キス・オブ・ザ・ドラゴン

 

 

「ロミオ・マスト・ダイ」に続くジェット・リー主演映画です。「ジェット君のハリウッド主演第2作」と書くと分かりやすところですが、この「キス・オブ・ザ・ドラゴン」はフランス資本の作品のようなので、それは正しくなさそうです。
でも言語はほぼ全編、フランス語でなくて英語なんだけど(舞台はパリなのに)。

前作「ロミオ・マスト・ダイ」では、ジェット君が6人くらいを相手に飛び蹴りをかます際、跳躍しながら3人を連続キックで倒してから、地面に足を着けないで反転して、残りの3人にも連続跳躍キックをかますという、重力の法則を無視したアクションが見られましたが、今回の「キス・オブ・ザ・ドラゴン」ではそういった荒唐無稽すぎるアクションは出てきません。
30人ほどの黒帯の警官を全員倒してしまうというような、ジェット君強すぎ、と思う描写はありますが、彼が主演なのでそういうものでしょう。 ジェット君のアクションは今回も早くて迫力があります。
また今回のアクションではモップやアイロンといった小道具を使ったりして、ジャッキー・チェンの格闘シーンの見せ方を取り入れてるような新味があるし、アクションシーンは「ロミオ・マスト・ダイ」よりも多い感じで、ジェット君は前作に比べて目立って見えます。

しかし肝心のお話では、例えば警察が一般人が多数いるホテルで銃を乱射するというような、こんなことあるかい!?と思う描写が連続して呆れました。
それに、 中国人のジェット君が何のためにフランスに来たのかという説明が全く無いなど、主人公の背景や性格に関する描写がほとんど無いので、彼がどういう男なのかもよく分かりません。
リュック・ベッソンが関わっているので「ニキータ」や「レオン」の感じを期待する人もいると思いますが、それらに比べるとこの「キス・オブ・ザ・ドラゴン」は話もキャラ描写も薄くて、感情移入なんてできる所はなく、単純にジェット・リーのアクションを楽しむだけの映画です。
この映画の宣伝文句は「この戦いに愛などいらない」ですが、この映画に出てくる「愛」などとってつけたような薄いもので、ある意味その通りです。

娼婦役のブリジット・フォンダは、一応ジェット君の行動原理となるキャラですが、特に彼女でなければ、という役でもありません。いっそのこと「アサシン」のキャラに変身してジェット君と共に戦う、なんて展開にでもなった方がぶっ飛んだ面白さが出ただろうなあ。

今回のジェット君はカンフーだけでなく、なぜか針の名人にもされています。一瞬のうちに針でツボを突いて敵の動きを封じるなど、その描写は針というよりも「北斗の拳」を思わせ、「ひでぶ!」ぽいシーンまで出てくるのには笑えました。「北斗の拳」は英訳されてますから、ベッソンあたりが読んでいた可能性は十分ありそうです。

 

 


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DENGEKI
電撃

 

 

デトロイト21分署の刑事ボイド(スティーブン・セガール)は副大統領を襲ったテログループを1人で壊滅させたものの、結果的に副大統領に恥をかかせてしまったため、15分署に左遷されてしまう。そこでも煙たがられた彼は署長から非暴力のカウンセリングの出席を命じられ、交通警官に格下げにされるが、麻薬取引らしき現場に遭遇し、密かに捜査を開始する。

スティーブン・セガール映画での彼のキャラクターは、常に頑固で、周りから理解されないけど結局正しいという設定ですが、今回も変わり映えしません。ま、彼の場合、観客の目当ては演技ではなくアクションであろうはずなので、それでいいのだと思いますが。
彼の映画はそんなに多く見ていないのですが、今回のアクションは動きが早くて迫力がありました。例によって超人的すぎて笑ってしまうシーンがあるのも、いかにもセガールの映画です。
ただし今回はセガールが交通整理をやる(結果は想像通り)など、彼のキャラからはちょっと想像できない、笑える境遇を見せてくれて、単なるワガママ超人だけで終っていないのが今までの彼の映画と違う、面白い点です。
また、今までのセガール映画では彼1人だけがヒーローという感じで、彼の映画なんだからそういうものだろうとは割り切れるものの、あまりにもセガール君が強すぎてリアリティーという意味では疑問ではありました。しかし今回は頼りになる協力者が現れ、クライマックスではセガール君だけでなく、その彼のファイティグシーンとの2つが同時進行します。これもセガール映画の新しいパターンかもしれません。

