくさせられます。誰がいい悪いではなく、出てくるキャラクターがみんな優しくて、ウルウルになるシーンがチラホラとありました。結局、この訴訟というのはそんなに重要なことではないのですが、ドラマとして見ている人の興味を繋ぎとめるための設定でしょう。

 

 


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