敵や味方がある程度話が進まないと分からないなど、話は適度に複雑になっています。とはいえ、敵の設定は意外性を狙ったような感じはするものの、今となってはけっこうありがちです。
また、セガールのアクションを生かすように話を作っているあまり、彼の行く先々で待っているように事件が起こったり、本筋に結びつかない事件が出たりするなど、話は相変わらずご都合主義的です。

 

 


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恋戦。OKINAWA
Rendez-vous

 

 

ジミー(レスリー・チェン)はヤクザ(加藤雅也)から依頼されたモノを盗み、彼の根城である沖縄に取り引きに来るが、金はヤクザの情婦のジェニー(フェイ・ウォン)が持ち逃げしてしまったために払えなくなる。一方、刑事のロー(レオン・カーファイ)は倦怠期の恋人(ジジ・ライ)と沖縄にバカンスに来るが、ジミーを見つけたローは恋人はそっちのけで、ジミーを捕まえて手柄にしようと策を巡らす。

日本のTVドラマは香港でも人気があるようで、その影響なのか、ここ数年ラブストーリー的な香港映画が増えているように思います。
この「恋戦。OKINAWA」も、そういった日本のトレンディドラマの影響を受けた企画であろう、観光名所を舞台にした軽めのラブコメディですが、その内容は、トレンディドラマの悪い見本を見てるようでした。

コメディなんだから軽い話でOKなのですが、それにしてもこの作品では、キャラ同士の葛藤やぶつかり合いが無いも同然で、話も予定調和的に収まるところに無理矢理おさめた感じに進み、脳天気すぎてついていけませんでした。
キャラの設定もワンパターンで面白さが感じられません。いくらコメディとはいえ、怪盗やヤクザなんてリアリティーに欠けるし、ありがちで古いと思います。
別に、ノワールものや重い話を作れとは言いませんが、 せっかくフェイ・ウォンやレスリー・チェンなどのいいキャストを使っているのに、こんなチンケな話を作ってしまうのは、彼らの才能の浪費のように思います。
たぶんこの映画、フェイ・ウォンやレスリー・チェンのファンでもないと楽しめないかもしれません。

特にフェイ・ウォンは「恋する惑星」以来の映画出演で、見どころと言うべきですが、 今回のキャラも「恋する惑星」を思わせる自由奔放な役で、こういうキャラクターは似合うと思いますが、パターンのようにも思います。
パターンといえば、これに出てくるヤクザなんて子分をゾロゾロと引き連れて歩いたりして、ひと昔前のヤクザみたいな描写だし、そもそもこんなヤクザ軍団が沖縄になんかいるか?と思います。コメデイなんだからこれもギャグとして見るべきでしょうが、違和感ばかり持ちました。たぶん外国人から見れば気にならないのでしょうけど(外国映画にありがちな、ヘンな日本描写に近い)。
ただ、加藤雅也の子分のキャストは無名の人達ですが、女好きな親分にうんざりしている演技はいい味を出していました。

この作品、いい映画とは思えませんが、ラストシーンはすべてを語らずに想像させる描き方で、ここだけセンスの良さを感じました。

 

 


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アタック・ナンバーハーフ

 

 

メンバーのほとんどがオカマちゃんであるバレーボールチームがタイの国体へ勝ち進んでいった、実話を元にした話です。
話がオカマちゃんたちの内面描写をメインにしているせいか、試合のシーンは映画全体からすると長くはなく、展開のペースは遅めな感じがしました。
とはいえスポーツものらしく、クライマックスは爽快に見せてくれますし、最後まで見るとエンドクレジットは感動的に思います。

僕としてはやはりまともな女性が趣味なせいか、オカマちゃんの映画というのは見ていて辛いものがあるのですが、この作品ではメンバーの1人の性転換してしまったオカマちゃんが、ほとんど女にしか見えないきれいなねーちゃん?なので、オカマちゃんに興味が持てなくても彼女で見れました(すでに趣味になってきてるか?)。
チームのメンバーは全員がオカマちゃんではなく、ノンヶの男も1人入っているのですが、彼の視点が入るおかげで内容が特異な話にならず、フツー(というかオカマちゃんの趣味が無い人)の人にも感情移入しやすくなっています。だからタイ国内でヒットしたのでしょう。

メンバーだけでなく、監督もオナベという設定なのですが、話がオカマちゃんの描写に占められたせいか、彼女の特異な設定があまり生かされてなかったように見えたのは残念な点です。

 

 


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ジュラシック・パークlll

 

 

前作「ロスト・ワールド」が第1作「ジュラシック・パーク」に輪をかけて大したことのない作品だったのに、性懲りも無く3作目の登場です。ただし今回は前2作と違い、監督が「ジュマンジ」のジョー・ジョンストンで、音楽は とメインのスタッフが前作までとは多少変わっています。
前2作の監督であったスティーブン・スピルバーグは今回は製作に回り(彼がドリームワークス以外の会社の仕事を手掛けるのは、今はこのシリーズくらいでしょう)、音楽を担当したジョン・ウィリアムズはメインタイトル作曲者のクレジットにおさまっています。

前作のパート2はサイトB(1作目と違う島だったとは、今回初めて知りました)だけでなく、アメリカ本土まで舞台にしたおかげで変に話をひねった感じがしましたが、今回の第3作は島の中だけで完結する冒険になっているので、コンパクトにまとまっていて楽しめました。前2作までで恐竜に対抗しようと思ってもかなわないと分かってしまったせいか、今回は人間たちが、襲いかかってくる危機また危機からいかに逃げ切っていくかを楽しむ映画になっています。

今回もラプトルが脅威になりますが、前作同様驚かせるパターンの演出で新味はありません。大形恐竜ではレックスも出てきますが、前2作でさんざん活躍したせいか出番は少なく、その代わり今回はレックスより大きいという肉食恐竜スピノサウルスが、レックスに代わって人間をしつこく追い回します。スピノサウルスは大きな背びれが特徴の恐竜で、川を泳ぐとこなんかはレックスと違いますが、やってることはあまり変わりません。
ラプトルとスピノサウルスの他に、翼竜プテラノドンが人間たちに襲いかかります。この恐竜は前作のラストにチラリと出てきただけでしたが、今回は全面的に活躍します。今までのシリーズには無かった空中アクションが見られて、この恐竜のパートは今回の映画で新味を感じた部分でした。ま、こいつが人を襲うところってなんだかギャオスみたいにも見えるのですが。

今回は第1作に出たグラント博士役のサム・ニールが復活しましたが、同じく1作目に出ていたローラ・ダーンも少し顔を見せます。その代わりというべきか、2作目に登板したジェフ・ゴールドブラムは出ていません。このパターンだと今度は4作目にジェフ・ゴールドブラムが出て、5作目でまたサム・ニールとローラ・ダーンが出てくるのでしょうか(んなバカな)。

 

 


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猿の惑星

 

 

ティム・バートン監督が、あの「猿の惑星」をリメイクならぬ「リ・イマジネーション」として、全く新しい物語として描く作品です。
「バットマン」や「マーズ・アタック」など、ティム・バートン監督の映画は退屈さを感じる作品があったものの、「スリーピィ・ホロウ」あたりからダレずに見れるようになりましたが、今回の「猿の惑星」も退屈しないで見れました。ただ、 都合いいと思われる展開が所々あったのは気になります。

映画で一番不満を感じたのはラストです。オリジナルの「猿の惑星」のラストはショッキングなシーンで、今回のラストシーンもそれを意識したようですが、映画や小説に親しんでいる人なら予想がつくであろう展開で、途中で読めてしまいました。こんな、誰でも思い付くような形のラストにするなら、いっそのことカットするか、もっとひねった展開にしてほしいと思いました。
また「リ・イマジネーション」といいながら、設定にしろデザインにしろ、世界観がオリジナルとそれほど違いが感じられなかったのも物足りなかった点です。 映画版「スター・トレック」1作目と同じパターンの謎解きがあるのも安直に思います。

この映画でのオリジナルと一番違う点は、猿のリアルさでしょう。オリジナル版の猿は顔がほとんど動きませんでしたが、今回は猿メイクの第一人者のリック・ベイカーが特殊メイクを手掛けただけあって、猿にはリアルな表情が出ています。歩きなどの動きも猿らしいし、跳躍のアクションもワイヤーを使ってうまく表現していて、猿が進化したようにそれらしく見えます。
また一部のキャラで、猿と人間の関係が複雑になっている(どんなものかは書きませんが)のが、今ぽくて面白いと思った点でした。

今回メインで猿側のキャラを演じるのは、「海の上のピアニスト」のティム・ロス、「グリーンマイル」のマイケル・クラーク・ダンカン、「ファイト・クラブ」のヘレナ・ボナム・カーター、「ライジング・サン」のケーリー・ヒロユキ・タガワなど、いづれも芸達者で名の知られている役者達です。オリジナル版で猿側の主役を演じていたのはロディ・マクドウォールでしたが、それに比べると今回のバージョンの方が、猿メイクに身を包む役には名の知られた役者が多く出演しています。
これは役者の側の、特殊メイクに覆われたような、素顔を見せないキャラを演じる意識の変化のゆえだと思います。オリジナル版が作られた時代は、名の知れた役者がそういうキャラを演じるのは抵抗が多かったのでしょう。
しかし、オリジナルの「猿の惑星」(シリーズ)はそういう意識を変えるのに大きく貢献した映画だと思いますし、この時代以降の特殊メイクの急速な進化も、そんな意識の変化を後押ししていったと思います。
今回の猿側の主役といえる、主人公を付け狙うセード将軍を演じるのはティム・ロスです。「海の上のピアニスト」での穏やかなキャラとは全く違う、近年他の映画でもあまり見ないような正統的な悪役を実に憎たらしく、しかもちゃんと「猿」らしく演じているのはさすがです。
また隠れキャラとして、オリジナル版で(人間側の)主役を演じたチャールトン・ヘストンが顔を見せています。猿側のキャラなので、言われないと気付かないでしょう。彼自身年なので、それ相応のキャラに注意して見ていれば分かるかもしれません。

この作品でもILMが特撮を担当しています。これで、「A.I.」「パール・ハーバー」「ジュラシック・パーク3」そしてこの「猿の惑星」と、ILMは2001年夏のメジャーな大作の特撮をほとんど制覇したことになります。スタッフの配分が大変だったろうなあ。

音楽はティム・バートンの映画ではいつもコンビを組んでいるダニー・エルフマンですが、今回は打楽器主体のリズムの響きが、異世界の雰囲気を盛り上げています。

 

 


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ダンジョン&ドラゴン

 

 

イズメール国の宰相プロフィオン(ジェレミー・アイアンズ)は王女サヴィーナ(ソーラ・バーチ)から国を乗っ取るため、伝説のレッドドラゴンを操る杖を奪取しようと、部下のダモダ−を魔法大学の魔術師ヴィルダンのもとに向かわせる。ダモダ−はヴィルダンを殺し、杖の秘密が記してある巻き物を奪おうとするが、寸前にその巻物を弟子のマリーナに奪われる。この時魔法大学に盗みに入ったコソ泥のリドリーとスネイルズは現場にいあわせてしまったおかげで、マリーナと共にダモダ−に追われることになる…。

RPGの元祖的ともいえる作品の映画化です。ゲームの発表は1970年代だそうなので、今頃という気もしますが、今のようにCGをかなり使わなければ映像化は難しい作品かもしれません。
RPGが原作ということで、この映画ではドラゴンはもとより、魔法使い、エルフ、ドワーフ、そしてトラップやら迷宮やらと、RPGに出てくるお約束のキャラや舞台がほとんど映像化されています。なので、このテの題材が好きな人なら楽しめると思います。
RPGはプレイステーションなどのゲームソフトの中では、ドラマパートとして映像化されることがありますが、容量の関係で尺は短いし、映像のクオリティも良くはありません。その中ではプレステ2だと、DVDの大容量で映像のクオリティが高いスペックを持ってはいますが、この映画くらい長い尺で、しかも緻密な映像(フィルムだし)で見せてくれるRPG作品はあまりないでしょう。
デザインにしても、ドラゴンやお城など、いかにもそれらしい描写のものもあれば、レッドドラゴンを操る杖なんかは杖とは思えないような変わったデザインだし、トラップも「インディ・ジョーンズ」をまたひねったようなパターンを見せて、工夫が感じられます。

しかし、話の面では唐突に思える展開が所々あって、見どころの場面をつなげただけのように思えました。例えば、クライマックスでは無数のドラゴンが戦いますが、その前にこのドラゴン達がいるシーンが出てこないので、こいつらどこから来たんだ?て思います。完全なハッピーエンドとは言えない展開も気になりました。
CGの質は悪くないし、かなりの場面で使っているのでお金はかかっていると思います。しかし、あまりにCGを多用してることが分かるせいか、どこか軽い感じがして、壮大なスケールみたいなものが感じられません。B級と言っていい作品でしょう。

王女を演じるのは「アメリカン・ビューティー」でのヘン?な女の子:ソーラ・バーチですが、よくこういったB級ぽい映画に出たと思います(ゲームが好きなのだろうか?)。さすがにあまり出番はありませんが。
悪の魔法使いプロフィオン役のジェレミー・アイアンズの演技は変に抑えた感じがして、吹っ切れぶりが足らない感じがしました。

それにしても、この映画みたいに、CGをいっぱい使っているけどお話が今一つな作品が作られてしまうおかげで、「最近のハリウッドはCGに頼ってる」て映画評論家から言われてしまうのでしょう。CGやデジタル合成によって可能になった演出だっていっぱいあるのに。

 

 


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ギフト

 

 

アニー(ケイト・ブランシェット)は夫の死後、彼女自身の持つ予知能力や無くしたものを見つける不可思議な力を生活のささやかな糧にしている。彼女のもとに時々相談に訪れるヴァレリー(ヒラリー・スワンク)は夫のドニー(キアヌ・リーブス)から暴行を受け続けていて、アニーはヴァレリーに別れるように言う。しかし、アニーが妻と別れるように吹き込んでいると曲解したドニーはアニーにつきまとい始める…。

当初の「死霊のはらわた」などのマニアックな作品に比べて、 このところ「シンプル・プラン」や「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」など、普通化が進んでいるように見えるサム・ライミ監督の最新作です。
今回は、超能力を持ってしまったフツーの女性が苦悩する話という感じで、内容は退屈しないし、キャラもちゃんと描いて手堅く作っています。ただし、主人公の苦悩に焦点を絞っているせいか、展開はおとなしめで、「シンプル・プラン」のような意外な展開もあまりありません。映画に大した盛り上がりが見られないのは、主人公の感情のリアルさに重きを置いたこの物語らしいとも思いますが、物足りなさは感じます。
全体的に今回の映画は「シンプル・プラン」以上にライミ監督の独自性が薄れたように見える、普通の映画になっています。

キアヌ・リーブスの役は重要ではありますが、ただの粗暴な男という感じのキャラで、彼にとってはもったいないと思える役でした。

 

 


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マレーナ

 

 

名作「ニュー・シネマ・パラダイス」、そして最近では「海の上のピアニスト」を監督したジュセッペ・トルナトーレが、彼の故郷であるシチリアを舞台に、第2次対戦中に年上の女性に憧れを募らせる少年を描く話です。
両作品とも2時間程あったし、「ニュー・シネマ・パラダイス」は3時間程度の「完全版」なんてのもあったせいか、彼の作品は長いイメージがしていたのですが、この「マレーナ」は1時間半という尺の、以外に小品に見える映画です。
しかしその内容は大作とはいえないものの、人間のエゴが容赦なく描写されるえげつないとも思える展開の中で、クライマックスでは人間の誇りを感じさせる感動的なシーンを見せてくれます。

主人公の憧れの女性、マレーナを演じるのはモニカ・ベルッチです。この人は「ドーベルマン」では障害を持った過激な拳銃女を演じていたそうですが、今回はそんなアブないキャラを演じていたとは信じられないくらい、全然違う役柄を演じています。もちろん彼女は美人(髪を切ったシーンはすごくきれい)なのですが、少し崩れた雰囲気がこの役にぴったりで、いい体と顔を持っているだけにかえって好奇のもとになってしまい、可哀相な境遇に身を落とさざるを得ない女性を好演しています。

主人公がマレーナを見る視線はかなりエッチですが、男の欲望を正直に表しているといえるでしょう。主人公が思いを伝えられないのはリアルですが、その分主人公の見る数々の妄想シーンが思いを遂げられないもどかしさをうまく中和しています。この妄想シーンの中には映画のパロディもあって結構楽ませてくれます。

主人公は今なら虐待と言われかねないほど、父親に叩かれる描写が頻発します。昔はこれが当たり前だったのでしょう。今と違って、こんなことくらいで子供が曲がったりするほど軟弱な世の中ではなかったんだろうなあ…。

 

 


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フォーエバー・フィーバー

 

 

1977年のシンガポール、スーパーに勤めるホックはある晩、気乗りしないで見た「フィーバー」というダンス映画に魅せられ、ダンスコンテストの賞金5000ドルを目当てに幼なじみのメイを誘ってダンス教室に通い出す。初めはズブの素人だったホックのダンスの腕は徐々に上がっていくが、スーパーのオーナーの金持ち息子が彼をうとましく思い始めていた…。

話はパターンだし、御都合的と思える展開もあるサクセスストーリーですが、楽しめました。特に、最後がさわやかで後味がよく、劇場公開されただけのことはある作品です。

この映画のキモになる「フィーバー」なる映画はモロに「サタデー.ナイト.フィーバー」のパクりになっています。堂々とパクりをやっているのが笑えるし、かえって清々しいです。たぶんお金を節約するための苦肉の策だと思いますが、それが逆に効果的です。この「フィーバー」に出ている役者もトラボルタとは違う人物ですが、この偽トラボルタの存在が話の上手いスパイスになっていて、特にラストが効いています。

 

 


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